特別企画
最小レイアウトで鉄道模型を走らせる! 路面電車「宇都宮ライトレール」を自宅で愉しむ
2024年2月22日 00:00
- 【宇都宮ライトレールHU300形HU301 LIGHTLINE】
- 3月再販
- 価格:5,500円
鉄道模型には独特の魅力がある。鉄道が走る姿は様々な楽しみ方があるが、精密に再現された鉄道模型が走る姿は、現実の走る列車を見る興奮を蘇らせてくれるし、自分の手でその風景を再現するというのがたまらない。
筆者は小学生の頃から鉄道模型に親しんでいる。いまや半世紀を越えて楽しんでいることになる。中学生の頃はブルートレインがはやっていたので、20系や24系といった寝台車を中心に集めたりして走らせていた。ただし走らせるといってもレイアウトを作るわけではなく、レールを出してきては絨毯の上でだ円形につなぎ、走らせたあとは片付けるといった程度だ。
しかしそれだけだと何となく寂しい。鉄道模型を楽しんでいる人なら、一度は「レイアウト」を作って楽しんでみたいと思うもの。レイアウトとはプラモデルのジオラマのように風景を再現した上で、そこで実際に鉄道模型が走れるようにレールを敷いたものだ。
筆者は以前6両編成の模型が走る「1畳レイアウト」を作ったことがあるが、3LDKのマンションの部屋にそんなばかでかいものを常時置いておけるわけでもなく、家族から邪魔者扱いされ、仕方なく壊したという経験もある。
しかしやはりレイアウトは男のロマン。大きいのがダメなのなら小さいのを作ればいい。今回、ある程度の大きさを持つものの、普段は物置にしまっておき、楽しみたいときだけ取り出して遊べるサイズを目指してレイアウトを作成してみた。
小さなレイアウトに何を走らせるか? 調べてみるとトミーテックの鉄道コレクションで「宇都宮ライトレールHU300形HU301 LIGHTLINE」が3月に再販されるということを知った。「宇都宮芳賀ライトレール線」(以下、宇都宮ライトレール)は、2023年8月に開業したばかりの路面電車だ。日本国内の路面電車としては、富山県を走る万葉線以来75年ぶりの新規開業路線となる。目新しいところでもあるし、できるだけ宇都宮ライトレールの雰囲気を醸し出したレイアウトに挑戦することにした。
「どんな風景を走らせるか?」、レイアウトプランを練る
レイアウトを作るのに大事なのは、「具体的な線路のイメージ」だ。トミーテックのサイトには路面電車用レール「ワイドトラム」のレイアウト例がPDFでアップされているので、これを参考にしてみた。このレイアウト例には、「ワイドトラム エンドレスセット+基本セットの発展例」「ワイドトラム鉄道模型運転セットの発展例」「ワイドトラム 基本セット+十字クロスセットの発展例」の3系統15種類ほどのレイアウト例がある。大まかなレイアウトサイズも書かれているので、作り上げる際の目安になった。
レイアウト例で紹介されていたのは小型楕円形のものからクロスレールを使って8の字にするもの、それをもっと発展させてクローバー型にするものなどさまざまだ。ただし今回はなるべく小さいもの、かつレイアウトとして楽しめるものを目指したいということで、「MA-WT」と「MX-WT」を2個使うというものをチョイスした。単線でぐるぐると周回するパターンだ。
ただし宇都宮ライトレールには高架区間もあるので、できればそれを再現したいということで少し改造した。改造には「トミックス鉄道模型レイアウターNXF2023」を利用した。そのレイアウトは以下の通りだ。
高架部分を作るときには注意が必要だ。トミックスのトラムレールは半径が最大177mmなのだが、通常の線路であるFineTrackレールの場合は最小半径が243mmなので、半径の差が大きく、どうしてもつじつまが合わなくなる。そういった箇所をつなぐため、バリアブルレールを利用した。最終的に使用した部品は以下の通りだ。
【レール】
部品 | 価格(税込み) |
---|---|
ワイドトラムミニレールセット基本セット(レールパターンMA-WT)2個 | 6,600円 |
ワイドトラムミニレールセット十字クロスセット(レールパターンMX-WT)2個 | 6,600円 |
TOMIX 高架橋付レールHC243-45-PC(F)(4本セット) | 1,892円(税込) |
TOMIX 高架橋付レールHS99-PC(F)(4本セット) | 1,573円(税込) |
TOMIX 高架橋付レールHS140-PC(F)(4本セット) | 1,518円(税込) |
TOMIX バリアブルレールV70(F)1 | 902円(税込) |
TOMIX ストレートレールS70(F)(4本セット) | 726円(税込) |
TOMIX ステップ(2個入) | 440円(税込) |
TOMIX PC勾配橋脚(10本1組) | 1,188円(税込) |
計 | 21,439円 |
製品は4本入りなどで販売されているため、今回のレイアウトではどうしても余ってしまう線路もあるのは致し方ないところか。なお値段はあくまでも希望小売価格なので、Amazonなどで購入するとこれよりも少し安い価格で販売されているが、予算の目安となるだろう。
「宇都宮の景色に近いストラクチャーを!」、レイアウトの作成
レールを引くことについてはこれで解決できた。あとはレイアウトを組み上げるだけだ。できるだけ宇都宮ライトレールの雰囲気をそのままに作り上げたい。宇都宮ライトレールは路面電車としての道路と並行する場所に加えて、先ほど述べた通り高架部分もある。また川を渡る高架もあるので、これもできれば盛り込みたいところだ。そこで高架部分に川を作ることにした。
ストラクチャーだが、なるべく宇都宮ライトレールのシーナリーに近づけたいが、ぴったりのストラクチャーは販売されていない。そこで雰囲気だけでもなんとか近づけるよう、ワイドトラムレールの部分にはトミーテックの「建物コレクション」からストラクチャーをチョイスし、マンションやオフィスビルを配置する他、郊外部分には田んぼ、そして芳賀町にある工業団地のイメージで工場を置いてみた。
レイアウトには川や道路が必要となるが、道路についてはKATOから販売されている「ジオラマ入門キット」を利用した。また木を配置するために同じくKATOから販売されている「広葉樹キット(大)」「針葉樹キット(大)」を使うことにした。
ジオラマ入門キットには道路や川を作成するための塗料やリアリスティックウオーターといったアイテムが同梱されており、これを使えば川や道路が簡単に作れるようになっているのでオススメだ。広葉樹キット/針葉樹キットについても同様で、葉を表現するためのフォーリッジが同梱されているので、これを使うだけで樹木が作成できる。そして川だが、KATOのリアリスティックウォーターと波音カラーを利用して表現した。
ところでレイアウトだが、今回の場合はサイズが800×700mmでちょうど収まる形となっている。そこで何でレイアウトベースを作るかなのだが、板を加工するのは面倒くさいので、軽量化を図るためにも発泡スチロールを利用した。今回は、いつもは物置にしまって置いて楽しむときだけ取り出すという方針なので、軽い方がよいだろう。
発泡スチロールだが、「発泡すちろーる屋さん」というサイトがあり、ここでは指定したサイズに切り分けて販売してくれる。そこでここに発注をし、それをベースとした。発注したサイズは800(縦)×700(横)×30(厚さ)mmである。30mm程度の厚みがあれば、ある程度の耐久性は保てる。
レイアウトで芝や土の表現したい場合、緑色や茶色のパウダーをまいたりして作るのだが、広範囲に及ぶ場合は正直面倒だ。そこで今回はヨドバシカメラで購入した「ジョルダン101 [芝生マット 75×100cm ライトグリーン]」をレイアウトベース全体に貼り、基本的には芝が生えている状態とした。
今回用意したストラクチャーは以下の通りだ。
【レイアウト】
品名 | 価格(税込み) |
---|---|
生食パン専門店 タピオカドリンク屋 | 3,080円 |
焼肉屋 | 4,180円 |
家電量販店 | 3,080円 |
デザイナーズ・アパート | 2,420円 |
交差点の建物B2 | 1,980円 |
円筒形ビル3 | 1,650円 |
駅前商店A2 | 1,980円 |
倉庫B | 2,750円 |
ジョルダン101 [芝生 マット 75×100cm ライトグリーン] | 2,570円 |
アーテック 55611 [ミニチュアジオラマ素材 田んぼの稲 黄金色]2個 | 2,200円 |
ジオラマ入門キット 道路を作る | 2,805円 |
広葉樹キット(大) | 3,190円 |
針葉樹キット(大) | 3,190円 |
リアリスティックウォーター | 3,850円 |
波音カラー ターコイズ | 770円 |
ジオラマリキッドカラー マットブラウン | 1,210円 |
発泡スチロール(送料込み) | 2,607円 |
計 | 43,512円 |
「樹脂を流し込み川を作る」、木や道路で作り込んでいく
では早速実作業に移っていこう。まずは川を作ってみたい。川を作るのは高架部分なので、大まかに川の幅を決めたら発泡スチロールを堀り、川に深さを付けていく。川の両岸にバラストを巻いて砂利を表現する。川底部分はジオラマリキッドカラーを塗布する。これが乾いたらリアリスティックウォーターに波音カラーを混ぜて水色にし、これを流し込んで終了だ。
続いては道路の作成だ。こちらもジオラマ入門キットに同梱されている舗装テープで道路の形を作ったら、その上にプラスターを塗っていくだけで作成できる。プラスターが乾いたらトップコート アスファルトを塗り、道路を表現していく。
川や道路ができたら広葉樹、針葉樹を配置する。それに続いて行うのは線路の固定だ。それに続いて建物を配置していく。線路や建物については木工用ボンドを底面に塗って固定した。
車両に動力ユニットをはめ込み、車両を作成する
続いては線路を走る重要な登場人物である宇都宮ライトレールの車両そのものを作り上げていく。と言っても「鉄道コレクション 宇都宮ライトレールHU300形 HU301 LIGHTLINE」(以下、HU301)に動力ユニット「TM-LRT04(LRT用3連接C)」をはめ込むだけなので簡単だ。それぞれの価格は以下の通りとなる。
【車両】
品名 | 価格(税込み) |
---|---|
鉄道コレクション 宇都宮ライトレールHU300形 HU301 LIGHTLINE | 5,500円 |
TM-LRT04(LRT用3連接C) | 4,840円 |
計 | 10340円 |
なおHU301は2024年3月末に再生産分が発売されることになっており、Amazonをはじめとした模型を販売している各サイトでは現在予約を受け付けている。ただし、中には2023年に発売されたものをとんでもないプレミア価格で販売しているケースもあるので、間違えないように注意しよう。
さて、これで全てのパーツが完成したことになる。パワーパックを取り付けて運転してみよう。このパートはムービーでご紹介する。
今回のレイアウトで自分なりにこだわったのが高架部分だ。川を渡るように配線できたのがよかった。また市街地の所はレールに合わせてストラクチャーを配置したので、それなりに市街地のように見えるだろうか。今回は制作期間が2週間と短かったので追い込み切れていない部分もあるのが残念だが、ひとまずはまとまりとして提示できたかと思う。
小型レイアウトを作る楽しみ
ここまで宇都宮ライトレールのレイアウトを作ってみたが、だんだんとできていく様は本当に楽しい。見ていくと分かるようにそれなりのコストはかかるものの、川や道路を作るのは工作っぽくていい。そしてストラクチャーや木を配置していくとどんどんとそれなりに見えるようになっていく。まだレイアウトを作ったことがないのであれば、これを機会に作ってみてはいかがだろうか。