インタビュー
黒い三連星の武装を再現! 「G.F.F.M.C. 高機動型ザクII」開発者インタビュー
カトキハジメ氏と稲吉氏の、遊びの幅を広げる多彩なアイディア
2021年8月7日 00:00
- 【G.F.F.M.C. 高機動型ザクII】
- 8月7日発売
- 価格:24,200円(税込)
BANDAI SPIRITSコレクターズ事業部は、アクションフィギュア「GUNDAM FIX FIGURATION METAL COMPOSITE MS-06R-1A 高機動型ザクII」を8月7日に発売した。
本商品はOVA版「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」に登場するMSがモチーフ。ガイア、オルテガ、マッシュの"黒い三連星"が搭乗しルウム戦役で大きな戦果を上げた。「GUNDAM FIX FIGURATION METAL COMPOSITE」シリーズはメカデザイナーのカトキハジメ氏が監修し、様々なこだわりを持って制作されている。
金属パーツを多用したずしりとした重みと全高約180mmの大サイズ、精密なディテールと全身に施された塗装、マーキングと、「完成品MSフィギュアの最高峰」といえるシリーズである。弊誌では1月に発売した「G.F.F.M.C. ザクⅠ(シャア専用機)」に関して、本商品の企画担当BANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の稲吉太郎氏にそのこだわりを聞いている。
今回もオンラインインタビューを行ない、「GUNDAM FIX FIGURATION METAL COMPOSITE MS-06R-1A 高機動型ザクII(以下、「G.F.F.M.C. 高機動型ザクII」)」開発に当たってのカトキ氏のこだわり部分、細かい見所やポイントを聞くことができた。
アニメの設定を"立体物として遊ぶ"ために、様々なポイントでブラッシュアップ!
「G.F.F.M.C. 高機動型ザクII」の最大の魅力はその質感だ。コレクターズ事業部は「ガンダム」をモチーフとしたハイクオリティフィギュアとして「METAL BUILD」、「METAL ROBOT魂」なども展開しているが、「G.F.F.M.C.」は1年戦争のMSといったモチーフ、全塗装の質感などの特徴がある。何より「金属部品を多用したハイクオリティのザクIIのフィギュア」というのは大きな魅力だ。
高機動型ザクIIは、元々は模型企画「MSV」から生まれた。ザクの足部分に大型のバーニア、バックパックも大型化し通常のザクよりも高い機動性を感じさせるザクIIのバリエーションとして強いインパクトがあるデザインだ。「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」の高機動型ザクIIはカトキハジメ氏によりさらにシャープに、カッコ良くブラッシュアップされている。
稲吉氏は「G.F.F.M.C. 高機動型ザクII」本体の注目ポイントとして足のギミックと、バックパックの機能を挙げた。本シリーズは関節の自由度、膝を深く曲げられるギミックへの注力が行なわれているのだが、高機動ザクIIの足はバーニアの増設で大型化している。一方で膝裏のパーツをスライドする機構によりで深く曲げることもできるという。さらに"太もものライン"もカトキ氏のこだわりポイント。他のザクとほんの少しラインが違うのだ。
また大型バックパックも特徴だが、バックパック側面についている推力偏向パドルの可動もカトキ氏がこだわった部分だという。左右に広がるだけでなく縦ロールにまで対応し、ディスプレイ時の表情づけや、持って遊ぶいわゆる「ブンドド」の際も、この偏向パドルを動かすことで、ザクの宇宙を進むアクションのイメージが膨らむのだと稲吉氏は語った。
そして「武装」だ。「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」では、ガイア、オルテガ、マッシュはそれぞれ別々の武装で出撃する。「G.F.F.M.C. 高機動型ザクII」は盛りだくさんの武器パーツで3機それぞれの武装を再現可能だ。ガイア機はこれまでのシリーズでも付属していた「MS用バズーカA型」がメインウエポンだが、左肩がスパイクアーマーではなく右肩と同じL字型シールドなのが特徴。シールドにはバズーカのカートリッジを装着できるので、商品では3つのカートリッジを取り付けられる。
マッシュ機は、「MS用対艦ライフル」。このライフルは新パーツとなる。実はこの銃は「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」の冒頭でシャア専用ザクIIが持っており、「G.F.F.M.C. シャア専用ザクII」を持っていればこのシーンも再現できる。
この対艦ライフルは「マガジン」にカトキ氏のこだわりが込められている。バズーカのカートリッジ同様、複数のマガジンを盾に装着できるのだ。「対艦ライフルは弾薬も大きく、1マガジンではすぐに撃ち尽くしてしまうのではないか? 複数のマガジンを持ち歩いていただろう」とカトキ氏は考え、このギミックを盛り込んだ。このマガジンを盾につけるギミックはアニメにはなく、本商品オリジナルのギミックとのことだ。
そしてオルテガ機の「ジャイアント・ヒート・ホーク」はカトキ氏と稲吉氏の思いがこもった武器だという。全長約260mm、本体より大きい圧倒的な巨体、刃は発熱状態と待機状態を差し替えで再現、柄を組み直すことで柄を短くした携行形態にすることも可能だ。
こだわりは斧の頭部分。左右2つずつ、計4つのバーニアが内蔵されていて、振り下ろす時にバーニアを展開しこの加速によって対象物にすさまじい速度で刃をたたきつけることが可能なのだ。このギミックはカトキ氏のアイディアだが、バーニア展開のギミックを立体化するにあたり「変形による再現」、「差し替えパーツでの再現」の2つの方法があったが、稲吉氏は強く"変形"を推薦した。変形ギミックにすると収納時も考えバーニアが小さくなってしまうが、"玩具としての楽しさ"を優先し、ユーザーの手でバーニアを展開しその活躍を想像して欲しかったと稲吉氏は語った。
「玩具としての遊び」というのは稲吉氏が製品開発において意識している部分だ。「G.F.F.M.C. 高機動型ザクII」でも設定にはないし、運用上の重量バランスなどを考えると難しいかもしれないが、黒い三連星それぞれの武器をすべて装備した「フル装備」や、指揮官マークなどもつけてオリジナルの遊び方も追求して欲しいとのことだ。
さらに台座にもこだわりが。台座には高機動型ザクIIの全長などのスペックが書かれているのだが、ガイア機は両肩がL字シールドなため幅が違うのである。こういった細かい表記がファンの心をくすぐるのだ。このほかマーキングや、各部品の形状など、細かくチェックすればするほど楽しい発見があると稲吉氏は語った。
現在東京は緊急事態宣言下にあるが、秋葉原にあるTAMASHII NATIONS TOKYOでは、「G.F.F.M.C. 高機動型ザクII」を3体セットという非常に豪華な展示を行なっている。今回特別に会場の写真を送付していただいた。さらに参考出展の黒い三連星カラーの「ザクI」も展示されており、要注目だ。
最後に稲吉氏はユーザーへメッセージとして、「今回ついに高機動型ザクIIが発売できました。企画としては今後もラインナップを拡充すべく企画を練っております。もしかしてあの機体も出るかも?……。といった予想も楽しみつつ、今後の情報にご期待ください」と語った。
高機動ザクIIは通常のザクIIの強化版と言える非常にカッコイイデザインだ。「立体化し、遊びの幅を広げる」という想いの元様々なギミックを盛り込んだ「G.F.F.M.C. 高機動型ザクII」はとても魅力的な商品と感じた。ぜひチェックして欲しい。
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