インタビュー

「threezeroX竹谷隆之 イデオン」、竹谷隆之氏・threezeroインタビュー

アクションフィギュアとして、可動と自重を支える強度に工夫


香港のフィギュアメーカーthreezero。その商品は、中国だけでなく、日本や欧米でも人気が高い

――「threezeroX竹谷隆之 イデオン」の企画はどのように立ち上がりましたか?

threezero:竹谷さんとthreezeroのCEOキム・フン・ウォンは長年の友人です。キムは竹谷さんのアーティスティックな造形スタイルのファンですし、竹谷さんもthreezero製品の再現度と精巧さを気に入っていただいております。そこで何かコラボレーションができないかと、2015年から動き始めました。

――イデオンをモチーフにしようとした理由はなんでしょう?

threezero:デザイナーが自由にできてこそ素晴らしい商品が生まれるというのがキムの考えですので、threezeroは常にデザイナーを尊重しております。そうすることによって、製品はデザイナーを代弁し、ユーザーにその背後にある物語や魂を伝えることができると考えております。このプロジェクトでは、竹谷さんのスタジオで打ち合わせしたところ、竹谷さんが一番興味を持たれていた原作作品が「伝説巨神イデオン」だとわかり、それはthreezeroのロボット・フィギュアのスタイルともぴったり合致しておりましたので、イデオンをモチーフにすることに決定しました。


【竹谷氏のデザインを再現】
竹谷氏のイメージを忠実に再現しようという意気込みが伝わる造形

――今回のイデオンの「テーマ」はなんでしょうか?

threezero:イデオンを題材として選んだ後、今度はどの方向性で進めるかを竹谷さんと話し合い、劇中の設定に則って「太古に滅んだ異星人の古代遺跡」を思わせる見た目でアレンジするというテーマに決まりました。また、その表面には異文明を感じさせるようなディテールをびっちり施すという案も話し合いました。

 この基本的方針の他は、具体的なデザインやディテールは全て竹谷さんにお任せしました。threezero開発部のテーマとしては、竹谷さんの手による原型および塗装を再現し、かつそれをフル可動フィギュアにするというものでした。

――これだけの大きさ、高価格の商品にしようと思った理由を教えてください。

threezero:竹谷さんの描いたイデオンのデザイン画では、頭部が胴体に比べて小さめでした。頭部のディテールをしっかり作り込むためには全高は42cm~46cmくらいがベストという竹谷さんの提案にthreezeroも賛同し、この迫力の大サイズでの商品化が決まりました。大きいサイズですと、可動を仕込む上でも都合が良かったです。

 threezeroが気にしていたのはとにかく竹谷さんの原型を100%再現することでして、竹谷さんとthreezeroのコラボレーション第一弾としてこのアイテムをマスターピースにすることが必須でした。よってコストによって制限がかかるべきではないと考えましたし、また価格が高めでもファンの方々は受け入れてくださるだろうと考えました。

――可動フィギュアとしての工夫ポイントはどこですか

threezero:難しかったのは、各パーツを分割して関節と可動を設計することでした。如何に見た目を損なわずに可動まわりを設計するか、開発チームはいろいろと工夫しました。可動域だけでなく、自重を支えられるだけのしっかりとした関節にすることも必要でしたが、最終的に開発チームは亜鉛合金ダイキャスト製の可動フレームの採用により、見事にそれをやってのけました。


【優れた可動】
外見から想像できないほど広い可動範囲。大きくイメージが変わるのも面白い

――合体変形を採用しなかった理由はなんですか?

threezero:このデザインのコンセプトは、イデオンが「謎に包まれた第六文明人の古代遺跡」であることを強調し、人類とは大きく異なるテクノロジーの産物であると見せることです。竹谷さんによってアレンジされたロボット形態でのデザインは、これを十分表現できているものだと考えました。

 また竹谷さんの中では、これがアニメ作品中のように3つのビークルに分離・変形するとしたら、それは3DCGのモーフィングの様な感じで行われるのでは、という考えがありました。ですがそれはフィギュア実物では再現が難しいものでしたので、見送りました。

――このフィギュアのセールスポイントはどこでしょうか?

threezero:人気ロボット作品「伝説巨神イデオン」を竹谷さんがアレンジするのはこれが初の試みです。そして商品では竹谷さんが手掛けた原型と塗装をほぼ完ぺきに再現しております。また、threezeroの持つ大サイズの可動フィギュアを作る技術として、threezeroのPREMIUMシリーズと同等の亜鉛合金ダイキャスト製可動フレームが採用されています。

 これらが相まって、他に比類するものが無い可動フィギュアがここに誕生いたしました。ユーザーの皆様には、そのアーティスティックなデザインと緻密なディテールのみならず、イデオンに命を吹き込むしっかりとした可動やLED発光ギミックも楽しんでいただければと思います。

――様々なポイントの中で、企画者の個人的な一押しのポイントは?

threezero:竹谷さんによる芸術的なデザインと造形が、大サイズのフル可動フィギュアとして自由にポージングして楽しめるという点です。


【全弾発射!】
印象的な全身からミサイルを放つポーズもきちんと取れる

――改めて商品化ができるようになったことでの感想をお願いします。

threezero:竹谷さんは5年近くの歳月を掛け、この大サイズで緻密な造形を作りあげてくださいました。threezeroはその成果を大変気に入っております! また、これをフル可動フィギュアとして仕上げるのに尽力してくれた開発チームに対しても誇らしく思います。そしてライセンサーであるサンライズさんへも、この企画とアレンジ版デザインをご快諾いただいたことに大変感謝しております!

――最後にユーザーへのメッセージを。

threezero:この「threezeroX竹谷隆之 イデオン」の荘厳さを、是非手に取って楽しんでいただければと思います。きっと触るたびに新たな発見があることと思います。