特別企画

ガンプラ「HGCE 1/144 フリーダムガンダム」を大改造。アニメ設定画に寄せるプロポーション変更

【HGCE 1/144 フリーダムガンダム】

発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:2015年8月8日

価格:1,980円(税込)

 今回は2024年に劇場版最新作が発表された「機動戦士ガンダムSEED」より物語の中心的MSであるフリーダムガンダムのガンプラ「HGCE 1/144 フリーダムガンダム」の作例を紹介します。C.E.71年にロールアウトされたザフト軍のハイスペックMSを、アニメ設定画やセル画を参考にプロポーションを変更し、全塗装で仕上げます。

ザフト軍が鹵獲したGAT-Xシリーズを基に開発されたMS

 今回制作するフリーダムガンダムは、2002年に放送された「機動戦士ガンダムSEED」にて主人公のキラ・ヤマトが物語の後半から搭乗したMSです。劇中において他を圧倒する性能を見せつけた本機は、最終決戦にて大破するものの修理され、続編となる「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の中盤に登場しています。本機は「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」にて撃墜されるも、「機動戦士ガンダムSEED」シリーズを象徴するMSとなりました。

HG SEEDシリーズをリニューアルしたキット

 今回作成するキットは2015年に発売されたキットとなっており、2003年発売の「1/144 HG フリーダムガンダム」からプロポーションや色分けが格段に進化したキットとなっています。本作のリニューアルにより、多色成形による色分け精度の向上、スタイルの現代化、可動域の向上が図られています。また、2003年版では再現されていなかったハイマットフルバーストも再現可能となっています。

「HGCE 1/144 フリーダムガンダム」をアニメ設定画に寄せたプロポーションへ改造

 今回はフリーダムガンダムのプロポーション変更に重点を置いて制作していきます。アニメ設定画やセル画を参考とし、理想のバランスを目指します。塗装はアニメ設定に準拠したカラーリングとします。

今回使用したツール類。プロポーション変更のため、ノコギリ等を活用していきます。
今回使用した塗料類。全パーツに一度下地色を塗布し、その後、仕上げ色にて立ち上げを行ないます。

 まずは仮組を行ないます。

仮組を行なったフリーダムガンダム。可動域、色分けともに旧HGから進化しています。

 仮組が完了した所でプロポーションをどう変更するのか検討してみます。今回はアニメ設定画やセル画を参考に、本キットのスタイリッシュさを残しつつ、アニメの雰囲気を出す方向で検討を行ないました。

仮組状態で素立ちをさせたフリーダムガンダム。ここにプロポーションの変更を加えていきます。
「機動戦士ガンダムSEED」のフリーダムガンダム設定画

顎パーツの延長と頬パーツの成型で違いいた印象に

 本キットの頭部パーツはヒロイックな形状にデザインされておりそのままでも十分にかっこいいですが、顎パーツがストンと切り落とされているように感じたため、プラ板による延長を行ないます。また、グレーとなっている頬パーツは厚みがあり、ふっくらとした印象があるため、薄く削りよりイケメンになるように仕上げました。

改造前の頭部パーツ。このままでも十分ですが、もう少し筆者好みに改造していきます。
改造後の頭部パーツ。頬パーツが薄くなった分、顔がすっきりした印象になりました。

ハンドパーツの変更でよりリアルな表現に変更

 腕は特に改造する必要性を感じなかったのでそのままの形状で行くこととしました。ハンドパーツはオプションパーツに変更することに。今回は「ビルダーズパーツHD-22 1/144 MSハンド03(連邦系・Sサイズ)」を使用しました。本オプションパーツにはビームサーベル等の武器持ち手がないため、ライフルの持ち手を改造して使用しています。

改造前の腕パーツ
改造後の腕パーツ。ハンドパーツを各種用意しました。甲の部分のモールドはフリーダムガンダム本体のモールド量に合わせて、モールドをラッカーパテで埋めてしまいました。

ウイングパーツは先端をシャープ化し、アニメの雰囲気を演出

 背部ウイングパーツはサイズ、形状ともに改造の必要はないと思いましたが1点のみ気になる点がありました。ウイングの先端が安全性確保のため、角を落としてあります。この点に関してはプラ板を使用してエッジのシャープ化を行ないます。

改造前のウイングパーツ。安全性確保のため、先端の角が落としてあることがわかります。
改造後のウイングパーツ。先端が鋭くなりました。

プロポーション変更のため、身長アップと各部調整

 下半身は今回の作例で特に大改造を行なった箇所になります。仮組状態のキットを見てみると今風のプロポーションに寄せるためか、太ももが短く、脛が長い形状となっています。アニメの設定画を見てみるとキットよりも太ももが長く、脛が短くなっています。設定画に寄せるためには、改脛を短くするか、太ももを長くする必要があります。今回の作例では現代版のスタイリッシュさを維持するために、太ももを延長する方向で改造を行ないます。ただし、太ももを延長するだけではフロントアーマーのサイズが小さく感じるので、併せてフロントアーマーの大型化も行ないました。

改造前の下半身と改造後の下半身の比較。左足は太ももの延長2mmとフロントアーマーの大型化、つま先の延長1mmを行なったので雰囲気が大きく変わっています。
アーマー裏はプラ板でふさぎ、ディテールを追加しています。

 これにて改造は完了です。ここで一度キットを組み立てて、全体のバランスに問題がないかを確認します。

改造が完了したフリーダムガンダム。好みのプロポーションに仕上がりました。

 この後は塗装のためにパーツを分解しつつモールドの彫り直しとエッジ出しを行なって塗装に入っていきます。

グラデーション塗装にて全体をアニメ設定準拠のカラーリングで仕上げる

 ここからは塗装に入っていきます。今回は下地色を吹いた上に仕上げ色を立ち上げてグラデーション塗装を行なっていきます。まずは傷チェックを兼ねてサーフェイサーを塗布していきます。サーフェイサーにはクアトロポルテの「Tipo G. プライマーサーフェイサー[グレータイプ]」を使用していきます。

サーフェイサーを塗布したシールドパーツ。比較的深い傷もきれいに埋めてくれました。

 ここからの各色は全て下地色を塗布し、上から仕上げ色を立ち上げていく方法にて塗装を行なっていきます。そのため、今回はホワイト部分を例に挙げてその塗装方法を紹介します。ホワイト部分の下地色にはクレオスの「Mr.カラー グレーFS26440」を使用しました。今回の下地色はパーツ全体にむらなく塗装を行なっていきます。

下地色を塗装したリアアーマー。少しグリーンの入ったライトグレーに仕上がりました。

 下地色の塗装が完了したら、仕上げ色を立ち上げていきます。塗料は通常のベタ塗よりも薄めにしておき、塗装を行なう際は細吹きにて面の中心から外側に向かって色を入れていきます。なおパーツのエッジ部分はあえて塗り残すことで下地色の色を透かしてやります。

仕上げ色を塗装したリアアーマー。エッジ部分に若干下地色が透けています。

 以上の工程を全パーツに繰り返し、スミ入れ、トップコートをすれば塗装工程は完了です。

スタイルを筆者好みに変更したフリーダムガンダム

 それでは早速完成したフリーダムガンダムを見てみましょう。

【正面】
左:塗装前、右:塗装後
【右側面】
左:塗装前、右:塗装後
【背面】
左:塗装前、右:塗装後
【左側面】
左:塗装前、右:塗装後
おなじみのビームライフルを構えるポーズをしてみました。エッジをシャープ化しているのでメリハリの利いたプロポーションになっています。
肩部のアップ。グラデーションによる微妙な色の変化がベタ塗では出せない立体感を表現しています。
太もも部分のアップ。今回の作例で太ももは2mm延長しましたが違和感なく仕上がったと思います。
顔のアップ。頬パーツを削って薄くすることで少し引き締まった印象になるように狙っています。
ビームサーベルを構えてみました。連結できるビームサーベルはフリーダムガンダムをよりスタイリッシュに見せることが可能です
ハンドパーツのアップ。甲部分はモールドをあえて消すことでディテール密度のバランスを取りました。
リアアーマーのアップ。ちらりと見える箇所にディテールを施すことで少し変わった印象を与えることが可能です。
こういった素立ちポーズもフリーダムガンダムならかっこよく決まります。

 いかがでしょうか。今回行なった改造はなかなかにカロリーが高いため、簡単に行なうことは難しいでしょう。しかし出来上がった際の達成感と唯一無二のプロポーションは一度味わってみるのもいいかもしれません。この記事をきっかけにご自身のガンブラを好みのプロポーションに改造してみてはいかがでしょうか。

今回使用した工具一覧
ニッパーGSIクレオス Mr.シャープネスニッパー両刃タイプ
ニッパーゴッドハンド アルティメットニッパー5.0
ナイフタミヤ モデラーズナイフ
やすりピットロード PY09「フィルムスティックやすり 220番」
やすりピットロード PY07「フィルムスティックやすり 400番」
やすりゴッドハンド 神ヤス #400
やすりハセガワ モデリングファイル(精密やすり)
やすりゴッドハンド かまぼこヤスリ 8mm 単目 細目
やすりゴッドハンド エッジ出しヤスリ 細目
接着剤クレオス Mr.セメントSPB(ブラック)
接着剤クレオス Mr.セメントSPB(ブラック)
接着剤造形村 瞬間接着剤 高強度タイプ 「剛着」
パテウェーブ パテ革命モリモリ
パテフィニッシャーズ ラッカーパテ
今回使用した塗料一覧
工程使用塗料
下地クアトロポルテ Tipo G. プライマーサーフェイサー[ グレータイプ ]
下地色(ホワイト)クレオス Mr.カラー グレーFS26440
上塗り(ホワイト)ガイアノーツ Ex-ホワイト
下地色(ブルー)ガイアノーツ バーチャロンカラー マーズディープブルー
上塗り(ブルー)クレオス Mr.カラー インディブルー
下地色(レッド)クレオス Mr.カラー あずき色
上塗り(レッド)クレオス Mr.カラー キャラクターレッド
下地色(イエロー)ガイアノーツ ナスカカラー マンダリンイエロー
上塗り(イエロー)クレオス Mr.カラーGX キアライエロー
下地色(ダークブルー)ガイアノーツ EX-ブラック
上塗り(ダークブルー)クレオス Mr.カラー RLM66ブラックグレー
下地色(グレー)ガイアノーツ ブルーグレー
上塗り(グレー)クレオス Mr.カラー グレーFS26440
下地色(関節色)ガイアノーツ ニュートラルグレーⅤ
上塗り(関節色)クレオス Mr.カラー 舞鶴海軍工廠標準色
センサー等部分塗装タミヤ タミヤエナメル スカイブルー
レッド等部分塗装タミヤ タミヤエナメル レッド
ブラック部分塗装タミヤ タミヤエナメル フラットブラック
スミ入れ(ホワイト)タミヤ スミ入れ塗料 ダークグレイ
スミ入れ(ブルー)タミヤ スミ入れ塗料 ブラック
トップコート(光沢)クレオス Mr.スーパークリアー光沢
トップコート(つや消し)クレオス Mr.スーパークリアーUVカットつや消し