インタビュー
ガトリングガン!? トイガン「ハイパークラッシャー」でX-SHOTがブレイク!!
これからX-SHOTはどう盛り上がるか、販売戦略をバンダイ担当者に聞く
2021年2月16日 00:00
- 【クールストライカーハイパークラッシャー】
- ジャンル:トイガン
- 開発元:ZURU
- 発売元:バンダイ
- 価格:7,678円(税込)
- 発売日:2020年11月21日
- サイズ:全長約700mm
- 【クールストライカークイックスライド】
- ジャンル:トイガン
- 開発元:ZURU
- 発売元:バンダイ
- 価格:2,398円(税込)
- 発売日:2020年12月
- サイズ:全長約275mm
スポンジ系トイガンと聞いて思い浮かべるのは「ナーフ」という言葉だろう。しかし、実際に「俺ナーフ持ってるぜ」というヤツから話を聞いてみると、それ「『X-SHOT』だから!」というケースが多い。まあ、そもそも世間的には「スポンジ系トイガン=ナーフ」という認識しかされてないのが少し歯がゆいところである。
詳しくは後述するが、ナーフという知名度の高いブランドがあるため、X-SHOTは世間的には不遇な立ち位置にあるように思う。しかしX-SHOTを実際に使ってみるとナーフより「当る」ブラスター(銃)も多い。正直なところ、ナーフ系のサバイバルゲームに参加していて、ナーフのブラスターにヒットとられるより、X-SHOTに仕留められることのほうが多い気がするレベルだ。ということで、ナーフイチオシに見せつつも、裏で自称X-SHOTアンバサダー的に活動しているひともすくなくない。
そんな、X-SHOTだが、昨年日本での販売代理店がシー・シー・ピーから、バンダイへと移管された。「この先日本ではもうX-SHOTが売られなくなるのか?」と、涙で枕を濡らす日々だったが、無事に日本での発売は継続。新作「ハイパークラッシャー」に引き続き、昨年12月には「クイックスライド」が発売された。
そこで今回は、ファンが気になる今後の日本展開を探るべく、バンダイカテゴリーデザイン部の七里洋子氏に話を聞いてみた。
知名度はもう少しだけど実射性能の高さがウリのX-SHOT
今回はまず、「バンダイのX-SHOTでの戦略」から聞いていきたい。バンダイのカテゴリーデザイン部としての最初に立てた戦略は「X-SHOTが何かを知ってもらうこと」だったという。世間的にはスポンジ系トイガンはすべてナーフと呼ばれることが多く、HOBBY Watch の読者の中にも同じ認識の人がいることだろう。
改めてX-SHOTについて簡単に解説すると、X-SHOTの開発元はニュージーランドでスタートした「ZURU」社で、本国を始め世界各国で商品展開をしている。ナーフのハズプロ社がアメリカの企業であるためか販売戦略も異なっており、ナーフが自社オリジナルのブラスターに加え「スターウォーズ」や「フォートナイト」といったコラボモデルがあるのに対し、ZURU社は一貫してオリジナルブラスターのみを開発し続けている。
とはいえ、ナーフ同様多彩なシリーズ展開はしており、日本でも過去に発売された「バグアタック」だけでなく、「ゾンビ」や「恐竜」をテーマにしたシリーズもある。また、通常のスポンジ系ブラスターだけでなく、「水鉄砲」、「レーザーガン」、「弓」など、ひととおり発売されているといってもいいだろう。
しかし、2020年4月にシー・シー・ピーから、バンダイへと販売が移管されて七里氏が直面したのは、“「X-SHOT」の魅力をユーザーに訴求しきれていないこと”だった。そこで、バンダイ流の販売戦略ノウハウを活かし、まずはCM制作を行った。対象年齢は8歳なので、子どもが見るテレビのオンエア枠で放送し、興味を持ってもらうとともに、購買意欲を推進させる狙いだ。実際のCMを見たが、アメコミ風の演出が効いた、ワクワクする映像だった。これを見たら、子どもじゃなくても欲しくなるだろう。
放映が子ども向けの時間帯だからといって、ターゲットが子どもだけというわけではい。もちろん、CM自体は「子どもに対して、ちゃんと商品アピールしたい」という考えからだが、大人なら自分たちで情報収集できるので、心配はしていないのだという。実際、これまでテレビや雑誌などで露出が少なくても、X-SHOTの販売数はかなりあったという。だから、CM施策はこれまで以上に売るための戦略のひとつなのだ。
しっかりしていて価格は抑えめ、電池いらずもオススメ!
七里氏が初めて撃ったX-SHOTは「マイクロ」という商品とのこと。小さいからといって油断していたら予想以上にしっかりと撃てるので、X-SHOTの持つポテンシャルに驚いたという。
筆者の個人的な感想だが、X-SHOTは値段が安いのにナーフよりも遙かに性能がいい。これは、この記事を書いているから忖度しているわけではなく、実際、僕もナーフ系サバイバルゲームに参加するときは、メインアームのひとつに「ターボアドバンス」、サイドアームに「リフレックス」などを携えていることが多いからだ。
それというのも、初めてサバゲーに参加したときに、ナーフでは届かなかった遠距離からX-SHOTでスナイプされたから。だから、これまでX-SHOTに抱いていた「安かろう悪かろう」というイメージから、「香り松茸、味しめじ」という感じで、X-SHOTはナーフより価格は安いが実用性も高い、きちんと的に当たる商品という印象を持った。
七七里氏も担当者として「X-SHOTは比較的リーズナブルですが、機能性が高いので、より多くの方に手に取っていただきたい」という想いも持っている。実は、これまでシー・シー・ピーから発売されて いた既存の「クールストライカーシリーズ」の商品については、2021年の2~4月くらいからパッケージをリニューアルして販売を再開予定だが、値段は据え置きで販売するとのこと。「もしかしてX-SHOT買えなくなるのでは?」と心配していたファンは安心して欲しい。
ただし、七里氏によると、このリニューアルによって、今後はX-SHOTおなじみの「缶のカタチをしたターゲット」が付属しなくなるとのことだ。実はセット内容リニューアルは他国では既に行なわれるので、缶ターゲットがなくなるのは日本だけの話ではないのだ。個人的にこの缶ターゲットは、当ると2つに割れるので、撃っていて気持ちがいい。もし、気になる人は、市場在庫を買っておくといいだろう。
なお、この缶ターゲットは、年末から購買キャンペーンの景品として先着配布されていたようだが、あっという間になくなってしまったらしい。ちなみに、この缶ターゲットがなくなる代わりに、今まで以上に弾が多く付いているとのことだ。弾を無くしたりしやすい人には嬉しいリニューアルだろう。
また、これはスポンジ系トイガンに共通していることだが、安全性が高いのも魅力のひとつだ。七里氏によれば「日本では“トイガンは怖い”というイメージもあり、手に取られたことのない方には危なく見えるかもしれませんが、日本で発売されているアイテムはバンダイの厳しい製品安全検査をクリアしていますし、アンケートなどでは親御さんからスポンジなので安全でよかったと言われます」とのこと。僕自身もそうだが、いくらトイガンが好きでも、エアガンを使ったサバゲーは敷居が高い。また、自宅で撃つにしても、BB弾をばらまいてしまいそうで結構気を遣う。その点、スポンジ系トイガンは、当っても痛くないし、弾も拾いやすいので片付けるのも楽だ。ゲーム感覚で撃って遊べるだろう。
ちなみに、ほかのアンケート結果としては、電池不要なのも親御さんにウケがいいらしい。そう聞くと、X-SHOTには、電動ブラスターがないことに気づいた。電動ブラスターはコッキングがいらないので、銃らしいアクションになるのは嬉しい。だが、購入したあとに「単一電池6本使用」と言われると、一気にテンションが下がる。そういう意味でも、X-SHOTはお財布に優しいトイガンといえるだろう。
バンダイ版X-SHOT第1弾は35連のガトリングガン「ハイパークラッシャー」
そんな中、バンダイから発売されたX-SHOTの第一弾が「クールストライカー」シリーズの「ハイパークラッシャー」だ。「ハイパークラッシャー」は、35連の弾帯がついたガトリングガン。そのパワフルさに、X-SHOTのファンも圧倒されたハズ。まさに、バンダイデビューに相応しい商品だといえる。本国では夏に発売され、本ではクリスマス商戦に合わせて11月に発売された。
七里氏のオススメポイントのひととしては、「弾を発射する時の勢いがいい」を挙げていた。僕も初めて撃ったとき、コッキングとともにバレルが回転し、トリガーを引くことでダーツ(弾)を撃ち出す。正確にはこのふたつは連動していないのだが、コッキングしてから発射の動作までのタイムラグがないと、ガトリングガンやミニガンを撃っているような気分になって爽快感がある。
また、弾帯がついているのも特徴のひとつで、七里氏によれば「ランボーっぽくてカッコイイ」とのこと。実は僕も同じように思い、筆者のYouTubeチャンネルで「ハイパークラッシャー」を紹介したとき、弾帯を身体に巻き付けていた。なお、付属の弾帯では35発ぶんなので短いが、海外では弾帯とダーツのセットが売られているので、これを大量購入して、全210発の変態仕様にしてみたのだ。
ちなみに、身体に巻き付けると弾帯が動きにくくなるので、実用には向かないことを付記しておこう。せっかくなので、オプションの弾帯販売は予定にあるかを七里氏に聞いてみたが、現状予定はないので「まずは35連を楽しんでください」とのことだった。しかし、もっと撃ちたいという声があったら検討したいとのことなので、リクエストしてみるのもいいだろう。
なお、この「ハイパークラッシャー」のオリジナル名はただの「クラッシャー」である。そこで、名称追加の理由を七里氏聞いてみたところ、「子どものオモチャなので、子どもが理解しやすいとか、響きがカッコイイ名前にしている」とのことだ。せっかくなので、「クールストライカー」というシリーズ名の謎にも踏み込んでみた。
実は、本国では「EXCEL」というシリーズ名なのだ。こちらも、変更理由は上記と同じなのだが、商標的に紛らわしい部分もあったという。たしかに、この名前は、子どもがわかりにくいだけでなく、某表計算ソフト思いださせる。個人的にも、この「クールストライカー」と名前はとてもカッコイイと思うし、本体のカラーリングとベストマッチしていると思う。