インタビュー
ゾイド「AZ-09 ジェノザウラー」開発者インタビュー
ティラノサウルスの動きを徹底再現。こだわりのカラーリングにも注目
2024年12月9日 00:00
- 【AZ-09 ジェノザウラー】
- 12月4日より予約開始
- 2025年7月下旬 発売予定
- 価格:16,500円(税込)
タカラトミーのハイターゲット向け新ホビーレーベル「T-SPARK(ティースパーク)」よりゾイドのムービングキット「ADVANCED Zi」シリーズ第3弾としてティラノサウルス型ゾイド「ジェノザウラー」が2025年7月下旬に発売決定。12月4日より予約受付が開始された。
「ADVANCED Zi」シリーズは「唯一無二のメカデザイン」・「自ら生み出す作る楽しみ」・「動く躍動する生命感」、ムービングキット「ゾイド」40年の歴史を経て培われた最新の技術を搭載し、「ゾイド」ごとに設定したテーマを元に、「再構築」・ 「洗練」・「練磨」が内包されたムービングキットの究極の姿を具現化する最高峰ブランド。
第1弾として帝国軍が誇る巨大ゾイド「デスザウラー」、第2弾では帝国軍の小型ゾイド「モルガ」が展開。
そして、第3弾として「ジェノザウラー」は帝国軍の大型ゾイドであり、絶大な破壊力を持つ集束荷電粒子砲をはじめ、背中に装備したパルスレーザーライフル2門、前脚のハイパーキラークローなど射撃戦、格闘戦をこなす高い戦闘力を誇るゾイドとなっている。アニメ「ゾイド-ZOIDS-」や「ゾイドバトルストーリー」などでは共和国軍の「ブレードライガー」と激戦を繰り広げた。
また、「T-SPARK」公式YouTubeチャンネルではレイヴン役の斎賀みつきさんナレーションによるPVも公開されている。
今回、本商品の開発を担当しているタカラトミー ホビーキャラクター事業室コレクター事業部のU氏に本商品の魅力を聞いてみた。
「AZ-07 デスザウラー」の技術を継承し、ティラノサウスの動きを再現
――「AZ-09 ジェノザウラー」の立体化の経緯をお聞かせください。
U氏:「AZ-09 ジェノザウラー」の立体化が決まったのは、実は「AZ-07 デスザウラー」よりも後のことでした。「AZ-07 デスザウラー」はタカラトミー100周年記念および、ゾイド40周年記念商品というアニバーサリー商品として開発が進行していましたので、商品化の経緯が少し異なる部分もあります。
そして、ゾイド40周年記念として展開していました「40th Anniversary ZOIDS」シリーズから引き継がれた「ADVANCED Zi」シリーズ(以下、「AZシリーズ」)で展開するゾイドとして白羽の矢が立ったのが「ジェノザウラー」でした。
――第2弾では小型ゾイドの「モルガ」が商品化され、今回改めて大型ゾイドが展開されると。
U氏:そうですね。「AZ-07 デスザウラー」は破格のサイズだったので、今回の「AZ-09 ジェノザウラー」より手に取りやすいサイズになっているかと思います。
――造形面で過去に発売した「ゾイド」のムービングキット(当時のキット)から進化したポイントをお伺いできればと思います。特に足回りはかなり変化しているかと思います。
U氏:足回りが商品の目玉部分となっています。2000年に発売された当時のキット「EZ-026 ジェノザウラー」では歩行補助用のバーがあったのですが、今回はそれをなくした造形となっております。当時のキットのおもちゃ的な足元からよりリアリティのある形に進化したかと思います。
――スケールでは1/72スケールで当時のキットと同じかと思いますが、全体の見た目もかなりダイナミックに感じられます。
U氏:今回の「AZシリーズ」ではより動物らしいフォルムを追求しております。それを含めつつ、ユーザー様が持つ「ジェノザウラー」のフォルムや当時キットの印象から外れすぎないように調整しています。そこに少しスマートなデザインを追加することで、アニメで動いているときの雰囲気を取り入れたデザインになっています。
――メカディテール部分もかなり密度が高く、飾っているだけでも見ごたえがあります。
U氏:当時のキットからのデザインを継承しつつ、パーツ数を増やすことで積層構造によって立体的なディテールになっています。そのため、重厚感やメカ表現がより目立つようになっているかと思います。
また、全身で荷電粒子砲を発射する機体でもありますので、機械的な部分も強くなっているかと思います。
――背中のパルスレーザーライフルの造形もこれまでにないデザインになっていますが、こちらは「AZシリーズ」のオリジナル造形ということでしょうか?
U氏:「AZシリーズ」ではデザインアレンジも加わっていますので、こちらも密度感を上げるためにディテールを追加しています。
――前脚部は胴体部に接続しているようになっていますね。
U氏:実は「AZ-09 ジェノザウラー」では当時のキットにあった連動駆動を可動ギミックへと変更しています。これは映画などに登場するティラノサウルスなどは、前脚が小さくて、歩行している際も動いていない最新のイメージを投影したためです。アニメでも胸の前で止まっている状態で移動をしていたので、今回は動力と連動するものではなく可動ギミックにしております。
なので、胴体部へ接続は歩行時の固定位置となっておりまして、取り外して自由にポージングすることもできます。一応、胴体部への接続なしでも歩行が可能で、表現の幅が広がったかと思います。
U氏:ジョイントを設けた理由としては歩行する際に決め位置をわかりやすくするのもあります。また、フリーの状態ですと前脚部パーツが歩行する後脚に挟まって破損してしまう恐れもあるので、安全面も考慮して胴体のジョイントに接続できるようになっています。
さらに、これによって前脚部もより内側に向くポーズになるので、歩行するときによりリアリティのあるプロポーションになるかと思います。
――頭部のレーザーガンは量産型とアニメのレイヴン機でデザインが異なりますが、「AZ-09 ジェノザウラー」ではどのようになっていますか?
U氏:レーザーガンはアニメのレイヴン機の中央の砲塔があるものと当時のキットでも使用されていた片側に砲塔があるものが付属しており、選択して組み立てることができます。また、胸部のコックピットハッチもブラックとパープルの2種類を用意しました。
――カラーリングに関してはいかがでしょうか?
U氏:色に関しては内部の紫で2色、黒で2色を使用しています。「AZ-07 デスザウラー」でも取り組んでいたそれぞれ同じ系統の色でも2色使えるところは使う表現を採用しております。これによって立体感や色の間延びを防ぐようにしています。黒は赤味のある黒と黒味の強いカラーリングを使用し、密度感のある色合いが表現できているかと思います。
――続いて、気になる電動歩行ギミックに関してお伺いいたします。二足歩行をするにあたり力を入れたポイントなどをお伺いできればと思います。
U氏:歩行に関しては、まず「本来は生物に存在しない補助バーの削除」というのがありました。これは歴代のゾイド担当者がずっと取り組んできた課題の一つでした。今までもバーを取り外し式にしたり、「AZ-07 デスザウラー」ではバーに造形を入れて足と一体化する造形を入れました。デザインの元となった生物にはない部分なので、様々な方法でこのバーを目立たないように工夫をしてきました。
今回は満を持して、「なくしてしまおう!」という取り組みがありました。ここに至るまでにも色々ありまして、いろんな機構が試された中で今回のデザインに落ち着きました。
でも、実はバーの機構は完全になくなったわけでなく、踵部分に爪のような形で残っています。ティラノサウルスのデザイン的にも違和感のないものになっているかと思います。
U氏:動きの表現でも「AZ-07 デスザウラー」の骨組みから連動してダイナミックに歩く機構が採用されておりまして、「AZ-09 ジェノザウラー」でもその機構を取り入れつつ、さらにダイナミックな動きの表現を追求しました。また、動かした際に前の爪部分が脚部の動きと連動して左右に開閉するようになっています。設置した時には爪を開くことで、バーと同様の機能を果たし、足がしっかり地面と接した安定した歩行が可能となりました。
本来、動物は歩行の際に足を内側に入れることで、重心が左右の真ん中になるように歩きます。開発段階では、そのメカニズムを取り入れた機構も挑戦したのですが、複雑なギミックが必要になり見送ることになりました。そのため今回は足の形状を工夫して、重心をしっかりとのせるようになっています。
――シリンダーも動きに合わせて伸縮するのも非常にメカらしくて魅力的ですね。
U氏:こちらも「AZ-07 デスザウラー」からの継続して連動して膝が曲がるときに伸縮するようになっています。前脚にもシリンダーがあり、こちらはポーズによって伸縮するようになっています。
――動力部ユニットは胴体中央に集約されている形でしょうか?
U氏:そうですね。中央に収まっています。電池は単4電池2本を使用します。また、目や口の発光に関しては当時のキットと同じくケーブルを首部に通す形となっています。
――発光ギミックでは目や口の荷電粒子砲の砲口に加えて、胸のゾイドコアも光るようになっていますね。
U氏:ゾイドコアの発光に関しては、「40th Anniversary ZOIDS」シリーズでは外装を付けた状態でも光がわかる形になっていましたが、今回は完全に内蔵型で光が隠れるようになっています。胸部のカバーを開くとコックピットがありまして、それを取り外すとゾイドコアが露出する形で、電源を入れるとゾイドコアが光るようになっています。
――動きを見せていただきましたが、「ジェノザウラー」の最大の武器である荷電粒子砲の射撃姿勢は取ることができますか?
U氏:今回は当時のキットを踏襲して、手動での射撃姿勢への変形が可能です。尻尾の放熱機構もアニメでの蛇腹状のフィンが展開する形になっています。尻尾の放熱機構もアニメでの蛇腹状のフィンが展開する形になっています。これまでアニメ版「ジェノザウラー」のフィン形状を再現した機構を再現した商品はなかったので、今回はアニメに近い造形を入れております。
付け根の方はカバーとフィンを展開して、フィンの内側でさらに展開する形となっています。首に関しては当時キット同様で押し倒すことでロックが解除され、頭を下げたポーズになり、同時に口腔も連動して開くようになっています。手動ではありますが、首を倒して、尻尾のフィンを展開、脚部のアンカーを展開することで発射姿勢を取ることができます。
――この発射姿勢の状態で口の発光ギミックは可能でしょうか?
U氏:実は発射姿勢の状態で電源を入れると歩行とともに首が自動で起き上がって、歩行モードに復帰して歩き出すようになっています。それ以外の箇所は手動で戻していただく必要がありますが、歩行しながら荷電粒子砲は発射しないジェノザウラーらしさとして、遊んでいただけると嬉しいです。
――では、続いてこだわりのポイントをお伺いできればと思います。
U氏:こだわりポイントは先ほどもありましたが、やはりカラーリングになります。先ほどもありました同色系で2色使う点に加え、今回はアニメのレイヴン機に合わせたカラーリングとなっています。
当時キットの「ジェノザウラー」は真っ黒な印象で、紫も明るめでコントラストの強い色味になっていました。今回は黒には青を入れて暗めのものと 赤を入れた明るめものを使用し、全体的に落ち着いたカラーリングを再現しています。タカラトミー商品としてはムービングキットでは初のアニメのレイヴン機カラーを再現したものになっています。
U氏:顔つきについてもアニメで顔のアップもあり、印象に残っているかと思います。ここは当時のキットの「ジェノザウラー」の顔つきをベースに、そのイメージから外れすぎずかつ全体のフォルムと合わせた最新のデザインに落とし込みました。
目元部分に見えるディテールも従来の「AZシリーズ」同様骨格のような造形としています。積層構造にすることによって組み立てるときに、内部にメカが入っている感じを体験してもらいたく内部造形にもこだわっています。
――開発で苦労されたところはありますか? 二足歩行の機構はかなり試作を重ねたかと思います。
U氏:おっしゃる通り、脚部が一番苦労しました。
様々な機構を挑戦する中で、実は形にして歩行できたものもありました。しかし、安全性の問題であったり、電池の消費量の問題などがありました。なので、試作であった機能を削っていき、シンプルにしていくことで現在のデザインと機構になりました。また、スケールを表記した商品のためデザイン面でのバランスやボリューム感は可能な限り当時のキットをトレースする形で残したいと思いました。比較していただくと、置いたときのボリューム感は当時のキットよりも少しボリュームがある程度の印象になっています。
アニメの中でも素早く動くゾイドでしたので、横幅は縮めてティラノサウルスらしさ少し増したデザインとしています。それだけだと「ジェノザウラー」のどっしりした印象がなくなってしまうので、桃のボリュームを変えてバランスを調整してどっしり感は残せるように調整しています
――当時のキットの意匠はもとより、アニメで活躍した「ジェノザウラー」のデザインも意識されている。
U氏:私もアニメで見た印象が強く残っていて、アニメでできて当時のキットでできなかったところはやってみたいと思っていました。今回でも尻尾のフィンなどやってみたかった部分は造形として表現できたかと思います。
――今後の「AZシリーズ」の展開についてですが、「ジェノザウラー」が出たことで二足歩行型のゾイドの展開にも期待が高まっているかと思います。
U氏:AZシリーズは続々企画検討をしております。詳細はお話しできませんが、今回「ジェノザウラー」が商品化したことで、おそらくファンの皆さんが期待されている「ジェノブレイカー」なども将来的には展開できたらと考えています。
――最後にユーザー様へのメッセージをお願いいたします。
U氏:ゾイド40周年から始まった「AZシリーズ」ですが、皆様のおかげで継続することができました。 今後も「ADVANCED Zi」シリーズとして皆様の熱意、応援こたえる形で、様々なゾイドの展開させていただければと思います。
ぜひ「AZ-09 ジェノザウラー」、そして「ADVANCED Zi」シリーズを今後ともよろしくお願いいたします。
――ありがとうございました。
(C) TOMY
(C)ShoPro
※画像は試作品を使用しています。実際の製品とは若干異なる可能性があります。ご了承ください。