特別企画
ゼロから始めるポケモンカードゲーム(準備編)
ポケカを始めるのに必要なもの、全部教えます
2023年4月7日 00:00
ポケモンカードゲーム(以下ポケカ)は、本格的TCG(トレーディングカードゲーム)として日本で最初に登場した製品であり、26年以上の歴史を誇る。ここ数年、人気が高まり、カードが高騰していることも話題になっているが、TCGとして魅力があるからこそ、ブームになっているのだ。
TVやネットの影響で、ポケカをプレイするにはかなりお金が掛かると思っている方もいるかもしれないが、それは大きな間違いだ。ポケカは、安価で手軽に始められるTCGのひとつ。それが近年の投機的なムーブメントによって、本来の魅力がゆがめられて伝わっているのがユーザーの1人として非常に残念だ。
そこで今回は、ポケカだけでなく、TCGを一度もプレイしたことがないという人向けに、2回に分けてポケカの始め方を解説していきたい。まず、準備編として、ポケカを始めるために用意する必要があるアイテムについて紹介する。
ポケカって何? TCGって何?
ポケカで遊んだことがない方でも、ポケモン(ポケットモンスター)は知らない人はいないだろう。ポケモンは、日本を代表するエンタメコンテンツだが、その元祖となる製品は、ゲームボーイ用RPGとして1996年2月27日にリリースされた「ポケットモンスター 赤・緑」だ。「ポケットモンスター」は、ポケモンと呼ばれる不思議な生き物が生息する世界で、ポケモンを自らの大事なパートナーとし、ポケモン同士のバトルを行うポケモントレーター達の冒険を描くRPGだ。
ポケカは、このポケモンバトルを再現したTCGである。TCGとは、トレーディングカードゲームの略で、ポケカ以外にも多くのTCGがプレイされている。元祖TCGである「マジック:ザ・ギャザリング」や小中学生にも人気の「デュエル・マスターズ」、知名度の高さではポケカに並ぶ「遊戯王」などがTCGの代表だ。TCGはデッキと呼ばれるカードの束を使って、相手と対戦を行うゲームであり、ポケカなら、自分の好きなポケモンを入れたデッキでポケモンバトルができるのだ。
ポケカは、数あるTCGの中でもルールが比較的シンプルでわかりやすく、1ゲームにかかる時間も短いほうなので、初めてTCGをプレイする人や子どもと一緒に始めたいという人にもおすすめだ。ポケカの対象年齢は9歳以上とされているが、TCGショップなどで開催されているポケカ大会に、もっと低い年齢のお子さんが参加していることも珍しくはない。
ポケカは、ポケモントレーナーとポケモンがいて、ポケモンバトルを行うという世界観が老若男女に広く知られているということが、他のTCGにはない利点であり、そのゲームの世界観を理解するハードルが非常に低い。かといって、決して子ども向けの単純なTCGというわけではなく、シンプルなルールながら奥の深いゲームであり、競技性の高い大会や世界大会も開催されている。大人が本気でプレイする価値があるTCGなのだ。
ポケカに限らずTCGは、基本的に対面の相手とコミュニケーションをしながらプレイするゲームなので、子どもにも是非プレイしてもらいたいと考えている。TCGで培った能力は、さまざまな場面で活かせるからだ。子どもにお馴染みのポケモン達が活躍するポケカは、親子で始めるにもぴったりのTCGだ。
ポケカを始めるのに最低限必要なもの
それでは、実際にポケカを始めるために必要なものを紹介していきたい。まずは、最低限必要なものから説明する。ポケカをプレイするには、デッキとダメカン、コインが必要になる。詳しいルールやプレイの流れについては、別途実践編で紹介するが、この3つが最小構成となる。
ポケカは、通常60枚のカードから構成されるデッキを使ってプレイを行う。デッキはポケカのカードならなんでもよいというわけではなく、同じ名前のカードは4枚までといった構築ルールがある。TCGは、拡張パックやブースターパックと呼ばれる、カードがランダムで入っているパックを開封し、そこから出たカードを使って自分でデッキを構築し、ブラッシュアップしていくことが楽しさの一つだが、全くの初心者がイチからデッキを構築するのはなかなか大変だ。また、ポケカの場合、通常の拡張パックには、デッキに必ず必要な基本エネルギーカード(詳しくは実践編で解説する)が入っていないので、別途エネルギーカードセットなどを購入する必要があるなど、ポケカを初めてプレイする人にはややハードルが高い。
ポケカを初めてプレイするなら、構築済みのデッキとプレイに必要なダメカンやコインがセットになった「スターターセット」や「スペシャルデッキセット」、「ハイクラスデッキ」を購入するのが一番楽だ。ダメカンは、ポケモンに与えられているダメージの量を表すためのカウンター(ダメージカウンター)で、スターターセットやスペシャルデッキセット、ハイクラスデッキなどの構築デッキには、紙製のダメカンが付属している。また、ポケカのカードの中には、コインを投げるように指定されており、コインが表になるか、裏になるかで効果が変わるものがある(基本的に表が出れば成功)。コインはそのために必要なのだ。
構築デッキの中でもこれから始める初心者におすすめしたいのが「スターターセット」だ。スターターセットは、毎年年末から3月にかけて発売されることが多く、今買うなら、2023年1月20日に発売された「スターターセットex ニャオハ&ルカリオex」、「スターターセットex ホゲータ&デンリュウex」、「スターターセットex クワッス&ミミッキュex」か、2023年3月24日に発売された「スターターセットex ピカチュウex&パーモット」のどれかがおすすめだ。希望小売価格はそれぞれ1,800円で、中にはデッキと紙製のダメカン/マーカー、ポケモンコイン、プレイマット、プロモカードパック、遊びかた説明書、遊びかたガイドが入っているので、他に何も買わなくてもポケカをプレイすることができる。
もちろん、スターターセットには、1つのデッキしか入っていないため、2人でプレイするには、スターターセットを2つ購入する必要がある。その場合は、違う種類のスターターセットを購入するほうがいいだろう。
より快適にプレイするために欲しい製品
スターターセットを買うだけで、ポケカをプレイすることはできるが、より快適にプレイするために追加で揃えたい製品を紹介する。
まず、欲しいのがデッキのカードを汚れや傷などから守ってくれる「デッキシールド」だ。スリーブやプロテクターとも呼ばれるが、カードを入れて保護するフィルムのようなものだ。デッキシールドは主に2種類のサイズがあるが、ポケカはスタンダードサイズやレギュラーサイズと呼ばれるサイズなので、間違えないように注意すること。
デッキが60枚なので、デッキシールドも60枚以上必要になる。ポケカ純正のデッキシールドは64枚がセットになっているので、サイズや枚数などが不安ならポケカ純正のデッキシールドを購入すればよい。デッキのカードをデッキシールドに入れることで、カードを汚したり傷を付けたりせずにプレイできるだけでなく、シャッフル(特にファローシャッフルと呼ばれる、デッキを2つに分けて横から入れるシャッフル)もしやすくなる。快適にプレイするためにも、是非デッキシールドを用意することをおすすめする。デッキシールドの価格は、ポケカ純正で900~1000円程度、サードパーティ製なら500~800円程度だ。
それから、しっかりした厚みのあるプレイマットも欲しい。スターターセットには、紙製のプレイマットが付属しているが、厚みのない紙なので載せたカードを動かしたり、取り除いたりがしにくい。厚みのあるプレイマットは、適度なクッション性があるため、上に置いたカードを移動させたり、取り除いたりがとてもしやすくなる。また、ポケカ用にデザインされた純正プレイマットでは、ポケカをプレイする際にカードを置く場所に枠や場所の名称が書かれている。そうしたプレイマットを使うと、盤面がより分かりやすくなるので、特に初心者におすすめだ。慣れてきたら、カードを置く位置が指定されていないサードパーティ製のプレイマットでもよいだろう。プレイマットの価格は2000円~3000円程度だ。
また、アクリル製のダメカンも揃えておくとより便利だ。スターターセットには、自分で切り抜いて使う紙製のダメカンが付属しているが、紙製だと薄いので指でつまみにくい。別売りのアクリル製ダメカンは、おはじきのような形をしており、適度な厚みがあるので取り扱いやすく、見た目も綺麗だ。純正のアクリルダメカンの希望小売価格は、1セット660円である。
デッキを入れて持ち歩くためのデッキケースもおすすめのアイテムだ。デッキケースにデッキを入れておけば、デッキがバラバラになって紛失することを防げる。店舗大会などに参加するつもりなら、デッキケースも用意しておくとよい。デッキケースは、ポケカ純正品だけでなく、サードパーティから多数発売されているので、好みのものを選べばよいだろう。また、ダメカンやコインを収納して持ち歩くためのダメカンケースもあれば便利だ。ダメカンケースは純正品もあるが、適当なサイズのケースがあればそれを使えばよい。デッキケースの価格は純正品が500~1000円程度、ダメカンケースの価格は純正品で330円程度だ。
これらを全て揃えると、デッキ以外で5000~6000円程度かかることになるが、基本的に消耗品ではないので(デッキシールドはデッキ毎に必要になるが)、長く遊ぶのならそう高い投資ではないだろう。もちろん、ハマるかどうかやってみないと分からないという人は、最初からこれらを全て揃える必要はない。
まずは試してみたい。そういう人にはもっと安い構築デッキもある
ポケカを始めるには、最低限、ダメカンやコインが付属する構築デッキを揃えればいい。上で紹介した構築デッキの希望小売価格は1,800円だが、試しに遊んでみたいのであれば、もっと安いスターターもある。例えば、2021年12月17日に発売された「スタートデッキ100」の希望小売価格は790円だ。スタートデッキ100は人気があり、一時は品薄だったが、再販もされたので探せばまだ入手できるだろう。ただし、スタートデッキ100は、少々変わり種の構築デッキであり、全部で100種類のデッキのうち1つが入っている(箱を開けるまでどのデッキが入っているかわからない)という、ガチャ要素がある製品なのだ。また、入門用デッキが2つセットになった「いつでもどこでもファミリーポケモンカードゲーム」という製品も2021年7月9日に発売されており、こちらの価格は1,210円である。こちらは1つ買うだけで2人で対戦できるので、1人あたりの金額はさらに安い。「いつでもどこでもファミリーポケモンカードゲーム」はコンビニなどで売られていることも多い。
話題になる「拡張パック」って何なの?
TCGというと、拡張パックをたくさん開けてレアカード、強いカードを集めるところから始まると思っている人もいるだろう。それはそれで正しいのだが、ポケカの場合、やや特殊で、通常の拡張パックには、デッキ構築に必要な基本エネルギーカードが入っていないことと、そもそも拡張パックはまだまだ品薄で入手しにくいという問題がある。
そこで本記事では、比較的購入しやすいスターターセットから始めることを推奨しているのだが、もしスターターセットを購入する際に、一緒に拡張パックも売っているようなら数パック買ってみることをおすすめする。パックを開けて出てきたカードで、スターターセットのデッキを強化するという、TCGならではの楽しみを味わえるからだ。
ここで紹介している「スターターセットex ニャオハ&ルカリオex」、「スターターセットex ホゲータ&デンリュウex」、「スターターセットex クワッス&ミミッキュex」、「スターターセットex ピカチュウex&パーモット」を強化するには、拡張パック「スカーレットex」または「バイオレットex」か、強化拡張パック「トリプレットビート」がおすすめだ。それぞれ1パックに5枚のカードがランダムで入っており、希望小売価格は1パック180円だ。
ポケカというと、1枚数百万円を超える高額カードの話題がニュースになることも多く、始めるのにお金がかかると思っている人もいるかもしれないが、実際は1人あたり1000円~2000円程度の予算があれば、ポケカを始めることができるのだ。
次回は、実践編として、ポケカのルールや実際のポケカのプレイの様子を流れなどを解説する。