インタビュー
「ブレードランナーの銃」の水鉄砲最新版「爆水拳銃2.0」登場!
2023年4月6日 00:00
確立した「リアル水鉄砲」のノウハウを結集し、新規金型で「2.0」を製作!
「リアルな外見の水鉄砲はユーザーに求められている」という確信を得た小栗氏は様々な商品化を進めていく。「Persuader Canon the WaterGun」は、ライトノベルからアニメ作品へとなった「キノの旅 -the Beautiful World-」に登場する銃。パーカッション式リボルバーと呼ばれる古式銃「ネイビー51」がベースとなった銃で、水鉄砲はその特徴をしっかりと捉えている。
「C-96 Red9 Type WaterGun」はドイツ帝国の制式拳銃である実銃「C96 Red Type」をモチーフとした水鉄砲だ。本商品では中国国内で黒い塗装を施している。この商品の販売から、中国で塗装した商品の輸出が可能となったとのこと。ここからさらにアニメ「ブラックラグーン」の「SWORD CUTLASS the Water Gun」や、コミック「ワイルド7」の「3インチショートバレルウッズマン 飛葉モデル the Water Gun」、弊誌でも取り上げたアニメ「装甲騎兵ボトムズ」の「アーマーマグナム the Water Gun」などなど様々な商品を販売していく。
アルゴ舎の商品を支えているのはもちろん企画や、原型の精度が大きいのだが、中国の工場の技術の高さも見逃せないところだ。小栗氏は「中国のトイガン事情」を説明してくれた。
「中国ではトイガンというのは実は人気の分野で、柔らかい弾を撃ち出すような玩具などもありました。実銃の様なディテールを玩具に落とし込む技術を持っている工場と出会うことができました。ただ、『実銃と100%同じディテールはダメ』とかそういう国内ルールがあって、じゃあ何パーセントなんだと聞くと、98%とか言ってきて、それは玩具化の過程で出てきてしまう誤差なんじゃないの? とかそういうやりとりもしましたが、そういう下地があって、こちらの企画に対して、お客様も満足いただけるようなディテールを持った商品を生産できるようになりました。その中で『C96』からは不透明素材で銃のような部品を作っても税関は大丈夫と言うことになり、日本で塗装せず、商品を量産できるようになりました」。
不透明の塗装済みの商品で中国から直接輸出できることが確立したところで、アルゴ舎は「髙木型弐〇壱九年式爆水拳銃 Vol1.5」を発売する。まず素材がPSから硬質のABSとなり、銃の左側についているロッドの先端のLED部分をユーザーが接着する仕様にしたことでシャープな雰囲気が増した。価格は3,300円となったがこちらも好評を得たという。
そして今回発売される「髙木型弐〇一九年式爆水拳銃 Vol.2.0」となる。前回の「1.5」までは同一の金型を使っていたのだが、より細かいディテールを表現するため、新規金型になった。
「前回まではいわゆる“2つ割/もなか”なんです。左右のパーツを金型で作って貼り合わせて完成。それだとどうしても表現できない部分があるんです。今回はパーツ分解、組立を前提とした金型にしました。これまでの金型ではできないより爆砕拳銃に近い表現を実現しました」と小栗氏は語った。
どこがどう変わるのか? 細かいところを見ていこう。まず最初は銃の“顔”ともいえるマズル(銃口)とレシーバー先端。ここがしっかりとくりぬかれ造型された。トイガンであっても銃口を人に向けてはいけないが、銃口を見るというのは、やはり銃の玩具として楽しい部分だ。ここがリアルになっているのは大きな魅力と言えるだろう。
そして銃身の下についているマガジン部分の固定のネジ。ここも金型で抜くところが難しかった部分だが、新金型のパーツ分割でシャープに造型できるという。さらに1.5で手が加えられたレーザーロッドも別パーツによりしっかりとしたロッド形状となった。
グリップエンドの固定ネジも再現。左のネジは縁によりすぎているように見えるが、この細かい位置は高木氏がプロップから採寸したこだわりの部分だ。そしてシリンダーの横についているバイディングの部もきちんとした形状になった。金型の設計上甘かった部分が、きちんと造型されているのだ。
また色合いもこだわりの部分。あみあみで販売されている「限定版」は、「セミグロスブラックⅠ」は灰色がかった黒での表現。小栗氏お気に入りのカラーリングだ。通常版は「スチールブラックII」、より青みの強いカラーリングとなっている。この2つの色は色見本を作りしっかり見比べて確認できるようにしたという。
今回見ることができたのは製品を作るための原型と、1.5に手を加え2.0の仕様を説明するための試作品だ。試作品を目の前にすると、発売日の5月が楽しみになる。
「髙木型弐〇一九年式爆水拳銃 Vol.2.0」を“プラモデル”に!? 今後も様々な新製品を発表
小栗氏は今回のアップグレード、そして新金型製作において、さらなる計画を練っている。完成品の水鉄砲だけではなく、「プラモデル化」をしようと考えているのだという。プラモデルになればこだわりのユーザーがさらに凝った塗装やパーツの作り込みなどが容易になる。これにより腕に覚えのあるユーザーならばより自分好みの「ブラスター」を作れるわけだ。
「水鉄砲にするためにはディテール部分での省略がまだありました。プラモデル化することでさらに細かいところの表現も可能になる。ランナーから部品を外して組み立てる、1/1のスケールモデルをやってみたいと思っています。今回の金型はこのプラモデルを前提とした設計となっています。まだ未定ですが、ここまで行きたいですね」と小栗氏は語った。
そして今後の発売を予定している商品として「デトニクスコンバットマスター」と、「M&P_9L」を予定している。わかる人はピンとくるだろう。アニメ「リコリス・リコイル」の主人公錦木千束と、井ノ上たきなの愛銃の元ネタとされる実銃である。
この2丁の水鉄砲を企画し設計した時点では「リコリス・リコイル」の設定情報は開示されていなかった。アニメアプローチではなく、実銃モチーフの水鉄砲化というスタイルの商品となる。こちらも原型は高木氏が担当している。M&P_9Lの実銃のSmith & Wessonの刻印を、SOUTH&WESTERNにしているなどのアレンジは行われている。デトニクスの先端に取り付けられているスパイクのついたコンペンセイターの形などはアニメとは違った形になるとのことだ。
最後に、読者へのメッセージとして高木氏は「今回は新規金型を使い左右割りでオミットしてきた部分の別パーツ化を行い今までのっぺりしていた所にディテールを加え、より実物に近づけることになりましたVer.1.5からの変更箇所は本文写真をご覧ください。ここまでやるつもりは無かったのですがいろいろな状況が重なり暴走いたしましたゲージュツは爆(暴)発なのです!色についてもVer.1.0ではできなかった美しいロイヤルブルー(?)とプロップに近いセミグロスブラック(特別版)の2種類をご用意いたしました。二つお買い上げください!!(笑)。no choice some! 『髙木型弐〇一九年式爆水拳銃 Vol.2.0』は、アルゴ舎より5月末頃に発売予定ですよろしくお願いいたします」と語った。
小栗氏は「ユーザーの皆様、今回爆水Vol.2.0の発売に当たって本当に応援ありがとうございます。これで次回、次々回作の生産目処が立ちました。とは言え生産拠点をこのままでいいのか否かは本当に迷うところです。お約束は出来ないですが、商品の国産化を目指し今年はあがいてみたいと思います。皆様応援よろしくお願いいたします」と語った。
本格的なモデルガン、エアソフトガンも魅力があるが、コレクションしやすい価格で、かつ手に持つと満足感のある大きさ、そして眺めて楽しいディテールを実現しているアルゴ舎の水鉄砲はやはり強い魅力がある。「次はどんな銃を水鉄砲化してくれるんだろう?」という期待感もある。「デトニクスコンバットマスター」と「M&P_9L」も期待しているユーザーは多いだろう。
自分たちがカッコイイと思う銃を、自由にモデルアップし、ユーザーに問いかけていきたい、というアルゴ舎の姿勢は応援していきたい。フィギュアなど水鉄砲以外の展開も注目したいところだ。
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