特別企画

いまこそ手に入れて撃ちたい!タニオコバ「GM-7/7.5 ガバメント」シリーズ

撃って楽しい、手にして満足、ガバメントモデルガンの完成形を堪能する

【GM-7.5 コルト ガバメント シリーズ70】

6月再販

価格:36,300円

材質:ヘビーウエイト/亜鉛ダイキャスト

全長:218mm

重量:665g

【GM-7.5 コルト ガバメント シリーズ80】

6月再販

価格:36,300円

材質:ヘビーウエイト/亜鉛ダイキャスト

全長:218mm

重量:665g

 かつて「MGC」というモデルガンメーカーがあった。火薬で作動するモデルガンの日本における代表的なメーカーだったが、銃刀法改正による規制の強化エアソフトガンの流行により、1990年代に休業、解散となった。

 今回紹介する「タニオコバ」というメーカーは、MGCでモデルガン設計者として様々なモデルガンの設計を行なった小林太三氏が創業したメーカーである。そして「タニオコバ」のモデルガンは箱出しでも快調動作すると言われる完成度の高さが大きな魅力なのだ。

 モデルガンは繊細なトイガンで、モデルガンを正常に動作させるに調整や念入りなメンテナンスが必要と言われ、それが常識とされてきた。しかしタニオコバのモデルガンは買ってきたらすぐに撃てて、メンテナンスも簡単という触れ込みで、実際その通りだったのだ。

 ビギナーには初めての一梃としておすすめしやすく、熟練者にとっても、カスタムパーツなどが豊富で、カスタムベースにしたり、別のカートリッジを試すなど次のステップ、チャレンジがやりやすい面も評価につながっているのではないだろうか?

 今回、「タニオコバ」の代表的なモチーフと言える「コルトガバメント」のベーシックモデルとも言える、「GM-7.5 コルト ガバメント シリーズ70」が、「GM-7.5 コルト ガバメント シリーズ80」共に再販された。この機会に、タニオコバのモデルガンの魅力を改めて振り返ってみたい。

ガバメントといえば、タニオコバ。その開発の歴史を振り返る。

 タニオコバのガバメント(GM-7/7.5)は、現在入手できるオートマチック式モデルガンの中で「これを買っておけば間違いない」というモデルの1つといえる。MGC時代から改良が加えられ、完成度が高いことと、ポリマー(樹脂)製オープンカートリッジ仕様によるコストパフォーマンスの高さ、メンテナンス性の良さが大きな魅力だ。

 オープンカートリッジとは後のクローズド(CP)カートリッジに対して呼ばれるようになったカートリッジだ。初期のオープンカートリッジは、構造のシンプルさゆえに、火薬の発火による汚れの影響をシビアに受けやすい状態だったのに対し、カートリッジ内でほとんどが完結するCPカートリッジが主流になってゆくが、その分高価になった経緯がある。

 タニオコバが改めて開発したオープンカートリッジは、デトネーターにシーリングのゴムを採用することで、連続した発火に際しても正常動作のための気密確保が維持されやすい構造となっていたことで、オープンカートリッジでありながら、汚れの影響を受けにくく、安定した動作を実現させた。これによりカートリッジの価格を下げ、モデルガンを動作させる際の総額を抑えることに成功した。正確性と安価であることはタニオコバが人気を得た大きな理由だ。

連続して発火する(撃って遊ぶ)場合には、デトネーターを簡易クリーニングするだけでOK。

 タニオコバのガバメントの歴史はMGC時代に遡る。過去に、タニオコバのM4を紹介した際、簡単にその歴史に触れた。タニオコバ創業者の小林太三氏は、かつてのモデルガンメーカー、MGCでモデルガン設計者として様々なモデルガンの設計を行なっており、「おもちゃとして楽しい動きをして、そこそこ耐久性がある」というコンセプトで生み出されたモデルガンは人気を集めた。

 その中でもガバメントは金属製(亜鉛合金製)のいわゆるGM1から、ABS製のモデルガン(GM2)、リアルサイズ化されたGM5、カートリッジもリアルサイズ化したGM12など、何度も設計しなおして発売された。繰り返し設計が見直され、当時も高い完成度として評価が高かった「GM5」や「GM12」は、MGCが廃業した後も根強い人気を保ち、オークションやフリマでも取引され続けてきた。

 オートマチックのモデルガンは、銃を撃つと音と火花が出て、スライドが後退して廃莢が行われ、次弾が装填される。この一連の動作をおもちゃ用の火薬で再現しているのが魅力だ。僅かな火薬で動かすためどのようにパワーを伝えるか、バネの強さやスムーズに動かすために機構をアレンジするなど各社が試行錯誤を繰り返してきた部分になる。メーカーごとに特徴もあり、実銃と全て同じサイズ、同じ構造にしてリアルさを追求するメーカーもある。MGCは、リアルさを求めながら動作性能を重視したことで評価があった。

MGC時代のガバメント、SRHWのガバメント(Series 70)と、HWの1911A1モデル

 タニオコバとなっても、2009年にモデルガンのガバメント、いわゆるGM-7を発売。2011年にはM4のモデルガンを発売するなど現行ラインナップの下地が揃った。

 GM-7が発売されると、その動作性能やコスパの良さなどで評価が高まり人気となった。その後、ショートモデルやアンダーレイルフレームを備えたタクティカルモデル、スプリングフィールド製1911など刻印違いのモデルなど、さまざまなバリエーションが発売された。MGC時代と比較して、メインスプリングなども若干柔らかくなり、動作性能の向上につながっている。

 その後内部機構が一部改良されたGM-7.5となり現行機種となる。デトネーターの方式に改良が加えられ、動作性能がより確実になった。発売当初はクローズドカートリッジ(CP方式)主流の中、オープンデトネーター方式ということで驚きもあったが、改良されたデトネーターとゴム製シールによる快調な動作、ポリマーカートリッジの圧倒的なコストパフォーマンスも相まって、一気に市場に受け入れられた。

タニオコバのGM7(7.5)ガバメントの例。GM-7.5 インベルM1911刻印モデル(上)と、GM7スプリングフィールド1911フロントセレーションなしモデル

モデルガンのもう一つの要、カートリッジの進化をたどる。

CP:タニオコバGM-7シリーズ用のカートリッジ。左の箱がヘキサゴンCPとオープンカートリッジ、右の箱がEasy-CPカートリッジだ

 モデルガン、特にオートマチックのモデルガンにとってカートリッジは快調な動作に欠かせないものだ。いわばモデルガンにとってのエンジンと言っても過言ではない。実銃の世界では、弾丸を発射する強大なパワーの余剰分を使用してスライドを後退、空薬莢を排出、スプリングの力で次弾を装填(スライドを閉鎖)する一連の流れを、わずか0.01g以下の玩具用火薬で動作させなければならない。当初は、モデルガンではブローバックはできないものと、手動廃莢する仕組みだった。

 しかしここで転機が訪れる。1968年頃に小林太三氏は、MGCにてブローバック可能なオープンカートリッジ方式を開発し、オープンカートリッジを採用したモデルガンは軒並み人気を博した。以来、昭和46年施行の改正銃刀法における金属モデルガン規制や、続く51年規制など、何度か訪れたモデルガン文化の危機を乗り越え、改良が重ねられていく。当初は平玉火薬数粒を必要とした火薬も、MG-CAPの開発とカートリッジやデトネーターの方式の改良によりキャップ火薬1つで動作するようになる。MG-BLKカートリッジを経て、タニオコバのいわゆるGM-7、GM-7.5のオープンデトネーター方式に到達する。

MGC時代のMG-BLK(やGM2時代のプラカートなど含めた)などの歴代オープンカートリッジコレクション

 GM-7/7.5において標準使用カートリッジなのが、ポリマーオープンカートリッジだ、樹脂製ケース(薬莢)と真鍮製インナーのみで構成され、7mmキャップ火薬をセットするだけで準備が完了する。前方が大きく解放された形状なので発火音も大きく、樹脂製ゆえに軽量なカートリッジは廃莢の際に勢いよく飛んでいくので爽快感がある。発売当初1発あたり50円前後(現在では100円前後)と安価で、万一なくしてしまったとしても惜しくないと歓迎された。使い捨てとされているが、きれいに洗浄して再利用すれば数回は使えるので、コスパに優れており今でも標準的に使われるカートリッジだ。

タニオコバのポリマーオープンカートリッジ、アルマイト製オープンカートリッジ

 同じ形状でハードアルマイト処理されたアルミ製のオープンカートリッジもあり、こちらを使用すると、薬莢が飛んでいく際によりリアルな感じを味わえる。使い捨てでないので、繰り返し利用が可能だ。

 GM-7/7.5には、クローズドカートリッジ(CPカートリッジ)も用意されている。MGC時代には撃ちガラをピストンシールにするCP-BLKカートリッジ方式から始まり、Oリング(カートリッジ内部を密閉するためのゴム製のリング)を使用したCP-HWカートリッジに発展。実際の口径より小さく設計された「スモールサイズカートリッジ」がリアルサイズカートリッジに変更され最後まで採用された。タニオコバでも、シェル(外側のケース部)がアルマイト製と軽量になり、ピストン部分が改良されたヘキサゴンCPカートリッジとしてラインナップされている。

MGC時代のCP-BLK、CP-HWカートリッジなど歴代CPカートリッジコレクション

 CPカートリッジ(オクタゴンCPカート)の利点は、オープンタイプと比較して連射時の動作が安定している点にある。オープンタイプは、デトネーター側にゴムのパッキン(デトネーターゴム)をセットして気密を確保しており、連射するとこのゴムが切れやすいので連射に向かないとされているが、CPカートリッジはインナーパーツにOリングをセットする方式なので、気にせず連射できるというわけだ。(ただし、インナーパーツのOリングが切れることはある)

オクタゴンCPカートリッジ

 さらに、タニオコバでは、オープンデトネーター方式とCPカートリッジのいいとこ取りを目指したEasy-CPカートリッジ(ポリマー製、アルマイト製)も開発された。

 構造としては、オープンカートリッジに、ピストンカップという樹脂製のインナーパーツを組み合わせたもので、大きな音と軽快な動作を実現でき、なおかつメンテナンス性も向上しているというのが売り文句だった。ピストンカップは樹脂製で使い捨て(変形などなければ3~5回くらい再利用できる)なので、コスト的な課題はあるものの気軽に連射できてカートリッジの飛びも良いという面で期待されている方式だ。現在は、アルマイト製のカートリッジのみ流通している。

Easy-CPカートリッジ、ポリマーESAY-CPカートリッジの写真

 他社の場合、自社のオリジナルカートリッジの他には、サードパーティからWキャップカートリッジなどが出る場合もあるが、自社の単一機種向けに5種類ものカートリッジが用意されているのは、タニオコバのGM-7/7.5くらいと言っても過言ではない。それくらい、設計に柔軟性があるとも言えるし、売れている(市場に受け入れられている)ということでもあるのだろう。

タニオコバのガバメントを撃ってみる。

 では早速筆者のガバメントを紹介したいと思う。今回用意したのは、以下の銃(ガバメント・バリエーション)だ。

筆者のタニオコバ ガバメントコレクション。細部のパーツや仕上げは異なるが、基本的に同じもの(デザイン違い、刻印違い、バレル長違い)だ。同じ銃とはいえ、ついつい増えてしまう

 基本的にはHW(ヘビーウェイト)樹脂(プラスチック)製で、塗装や素材の仕上げ違いで色合いが異なる。ブルーイングなどの表面処理をする人も多い。筆者のガバメントもいくつかはブルーイングにチャレンジしている。

 その他のカスタマイズとしては、グリップを木製グリップやラバーグリップに交換したり、ハンマーやトリガーなどのパーツを交換して自分好みにする人も多い。実銃と同じサイズなので、グリップなどは実銃用も使用できる。トリガーなど一部の部品は東京マルイなどのエアガンとも互換性があるので、自分だけのオリジナルガバメントに仕上げることも可能だ。

 スライドやフレーム、バレルなどの素材は、へヴィーウエイトナイロン/グラス・アモルファスナイロンを使用とのことで、重量感はありつつも「モデルガンは壊れやすい」というイメージを覆してくれる頼もしさを感じる。実際、他社のモデルガンでは、HWのスライドが1発の発火で破損したという経験もあったが、タニオコバのモデルガンは中古で発火済みの物を入手しても、その後100発近く撃っても大丈夫(消耗品の交換は除く)というタフさを実感している。

 一方で、他のメーカー、例えばMGC時代のガバメントと比べるとディテールが省かれている箇所もある。わかりやすい部分ではエキストラクターのパーツがスライドと一体成形になってしまっているという部分がある。MGC(やそれを引き継いだCAW)では独立したパーツになっているので、残念な部分の一つと言える。

MGCのガバメント(左)とタニオコバのGM-7/7.5ガバメントの違いの例。エキストラクターハンマー右手の丸いパーツが別パーツになっているか、一体化になっているかなど差がある

 そういった細かな部分はありつつも、全体としては仕上がりも動作も満足いく作りとなっている。

 マガジンも旧MGCのリアルサイズガバメントと互換がある他、タニオコバからもノーマルのスチールマガジン、ハードステンレスマガジンの他、装弾数が1発多い、エイトマキシ(ブラック、ステンレス)が用意されている。

マガジンにカートリッジを装填した状態

 空のマガジンでも、マガジンキャッチを押すと自重で落下するスムースさ。スライドとフレームのすり合わせもスムースで、箱出しで快調動作が期待できる。パーツの精緻さは、かつてより格段に向上しているのが嬉しい。

【快調に作動するタニオコバのコルト ガバメントのモデルガン】
さまざまな機会で、いろいろなカートリッジを使って撃ってみた。どれも快調に動作して気持ちが良い。カートリッジによるリコイルショックの違いや、発火音の差なども楽しめる

 手持ちのモデルガンをいろいろな機会で撃ってみた。時おりジャムったりすることもあるが、おおむね快調に動作するので満足度が高い。大きな発火音と勢いよく飛ぶ薬莢、ビシビシと手に感じるリコイルショックなど、これぞオートマチックハンドガンという醍醐味を感じることができた。

 モデルガン、特にオートマチックの楽しさには、「念入りな調整を行なった結果、全弾正常に撃ち尽くすことができて嬉しい」というものがあるが、気軽に撃って、失敗が少ない、ほぼ正常動作する。というのは、それとはまた違った、別の楽しさ、発火(発砲)そのものを純粋に楽しめる良さがあると思う。

 筆者の場合、撃って楽しむ場合には「エイトマキシ」とよばれるモデルガン用ステンレスマガジを使用することが多い。本来の装弾数7発を撃つ場合には装弾数いっぱいまで詰めないので動作も安定してバネのヘタリも少ない。バンバン撃ちたい場合には1発の差であるが、たくさん撃てるのも魅力だ。ステンレス製なのでメンテナンス性が良いのも気に入っている。

 リアル志向で撃つ場合には、その銃にあったマガジンを使うことになる。ミリタリー系ガバメントなら7発装填のスチールマガジン、タクティカルなカスタムモデルならエイトマキシなど、時にはその時の気分で設定をイメージして準備してみるのも楽しいのだ。

 7発、8発の装弾数も、多弾数オートマチックが増えた現代では少なく感じるが、モデルガンをときおり楽しむ、という場合にはちょうどよい弾数とも言える。実戦であれば、マガジン交換なしに15発くらい撃てれば便利だし、予備マガジン2本を加えて50発弱撃てるのは火力も高いので迷わず選びたいところだが、モデルガンとなると話は異なる。

 もちろん、15連射したい時もあるが、オートマチックのロマンは弾切れの際にホールドオープンし、マガジン交換をしてスライドを戻す。残弾数をイメージしてホールドオープンする前にマガジンチェンジをして撃ち続ける。など、想定した状況に合わせて自分なりのシチュエーションを楽しむには装弾数は多過ぎないほうが良い。なにより火薬の詰め替えやクリーニングも楽で良い。

ぜひタニオコバのモデルガンに触れて欲しい

 モデルガンの世界では、材料費の高騰などから再販、リリースのたびに値上がり、高価格帯の値付けとなっており、なかなか気軽に買えないレベルになってきているが、タニオコバのガバメントは、今回若干値上がりしてしまったものの、なんでも値上がりの状況では仕方ない、許容範囲のレベルにとどまっているように思える。

 カートリッジも値上がりしているが、それでも使い捨てオープンカートリッジ(ポリマーオープンカートリッジ)のコスパは光る。気兼ねなくバンバン撃てるコスパ感があるだけでもありがたいし、貴重な環境だと思う。

 興味を持った人は、ぜひ体験してみてほしい。