インタビュー

「バイタルブレス デジタルモンスター」開発者インタビュー

ウェアラブル端末でユーザーとデジモンがリンクする。進化を遂げた育成ゲーム

【バイタルブレス デジタルモンスター】

2021年3月13日 発売予定(予約受付中)

価格:

[通常版]
6,380円(税込)
[プレミアムバンダイ限定版]
7,260円(税込)

 バンダイから「デジタルモンスター」の最新アイテム「バイタルブレス デジタルモンスター」が発表された。発売は2021年3月13日。今度の「デジモン」はスマートバンド型となり、育成要素は「デジモン」らしさ全開ながら、ウェアラブルデバイスであることを生かした新要素も満載の注目アイテムとなっている。

 「デジタルモンスター」は1997年に発売された携帯型ゲームで、液晶画面に映った卵から生まれるモンスター達を育成し、他のユーザーとの対戦なども行なえるゲームだ。「デジモン」の愛称でアニメやゲーム、おもちゃなどが展開されている。2020年4月より新作アニメーション「デジモンアドベンチャー:」の放映が開始され、子供時代に「デジモン」シリーズを体験した世代と、そのジュニア世代の2世代間で盛り上がりを見せている。

【[EP1: NEW DIGITAL MONSTER BEGINS] DIGIMON PROJECT 2021/デジモンプロジェクト2021】
【[バイタルブレス デジタルモンスター] 商品PV VITALBRACELET DIGITAL MONSTER~あなたの日常が遊びに変わる~】

 今回発表された「バイタルブレス デジタルモンスター」は、携帯液晶ゲーム版の最新型といえる内容で、現代のライフスタイルに合わせたウェアラブル端末としての機能を「デジモン」の育成に直結させたアイテムとなっている。大幅なリニューアルを遂げた新たな育成デバイスとなるこのアイテムの開発担当者にインタビューを敢行し、詳しい機能や開発秘話などを訊いた。

「バイタルブレス デジタルモンスター」企画担当の関戸大彦氏

カラー液晶のウェアラブル端末、それが2021年の「デジタルモンスター」

――大幅なリニューアルを遂げた「バイタルブレス デジタルモンスター」ですが、まずは発売されるまでの経緯からお聞かせください。

関戸氏:弊社としては、近年はアニメの「デジモン」シリーズから派生する商品を展開させていただいていましたが、その原点となるのは1997年に発売した「デジタルモンスター」という、キーチェーン形で白黒液晶画面を備えた育成バトルゲームでした。そのリリースから23年が経過しており、その間もいくつものデバイスを発売しています。現代の技術で進化させた初代「デジタルモンスター」を発売するなら、一体どんなものがいいかというアイデアは企画ベースでは常に考えていました。そんな中で、バンダイナムコグループとして「デジモン」リブートプロジェクトが去年1月から会社全体でスタートすることになりました。その動きに合わせるように、この企画も具体的な形となって現在に至るという経緯です。

――携帯ゲームの「デジモン」としては、正統進化という印象がありますね。

関戸氏:かつての携帯液晶ゲームや初代アニメ「デジモンアドベンチャー」などのファンに向けた商品としては、通販サイトであるプレミアムバンダイにて当時の商品を復刻して販売するという展開が続いていたんです。それが「デジタルモンスターX」や「デジモンペンデュラムZ」、「デジヴァイス Ver.Complete」といった商品となるのですが、これらは機能を大幅に変えることなく、世界観や登場するモンスターを拡張させたり、大人が楽しめるスペックにアップデートしたものだったんです。

関戸氏の前に並んでいるのが、過去にリリースされた「デジタルモンスター」の玩具シリーズ

――「バイタルブレス デジタルモンスター」は、デザインや機能などが現代のトレンドに合わせた内容になっていますね。

関戸氏:過去の商品もそうなのですが、玩具の「デジモン」シリーズは、発売当時の最新プロダクトの技術やデザインなどを反映させつつ、過去から残すべき要素を融合させるというコンセプトで商品化をしてきました。今回は原点回帰を意識し、初代「デジタルモンスター」から受け継ぐ、「携帯型」と「モンスターを育成・進化させてバトルをさせる」という内容を継承しつつ、それを現代の形へとアップデートしたのが、このスマートバンドの形なんです。

 昨今はスマホと並んでスマートバンドがウェアラブルデバイスとして日常的に使われていますが、この企画をブラッシュアップしているさなかにウェアラブル端末という選択肢が出てきて、着用者の歩数や心拍数を計ってログを残せる機能をデジモンの育成や進化に転換できるのではないかと考えたんです。

――デザインも一般的なスマートバンド風で、画面もカラーなんですね。

関戸氏:はい、画面は80ドット×160ドットのカラー液晶になりました。カラー液晶は「デジモンクロスローダー」で採用していたことがあるんですが、それは遊び自体が「デジタルモンスター」とは少し違っていて、23年前からの「育成・進化・バトル」という遊びの系譜を純粋に継承したシリーズとしては今回が初めてとなります。これまではその電力にボタン電池などを使っていましたが、今回はリチウムイオン電池を内蔵して、充電ができるようになりました。

ver.BLACK、ver.WHITE、ver.SPECIALの3カラーを展開

――ウェアラブルデバイスということですが、対象年齢はどのあたりに設定しているのでしょうか。

関戸氏:初代「デジモン」が発売された1997年から、初代「デジモンアドベンチャー」が放映された1999年ぐらいにはまった世代が、今の20代後半から30代前半のファンの方々なんですが、そこからさらに新しいファンを獲得すべく、お子様でも遊べるように対象年齢を8歳以上に設定しています。

画面には育成中のデジモンが表示される

――お子様から大人まで楽しめるものなんですね。

関戸氏:はい、最近の遊びのトレンドは、世代がボーダーレス化してきていて、子供は大人が使っているものに憧れますし、中には大人子供関係なく生活の中に浸透している印象もありますので、幅広い皆さんが楽しめるようなデザインや設定を目指しています。

歩数と心拍数を「バイタル値」へと変換し、それがデジモンの糧となる

――この「バイタルブレス デジタルモンスター」で一体どんなことができるのか、改めて解説していただけますでしょうか。

関戸氏:「デジタルモンスター」の基本となる、「育成・進化・バトル」という部分は継承しています。これまでのシリーズでは、お世話やバトルなどは、端末のボタンを押しての操作が必要だったんですが、この「バイタルブレス」の育成では、その都度の入力は省略して、端末で得られるユーザーの歩数と心拍数を数値化したものを、画面に映っているデジモンに反映させる仕組みにしたんです。

――ウォーキングや運動などでユーザーが動けば、それが育成に繋がるというわけですね。

関戸氏:そういうことです。「ユーザーとデジモンがリンクする」というテーマを掲げ、これを「PULSE LINK」と呼んでいます。画面のデジモンはユーザーの活動に合わせて、活発に動いていたり寝ていたりするといった映像の演出を施しています。ユーザーの動きによって溜まった数値はデジモンに反映されて、進化やバトルの状況に影響が出るようになっています。

――具体的にユーザーのどういったデータを取っているのでしょうか。

関戸氏:具体的には内蔵の加速度センサーによる歩数と、本体裏の接触式心拍センサーによる心拍数ですね。その値を参考とした「バイタル値」という値が算出されて、それがデジモンの成長の糧となります。

――ユーザーの動きが育成に反映される場合、同じ生活サイクルですと、同じような結果にしかならないような気がするんですが、そこはどう対処されているんでしょうか。

関戸氏:人の行動には必ずクセがあって、それが面白いところなんですが、自分の日常の変化によってデジモンの状況やその先の進化に影響します。活動データの数値の他に、プレイ中に課せられる「ミッション」のクリアやバトルの戦績などがかけ合わさることで、育成するデジモンの様子が変わるようにしています。ですので、普段の生活に加えて、バトルを積極的に行なったり、ミッションに関わる運動や行動を行ったりすることにより、進化の分岐が変わっていきますので、色々と試していただきたいですね。

――例えば常に運動をしていれば強くなったりするんですか?

関戸氏:いえ、実はデジモンごとに適した育成環境下に置いてあげることが大事なんです。ですので、ストイックに運動をすることでデジモンが強くなるのかというと、そうではないこともあるので、そこを模索することも育成の楽しみとなるわけです。

――逆に家にずっといた場合でも進化はするんですか?

関戸氏:もちろんです。進化はタイミングですし、進化させるか否かの選択も可能ですので、どのようなことをするとどう進化するかは、ぜひ皆さんで解き明かしていただきたいですね。

おなじみの歩数計機能を搭載。運動量としてデジモンの進化に影響する
運動ミッションにはその場でスクワットを20秒間行なうなどがある

――一度に育てられるデジモンは1体のみなのでしょうか。

関戸氏:「バイタルブレス」の中には、2体まで保存することができるようになっていて、画面に表示されている1体が育成対象となります。さらに育成する種類を増やしたい場合は、アプリを使うことで、そちらに保存ができるようになっています。

――育成をしていくうえで、デジモンが死んでしまうようなことはあるのでしょうか。

関戸氏:ユーザーとデジモンがリンクする内容なので、長時間放置するなどして、糧となるバイタル値が増えない状態が続けば最終的にデジモンは死んでしまいます。またバトルによってケガを負った状態になることがあり、その状態でバトルを繰り返すと危険な状態になり、死んでしまうこともあります。もしケガをしてしまったときはバトルなどは行わず、デジモンを休ませてあげることが必要となります。

――ちなみにデジモンに寿命はあるんですか?

関戸氏:いえ、寿命でデジモンが死んでしまうことはありません。

――今回登場するデジモンの種類はどのぐらいいるんでしょうか。

関戸氏:具体的な数はまだ言えませんが、デジモン自体は既に1,000種類以上が存在してますので、今回も過去のデジモンの進化の系譜をフィーチャーして皆様にお届けしようと考えています。さらにそこには、この「バイタルブレス」の象徴となる新デジモンも登場します。また別のデジモンを追加する手段としては、別売りの「Dimカード」を使用することで、増やすことも可能です。

新デジモンの1種「バルクモン」の姿が見える

――この「バイタルブレス」の開発で苦労した点はありましたか?

関戸氏:「デジモン」を作っているというよりは、スマートバンドを作っているような感じでしたね。歩数を反映させるものはこれまでのシリーズでもあったんですけど、心拍数は他のおもちゃでもあまり例がなく、さらにそれをデータ構築して、育成に反映させるというのは、結構ハードルの高い作業でした。また画面をカラーにしたことで、これまでのドット絵を一旦全てリニューアルして、さらにアニメーションをさせなくてはならないので、物量的な苦労もありました。他にもデータをワンタッチで転送するところとか、物作りとしては新しいチャレンジをしているので、今も最後の検証をがんばっているところです。

NFC端末に接触させる「TOUCH LINK」によってバトルが展開。またアプリを介したバトルも用意

――デジモンのバトルはどのようなシステムになるのでしょうか。

関戸氏:バトルは今回進化した要素の一つで、こちらも昔はボタンを押してバトルを繰り広げていたんですが、この「バイタルブレス」では、NFCを内蔵したスマートフォンや街中の自動販売機などに設置された電子決済機、カードキーのリーダーなどにタッチをすることで「TOUCH LINK」が作動し、デジモンがエンカウントしてバトルが始まり、オートバトルにより結果が出るようになっています。

――エンカウントとなると、例えば相性が悪かったり、力量差があったりする可能性がありそうですが、その場合はどうなるのでしょうか。

関戸氏:どうしてもかなわないデジモンが出てくる可能性はゼロではないので、今回「逃げる」ボタンを用意しました。「これはヤバい」と思ったときにボタンを長押しすれば逃げられるようになっています。

――相手の強さはすぐにわかるんですか?

関戸氏:はい、演出を見ていただければ、直感的にその強さが分かると思います。自分の進化の段階と比べて、あまりに強そうな場合は逃げたほうがいいんですが、ある程度の能力差は相性などで補うこともできます。よほど強さがかけ離れている場合でなければ勝てる可能性もあるので、チャレンジしてみるのも手ですね。

敵との遭遇演出で対戦相手のデジモンが表示。演出と絵を見れば相手の成長段階が分かる仕様

――ユーザー同士の対戦はできますか?

関戸氏:本体に付属する専用の「VS Dimカード」を使って、育てたデジモンを一時的に他のユーザーの端末に移動させることで対戦が可能です。また専用のスマホアプリを介し、全国のユーザーが登録したデジモンとの対戦もできます。

――本体同士の通信による対戦はないんですか?

関戸氏:「バイタルブレス」の通信機能が、スマートフォンやNFC機器との通信に特化していて、本体同士で直接通信する手段がないため、Dimカードやアプリを使うシステムとさせていただきました。

――バトルにはランキングがあるそうですが、これはどのようなものになるのでしょうか。

関戸氏:専用のアプリでは、ユーザー同士の対戦のほか、協力して強大なデジモンと戦うレイドバトルなどができる予定でして、そこでの「バトルランキング」を用意する他に、この「バイタルブレス」を使っているユーザーさん本人のデジモンテイマーとしてのランキングを用意する予定です。どのぐらいのデジモンを育成・進化させて、どれほどの勝負をしたのか、みたいな総合評価のランキングですね。

――たくさん歩いたり運動をしたりということは、ランキングに繋がったりするんでしょうか。

関戸氏:そこはデジモンの育成と同様に、常に運動をし続けることが一概にいいことというわけではないので、ランキングに直接影響があるわけではないですね。

専用のスマホアプリと連動させることで、育成やバトルの幅が大きく広がる

――専用のアプリについてもうかがいたいのですが、連動することでどんなことができるんでしょうか?

関戸氏:スマートフォンに入れて使うアプリで、本体と通信をすることで育成中のデジモンが演出とともにアプリに送られる仕組みになっています。アプリに移したデジモンは、行動の様子や進化の過程といった全てのログの閲覧が可能です。またアプリの中には「デジモン図鑑」があり、進化した過程のデジモンが開放されて、どうすればそのデジモンになるのかのヒントなどが分かるようになっています。

 アプリでは先ほどお話したようにバトルもありまして、オンラインに登録されたユーザーのデータがあって、そこから相手を選んでバトルをしたり、イベントなどで配信される強大なデジモンに対してユーザーみんなが協力して戦うレイドバトルを用意する予定です。
※NFC機能を搭載したスマートフォンのみで使用できる機能です。

――スマホアプリにデジモンの個体を保存できるということですが、それはどういう仕組みになるんですか?

関戸氏:状態確認やバトルをするためにアプリに送ったデジモンは、「バイタルブレス」に戻すという手順が必要なのですが、そのままアプリ側に保存しておくことも可能で、もし別のデジモンを育てたいというときは、それを転送することで、育成対象を変えられるようになっています。まだ具体的な数はお話できませんが、アプリには複数のデジモンを保存できるようにする予定です。

――付属するDimカードは、どういったもなのでしょうか。

関戸氏:Dimカードは「バイタルブレス」にあるスロットに差し込むことで、新たなデジモンのデータを送り込むことができるアイテムです。Dimカードの内部は、デジタルワールドのエリアの一つという設定があり、そのエリアに生息するデジモンの卵を「バイタルブレス」に送って、それを育てていくという形ですね。

 これまでの「デジタルモンスター」シリーズは、新しいデジモンが登場するバージョンがリリースされるたびにハードを買い足さなくてはならなかったのですが、今回は新しいデジモンやエリアをDimカードに収録しているので、カードの購入のみで拡張が可能になっています。

育成できるデジモンの種類はDimカードで拡張

2021年3月13日発売予定の「Dimカードセット EX デジモンアドベンチャー:」1,760円(税込)
2021年4月上旬発売予定の「Dimカードセット Vol.1 ボルカニックビート&ブリザードファング」1,760円(税込)

――早期購買特典としても、このDimカードが付属するそうですね。

関戸氏:はい、こちらは「トライアル版」として、黒いアグモンが生息するエリアが入った「ブラックロアーDimカード」が数量限定でもらえるキャンペーンです。また、この早期購買特典は、Dimカード以外にも、デジモンカードゲームで使えるバイタルブレスの新デジモン「パルスモン」のカードや、月刊Vジャンプ特別編集による小冊子「デジモンスタートガイド」も付属する豪華セットとなっています。

早期購買特典の「ブラックロアーDimカード」

――来年3月13日の発売に向けて、ユーザーの方にメッセージをいただけますでしょうか。

関戸氏:「デジタルモンスター」は、皆様に長く愛されて20年以上が経過する液晶玩具発祥のコンテンツということで、長い歴史もありますし、ユーザーさんも凄く熱心に愛していただいていますので、原点回帰をテーマに、今あるべき「デジタルモンスター」がどういうものなのかをしっかり考えて、満足していただける商品になっていると思いますので、ぜひお手にとっていただければと思います。すでに、予約開始していますので、是非、ご予約の上、早期購買特典をゲットしてもらえると嬉しいです。

――発売を楽しみにしております。ありがとうございました。