特別企画

モデルガン「杉浦式自動拳銃」、"幻の日本軍拳銃"を手に持つ楽しさ

質感、ディテール、バックストーリーに注力したディスプレイモデル

【モデルガン「杉浦式自動拳銃」】

2024年12月より受注販売開始

価格:47,850円

仕様:ディスプレイモデル

口径:8mm

全長:178mm

重量:387g(ダミーカート装着時)

弾数:8発(.32ACPダミーカート8発同梱)

素材:ABS樹脂・アルミニウム

 A!CTIONが発売したモデルガン「杉浦式自動拳銃」はとてもユニークなモチーフの製品だ。杉浦式自動拳銃は中国大陸で製造され日本軍が使用した拳銃であるが、資料が非常に少ない謎の多い銃で、モデルガンは現在調べられる資料を当たり、製造されたという。幻の銃の精巧な模型を手にできる楽しさ、これこそが本製品の面白さなのだ。

現存する銃はもちろん、資料も少ない"幻の銃"。このモデルガンを手にできるのが楽しい

 本製品はABS樹脂を"削り出し"によって製作した無可動のディスプレイモデルで、スライドの可動や発火といった機能はないが、銃の質感、細部の表現や、手に持った感触が楽しめる。

 今回は製品のサンプルをいただいたので、写真と共に魅力を紹介していきたい。さらに本製品のへ想いを開発者に聞くことができたので、併せて紹介したい。

北京で製造され、日本軍が使用した"幻の拳銃"を立体化

 モデルガン「杉浦式自動拳銃」は、そのモチーフこそが大きなセールスポイントだ。製品にはモデラー/イラストレーターの松本森男氏による、イラストと解説が楽しい小冊子「杉浦式自動拳銃の話」が同梱されており、銃が持つ世界観を感じることができる。

製品に同梱されている松本森男氏による、小冊子「杉浦式自動拳銃の話」。銃のバックボーンを知ることができる

 "杉浦式"というのは設計者の名前ではなく、北京の「杉浦工廠」が製造したことからの名前であるという。北京で杉浦という人が拳銃を作る工場を作り、その工場製の銃、というわけだ。杉浦工廠が小火器を製造したのは1941年から、杉浦式自動拳銃も1941年に製造されたというわけだ。本銃の設計者などはわかっていない。外観や構造は「コルトM1903」に似ている。

 小冊子では製品ではできない分解図も描かれており、内部構造も知ることができる。外観的にはM1903に似ているものの、内部構造では異なる点も多い。単純なコピーではなく、内部構造が異なっているのは「日本軍銃器あるある」だという。

 今回モデルアップしたのはM1903同様、.32 ACP弾を使用する、口径が7.65mmのバージョンだが、口径が6.35mmのバージョンもあり、そちらは7.65mmを短縮・縮小したものだ。現存している個体は非常に少なく、6.35mmはさらに少ない。しかし専用のホルスターも製造されていたという。

可動部分の少ないディスプレイモデルだが、やはり手にすると独特の実感がある

 現存する個体も、資料も少ない銃の現時点でわかっていることや、バックストーリーを知ることができるのは楽しい体験だ。松本氏の小冊子を見ながら、モデルガンを触ることでより深く銃の世界の楽しさ、杉浦式自動拳銃の面白さを実感できる。あえて非常にマイナーな銃をモデルアップする開発者の想いを感じることができるのは楽しい体験だ。

銃の外観、握った質感をじっくり楽しめるディスプレイモデル

 ここからはモデルガン「杉浦式自動拳銃」のディテールに迫っていこう。杉浦式自動拳銃は後部にハンマー(撃鉄)が見えないハンマーレスの銃であり、銃を抜くときにハンマーが服に引っかからない構造となっている。

モデルガン「杉浦式自動拳銃」。北京の工場で作られた日本軍の自動拳銃。ほとんど実銃が現存せず、資料も少ない幻の拳銃だ

 排莢口からは銀色のバレルがのぞき、銃の先端にはバレルとスライドを固定する「バレルブッシング」がはめられている。モデルガン「杉浦式自動拳銃」はスライドなどが動かないディスプレイモデルだが、一体成型というわけではなく、スライドと内部は別パーツで構成され、組み立てられており、内部構造をきちんと持っているような"質感"を実現させている。

 グリップは木製パーツ。滑り止めのチェッカリングが彫られている。トリガーはフレームと一体で可動しない。排莢口の後ろにある空薬莢を書き出す部品「エキストラクター」も別パーツではなく一体成型となっている。

 銃全体で感じるのは「刻印の少なさ」だ。メーカーのマークや、パテント(特許)を示す刻印のない飾り気のなさは、「軍用であること」、「銃器製造技術の歴史が浅いこと」など色々なことが関係しているのだろうか? 銃全体の刻印や飾り気が少ないからこそ「杉浦式2838」という、製造ナンバーを打ち込んだ刻印が目立つ。この銃の名前の由来である"杉浦式"は設計者でなく工場の名前だ、というのも納得できる刻印だ。

大きな特徴となる刻印。杉浦式の文字、横一列に並んで見えないナンバーなど世界観が感じられる
スライド後部。排莢口に伸びる「エキストラクター」は、本製品では造型で表現
グリップは木製パーツ。チェッカリングの表現にもこだわりを感じる
銃前部。本製品のフレームやスライドはABSだが、塗装も相まって金属の質感を感じさせられる
スライドにバレルを固定化する「バレルブッシング」は金属製
照準器もしっかり造型されている

 この刻印だが、よく見ると数字の大きさが違う。2838と書かれた文字は2が小さい。またスライドに対してきちんと横に彫られているのではなく、ちょっと位置がずれているようにも見える。これは部品が製造された後、スタンプのように押しつけて刻む"打刻"によるものだからだろうか? 想像が膨らむ。

 次に本製品のギミックを紹介する。モデルガン「杉浦式自動拳銃」スライドや引き金の動かないディスプレイモデルだが、グリップ内部のマガジン(弾倉)を取りはずし、ダミーカートリッジを装填できる。8発のダミーカートリッジを装填し、グリップ内部に装填するアクションが楽しめるのだ。

 マガジンは金属製でひやりとした感触が楽しい。左手の手のひらをマガジンの底部に当て、ガシャリとグリップに押し込む感触はオートマチック拳銃ならではのアクションで、物語の登場人物になったような感覚が味わえる。

 杉浦式自動拳銃は小さめの拳銃で筆者の手でもグリップが少し窮屈で、特にマガジン底部の鉄板の出っ張りが小指にひっかかる。当時の日本人の小さな手を意識した設計なのかな、と感じさせられる。

銀色の留め金を引くことでマガジンを引き抜ける
マガジンの質感はモデルガンならではだ
マガジンとダミーカートリッジ。.32 ACP弾を再現
マガジンからのぞく金のカートリッジ

 モデルガン「杉浦式自動拳銃」は、しっかり塗装された黒塗りのフレームに、銃口や排莢口からのぞく金属のマテリアル感、漢字交じりの刻印、木製のグリップと、持つ人に満足感を与える製品だ。マガジンにダミーカートリッジを入れ、グリップに押し込み、銃を構えるそのアクションが楽しい。杉浦式自動拳銃という今ではほとんど現物が存在しない、"幻の銃"を手にしているというそのストーリーがいい。

 ディスプレイモデルなため、ギミックそのものは少ないが、モデルガンはやはり手に持つのが楽しい。ちょっと手に比べて小さいグリップを握り、手をまっすぐ伸ばして、銃を構える。木のグリップの感触、マガジン底部の長い鉄板が小指に当たる。金属のバレルを内蔵し、金属製のダミーカートリッジ8発と、マガジンを内蔵しているモデルガンの独特の重さは充実感をもたらす。

 やはりモデルガンは構えてこそその楽しさが味わえると思う。底部の留め具をずらしマガジンを出して再びマガジンを挿入、左手の手のひらでしっかり奥まで押し込み、銃を構える。この銃は中国や日本で使われた日本軍の拳銃だ。護身用拳銃として日本軍で使われたが、一部は鹵獲され米国にまで持ち帰られたものもあったという。そういった歴史にも想いをはせながらグリップを握る。モデルガンはこれが楽しいのである。

モデルガンは飾って細部をチェックするのも良いが、やはり手に持ち、構えた瞬間が最高に楽しい

 今回、この製品への思い入れや、この製品仕様が指し示す未来を開発者に聞くことができた。次ページでは開発者の思い入れを取り上げていきたい。