特別企画

モデルガン「杉浦式自動拳銃」、"幻の日本軍拳銃"を手に持つ楽しさ

モデルガン「杉浦式自動拳銃」は、これからのモデルガンを模索する製品

 今回、製品のサンプルを実際に触るだけではなく、A!CTIONの開発者に話を聞いた。本製品は「ABS削り出しのディスプレイモデル」という、A!CTIONの新しいモデルガンシリーズのスタートとなる商品とのこと。

 従来の金型を作って内部部品を精密に再現し発火やブローバックなどのアクションにも注力するモデルガンだけではなく、様々なモデルガンに挑戦したいという想いから「ABS樹脂の削り出し」というアイディアが出てきた。この樹脂の削り出しによる成型は、実際、金属を削り出して製造する銃の生産過程を再現するのに適しているのではないか?

杉浦式自動拳銃は、実銃が削り出しで作られているからモチーフに選ばれた。筆者の手でもスライド底部の金具が小指にひっかかる。かなり小型の拳銃だというのが握って実感できる

 今回、杉浦式自動拳銃をモチーフに選んだのはまさにその理由からだという。この銃のモデルとなったコルトM1903が金属の削り出しによる大量生産を目指して設計された銃であり、まさにその製法をまねて当時様々な国でM1903のコピーモデルの銃が生産された。杉浦式自動拳銃はその1つだというのだ。「ABS樹脂の削り出し」というモデルガン製法をチャレンジするモチーフとして杉浦式自動拳銃が選ばれたのだという。

 杉浦式自動拳銃は現在残ってる銃が100丁未満というまさに幻の銃であり、A!CTIONではアメリカの博物館で展示されている銃を参考に製品を設計したという。博物館では写真撮影は許可されず、資料は現地スタッフのスケッチが元になっている。また、銃は発射する弾が最初に生まれ、その弾を発射するための機械として銃が生まれる。杉浦式自動拳銃を設計するのに発射するための.32 ACP弾から逆算しサイズなどの調整を行ったとのことだ。まるで銃をコピーするようなユニークなデータ収集から開発が進められているバックストーリーだ。

 ちなみに銃の刻印番号は独特のこだわりがある。この番号「2838」という番号にするために、前述のアメリカの博物館の他、北米のネットオークションで見かけた番号
、南京の博物館で展示されていた銃の刻印から「いかにも実在しそうな製造番号」を割り出した上で、「中国で縁起が良い数字」にあやかりこの番号にしたという。ちなみに2838には「楽して儲かる」という意味もあるとのことだ。

こだわりの刻印。番号にも意味が込められている
金属を手で曲げて成型しているマガジン

 実銃はグリップも何種類かあり、自動拳銃という開発のノウハウがない製品に対して試行錯誤が感じられるという。そしてこだわりが「マガジン」だ。今回は金属の折曲げで作っているのだが、プレス機で製造するラインを作るほど大量生産するつもりは最初からなかったので、職人が1つ1つ手で曲げて製造している。現在、日本の工場では金属を曲げて作る職人そのものが少なくなっているとのことだ。

 マガジンはモデルガンの命と言える部品で、BB弾を発射するエアソフトガンとは大きく異なる味がある。このモデルガンのマガジンを製造する技術をいかに継承していくかは、A!CTIONのテーマの1つだという。

 モデルガン「杉浦式自動拳銃」は、削り出しの製法で"真鍮"を使ったモデルも販売されている。金属地のモデルガンは樹脂製では出せない重量感と質感が魅力だ。価格は302,500円。また、革製のホルスターも販売されている。こちらには予備のマガジンを収納できる。ホルスターの価格は65,780円。

真鍮製の特別バージョン。価格は302,500円
ホルスターも販売、価格は65,780円

 モデルガン「杉浦式自動拳銃」はA!CTIONのABS削り出しによるディスプレイモデル第1弾となる。この製品は今後のA!CTIONのモデルガンの未来を提示する商品となる。ABS削り出しという製法は、金型を作る従来のモデルガンのような大量生産には向かないが、「この銃のモデルガンが欲しい」という少数で強い想いを持ったユーザーに応える形となる。生産数が少なくても様々な銃を製品化するプロジェクトになっていくという。

 今回の生産で技術を蓄積し、次回作以降はギミックもより多く盛り込んでいく。モデルガン「杉浦式自動拳銃」では動かなかったトリガーや安全装置を可動式にし、現在は成型で表現しているピンやエキストラクターを別パーツにしていく。最終的には削り出しの製法で、スライドを動かし排莢ができるモデルや、火薬を発火させブローバックを実現できる様にしたいとのこと。

 ギミックをアップデートさせた削り出しのディスプレイモデルが「スチェッキン」だ。スチェッキン・マシンピストル、APS拳銃とも呼ばれるこの銃は、1940年代末~1950年代の初めに銃器設計技師のイーゴリ・スチェッキンにより開発されたソ連軍の大型自動拳銃だ。

 この銃は広江礼威氏のマンガ「BLACK LAGOON」に登場し知名度を大きく上げた。劇中ではロシアンマフィア『ホテル・モスクワ』の大幹部「バラライカ」の愛用する銃として登場する。近日受注開始で、バラライカがスチェッキンを持つイラストも公開された。

【スチェッキン】
近日受注販売が開始される「スチェッキン」。「BLACK LAGOON」のバラライカがスチェッキンを持つイラストも公開。価格は58,000円
製品として杉浦式よりギミックが増え、安全装置やトリガーが可動する。別パーツ化されている箇所も増えているという

 モデルガン「スチェッキン」はセフティやトリガーが可動するなど「杉浦式自動拳銃」から進化を遂げている。近日受注生産開始で価格は58,000円。こちらでも真鍮削り出しのモデルを発売予定で、385,000円だ。

 モデルガンの史上は現在縮小しているとのことだが、その中でA!CTIONはユニークな挑戦でユーザーのニーズに応えるモデルガンを模索している。エアソフトガンとは異なる、"銃の模型"というベクトルでどんな製品を作っていくのか、これからも注目したい。

背景を変えていろいろ撮影したくなる。今後の展開も大いに期待したい