インタビュー
「G.F.F.M.C. ザクⅠ（シャア専用機）」開発者インタビュー
カトキハジメ氏のこだわりに満ちた「ザクIIとは違うザクI」
2021年1月29日 00:00
- 【GUNDAM FIX FIGURATION METAL COMPOSITE MS-05S ザクⅠ（シャア専用機）】
- ジャンル：アクションフィギュアフィギュア
- 開発・発売元：BANDAI SPIRITS
- 価格:22,000円(税込)
- 発売日：1月30日
- 全長：約180mm
BANDAI SPIRITSより1月30日に発売されるアクションフィギュア「GUNDAM FIX FIGURATION METAL COMPOSITE MS-05S ザクⅠ（シャア専用機）」。カトキハジメ氏プロデュースによる、こだわりのつまったアイテムとなる。
今回は本商品の企画を担当するBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の稲吉太郎氏に「G.F.F.M.C. ザクⅠ（シャア専用機）」の魅力と、開発者達が力を込めたポイントを聞いた。弊誌ではレビューも掲載しているので合わせて楽しんで欲しい。
今回発売される「G.F.F.M.C. ザクⅠ（シャア専用機）」は、以前発売された「G.F.F.M.C. MS-06C ザクII C型」、「G.F.F.M.C. MS-06S シャア専用ザクII」に続くシリーズとなる。可動設計や、こだわりの部分などを以前インタビューしているので、こちらも併せて読んで欲しい。
頭、足、腕……“旧ザク”を表現するために新造された多数のパーツ
「G.F.F.M.C. ザクⅠ（シャア専用機）」は、劇場アニメ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」で活躍する機体である。「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」は全6章からなり、シャア専用のザクIは4章ラストと5章で活躍する。
このパートではニメ「機動戦士ガンダム」はもちろん、原作コミックでも描かれなかった「フォン・ブラウン戦」が描かれている。ザクIは、「機動戦士ガンダム」では“旧ザク”と呼ばれる機体である。ザクという名前で多くの人に知られるザクIIと比べ、動力パイプがない、モノアイのスリット中央に支柱が入っている等比べると違いがある。
コレクターズ事業部では本商品の前に「G.F.F.M.C. MS-06C ザクII C型」、「G.F.F.M.C. MS-06S シャア専用ザクII」を発売している。商品展開の場合、従来の金型を流用することが多いが、本商品は新造パーツが多いとのこと。「足などは動力パイプの穴を埋めるだけで前作と共有できるように見えますが、実は曲面などのバランスが違う。これはカトキさんのこだわりなんです」と稲吉氏は語った。
また、「コクピットハッチ開閉」もこだわりポイント。ザクIはコクピットハッチの開き方、コクピットの位置そのもののザクIIと異なる。「THE ORIGIN 第4章」ではシャアがコクピットハッチを開け、そのハッチの上に立ち宇宙空間を見るというシーンがあるが、実はこの時彼が乗っているのは“MS-05S”ではなく、“MS-05”である。厳密には今回商品化した機体と違うのだが、印象的なシーンのため本商品でも再現できるようにコクピットハッチ開閉のギミックを盛り込んだとのことだ。
特に頭部はまるまる新規パーツとなっている。支柱があることで特に横顔の印象が大きく異なる。モノアイは印象的に大きくなっているし、実はモノアイを覆う透明なパーツもザクIIのものとは幅が異なるという。顔だけでなく、全身にわたって“デザインのバランス”を見直し、各部を改修しているとのことだ。そのバランスの修正は場所によってはコンマ数㎜、1mmにも満たない微細な修正により、「ザクIIとは違うザクI」が作られているとのこと。
カトキ氏のこだわりが強く出ているところが、「鎖骨部分のスラスター」だと稲吉氏は語った。鎖骨部分、頭の両脇部分につけられた上向きのスラスターはザクIを上から地上に向けて押しつける働きをする。これは月面で行なわれた「フォン・ブラウン戦」を意識して追加された設定で、地球の6分の1の重力を持つ月面で、機体が浮きすぎないようダウンフォースを発生させるために搭載させている。
武装、ダイキャストや軟質素材、シリーズで進化するこだわりポイント
「G.F.F.M.C. ザクⅠS（シャア専用機）」の注目の武装ではベルト給弾式のマシンガンがある。ザクIIのドラムマガジンのマシンガンに加え、バックパックからのベルト式弾倉で弾を使うマシンガンが付属しているのだが、マシンガンは軟質素材で、ザクが様々なポーズをとっても、動きを妨げない。
パーツを装着するためのジョイントは既存のザクと共通なので、ザクIの新造形のマシンガンを「G.F.F.M.C. MS-06C ザクII C型」、「G.F.F.M.C. MS-06S シャア専用ザクII」で使うこともできる。
このベルトにも塗装が施されている「軟質素材に塗装し、動かしても塗料が剥げない」というのは実はかなりすごい技術で、本商品を生産する工場の自慢の技術だという。「G.F.F.M.C. MS-06C ザクII C型」などの動力パイプもこの技術で塗装されている。
素材と言うところで外せないのはやはりダイキャストパーツだ。“METAL COMPOSITE”という名前の通り、ダイキャスト(金属)パーツを使っているのが本商品のセールスポイントだが、「METAL BUILD」や「超合金」では見える所にも金属パーツを使い、ユーザーがその手触りを楽しむ様にしているが、「G.F.F.M.C. ザクⅠ（シャア専用機）」では敢えて関節部分にダイキャストパーツを集中させている。
このダイキャストパーツが実現しているのが“可動と関節の保持”である。遊んでいて力を込めて動かしても壊れず、しっかり曲がり、ポーズを保持する。膝なども深く曲げられる。「G.F.F.M.C. MS-06C ザクII C型」のインタビューでも触れていたが、腰を落とした膝立ちのポーズがしっかりできる。動かしてポーズを取らせるのが楽しい商品だと稲吉氏は語った。
全塗装とマーキングも本商品のウリだ。膝パーツやや足先など黒い塗装が施された部分は“ラバー塗装”というまるでゴムでくるんだかのような質感になっていて、こすれに強くなっている。関節部分は金属で「実際のロボットが存在すれば関節はこうなっているのではないか」という想いが込められている。そしてマーキングはこちらもカトキハジメ氏が本商品のために設定したもの。1つ1つのマーキングにきちんと意味を考察して設定しているという。
「肩のバーニアや、マーキングなど、本商品のディテール1つ1つに考察がなされ、意味を盛り込んでいます。『意味のあるデザイン』になっていて、それを再現したというのががこの商品の大きなセールスポイントなんです」と、稲吉氏は語った。
さらに拡張性だ。「G.F.F.M.C. MS-06C ザクII C型」、「G.F.F.M.C. MS-06S シャア専用ザクII」を持っていれば装備を交換して遊びの幅が広がる。両方に楯をつけることで「黒い三連星ガイア機」の様な装備にできるし、バズーカーを多数装備させる「フル装備」にすることもできる。これまでの商品を持っていれば様々な遊び方ができるのだ。
最後にユーザーへのメッセージとして稲吉氏は「『G.F.F.M.C. ザクⅠ（シャア専用機）』は、これまで好評を頂いた『G.F.F.M.C. MS-06C ザクII C型』、『G.F.F.M.C. MS-06S シャア専用ザクII』のノウハウを活かした最新作となります。ぜひてにとっていただければとおもいます。よろしくお願いします」と語りかけた。
商品ならではのアレンジが加えられた「METAL BUILD」とは味わいが異なり、原作の機体にディテールを追加した方向性の「G.F.F.M.C. ザクⅠ（シャア専用機）」は、独特の渋い雰囲気がある。ワガママではあるが、この方向のドムもとても見てみたいと感じた。「G.F.F.M.C.」シリーズでは既にアニメには登場しないガンダムも商品化されており、今後の広がりにも大いに期待したい。
直近の展開としては、先日魂ブログのサンプルレビューに「G.F.F.M.C.」の新商品として「黒黒い三連星仕様の高機動型ザクII」の写真が1点だけ公開されていた。今後こちらの情報公開も楽しみである。
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