特別企画
タニオコバのモデルガン「M4」を自分好みにカスタムして撃ってみた
30発を3秒で撃ちきる! 撃って楽しいフルオートアサルトライフルモデルガン
2024年3月26日 00:00
- 【タニオコバM4~プロジェクトM4カスタム~】
- 購入日:2023年12月上旬
- 価格:127,000円(オークションで購入)
- 全長:985mm(サイレンサー装備、ストック伸張)
- ベースモデルガン:タニコバM4 10.5inch ショートモデル
- カスタムショップ:プロジェクトM4
筆者は2023年12月に本誌の年末特集「2023年話題を集めたモデルガン!」を執筆し、「タニオコバM4 10.5inch ショートモデル」を紹介したが、まさにこの記事のきっかけでアサルトライフルのモデルガンが欲しい気持ちが急激に高まってしまった。元々M16/M4系統のアサルトライフルはデザインも好みで、電動ガンも東京マルイのHK416をカスタムして持っているくらいだったので、モデルガンもほのかに欲しいなと思っていたのだ。
それでもギリギリ購入を我慢していたのが、「バレルの長さ」だった。紹介した「タニオコバM4 10.5inch ショートモデル」はその名の通りバレルが短かった。自分は長めのバレル長が好みだったのもあり、長いバレルである「14.5インチ」だったら即買いしていたかもしれなかったのだ。
そのタイミングで目にしてしまったのが、「プロジェクトM4」というタニオコバのM4モデルガンをベースに、カスタムモデルを作っているショップの商品である。「プロジェクトM4」はタニオコバ社公認で、同社からパーツを購入してカスタムガンを製造している専門ショップで、URG-IタイプやMk18、RISなどモダンなものからベーシックなものまで様々なカスタムがあり、すべて一品もののカスタム(似たカスタムや同じカスタムが出品されることもあるかもしれない)なのだ。
そこで見つけたのがカスタムモデルが、ダニエルディフェンス刻印のロワレシーバー(機関部下部)に、ガイズリーハンドガードが装着された、URG-Iタイプに近いカスタムモデルだった。14.5インチのバレルでモダンな外観となっており、カスタムベースにするならこれだ! と思った。見つけたのはオークションサイト、販売価格より割り引かれた価格で出ていたので、一気に注文ボタンをクリックしていたのだった。
10万オーバーの金額を勢いで購入してしまったのはどうかと思うが、そもそも、タニオコバのベースガンを購入してあれこれカスタムするには~~とカスタムパーツ代を計算していたので、実質無料でカスタムできる金額は自分にとって非常にお買い得だったのだ!
今回は筆者の「M4カスタム」に加え、カスタムする前のモデルガンのM4を知人からお借りし撮影することができた。そこで今回は「タニオコバのM4」とは何なのかを説明した上で、オリジナルモデルガンの紹介、そして筆者のM4カスタムを紹介していきたい。
歴史的名器である「タニオコバモデルガンM4」はどのように生まれたか?
購入したカスタムモデルガンについて紹介する前に、ベースのモデルガンを設計、開発、販売している「タニオコバ」について、詳しく紹介したい。
タニオコバは、日本のモデルガン設計者として名高い小林太三氏によって設立された会社で、モデルガンやエアガンの設計や製造、販売をしている。元々はモデルガンメーカーで有名なMGCの社員で、長年同社のモデルガンの設計に携わってきた。
小林太三氏がMGCで手がけたモデルガンは、実銃の機構を正確に再現するよりは、おもちゃとして楽しい動きをして、そこそこの耐久性があるというコンセプトで設計され、「わずかな火薬でもブローバックして薬莢を排出する」ということで絶大な人気となった。今では当たり前のモデルガン用火薬「MG-CAP」を開発したのもMGCだ。
特にオートマチックモデルガンは、わずかな火薬を撃発させてその際発生する燃焼ガスの勢いでスライドを後退させる仕組みで、各社が工夫を凝らしていた。当初はメンテナンス性とコストパフォーマンスに優れたオープン式カートリッジが主流だったが、アサルトライフルやサブマシンガンのモデルガンではパワー不足だった。
当時、マルシンがプラグファイヤーカートリッジ(PFC)を開発して、M16などのアサルトライフルやサブマシンガンに採用していた。それに対抗して開発されたのがcpカートリッジで、キャップ火薬とインナー、ピストンを組み込んで安定、確実な動作を実現した。余談だが、筆者がモデルガンと出会ったのはちょうどこの頃の製品で、リボルバーを一通り楽しんだ後、オートマチックが欲しくなってMGCのガバメント、さらにはM9(ベレッタM92F)を手にすることになる。
エアガンでも、MGCはリキッドチャージ式マガジンやガスブローバックシステムなど、今のエアガンの基礎となる技術を開発している。(この辺の話はまた後日詳しく語りたい)
一時代を作ったMGCだが、業績の悪化などから1994年に製造部門が廃業してしまう。その際に当時MGCの副社長だった小林太三氏が独立して1991年に設立したのがタニオコバというわけだ。
以来、ガスガンやモデルガンの設計、販売を続け、オープンカートリッジ式のガバメント「GM-7」や、cpカートリッジの改良版ヘキサゴンcpカートリッジを開発するなど、撃って楽しいモデルガンを送り出してきた。
そんなタニオコバが、2011年にアサルトライフルのM4をリリースする。当時はモデルガン熱も落ち着いており、アサルトライフルのモデルガンを買いたい!というモチベーションも湧かなかった。しかし、再びモデルガンにハマるようになって愛好家の集まりに出かけた際、M4のモデルガンを撃たせてもらったことをきっかけに、「こんなに快調にアサルトライフルのモデルガンが動くなら一つ欲しい」と思うようになったというわけだ。
今回、友人からカスタムしていないタニオコバM4を借りることができたので、まずこちらに触れていこう。
【タニコバM4 10.5inch ショートモデル】
発売日: 2023年9月29日発売
価格: 157,300円
全長: 685mm(10.5インチバレル)
メーカー: タニオコバ
昨年発売されたタニオコバのM4 10.5inch ショートモデルは、その名の通り10.5インチのショートバレルで外観は精巧でリアルな印象を与えている。レシーバー上部に設けられた20mmレイルにはウェポンライトやドットサイトなど、エアガン用、実銃用のアクセサリーを搭載することができ、手軽なカスタマイズも行える。
カートリッジも見ていこう。M4のカートリッジ「ヘキサゴンcpカートリッジ」は、MGC時代から改良が重ねられたcpカートリッジをベースに、作動性能とガス抜けの両立を実現したもの。火薬量0.01g以下というわずかなキャップ火薬でも良好なブローバック動作と、発火の音や煙を楽しめるものとなっている。真鍮製だったカートリッジ本体(シェル)は軽量なアルミ製となり「飛び」も良い。cpカートリッジの最終系と言っても良いだろう。
実際に撃ってみた動画がこちら。
すでに何マガジンか撃ったのと、カートリッジに古いもの(発火させすぎて軽度の変形が見られるものなど)やOリングが劣化していたものなどが混じっているなどで、ジャムってしまった時もあったが、おおむね好調な発火ができた。
他人が撃っているのを側から見ている場合と、自分で撃つ場合ではそれぞれ得られる印象が異なる。自分が射手の場合には、ブローバックのリコイルとボルトの作動する音が主に感じられ、音や煙の感じはその向こう側にあるという印象。側で見ている場合は、動画のような発火音や作動音が混じった感じで伝わってくる。
30発、フルにマガジンに詰めた状態ではずっしりと重い。マガジン自体は樹脂製で非常に軽いので、全弾撃ち尽くすと手に持っている重量感が変化していることに気づく。電動ガンはもとより、ガスブローバックのエアガンなどでも残弾数による重量変化は感じられないので、こういった体験はモデルガンならではと言える。
タニオコバM4~プロジェクトM4カスタム~
では、いよいよ筆者の購入したM4を見ていただきたい。
タニオコバのM4モデルガンをベースに、カスタムモデルを作っているプロジェクト M4というショップのカスタムモデルだ。14.5inchバレルに、ダニエルディフェンスタイプのレシーバー、ガイズリー ハンドガードなどURG-Iのような現代的な外観にカスタマイズされている。
このモデルをベースに、SIG SAUER社のドットサイトRomeo 5(のレプリカ)と、マグニファイア JULIET 3(同じくレプリカ)を載せ、PEQ-15 LA-5(ライトやレーザーサイトなどがパッケージになったイルミネーター、のレプリカ)を搭載している。さらにAACタイプのサイレンサー&ハイダーに交換。バックアップサイトはMAGPUL MBUS Proタイプだ。基本は手持ちのエアガン(電動ガン)用で持っていたものを使用できたので、こちらも追加料金はなくカスタムができた、という計算だ。
モデルガンの動作に定評のあるタニオコバの設計、機構で、自分好みのカスタムモデルガンを組み上げることができて、非常に満足だった。イメージとしては特殊部隊の装備っぽいものを目指していたが、あらためて見返すと、マンガ作品「怪獣8号」に出てくる討伐隊が使う対怪獣用ライフルのようなデザインになったと思ったので、雰囲気を合わせて構えてみた。
実際に撃つにあたっては、最初についてくるカートリッジは10発だけなので、追加のカートリッジを3セット追加購入して合計100発、スペアマガジン2個も追加してリロードアクションなども楽しめるように取り揃えた。
「タニオコバM4~プロジェクトM4カスタム~カスタマイズ」の待望の試射だが、特に調整などしていない「箱出し」でここまで快調に動くのは感動的だ。特に、カートリッジが同じ角度、同じ弧を描いて飛んでいく様は安定した動作の証拠と言えるだろう。オープンカートリッジと比較してクローズドカートリッジのモデルガンゆえに音が小さいという課題は、サプレッサーを装着することで「音が小さくなることがリアル」という状況を再現した。
リアル派としては、特殊部隊はセミオートメインでフルオートをあまり使わないのでは? というのはあるが、せっかくフルオートを撃てる銃があるなら、フルオートで撃ち尽くすのはロマンでもあるのだ。
射撃の反動はそれほど大きくもないが、肩当てをして撃つとリコイルショックがしっかりと感じられる。オートマチックモデルガンのスライドに相当するボルト(遊底)部が、HW樹脂製なので、後退した時の衝撃と、前進した時の衝撃の両方がしっかりと手に伝わってくるのを感じる。
次世代電動ガンのリコイルもリアリティがあると感動していたが、電動ガンはモーターがピストンを下げて発射、バッファーチューブ内に仕込まれたウェイトが前後する(衝撃のタイミングがズレている)のに対して、モデルガンは実銃と同様にハンマーがカートリッジを発火させ、ボルト部が後退、前進と動くので、両方を比較するとリアルさが違うと認識させられた。
撃った後はメンテナンス。M4のモデルガンは、実銃同様分解してボルトなどのパーツを取り出してクリーニングすることができる。バレルは、通常はバレルにチャンバー側から水を流すだけで良いという簡単設計なのも、発火させて遊ぶことにこだわったタニオコバならではだ。200~300発程度撃ったらイージークリーニング(チェンバーから側からデトネーターを含むチェンバー部に水を強くかけて流す)をすれば良い。しばらく撃たないという場合には、ハンドガードを外してデトネーターを組み込んだチャンバーパーツを取り外して入念なクリーニングするのが良いだろう。
撃ち終わったら、分解してクリーニングを行う。頻度が少ないのでフィールドストリッピングでの簡易メンテナンスでも良かったのだが、せっかくなので撮影も兼ねて分解してみた。
撃ち終わったカートリッジもクリーニングする。今回は、同時に撃ったガバメントやSIGなどのカートリッジも一緒にクリーニング。タニオコバのカートリッジは、家庭用中性洗剤を入れた水に浸してキャップ火薬の撃ち殻を取り出すことで、内部のクリーニングが完了するという合理的な設計だ。カートリッジは、よく乾かした後、再び火薬を詰めて次の発火に備える。
今回、実際に自分のモデルガンで撃つことができて非常に楽しかった。他人の銃を借りて撃つのも楽しいが、壊してしまわないように気を遣ったり、満足するまで撃てなかったり、心ゆくまで満足できない部分がどうしても生じてしまう。
自分の銃であれば、リロードアクションやチャンバークリア、ジャムクリアなどのアクションを心置きなく楽しむことができる。M4でいえば、映画やゲームでよくみられるマガジンチェンジの際、ボルトストッパーを叩くようにして初弾を送り込む操作は、借り物だと遠慮して操作してしまうが、自分のであれば、特殊部隊員になりきって勢いよく叩いて弾倉交換するアクションを楽しめるのだ。
一方で、他人の銃を撃たせてもらったり、違うカスタムを見せてもらうことで、「次は〇〇世代のカスタムにしたい、ショートモデルのカスタムも行なってみたい」など、刺激を受けることもある。そうして銃やパーツが増えて、週末は銃のカスタムに時間を費やすなど沼にハマってしまうのだ。ぜひみなさんもモデルガンカスタムの沼に肩まで浸かってほしいと思う。