インタビュー

「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)」&「S.H.Figuarts サイクロン1号(仮面ライダーTHE NEXT)」企画者インタビュー

真骨彫製法10周年を迎え、その技術の集大成が仮面ライダー1号に宿る

【S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)】

2024年12月 発送予定

価格:9,900円(税込)

【S.H.Figuarts サイクロン1号(仮面ライダーTHE NEXT)】

6月7日(金)16時より予約開始

2025年1月 発送予定

価格:9,900円(税込)

 2024年3月にBANDAI SPIRITSのアクションフィギュアブランド「S.H.Figuarts 真骨彫製法」シリーズがブランド10周年を迎えた。

 そして、ブランド内で展開されている「仮面ライダー」シリーズ記念すべき100体目として「仮面ライダー THE NEXT」の「仮面ライダー1号」(以下、「仮面ライダー1号(THE NEXT)」)が商品化。そして、愛車の「サイクロン1号」もS.H.Figuartsシリーズで商品化が決定した。

「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)」
「S.H.Figuarts サイクロン1号(仮面ライダーTHE NEXT)」

 「仮面ライダー THE NEXT」はマンガ版「仮面ライダー」を出発点とした映画作品で、映画「仮面ライダー THE FIRST」の続編となる。

 「仮面ライダー」でお馴染みの主人公・本郷猛や一文字隼人、そして、「仮面ライダーV3」こと風見志郎、暗躍する秘密結社「ショッカー」など基本的な登場人物は同じだが、TVシリーズとは異なる物語を展開している。デザインも基本的な意匠を受け継ぎつつ、スマートかつ洗練されたものとなり「新時代の仮面ライダー」にふさわしい風格を見せる。そして、劇中の殺陣やバイクアクションのカッコ良さも必見だ。

 「仮面ライダー1号(THE NEXT)」は2008年に「S.H.Figuarts」シリーズの第1弾として立体化されている。

「S.H.Figuarts 仮面ライダー1号 (仮面ライダーTHE NEXT) 」2008年2月発売

 今回、BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部で本商品の企画担当をされているつじもん氏に「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)」と「S.H.Figuarts サイクロン1号(仮面ライダーTHE NEXT)」の試作品を交えて、その魅力を聞いてみた。ブランド10周年の進化によって立体化された新生「仮面ライダー1号(THE NEXT)」に込められたこだわりや歴史を見ていこう。

S.H.Figuartsシリーズ第1弾にして真骨彫製法100体目を飾る仮面ライダー1号(THE NEXT)

――最初に「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)」の立体化の経緯をお聞かせください

つじもん氏:真骨彫製法が今年(2024年)10周年を迎えまして、「真骨彫製法 仮面ライダー」シリーズも100体目を迎えました。また、「仮面ライダー THE NEXT」の「仮面ライダー1号」は「S.H.Figuarts」ブランドの第1号としてが2008年に発売されました。

 そこから16年の歳月を経て‟真骨彫製法10周年”、‟仮面ライダーシリーズ100体目”の記念すべき「仮面ライダー」として「『仮面ライダー1号』の名前を冠したライダーを出すべきだ」、「『仮面ライダー THE NEXT』の仮面ライダー1号しかない」と思い、今回「真骨彫製法」での立体化が決まりました。また、ユーザーの皆様の応援もあって商品化することができました。

S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)

――今回、「真骨彫製法」として新たに立体化された仮面ライダー1号の造形や可動についてお聞かせください

つじもん氏:そうですね。「S.H.Figuarts 仮面ライダー1号 (THE NEXT)」と並べてみると造形面でもかなり変わっています。「S.H.Figuarts」シリーズの初期アイテムはアクションフィギュアシリーズ「装着変身」からの派生ブランドともあって、その特色を色濃く残している部分もありました。彩色やプロポーション、足首部分にもダイキャストが使われているのもあり、現代の真骨彫製法の造形と並べると違いがわかるかと思います。

「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)」(左)、「S.H.Figuarts 仮面ライダー1号 (THE NEXT)」(右)

つじもん氏:今回の「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号 (THE NEXT)」では真骨彫製法の10年間で培ってきた最新技術を盛り込んで立体化しており、本商品のプロポーションや可動が成り立っています。

――並べてみるとプロポーションや質感がかなり変化していますね

つじもん氏:商品材質はPVCとABSで基本的に変わっていませんが、マフラーが布製になっていたり、部分的に軟質パーツを使用しています。

――今回の「真骨彫製法」では黄川田雅哉氏が演じる本郷猛の素顔が付属ともあって、映画のシーン再現遊びがより充実している印象です

つじもん氏:本郷猛の素顔パーツも‟真骨彫製法100体目”を商品化するにあたって「(素顔パーツを)つけなくてはならない」と企画側でも感じていたところが起因になっております。また、本郷猛を演じられた黄川田雅哉氏にも快諾をいただけたのも大きかったです。

 私が2023年に「S.H.Figuarts シン・仮面ライダー」シリーズを担当していたこともあり、素面付きフィギュアなどユーザーの皆様にご好評いただきました。また、「ここは本郷猛の頭部がないと‟真骨彫製法100体目”とは言えない」と思い今回付属しております。

黄川田雅哉氏が演じる本郷猛の素顔パーツが付属

――映画でも特殊強化服を着て素顔を見せるシーンもあり、ラストのライダーキックなど印象的なアクション再現が楽しめる

つじもん氏:「真骨彫製法」での立体化なので写真資料からでも造形はできますが、今回黄川田氏のお顔をスキャンさせていただき、骨格などのデータを取りつつ、2007年映画公開時の資料と合わせて「『仮面ライダー THE NEXT』の本郷猛」を造り上げていきました。そのため、他の素面フィギュアとは異なる「これぞ真骨彫製法だよね」という作り方をしております。

「仮面ライダー THE NEXT」当時の黄川田雅哉氏を再現。真骨彫製法ならではの技術で再現
交換用頭部と手首などが付属する

――可動の面ではいかがでしょうか? 「真骨彫製法」になって進化した点などをお聞かせください

つじもん氏:可動に関してもポイントは2点あります。一つは「真骨彫製法」でも初採用となります肩の新規構造です。これまで「仮面ライダー1号 (THE NEXT)」の決めポーズなど腕を前に持っていく仮面ライダーの代名詞と言えるポーズが綺麗に取りづらかったのを、肩関節の可動を改めて「肩を内側に入れ込む」可動を採用し、決めポーズも自然に取らせることができます。

 また2つ目に襟・腹部・ベルト周辺に軟質パーツを使用しておりまして、これにより腹部がベルトの下に潜り込むような動きを取ることができ、バイクへの搭乗やライダーキックのポージングも綺麗に取ることができます。

「仮面ライダー1号 (THE NEXT)」の決めポーズも自然に決まる
ライダーキックも迫力あるポージングを取ることができる

――マフラーが布製になっているのもアクション表現でかなり臨場感あるものになっているかと思います

つじもん氏:過去のシリーズアイテムより布マフラーを採用しておりまして、シーンやポージングの表現がさらに広がったと実感しております。

――それらを踏まえてですが、今回立体化にあたりこだわりのポイントはありますか?

つじもん氏:今回の「仮面ライダー1号 (THE NEXT)」は細身のプロポーションに加え、細部のしわまで作り込んで造形しています。

 従来の「真骨彫製法 仮面ライダー」シリーズと比較すると細い印象を受けるかと思いますが、「仮面ライダー1号(THE NEXT)」の細身のプロポーションを意識したものとなっています。

――確かに歴代の仮面ライダーの中でも、「仮面ライダー1号(THE NEXT)」はスマートな印象ですね。

つじもん氏:「真骨彫製法」で展開している「仮面ライダー」たちはスーツのアーマーなどがっしりした体型を忠実に再現していますが、今回の「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)」では特徴的な特殊強化服で引き締まった体型を完全再現しています。

肩幅や胴体などスマートなシルエット
特殊強化服のしわなども細かく造形

つじもん氏:また、こだわりポイントとして、頭部マスクの傷跡をデジタルプリントを用いて再現しているのと、グリーンのカラーリングです。

 「仮面ライダー1号(THE NEXT)」ではグリーンが多く使われていますが、部位によってそのカラーリングが違っています。その再現度が担当者としても苦労した点でもあり、こだわりポイントになっています。

――「仮面ライダー THE NEXT」での全体的な暗めのカラーリングも表現されている感じでしょうか

つじもん氏:そうですね。前作の「仮面ライダー THE FIRST」から2年の間、秘密結社「ショッカー」との戦いを経て、傷跡が増えてカラーリングも変わっています。また、映像や資料で見る「仮面ライダー1号(THE NEXT)」も昼夜のシーンによって緑の色味が異なって見えるので、それをどの塩梅でフィギュアに落とし込むかが難しかったです。ユーザーの方が「スクリーンの中で見た仮面ライダー1号(THE NEXT)の色」を追求し、今回のカラーリングに落ち着きました。

 頭部マスク、マスクのクラッシャー、胸部「コンバーターラング」、強化服のライン、グローグとブーツなど、部位によって異なるグリーンのカラーリングを忠実に差別化しております。

グローブや胸のコンバーターラング、腕のラインなど箇所によって異なる緑のカラーリングも調整されている

つじもん氏:また頭部マスクのデジタルプリントによるキズの再現もこだわりました。前回の「S.H.Figuarts 仮面ライダー1号 (THE NEXT)」では造形で頭部の傷を再現していました。「真骨彫製法」では、新たにデジタルプリントを使用しています。一度マスクのメット部分を塗装してからその上に傷跡をデジタルプリントしていく形です。頭部マスクのカラーリングと相まって劇中イメージに近い表現ができたと思います。

頭部マスクの傷跡はデジタルプリントで表現
マスクの彩色と合わせて傷跡の凹凸が感じられる表現となっている

フィギュアとの一体感あるライディングを表現した「サイクロン1号」

――続いて「S.H.Figuarts サイクロン1号(仮面ライダーTHE NEXT)」に関してまして、早くも商品化とあって驚きました。本商品は新規造形なのでしょうか?

つじもん氏:はい。「S.H.Figuarts サイクロン1号(仮面ライダーTHE NEXT)」は完全新規造形となっています。造形やカラーリングも含めて最新技術による立体化、付属品として専用の手首パーツ2種に加え、「仮面ライダー1号 手持ち用マスク」が付属します。

「仮面ライダー1号(THE NEXT)」の愛車「サイクロン1号」がS.H.Figuartsシリーズで立体化

つじもん氏:今回、「仮面ライダー」と「バイク」を同時に商品化することでユーザーの方にも喜んでいただけると考え、期間を空けずに展開させていただきました。

レーシングカーのようなシャープなシルエット

 また、仮面ライダーのバイク搭乗に関しても本商品ではチャレンジいたしました。「仮面ライダー」と「バイク」のサイズ感の差や、関節や可動都合で綺麗にバイクへライディングさせることに課題があると考えておりました。今回は「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)」」の開発段階でバイクへの搭乗を前提に設計することができたので、これまで以上に綺麗にバイクへライディングさせることができると思います。

つじもん氏:「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)」の肩関節と腹部の可動により、深く腰を曲げ前掲したライディングポジションを実現しており、サイクロン1号の設計も含めて丁寧に「仮面ライダー」と「バイク」の連動性を見ることができました。

――劇中でもバイクシーンが非常に印象的でしたが、「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)」を乗せた状態でのアクション表現は可能でしょうか?

つじもん氏:「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)」」をライディングさせることで、劇中の疾走シーンや、ハイスピードなアクションシーンが蘇ってくると思います。印象的なバイクでのアクションシーンを再現する際は別売りの「魂STAGE」をご使用ください。

――マフラー部分も焼け表現の色合いなどもリアルな雰囲気ですね

つじもん氏:マフラーはグラデーション塗装で鮮やかに表現しております。

チェーンなどのメカニック造形やマフラーの鮮やかなグラデーションも表現されている

真骨彫製法がまだまだ終わらない。未来へ続く「仮面ライダー」たち

――次に「真骨彫製法 仮面ライダー」シリーズが100体目、真骨彫製法10周年を振り返っての想いをお聞かせください

つじもん氏:私もひとりの「S.H.Figuarts」シリーズ、「真骨彫製法」シリーズのファンとしても見てきておりまして、2014年に「S.H.Figuarts(真骨彫製法)仮面ライダーカブト ライダーフォーム」が発表された際、強いインパクトを受けたことを今でも熱く覚えております。

「S.H.Figuarts(真骨彫製法)仮面ライダーカブト ライダーフォーム」 2014年3月発売

つじもん氏:そして、この10周年を一つの区切り、節目として「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)」」を商品化しましたが、まだまだ商品化できていない「仮面ライダー」たちがいます。ユーザーの皆様からご希望や熱いたくさんのメッセージも受けておりますので、真骨彫製法の次の5年、10年先に向けて、原型師である長汐氏と更なるチャレンジをしていきたいと思っています。

 引き続き真骨彫製法シリーズを応援いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

【【S.H.Figuarts(真骨彫製法)仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)】 黄川田雅哉×長汐響 商品レビュー対談】

――最後にユーザーへのメッセージをお願いいたします

つじもん氏:いつも「真骨彫製法」を応援いただき、ありがとうございます。皆様の応援のおかげでブランド10周年を迎えることができました。今回ブランド10周年にして「真骨彫製法 仮面ライダー」シリーズ100体目を記念しました「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダー1号/本郷猛(仮面ライダーTHE NEXT)」、そして「S.H.Figuarts サイクロン1号(仮面ライダーTHE NEXT)」がそれぞれ2024年12月、2025年1月に発売となります。ぜひ、お手にとっていただき10年間の想いであったり、、進化を感じてほしいです。

 今までの「真骨彫製法」に登場してきた「仮面ライダー」たちから受け継いだ技術の粋を集め、進化したアイテムだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。真骨彫製法10周年も今年(2024年)3月からスタートして、来年の2025年3月までさらに盛り上げていきます。まだまだ新アイテムの発表などもありますので、楽しみにしていただけますと幸いです。

――ありがとうございました。