特別企画

祝・北陸新幹線敦賀開通! 金沢-敦賀間を取材、現地の雰囲気を盛り込んだ「レイアウト」で新幹線を走らせる

 3月16日に開通した北陸新幹線の金沢-敦賀間。今回は開通直前に「北陸応援フリーきっぷ」を利用して金沢駅のほか、開通前の敦賀駅と福井駅を訪れ、駅舎などを撮影し、それらの資料を活用してNゲージの車両を書く要素を盛り込んだ“レイアウト”を作って走らせてみた。ついに開通した北陸新幹線延伸の気分をレイアウトを走る模型で味わって欲しい。

 今回作成したジオラマは、前回宇都宮ライトレールのレイアウトで使用した発泡スチロールの板を流用し、今回は円周のレイアウトにして敦賀駅と福井駅を模したジオラマを作り、E7系を走らせてみるのが主題だ。

延伸の起点となる金沢駅兼六園口にある「鼓門」。今回は開通直前に現地で取材してみた。現地の写真はすべて開通前のものとなる

北陸新幹線とは

 北陸新幹線はご存じの通り、いわゆる「整備新幹線」に該当する路線だ。整備新幹線とは昭和45年に制定された「全国新幹線鉄道整備法」第7条に基づいて整備計画を決定した路線のことだ。日本全国に東海道新幹線のような路線を敷設するということで作られた法律で、その際に決定されたのは北海道新幹線、東北新幹線、北陸新幹線、九州新幹線(鹿児島ルート、西九州ルート)の5路線を指す。

 ここでおや? と思った方も多いと思うが、今走っている上越新幹線や山形新幹線、秋田新幹線は整備新幹線とはいわないのだ。なお整備新幹線の他、新幹線の敷設方式に「フル規格」「スーパー特急(ミニ新幹線)」などがあるが、その歴史的背景も含めてあまりにも雑多になるので本稿ではこれ以上触れない。

金沢駅に停車するE7系

 ところで、北陸新幹線で走っている車両は「E7系」と「W7系」の2種類がある。頭文字からも分かるように、管理しているのがJR東日本なのがE7系、JR西日本がW7系だ。なぜ2つのJRにまたがっているかというと、上越妙高駅で営業主体が別れるため。そこから東京寄りがJR東日本、金沢寄りがJR西日本となっている。パッと見の外観は同じなので分からないかもしれないが、列車のドア近くにある型番表記が「E726-305」などのように頭文字が「E」であればE7系、逆に「W」の場合はW7系ということになる。この他ボディーにあるロゴマークが「EAST JAPAN RAILWAY COMPANY」がE7系、「WEST JAPAN RAILWAY COMPANY」がW7系だ。

これは頭文字が「E」なのでE7系

延伸される福井駅や敦賀駅はどんな感じ?

 今回は開通直前の金沢駅、福井駅と敦賀駅を訪れてみた。まずは東京駅午前8時12分発の「かがやき521号」に乗って金沢駅へ。かがやきは速達列車なので、終点である金沢駅の前は上野駅、宇都宮駅、長野駅、富山駅にしか止まらない。

 この際に使ったのが「北陸応援フリーきっぷ」だ。2024年1月1日に襲った「令和6年能登半島地震」により能登が大きくダメージを負った。その影響で富山や金沢、福井などに訪れる観光客も大幅に減ってしまった。これを応援するためのきっぷが北陸応援フリーきっぷである。

 北陸応援フリーきっぷの価格は20,000円だ。行きはかがやきを含めた北陸新幹線の指定席に乗車することが可能で、北陸新幹線でいうと黒部宇奈月温泉から金沢駅まで、そしてその先の在来線の小浜駅までの指定区間であれば、普通列車だけでなく特急・新幹線の自由席にまで4日間自由に乗れるという代物だ。北陸本線を第三セクター化したIRいしかわ鉄道やあいの風とやま鉄道にも乗れる。新幹線で東京から金沢まで行くとすると14,000円程度かかるので、往復するだけでもおトクなきっぷとなっている。なお発売は3月15日までだ。

 ただし落とし穴があって、帰りは新幹線に乗れるものの、自由席のみが利用可能なので全車指定席のかがやきには乗れず、いろいろな駅に止まる「はくたか」の自由席に乗って帰ることになる。このあたりは以前発売された「三連休パス」や東日本大震災復興推進キャンペーンとして発売された「JR東日本パス」のように、もう少し高くてもよいので、帰りも指定席でかがやきに乗れればよかったのになあと思う(ただしJR東日本パスは1日券だったが)。

今回利用した北陸応援フリーきっぷ。「ゆき」と「かえり」の2枚に分かれており、北陸区間の移動はかえりの切符を使う
筆者がかつて乗った「JR東日本パス」(左)と「三連休パス」(右)。この時は2回あるいは3回まで指定券を使えた

 列車には始発駅の金沢から乗ったので自由席でも余裕で座れたが、長野に到着したところでほぼ満席になり、デッキに人があふれたらしく、車内販売も来なくなった。

 なお、この旅のお供はTOMIXの「ファーストカーミュージアム W7系かがやき」だ。延伸前の敦賀駅まで持って行くことにした。

東京駅のかがやき521号と一緒に

 金沢駅には定時着。ここから敦賀駅までは午前11時24分発の特急「サンダーバード20号」に乗っていくことにする。延伸された際は敦賀までしか運転しないので、筆者にとってはおそらくこれが最後、乗り納めになる。

行きに乗ったはくたか521号の特急券と金沢から敦賀まで乗ったサンダーバードの指定券。乗り鉄的にはこのきっぷを持っているだけでも記念としての満足感がある

 金沢駅に着いてからは少し時間があったので駅の周囲を観察する。兼六園口の外にはホテルが大きくそびえている。

兼六園口にあるホテル
こちらもホテル
こちらにもホテル

サンダーバードで敦賀駅から

 そしてサンダーバードに乗車する。途中は北陸新幹線のルートに近づいたり離れたりしながら進んでいく。そして列車は敦賀駅に到着した。

遠くに見える北陸新幹線の高架

 敦賀駅の周りはかなりシンプルだ。新幹線ホームはコンコースも含めてまだ立ち入り禁止なので外から見ることしかできない。駅前にはやはりホテルが建てられているのだが、金沢駅のように高層ビルがそそり立つのではなく、こぢんまりとした印象だ。駅の東側に立地する新幹線ホーム側に行きたかったのだが、かなり遠回りしないと行けないようなので断念した。

 ただ、駅前の感じは出来合いのストラクチャーでも対応できそうだ。このあたりを参考にしてレイアウトを作成することにしよう。

北陸新幹線ホームは立ち入り禁止
W7系と共に敦賀駅の方向を望む
こちらも駅前にはホテル

恐竜化石の聖地・福井駅へ

 続いては福井駅だ。敦賀駅からはサンダーバード23号の自由席に乗って向かう。駅の周辺は中核都市らしくかなり大きめだ。駅の東口にはえちぜん鉄道の乗り換え口の他ホテルが立地している。西口には商業施設が並ぶほか、大型のバスターミナルがある。そして福井だけに恐竜のモニュメントが置かれている。日本で発見される恐竜の化石のうち、約8割が福井県で見つかっているためだ。

 福井駅を再現するのであれば、恐竜はぜひとも入れたいところ。あとは大型の商業施設についてもレイアウトに反映させたい。

 ちなみにサンダーバードを選んで乗っていることについては、その名称を含めて“サンダーバード”というワードが好きだから、という筆者の好みが反映されているだけだ。筆者にとってサンダーバードは“スーパーマリオネーション”のサンダーバードだ。乗っているだけであのテーマ曲が流れてくる気がしませんか。それは私だけか。

駅東口にはホテルが
駅西口周辺の様子。大型のバスターミナルがある
E7系と一緒に
駅前にある複合商業施設
そして福井だけにやはりいる恐竜

さてレイアウトを作ろうか

 敦賀駅と福井駅の様子は分かったので、これをレイアウトに落とし込んでいくことにしよう。まずは線路だが、TOMIXのFine Trackから「S280-PC(F)」と「C243-45-PC(F)」により敷設した。駅についてはKATOの「近郊形ホームDX 対向式セット」に加えて「新幹線ホームパーツセット」を利用することにした。

 なおレイアウトのベースだが、前回使用した800×900mmの発泡スチロールは道路や川を作るなどして加工してしまったので、前回使ったジョルダンの「芝生 マット 75×100cm ライトグリーン」を購入直し、前回のベースの裏側に貼り付けて使用した。スクラップ&ビルドは狭小住宅で住んでいる者の宿命。前回作ったレイアウトは諦めて取っ払うことにする。

 肝心のストラクチャーについては、福井駅にはKATOの「ブランドビル1」、建物コレクションの「専門学校 貸しスタジオ」などを新たに購入し、並べてみた。敦賀駅には前回利用したストラクチャーを流用して配置した。また福井駅にはミニチュアのストラクチャーとして、海洋堂の「miniQ 恐竜発掘紀10 最強ハンター列伝 白亜紀北米編」を3個購入して配置してみた。また、これだけだと何となく寂しいので、前回の広葉樹と針葉樹も流用してレイアウト内に立ててみた。

 今回かかった金額は最終的に以下の通りだ。

【レイアウト】

品名価格
KATO E7系北陸新幹線 3両基本セット8,320円
TOMIX ファーストカーミュージアム JR W7系北陸新幹線(かがやき)2,590円
S280-PC(F)830円
C243-45-PC(F)×21,354円
近郊形ホームDX 対向式セット5,115円
新幹線ホームパーツセット2,400円
ブランドビル13,773円
ジョルダン 芝生 マット 75×100cm ライトグリーン2,570円
miniQ 恐竜発掘紀10 最強ハンター列伝 白亜紀北米編×31650円
ジオラマシート (FREE) 市街地背景3(900×600)1,980円
合計30,582円

 肝心の北陸新幹線Nゲージ車両は、KATOとTOMIXの両メーカーから発売されている。ただしKATOは3両編成、TOMIXは4両編成という構成だ。このあたりは好みと予算に応じて選択すればよいと思う。筆者は予算重視でKATOの編成を選んだのだが、ファーストカーミュージアムの代わりにNゲージの先頭車両を使えば、予算的にはTOMIXでもよかったような……。なお、宇都宮ライトレールのジオラマ作成時に購入したものも使っているので、そちらについては品名や価格を含めて前回の記事を参考にしていただきたい。

KATOの3両編成E7系
コックピットタイプの先頭部も緻密に表現
ファーストカーミュージアムの車両(奥)とKATOのE7系(手前)を比較してみた。乗降口やボディーマウント構造の床下機器などの表現はKATOの方がよく見える
KATOのE7系はロゴ回りのディテールがちょっとかすれ気味
こちらはファーストカーミュージアムのロゴ近辺アップ。「WEST JAPAN RAILWAY COMPANY」の文字まで読める

 と、いうことで、取材してきた敦賀駅と福井駅の周辺をイメージして、このように組んでみたのだがいかがだろうか。制作期間が3日弱と超厳しい中なんとか作り上げたので、ストラクチャーをひたすら配置しただけになってしまったが、何となーく福井駅や敦賀駅に見えてきたら成功だ。

 なお背景だが、箱庭技研の「ジオラマシート (FREE) 市街地背景3(900×600)」を使い、市街地の雰囲気をバックにしてみた。意外といける。ここからもっと凝ったレイアウトを目指すのであれば、田んぼをしっかりと配置したり、背景に北アルプスを望む光景を入れてみたりと、さまざまな想像がよぎる。

レイアウトの全体
福井駅西口のロータリー付近にある商業ビルなどをイメージした
敦賀駅西口にあるホテルや店舗などの様子をイメージした

 このレイアウトにE7系を配置して走らせた。動画を用意したのでご覧頂ければと思う。

【祝・北陸新幹線敦賀開通! 最小レイアウトで金沢-敦賀間を表現】

 また今回はiPadを使って撮影してきた写真を背景に使い、ジオラマ的に撮影したものも合わせてご紹介しよう。市街地がバックなので新幹線ホームから撮影しているわけではないため、そんな雰囲気、が楽しめればと思うのだが。ただしこの使い方には一考の余地がありそうだ。

敦賀駅前の様子を背景に。何となく路面電車っぽくなってしまった……
福井駅西口の様子を背景にしてみた

 今回はスケジュールの都合上、前回のように道路や川を作っていないが、グリーンの芝生が一面に配されているため、その分汎用性が高いとも言え、このまま使い回すことは可能だ。じゅうたんの上にレールを引くよりもこの方がレイアウトっぽい。レールだけを引いて楽しんでいるユーザーなら、この方法は参考になるかもしれない。ストラクチャーも両面テープで止めているだけなので、いくらでも流用が利く。

 ここまで北陸新幹線のレイアウトを作成する過程についてご紹介してきた。開通前ではあるものの、北陸新幹線延伸の気分を少しでも味わえたのはよかった。しかしそれぞれの駅だが、新幹線ホームには入れないのは当然としても、コンコース程度ならば入れるようになっているとよかったと思う。いよいよ開通した北陸新幹線敦賀。今度は新幹線に乗って、敦賀まで訪れてみようと思っている。