インタビュー

「threezeroX竹谷隆之 イデオン」、竹谷隆之氏・threezeroインタビュー

「非情な設計思想で自分たちよりも上の存在を造ってしまった」、竹谷氏のイデオンのイメージ


原型師・造形師の竹谷隆之氏。写真はthreezeroのブログから

――竹谷氏にとってイデオンはどのような作品であり、ロボットであるイデオンに対してはどんな想いを持っていますか?

竹谷氏:はじめてテレビで観た当時は、その物語が描く「人間の度し難さ」に圧倒されて見入るばかりでしたが、時間が経ってあらためてこの作品の世界の中で楽しんでみようと思った時に、イデオンを造った第6文明人のことが気になって仕方なくなりましたし、そもそもイデオンはどんな目的で造られたのか、どうして地中に埋まっていたのかなどなど……不思議な魅力がある存在ですね。

――今回、どのような想いでイデオンをアレンジしましたか?

竹谷氏:第6文明人がどんな目的で造ったのか、どんな機能があるのか、を妄想しながらアレンジしていきました。


【第6文明人の遺跡】
竹谷氏は異星文明の機械として、目的や機能まで考えてデザインしたという

――竹谷氏の持つ、このイデオンに込めた“異星人イメージ”とはどのようなものでしょうか?

竹谷氏:地球人よりもはるかにテクノロジーが進んでいるでしょうし、もっと論理的であるがゆえに非情な設計思想で自分たち生物よりも上の存在を造ってしまったのかも……などとイメージしたりしました。

――「巨大な可動フィギュアにする」ということで想いを込めた部分はどこでしょうか

竹谷氏: もともとイデオンが巨大だという設定ですから目の前に存在する立体物としては大きいほうがイデオンらしさが伝わるのだろうなと思いましたし、このデザインが活かせる大きさが最低限このくらいは必要なのではと考えました。ほんとはジャンボマシンダーくらいにしたかったのですがそうもいきませんし……。

――「イデオンらしさ」を強調するためにこだわった部分はどこですか?

竹谷氏:顔とフォルムですかね……。特に顔はもともとのイデオンの顔をよく分析しながら要素を抽出して慎重に作業していきました。もとのイデオンときちんとオーバーラップして“ジム”に見えないようにするにはどうしたら……という考えです。

――改めて立体物としてイデオンを前にした感想をお願いします。

竹谷氏:はやく完成した製品を手にとって動かしてみたいです!そして今度は何千年も経ってるものとして屹立するシチュエーションで仕上げてみたいです!

――ファンへのメッセージをお願いします。

竹谷氏:価格がけっして安くないので、買っていただいた方にはもうほんとに恐縮です感謝です。その上個々の楽しみ方で楽しんでいただけると制作者冥利に尽きますねー。ここを改造したらもっとカッコよくなるな、とか、イデオン波導ガンを作ってみようかな、なんていうのも良い化学変化が起きそうで面白いと思います!

【イデオンらしさにこだわった頭部】
顔に関しては原作のイデオンを良く分析したという

 作り手のこだわりを聞くと商品の魅力がさらに強くなる。筆者にとってもイデオンは想い入れが強い。特に富野由悠季氏自身が執筆した小説は何度も読んだ。小説での鬼気迫る物語展開、テーマも魅力的だが、イデを内包し、その巨大な力を発現させるイデオンは、やはり“巨神”として特別に強い印象をもたらす。

 「threezeroX竹谷隆之 イデオン」は、イデオンの立体物の中でその神秘性に切り込んだ作品であり、色々な意味で“記念碑”といえる作品であると思う。このユニークなプロダクトにファンがどう反応するか、注目したい。