特集
【年末特集】2023年特選プラモデル(クルマ・バイク編)
F1デザイナーによるスーパーカー「GMA T.50」、「頭文字D 拓海のハチロク」
2023年12月27日 00:00
ホビーショーの取材を続けているとプラモデルメーカーそれぞれの個性がはっきり見えてくる。特に車やバイクのスケールモデルには各社ならではのこだわりが色濃く表れているように思う。
タミヤは独自の取材による最新機種や、F1カー、コンセプトモデルなどのモデルアップが得意だ。開発者以外でここまで細部を再現できるのか? という驚きの取材力で技術の最先端の姿を提示してくれる。ハセガワは「ノスタルジー」を感じさせる商品が強い。往年の名車、かって憧れた車種を部品単位で再現し、タイムスリップしたような感じにさせてくれる。
一方アオシマは「初心者向け」の分野に強い。組み立てやすく、誰でも完成させる難易度を追求しつつ、仕上がりにも手を抜かない。簡単な組立で高いクオリティを実現するその商品開発力はしっかりしたファンを掴んでいる。本稿ではこれらプラモデルメーカーの特色が色濃く出た2023年発売商品をピックアップしてみた。
タミヤ「1/24 GMA T.50」
メーカー:タミヤ
8月5日発売
価格:5,500円
スケール:1/24
「GMA(ゴードン マレー オートモーティブ) T.50」は、1970~80年代のF1シーンにおいて、ブラバム,、マクラーレンで数々の革新的なマシンを生み出したF1デザイナー、G・マレーが立ち上げた「GMA」の第1号となるスーパーカーだ。
カーボンを多用して軽量化を徹底的に追求し、車体後部に直径400㎜の「大型ファン」を設置、車体下部ダクト、可動式リヤスポイラーにより空力のこだわりも突き詰めている。ミッドシップマウントされるエンジンは670馬力を発揮する3.9リッターV型12気筒。中央にドライビングシートを配し、両側に助手席がセッティングされているところも大きな特徴だ。
タミヤはこの特徴的な車を1/24スケールで表現。美しいフォルムはもちろん、V12エンジンや室内、サスペンションも再現し、車体後部の大型ファンは内部のダクトまで再現している。ガルウイング状に開閉するエンジンフードは、完成後も開閉状態を組み換え可能とプレイバリューも考えた設計となっているのだ。
タミヤ「1/12 Honda CBR1000RR-R FIREBLADE SP 30th Anniversary」
メーカー:タミヤ
9月2日発売
価格:4,730円
スケール:1/12
バイクの魅力はエンジンが車輪を回す基本的なメカニズムをベースに、"走ること"をとことんまで追求したシンプルな構造にある。プラモデルではエンジンがチェーンを使って車輪を回す仕組みはもちろん、エンジンにどのように燃料と空気が流し込まれ、ラジエーターの水がどう循環するか、ブレーキやギアがどう制御されているかも1つ1つ確認ができる。実車の構造を深く知ることができるのが大きな魅力だ。
本商品のモチーフは2022年に発売されたHondaの限定記念モデル。クラス最強の218馬力を発揮する排気量999cc直列4気筒エンジンを搭載したCBR1000RR-R FIREBLADE SPの各部をアップデートしている。
プラモデルでは特徴的なグラフィックをカルトグラフ社製スライドマークで表現。内蔵型ウイングレットを装備したサイドカウルをはじめ、空力を追求した形状を実車に忠実に再現。水冷4気筒エンジンも精密にモデル化し、実車の迫力を実感できる製品となっている。
ハセガワ「ホンダ VT250F(MC08)(1984)」
メーカー:ハセガワ
6月24日発売
価格:3960円
スケール:1/12
ハセガワはカー、バイクモデルに関して60~80年代の名車を積極的に商品化している。あの当時乗っていた、もしくは憧れていたユーザーの想い出を刺激するアイテムは大きな魅力がある。
「ホンダ VT250F」は、1980年代の排ガス規制の動きで消えゆく存在である「2ストロークエンジン搭載のバイク」へ憧れを持つユーザーに対し、規制をクリアした4ストロークエンジンで挑んだ「打倒2スト」を目指したバイクである。ライバルとなる2ストのヤマハの「RZ250」を強く意識したモデルだ。
本製品の魅力は実車取材による精密なモデリング。シートの裏のディテール表現弐までこだわり、バイクを整備したり、手を入れたりするときにバイクを分解した想い出も刺激するような仕掛けを随所に組み込んでいる。組み立てることでタイムスリップをしたような気持ちになれる製品なのだ。
アオシマ 「LBワークス ランボルギーニ アヴェンタドール リミテッドエディション Ver.1」
メーカー:アオシマ
10月発売
価格:6,380円
スケール:1/24
ランボルギーニのスーパーカーは多くの人が憧れる存在だ。アオシマは積極的にプラモデル化を行っている。アヴェンタドールはランボルギーニが2011年から2022年まで製造していたスーパーカーで、6.5L V型12気筒DOHCエンジンを搭載、電子制御式の四輪駆動システムを採用している。
本製品は「リバティーウォーク25周年」と「代表の加藤 渉氏50歳」の記念として製作されたリミテッドエディション。プラモデルは"誰でも組みやすく"というアオシマならではのプラモデル設計思想が色濃く出ている。少ないパーツ点数ながら再現性も両立、オーバーフェンダーはボディ一体で再現。徹底的なパーツ色分けにより、未塗装で組み立てても見栄えのする色分け成型を実現している。
スーパーカーの魅力を手軽に、しかしできるだけ実車の雰囲気が味わえる精密なモデルが欲しい、というユーザーの希望に応えた製品である。水転写デカールだけではなく、初心者向けにシールも封入しているのも嬉しいところだ。
アオシマ「頭文字D 拓海のハチロク」、「頭文字D 啓介のFD」
メーカー:アオシマ
11月30日発売
価格:各2,200円
スケール:1/32
誰でも簡単に組み立てられ、シールを貼ることでハイクオリティに仕上げられることで人気のアオシマのカープラモデル「ザ・スナップキット」シリーズに、マンガ「頭文字D」より、「頭文字D 拓海のハチロク」と「頭文字D 啓介のFD」が登場した。
「拓海のハチロク」は主人公である藤原拓海が乗る「トヨタ AE86型スプリンタートレノ」。1987年まで販売されていたクルマで、2000年代を舞台とした作中ですら古いクルマだ。この車が"峠"を舞台に、個性豊かな走り屋とその愛車を相手にバトルを繰り広げていく。高橋啓介は拓海の最初の対戦相手であり、「プロジェクトD」のチームメイトとなる。愛車は「マツダ アンフィニ FD3S RX-7 Type R」。
「頭文字D 拓海のハチロク」、「頭文字D 啓介のFD」は2台の特徴をしっかり再現。ハチロクの車内には印象的なカップホルダーまで再現されている。さらに初回限定特典として「つながる!『峠』ジオラマペーパークラフト」が付属、マンガの1場面のような飾り付けができる。ファンならずとも手に入れておきたい商品だ。