インタビュー

「figma R-TYPE FINAL 2 R-13A / RX-10」開発者インタビュー

人気のケルベロスとアルバトロスを立体化。その開発経緯をフリーイング依田氏に聞いた

【figma SHOOTING GAME HISTORICA R-TYPE FINAL 2

R-13A “CERBERUS”/ RX-10“ALBATROSS”】
発売元:フリーイング

制作協力:プラリーフ、マックスファクトリー

販売元:グッドスマイルカンパニー

発売日:2022年3月発売予定

受注期間:7月27日~8月25日

価格:13,200円(税込)

 FREEing(フリーイング)が2022年3月に発売を予定しているアクションフィギュア「figma SHOOTING GAME HISTORICA R-TYPE FINAL 2 R-13A “CERBERUS”/ RX-10“ALBATROSS”」が、現在グッドスマイルオンラインショップや一般店舗にて受注を受付中だ。受注期間は8月25日まで。

 2021年4月にグランゼーラより発売されたシューティングゲーム「R-TYPE FINAL 2」に登場する空間戦闘機「R-13Aケルベロス」と「RX-10アルバトロス」を「figma」のフォーマットでフィギュア化したもので、もちろん一般販売のアイテムとしては初めての立体化となる。

「figma SHOOTING GAME HISTORICA R-TYPE FINAL 2 R-13A “CERBERUS”/ RX-10“ALBATROSS”」。2022年3月発売予定、価格は13,200円(税込)。黒い機体が「R-13A “CERBERUS”(ケルベロス)」、グレーの機体が「RX-10 “ALBATROSS”(アルバトロス)」だ

 現在はフリーイングの企画としてシリーズ展開されている「シューティングゲームヒストリカ」の最新アイテムであり、figma用関節パーツを採用して可動するフォースなど、プレイバリューのある設計で現在開発が進められている。本稿ではその開発を手がける、フリーイングの依田智雄氏に、その開発経緯や機体選択の理由など、気になる点を聞いてみた。

フリーイング依田智雄氏

「R-TYPE FINAL 2」の発売日決定後に企画を打診したが、そのときはまだどの機体を立体化するかは決まっていなかった

 「R-TYPE FINAL 2」は、1987年にアイレムよりリリースされた「R-TYPE」シリーズの最新作で、前作「R-TYPE FINAL」から18年ぶりの最新作として制作された。開発費を募るクラウドファンディングをKickstarterにて開始。わずか1日で目標額の4,500万円を達成し開発が決定した。最終的に出資者約11,000人から約1億3,000万円の支援を集めた。

「R-TYPE FINAL 2」のゲーム画面。ゲームは発売済みだが、ステージや機体は今後のアップデートで順次追加予定。

 同作は攻防の要となる遠隔操作が可能なパートナー「フォース」と、ため撃ちの「波動砲」を使いこなして進めていく、「R-TYPE」の系譜を受け継いだ横スクロールタイプのシューティングゲームで、ゲームを進め資材を集めていくと、新しいプレイヤー機の開発をすることができるというゲームシステムを持つ。今回立体化されたR-13AケルベロスとRX-10アルバトロスもそれらのプレイアブルな機体に含まれている。

 フリーイングの依田氏は、過去に所属したユージンやタカラトミーアーツ時代に、同じ「シューティングゲームヒストリカ」ブランドで「R-TYPE」シリーズの機体を手がけてきた。そのときに商品の監修などに立ち会った九条氏とも「また何かやりたいですね」と話していていたという。

依田氏の手元にあるのが、R-13AケルベロスとRX-10アルバトロスのサンプル

 時は流れ、昨年「figma Galaxian Galaxip GFX-D001a / Galaga Fighter GFX-D002f」を企画後、次回のラインナップとして立体化してユーザーが喜ぶようなシューティングのコンテンツがあまりなく、新しい企画に悩んでいたときに2019年4月1日の「R-TYPE FINAL 2」開発決定の一報を知り、その日のうちにグランゼーラに打診をし、その日を起点に今回の企画がスタートした。ちなみに同社は2019年に「R-TYPE」のボスキャラクター「figma ドブケラドプス」を発売しているが、こちらは数年前からアイレムソフトウェアエンジニアリングとの交渉により商品化が実現したもので、今回の企画とは直接は関係なかったそうだ。

ファンからの人気が高く、他社から発売されていない2種の機体をチョイス

 気になる機体のチョイスについては、ゲームの開発発表の時点で発表されていた情報が少なく、かといって確実に出るであろう主役機「R-9A」は過去に「シューティングゲームヒストリカ」シリーズや他社からも立体化されていて、さらに本作の限定版に「R-9A」の立体物が付属するということで、立体化の優先度は低めと考えていた。

限定版に付属した組み立て式の「R-9A」メタルフィギュア。金属板のパーツを組み立てる方式のものだ

 「前作の『R-TYPE FINAL』は個人的にもプレイしていたんですが、101機の機体の認知度や人気の度合いを全て把握していたわけではないので、どれを立体化するのがいいかグランゼーラさんに相談をしたんです。そこで薦められたのが、このR-13AケルベロスとRX-10アルバトロスでした。この2機は『R-TYPE Δ』から登場していて知名度もあり、今回の『FINAL2』でも登場することが決まっていて、これまで商品化されていなかったので、この2機種に決めました」と依田氏は語る。ゲームでの使い勝手もよく、フォース部分にfigma関節を使った可動も見込めるというのも決め手となった。

左からR-13AケルベロスとRX-10アルバトロス。本体とフォース、ビット、ディスプレイスタンド等がセットとなる

 R-13Aケルベロスは、敵生命体バイドの破壊衝動を取り込んで、破壊力をアップさせた機体だ。バイド係数の高い「アンカー・フォース」は機体からの有線誘導により、クロー状のコントロールロッドが敵に対して食いつかせて破壊するという機体だ。またホーミング性のある「ライトニング波動砲」を備えている。一方のRX-10アルバトロスは、触手状のコントロールロッドを持つ「テンタクル・フォース」が特徴の試作機で、コントロールロッド開閉させることでショットの攻撃範囲を任意に変更できるという性能を持っている。切り離したときは、敵を自動で狙って攻撃してくれるという、使いやすい機体だ。

R-13Aケルベロス。黒い機体が非常にシャープな印象を与えている。マーキングはもちろんタンポ印刷で再現されるという
アンカー・フォースはゲーム中同様、コントロールロッドが開閉する
RX-10アルバトロス。航空機メーカーが開発したという設定があり、それらしい翼を持った機体となっている
テンタクル・フォースは触手部分に関節パーツを使用。ある程度の角度まで動かすことが可能だ。

 依田氏のもとには既にデコレーションマスター相当のサンプルがあり、そちらも拝見した。ユージン時代にカプセルトイとして発売された「R-9A」よりも二回りほど大きい印象があり、2機が揃うとかなりのボリュームを感じられる。このサイズ感はフリーイングで発売以降のシリーズの機体がどれも全長10cm程度に設定されており、それらに準じたものとのこと。さらに「コレクション性を考えると機体サイズをむやみには大きくしたくはないので、figma関節を仕込むことができる『最小』のサイズから逆算した大きさが全長10cmというのもあります」と依田氏は語る。製品ではR-13Aケルベロスは「アンカー・フォース」のクローが、RX-10アルバトロスは「テンタクル・フォース」の触手に複数の関節が仕込まれ、可動する仕様となっている。

カプセルトイ版「R-9A ARROW-HEAD」(上)とR-13Aケルベロスの比較画像。実物の大きさもかなり迫力がある
figma関節使用箇所を表示したCGデータ。それぞれのフォースや本体ノズルに関節が使用され、可動することがわかる

ゲームのCGを製品とフィギュアとして構築してくれる玩具CAD設計のプロ、プラリーフ氏に開発の協力を依頼

 原型製作に関しては、普段は版元から提供されたゲームのCGデータを3DCGに起こし、それを最後にCADデータにしてもらうという手順で金型用データを製作していたが、今回はCADデータ製作を、玩具のCAD設計のプロであるプラリーフ氏に依頼。ゲームに登場するメカにも精通し、自らガレージキットも製作している同氏は、金型で無理なく抜くことができるパーツの形状や、できるだけ少ないパーツでディテールを再現できるような3DCADデータをゲームのCGデータから直接起こし、精度の高い造形を実現している。

「プラリーフさんには、『ギャラクシアン&ギャラガ』のときにも開発に協力いただいたんですが、立体造形に対して高いセンスを持っている方で、パーツのパーティングラインをできるだけ目立たないように造形してくれしたり、金型でちゃんと成形できる形状にしてくれたりと、玩具として成立する設計をしてくれるんです。設計自体も1回目でほぼパーフェクトに仕上げていただいて、その後は細かいところの修正を数回やりとりしただけでした」(依田氏)と、プラリーフ氏の仕事を賞賛している。

ゲーム内のモデルをレンダリングしたもの。設計の元となるCGだ
プラリーフ氏によってフィギュアとして成立するCADデータが設計され、これがそのまま金型用のデータとなっていく(画像はCADデータをレンダリングしたもの)。取材で撮影したデコマスター(CADデータを3Dプリンターで出力し、彩色したもの)とほぼ違いがないことがわかる。

シューティングゲームの新作をリリースするゲームメーカーを、「シューティングゲームヒストリカ」で応援したい

 気の早い話だが、この「シューティングゲームヒストリカ」でもし「R-TYPE FINAL 2」の他の機体をやるとしたらどれがいいかを尋ねてみると、「あれだけ機体があると、どれを選ぶか難しいですよね。モデルが格好いい機体もありますし、ゲーム中で選びたくなる機体もありますから。でも『R-99』以降の機体なんかはやってみたいですよね。あらゆるフォースやビットを換装可能な“究極互換機体”なので、フィギュアでそれを再現できたら楽しそうだなと思いました。ただこれらの前作で後半に出てきた機体は、『R-TYPE FINAL 2』ではいつ出るのかわからないんですからね。(笑)」(依田氏)と、あくまで個人的な思いとして語った。もちろん今回の2機種のチョイスにも自信があり、「ケルベロスの黒い機体や、アルバトロスのテンタクル・フォースなど見た目はもちろん、性能的にもインパクトもあった機体で、ファンも多いと思います。こちらとしても満を持して商品化できたのは感無量で、今後他社から発売される機会も恐らくないでしょうし、是非お手に取っていただきたいですね」(依田氏)とアピールした。

製品にはそれぞれをディスプレイするためのスタンドなども付属。なおビットは1機につき1個になるとのことだ

 これからの「シューティングゲームヒストリカ」については「いいタイトルがあれば続けていきたいですよね。グランゼーラさんやエムツーさんなど、今の時代に新作のシューティングを出して積極的に盛り上げていて、さらにフィギュアやプラモデルでもシューティングを題材にした商品が発売されていますからね」(依田氏)と、同シリーズに大して明るい傾向があることを述べる。「個人的に『戦刃アレスタ』は気になるタイトルです。復刻ではなく、新作にチャレンジしているタイトルは応援したいという気持ちがあって、商品化ができるのならやってみたいという気持ちがあります」(依田氏)とのこと。同時に他メーカーと競合しないタイトルや素材を選んでいきたい点も強調していた。

製品版もこのデコマスと同等のクオリティを維持して発売になるとのこと。ゲームをプレイして、発売を待ちたい

 今回の2機種の立体化は、「R-TYPE FINAL 2」をプレイしていれば非常に魅力的なアイテムに映るはず。黒いカラーリングが直線的なシルエットを強調するR-13Aケルベロスと、本体以上に存在感のあるテンタクル・フォースを備えたRX-10アルバトロス。画面の中で見ることができたこれらを完成品状態で手に取って楽しめるのはかなり嬉しい体験となるはず。figmaとしての可動も上手く導入していて、これまでのラインナップ以上にプレイバリューがあるのもいいところだ。発売はまだ先となるが、確実に入手できる受注期間は8月25日までなので、忘れずにチェックしておきたい。