インタビュー
「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」企画担当者インタビュー
“はじまりのX-1”を表現、原点の彩色と巨大エフェクトパーツでマンガの迫力を再現
2024年12月25日 00:00
- 【METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)】
- 12月26日16時 予約開始
- 2025年6月 発送予定
- 価格:44,000円
長谷川裕一が描くマンガ作品「機動戦士クロスボーン・ガンダム」シリーズが、2024年に連載30周年を迎えた。それを記念して雑誌「少年エース 2024年12月」にて新作読切作品『機動戦士クロスボーン・ガンダム 最初のX(クロス)』が掲載された。
そして、作中にてキンケドゥ・ナウが搭乗した「クロスボーン・ガンダムX-1 ハーフクロス」がBANDAI SPIRITSの「METAL BUILD」シリーズで商品化。12月26日16時より完成品フィギュアブランド「魂ネイションズ」の公式ショッピングサイト「魂ウェブ商店」にて予約が開始される。
「METAL BUILD」シリーズでは、2019年に発売された「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1」をはじめ、「機動戦士クロスボーン・ガンダム」シリーズに登場した機体が数多く展開された。
『機動戦士クロスボーン・ガンダム 最初のX(クロス)』は「機動戦士クロスボーン・ガンダム」の前日譚となる物語で、主要キャラクターであるキンケドゥと過去にライバル関係であったザビーネ・シャルとの因縁、本編の木星戦役にて「クロスボーン・バンガード」として共に戦うことになった経緯が描かれている。
その物語の中で「クロスボーン・バンガード」に加入のため、ザビーネから決闘を申し込まれたキンケドゥが用意した「クロスボーン・ガンダムX-1」が立体化。
追加装甲「フルクロス」を左側のみ装備し、決闘で用意された武装「ハイ・ビーム・ブラスター」を右腕部に携えた姿が印象的な姿となっている。
本稿ではコレクターズ事業部で本商品を担当している洲崎 敦彦氏にインタビューを行なった。キンケドゥが乗る「はじまりのクロスボーン・ガンダム」を「METAL BUILD」シリーズでどのように表現したのか、その魅力に迫る。
“はじまりのクロスボーン・ガンダムX-1”を徹底追及。原典の彩色と巨大エフェクトでマンガの熱いシーンを表現
――「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」の立体化の経緯をお聞かせください。
洲崎氏:2024年に『機動戦士クロスボーン・ガンダム』連載30周年を迎えました。私も以前「NXEDGE STYLE [MS UNIT] ファントムガンダム」や「METAL BUILD」シリーズを通して長谷川 裕一先生とお仕事をさせていただいたこともあり、この素敵なタイミングで「METAL BUILD」シリーズで何かできないかと、バンダイナムコフィルムワークス様、KADOKAWA様とご相談したのが始まりでした。
30周年に「機動戦士クロスボーン・ガンダム」シリーズ、「METAL BUILD」シリーズのファンの方に喜んでもらえる機体は何かをお話していく中で、「キンケドゥが使うフルクロス仕様のクロスボーン・ガンダム」というのをバンダイナムコフィルムワークス様、KADOKAWA様とともに、「機動戦士クロスボーン・ガンダム」シリーズの中で「物語の史実としてそれがあり得るのか?」、「史実ではないがスペシャルな機体、ifの機体として登場するのが面白いか?」といった形で議論したのがスタートでした。
――シリーズ内では「クロスボーン・ガンダムX-13 ハーフクロス」などもあったので、「キンケドゥが乗るハーフクロス」というのは衝撃的でしたね。
洲崎氏:商品としましては両肩に装甲を付けた「フルクロス」状態にすることができます。もちろん、胸周りの装甲パーツや襟元のパーツも付属します。
はじめこそキンケドゥが乗る「クロスボーン・ガンダムX-1 フルクロス」を想定し、ボーナスパーツとして新規武装が付く形だったのですが、打ち合わせを重ねていく中で「これはハーフクロスだね」となり、現在の仕様になりました。
なので、弊社としては商品化の起点としては、「キンケドゥが乗るクロスボーン・ガンダム X-1 フルクロス」というニュアンスでした。
――連載30周年もありますが、『機動戦士クロスボーン・ガンダム』で主人公のトビア・アロナクスに導いたキンケドゥはやはり人気のキャラクターですからね。新作読切でも『機動戦士ガンダムF91』から因縁のあるキンケドゥとザビーネの話はワクワクしました。
洲崎氏:そうですね。そして、「機動戦士クロスボーン・ガンダム」シリーズでは、トビアを導いたキンケドゥの関係性があり、そこから『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』のフォント・ボー、『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』のアッシュ・キングへと連綿と受け継がれていく関係性は私も感じておりました。
その最初となるキンケドゥは、30周年を節目にザビーネとの決闘や「クロスボーン・バンガード」加入という物語の出発が描かれて、「METAL BUILD」でその始まりに関わる機体を商品化できたのは光栄でした。
――なるほど。続いて「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」の造形に関する質問です。「クロスボーン・ガンダムX-1」本体は2019年に発売された「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1」に近いものなのでしょうか?
洲崎氏:造形そのものの変更はありませんが、カラーリングにこだわっていきました。デコマスを作成するにあたり、「キンケドゥが乗っていた時の真っ黒なイメージがいいのか」などカラーコーディネートを担当頂いております、デコマスラボの広瀬裕之さんとも協議を重ねていきました。
その中で長谷川先生のカラーイラストでは青味の強い黒で描かれているというのもあり、先生が描く紺色に近いニュアンスを「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1」にプラスしたイメージとなっています。
2021年に発売された「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」では度重なる戦いで使いこまれた色合いを表現しており、今回はロールアウトしたばかりのイメージで調整頂いております。白も光沢感を強めて、ゼロの状態からの「クロスボーン・ガンダムX-1」を表現しました。
洲崎氏:色のコンセプトとしましては、より長谷川先生のマンガで見るようなイメージを乗せつつ、「フルクロス」はグロスのギラっとした色合いで「METAL BUILD」らしさを加えて頂いています。原作のオリジンらしさを表現しつつ、「METAL BUILD」らしい質感を高めた商品というコンセプトとなります。
――「フルクロス」に関してですが、「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」では内側に「ヒート・カッター」がついていましたが、本商品でもついているのでしょうか?
洲崎氏:本商品でも「フルクロス」に「ヒート・カッター」はついています。武装も「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1」に付属していたビーム・ザンバー、バスター・ガンなどが一式入っています。ただし、『機動戦士クロスボーン・ガンダム』本編前の「クロスボーン・ガンダム X-1」なのでスクリュー・ウェップはついてないです。
――本商品の特徴の一つである新規武装「ハイ・ビーム・ブラスター」についてお願いいたします。かなり大きい武装でインパクトがあります。
洲崎氏:「ハイ・ビーム・ブラスター」は読切作品でも使用されていますが、メカニック設定集にも掲載されていました「クロスボーン・ガンダムX-1 フルアーマー」の「ムラマサ・ハイバスター」の意匠も意識しています。
そして、それにつけることができるエフェクトパーツも大型サイズになっています。
洲崎氏:「METAL BUILD」シリーズで「クロスボーン・ガンダム」が何度も立体化されているので、今回は驚いていただけるようなインパクトのあるエフェクトパーツを入れました。
エフェクトパーツを付けると本体を超える大迫力のものになっています。デザインコーディネートを担当されているKomaさんからも、ご提案として「せっかく30周年で驚いていただくなら、長谷川先生のマンガでの迫力をしっかり入れていこう」となり、肩にジェネレーターを搭載している設定ですので、「ムラマサ・ブラスター」以上の威力が出ても不思議ではないと思いましたので、エフェクトも大きめにしてみました。
――マンガ的な表現を「METAL BUILD」シリーズに落とし込んだエフェクトパーツなんですね。一方でエフェクトパーツが巨大になると保持力が気になるところではあります。
洲崎氏:本商品では補助用の支柱を付属しておりまして、最大出力状態などで使用していただく形になります。
その上で「長谷川先生のマンガの迫力を真正直に『METAL BUILD』で表現するとこうなります」というのを楽しんでいただけたらと思います。
――なるほど。「ハイ・ビーム・ブラスター」には可動ギミックなどはありますか?
洲崎氏:可動ギミックに関してはまず鍔部分が展開するようになっています。こちらは連動して左右の鍔部分が開くようになっています。元々の設定では両手持ちにできるようになっていて、内側にはグリップもあり、こちらを展開して両手持ち状態にすることもできます。
鍔部分を展開して、各エフェクトパーツを付けて両手持ちによるフル出力での射撃ポーズを表現することができます。
洲崎氏:エフェクトパーツは分かれているので、先端部分だけ取り付けてビームサーベル用に振るうアクションや刀身部分ではムラマサ・ブラスターのような斬撃など選んで遊んでいただければと思います。
――次に気になったのが、肩のジェネレーターと「ハイ・ビーム・ブラスター」をつなぐチューブパーツですが、こちらは軟質素材を使用しているのでしょうか?
洲崎氏:はい。こちらは軟質素材を使用しております。中に芯棒を入れるアイデアもありましたが、なるべく可動の妨げにしたくないという観点などから軟質素材にしました。今回のデザインとしてもむき出しのチューブのデザインは際立つところではありますので、「機動戦士クロスボーン・ガンダム」シリーズに登場する「クロスボーン・ガンダム X-13」などを想起させる意味でも目立つようにシルバー寄りのガンメタルカラーに仕上げています。
――「ハイ・ビーム・ブラスター」を振るった時のアクションが映える感じがします。
洲崎氏:新武装を含めて30周年のタイミングでこういう商品が生まれたというのをお客様に楽しんでいただけたらと思います。
――肩部のジェネレーターは本来のアーマーに被せる形になっているのでしょうか?
洲崎氏:デザイン的には「フルクロス」のように肩部アーマーに被せる形になっています。また、前面の装甲も開きますので腕部の可動と干渉しないようになっています。
また、本商品の「ハーフクロス」装備は過去に発売された「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX2」などにも装着が可能です。
――続いて、本商品のこだわりポイントをお願いいたします。
洲崎氏:一番はやはり「どのような新しい『METAL BUILD』の『クロスボーン・ガンダム』をご提供できるか?」を考えていまして、今回の新しい武装をいかに魅力的に見せるかを意識しました。
そのうえで今までと違うシルエットと、違うディスプレイの仕方があるというのを提案したいと強く思っていました。
なので、大きく分けて新武装とカラーリングにこだわりました。新武装については全身をフルアーマー化というアイデアもなかった訳ではありませんが、その分のパーツ数の増加やコスト的な負担も増えてしまうので、コストを抑えつつ今までにない表現するというのも念頭に置きました。その中に先ほどのエフェクトをつけるのも一つの答えとして考えております。
カラーリングに関しては、広瀬さんのご提案に助けていただいて「30周年にふさわしい色」としてビタッと決まった色になっていると思います。現時点のMETAL BUILDチームの考える長谷川先生の「クロスボーン・ガンダム」作品の象徴、の様な存在感が生み出せているのではないかと感じています
――「機動戦士クロスボーン・ガンダム」シリーズが30周年を迎えて、「METAL BUILD」シリーズでも数多くの機体が立体化されています。今後の立体化にもかなり期待が高まっているかと思います。
洲崎氏:11月に開催しました「TAMASHII NATION 2024」で、「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 ハーフクロス(キンケドゥ搭乗仕様)」の参考展示をさせていただき、長谷川先生の画稿や、企画検討中のスケッチも展示させていただきました。
企画担当者としましては今後も熱意をもって取り組んでいきたいと思っています。
――最後にユーザーへのメッセージをお願いいたします。
洲崎氏:今回、キンケドゥが乗る「クロスボーン・ガンダムX-1 ハーフクロス」という、とてもロマン溢れる機体を商品化することができました。私たちとしても『機動戦士クロスボーン・ガンダム』30周年を盛り上げるにふさわしい、これぞ「30周年目のクロスボーン・ガンダム」と感じていただける商品になっているかと思いますので、ぜひ手に取っていただければと思います。
――ありがとうございました。
(C)創通・サンライズ