インタビュー

一番遊べるレイズナー! 「HI-METAL R レイズナー」企画者インタビュー

カッコ良さを最大分析、目が発光、V-MAXハッチ開放を再現!

【HI-METAL R レイズナー】
9月 発売予定
価格:29,700円

 BANDAI SPIRITSが9月に発売するフィギュア「HI-METAL R レイズナー」は、1985年のアニメ『蒼き流星SPTレイズナー』の主役機・レイズナーを立体化した商品だ。

 『レイズナー』は『太陽の牙ダグラム』、『装甲騎兵ボトムズ』などを手掛けた髙橋良輔監督作品であり、地球とグラドス星という2つの異なる文明の衝突を描いている。主人公アルバトロ・ナル・エイジ・アスカは、グラドス星人と地球人の間に生まれた少年であり、地球に対し侵略をしようとするグラドス星の脅威を地球人に伝えようとレイズナーを駆る。

 レイズナーは頭部にコクピットを持つ。頭頂部がキャノピーとなっており、中にはコクピットに座るエイジの姿が見える。物語の序盤は宇宙での戦いが中心となるが、上下が逆さまになるような激しい立体機動、独特の射撃線を描くレーザードライフル、コンピューターとパイロットの会話が交わされるコクピット描写など、従来のロボット作品以上に様々な意欲的な演出が取り入れられており、強い印象を放っていた。

 レイズナーのデザインと劇中の魅力をどのようにフィギュアで表現したか? 今回は企画担当者であるBANDAI SPIRITS コレクターズ事業部の加納竜司氏に話を聞いた。なお、本商品の彩色見本が5月1日より秋葉原のTAMASHII NATIONS STORE TOKYOで展示予定となっている。こちらもぜひ見てほしい。

今回話を聞いたBANDAI SPIRITS コレクターズ事業部の加納竜司氏

目が発光! レイズナーのデザインをしっかり立体化

――「HI-METAL R レイズナー」はファンにとって待ちに待った商品と言えます。商品化の経緯を教えてください。

加納氏:「HI-METAL R」シリーズはこれまで様々なサンライズ作品を商品化しています。いよいよアニメ『蒼き流星SPTレイズナー』の主役機・レイズナーを立体化できました。企画者である私も、設計担当者も気合いを込めた商品となっています。設計を担当したのは『機動戦士ガンダム』の「ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.」シリーズや『聖戦士ダンバイン』の「ROBOT魂 <SIDE AB>」シリーズなど様々なフィギュア商品の設計をしているアーミックの方です。

 今年は『蒼き流星SPTレイズナー』の40周年に当たります。これまでレイズナーは様々な商品が販売されています。その中で「HI-METAL R レイズナー」はどういう商品にするかを考えていきました。プラモデル、完成品フィギュアそういった過去の商品を見つつ、新しくどのようにするか?

 その中で特に近年の商品は「アニメで描かれるスタイリッシュなレイズナー」を再現する方向にあるのではないか? と感じました。もっとアニメの設定画、大河原邦男さんが描いた設定画のレイズナーで立体化し、アクションフィギュアにしたい、というのが「HI-METAL R レイズナー」の大きなコンセプトになります。

「HI-METAL R レイズナー」は当時の大河原邦男氏が描いた設定画のレイズナーのカッコ良さがテーマになっているという
インタビューでは彩色見本を前に話を聞いた

――「HI-METAL R レイズナー」は頭部が大きく感じますね。

加納氏:頭部がコクピットになっていて、透明なキャノピーに覆われ、パイロットの姿が見えるというのは『蒼き流星SPTレイズナー』に登場するSPT(スーパーパワードトレーサー)共通の特徴です。

 頭が大きく相対的に体が小さく見える。昨今の頭が小さく足が長いロボットデザインから見るとバランスが悪く感じる。しかしそれがめちゃくちゃカッコイイ。「大河原邦男さんのデザインしたレイズナー」を立体化したいと思ったんです。40周年だからこそ出せる、インパクトのある商品を目指しています。商品画像の素立ちポーズは、本当に設定画そのままの姿を再現できるようにしました。

 そしてもう1つ、私の強いこだわりで実現させたギミックがあるんです。それが「発光ギミック」です。胸部にLEDユニットがあり、首を通してレイズナーの目が発光するんです。

 レイズナーは目が奥まった顔をしており、しかもキャノピーが目を隠してしまうデザインになっています。このため立体物だとぱっと見ても目が印象に残りにくい。しかしアニメだと光っているんですね。どこで発光ギミックで目を光るようにしました。

 立体物になると目元が影になりやすいデザインのレイズナーですが、アニメではしっかり目が発光し印象に残る。目の大事さというのを表現する商品にしたかったんです。発光というのは「HI-METAL R」シリーズの初挑戦となります。目を印象づけたかった、という想いから「発光させよう」という結論に至りました。

頭部が大きめのバランスで立体化されているだけにコクピットの描写は細かい。エイジがしっかりコクピットに座っており、コンソールパネルにも彩色される。もちろんエイジフィギュアを外すことも可能
目が発光するのは本商品の大きな特徴だ。LEDユニットは胸部に収納されており、首に光を通し目を発光させている

――次は手足のバランス、スタイルに関してはどのように調整していったのでしょうか?

加納氏:「設定画は何でカッコイイのか?」というのを研究したんです。カッコ良さの理由の1つに「パースによる効果」があると感じました。脚部が大きく太ももから胴体は小さめという、立体物をそのまま絵にしたのとは違う、「カッコ良くなるための描き方」がされていると感じました。

 私が感じている「レイズナーのカッコ良さ」をどうしても再現したい。言語化も難しい私の想いに、設計者のアーミックの方は応えてくれました。設計者はこれまでの経験を活かし「ここはこうしたらこうカッコ良くなる」、「ここはこう表現しよう」と各ポイントを1つずつ分析して提示してくれたのです。

 例えば肩から上腕のデザインですが、立体物だとただ四角く表現してしまう。それだと肩の側面につく装甲はその肩に沿ってピタリとくっついてしまう。しかし、本当にほんの少しだけ外側に膨らませることで装甲が外側に膨らむ。さらに装甲を少しだけ浮かせるとシルエットがより大きくカッコ良くなる。こういう設計者のこれまでのノウハウの蓄積の上で、レイズナーの設定画の魅力を分解し立体物に活かしています。

 全体、細部を考え何度も試作を繰り返して私たちが望んだバランスを実現しています。すねから先は素立ちでは大きく見えますが、膝の引き出し関節などで、ポーズをつけるとスタイリッシュに見える。キャノピーの形から始まり、つま先まで、すべてのデザインバランス、そして関節、可動軸に私のこだわりと開発者の技術が詰まっています。

肩は真四角には作られておらず、装甲が斜めに浮くようになっている。設定画でのバランスを考えた設計だ
膝立ちも可能。関節の可動域は大きい

――レイズナーといえば特に顎を上げ、上を向く飛行ポーズが印象的です。頭部コクピットと胴体でのラインが、まるで戦闘機のようなシルエットに見えます。劇中で非常に印象的なポーズですが「HI-METAL R レイズナー」では首の二重関節などで表現するのでしょうか?

加納氏:今回はそのように上を向かせると、胴体から光を流す導線が切れてしまう。そこで首パーツそのものを差し替えて上を向かせています。こうすることで上を向いたポーズでも目の光とコクピットの光がきちんと出るようにしました。

 こちらはもう一度デザインの話ですが、キャノピーの曲線も注目してほしいです。丸みを帯びながらしっかり開閉し隙間なく閉じるキャノピーの造形も調整を重ねました。「HI-METAL R レイズナー」ではちゃんとコクピットに主人公のエイジが乗っています。キャノピーとエイジの距離が離れるとコクピットが大きくなりすぎてしまうし、窮屈すぎないように、でもキャノピーとの距離はかなり近い。この絶妙なバランスも見てほしいです。コクピット内のパネルもちゃんと彩色する予定なので、お楽しみにしてほしいです。

首パーツを差し替えることで上が向けるようになる。軸に透明の部品が使われており、光を通すようになっている
上を向くのは飛行ポーズで戦うレイズナーには欠かせない要素だ

「一番動くレイズナー」を実現! V-MAX発動後の演出も

――フィギュアの可動域に関してはどうでしょうか?

加納氏:これまで出ているレイズナーフィギュアの中でも可動域に関して「一番動くレイズナー」を目指しました。肩を引き出すだけでなく、手首の下にも曲げることができる関節が入っていて、より自然に両手でレーザードライフルを構えることができます。間接設計に関しては「ここが新しい!」というわけではなく、これまでのロボットフィギュアの集大成のように技術の蓄積を活かした商品となっています。触っててずっと楽しいんですよずっとポーズ付けを楽しんでしまう、遊べる商品です。

 可動のテーマの1つが先ほどの「飛行ポーズ」です。頭を上に向かせるために首の差し替えパーツまで用意していますし。上を向かせるためにはお腹、腰、といったところもしっかり可動しなくては自然な飛行ポーズはとれない。しかし「HI-METAL R レイズナー」は胸ブロックに発光のためのLEDと電池ボックスが収まっているのです。

 このため「HI-METAL R スコープドッグ」で培ったちょうつがい状のパーツを腰に配置し、上半身のポーズ付けを実現しています。動かしても隙間を隠すようなパーツも連動するので、見た目に齟齬が出ないように工夫しています。

 もう1つ飛行ポーズに関しては、バックパックが干渉することを避けるため、ここにも関節を仕込んでいます。

両手を前に出す飛行ポーズはレイズナーを象徴するポーズの1つ
バックパック下部が可動し、腰との干渉を避ける

――他にもどのようなギミックがあるでしょうか?

加納氏:手首のギミックも注目です。レイズナーの手首には前腕から動力パイプのような細いケーブルが手首に接続されているデザインになっています。このケーブルのため従来のアクションフィギュアのように交換用手首を用意するのが難しかった。そこで「HI-METAL R レイズナー」ではデザイン通りに手首とケーブルをつないだ上で、可動指を仕込んだハンドパーツを使用しています。

 ケーブルは長く前腕に収納されているため手首をひねってもきちんとケーブルが伸縮しデザインとして破綻しません。可動指も表情付けが可能で、主武装である「レーザードライフル」もちゃんと保持できます。交換手首パーツをなくしたのは「遊びやすさ」を意識したところでもあります。

手首と付け根はケーブルで繋がっている。前腕の内部にケーブルが収納されているため、手首をひねるとケーブルが伸びる

 また、こちらはデザインの話ですが「HI-METAL R レイズナー」は、設定画に近づけるため、太ももなどの“白い部分”にパネルラインなど情報量を増やす演出を抑えめにしています。

 このほか、腰の前面装甲は中央部分の可動域が広いのも特徴だと思います。太ももが当たる側面装甲が動くロボットは多いですが、「HI-METAL R レイズナー」は中央部分も動くように設計されており、片膝をついたときや、レイズナーに多い下を向いての射撃ポーズもこの可動でより自然なポーズにできます。

下に向けて銃口を向けるポーズもレイズナーらしい。胴体部分にちょうつがい状の関節が使われているため、腰を曲げるポーズがとれる

――次はパイロットフィギュアについてお聞きしたいです。主人公アルバトロ・ナル・エイジ・アスカのパイロットスーツ姿のフィギュアはきちんと彩色され、雰囲気がありますね。

加納氏:彩色は細かく行い、作中の雰囲気を表現する予定です。パイロットフィギュアはコクピットに座る者と立ち姿の2種を付属させます。立ち姿はレイズナーの肩に載せたり、さらにはワイヤーの昇降装置で降りてくる姿も再現可能となっています。

 エイジがレイズナーの肩に乗る姿はキービジュアルなどで使われた姿ですし、この乗り降りする姿も印象的でディスプレイ映えします。またレイズナーの胸のパネルを開けて昇降機を差し込むところも、レイズナーの機能を再現しており面白いところだと思います。エイジの立ち姿のフィギュアはあえてこの2つのポーズに限定しました。こうすることで「エイジとレイズナーの関係」を前面に出せると考えました。

コクピットでのフィギュアに加え、立ち姿のエイジフィギュアも付属。素立ちではなく、ポーズ付けされている
昇降装置に乗ったエイジも再現。エイジフィギュアの腕部分を差し替えることでこの姿にできる

――すねの後ろ、ふくらはぎの所に「カーフミサイル」を装備しているのもレイズナーの特徴ですよね。巡航ミサイルのような大型ミサイルを装備しているのが当時のロボットとして珍しかったです。

加納氏:もちろんカーフミサイルは取り外せて、翼を出す変形を再現しています。もう1つ面白いギミックがあって、レイズナーの膝を深く曲げると膝裏にふくらはぎのカーフミサイルが当たってしまいますよね? このとき腿の裏側が沈み込むことでミサイルがぶつかる部分をめり込ませ、膝を深く曲げたポーズを可能にしてるんです。これは「ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.」などで培った技術が生きています。

――加納さんの熱い想いをアーミックの設計者が実現したという印象を受けましたが、逆に設計者側からの強い思い入れ、のようなものは合ったのでしょうか?

加納氏:分けることはできないですね。私とアーミックさんの両方でキャッチボールをするようにレイズナーへの想いや、アクションフィギュアとしての挑戦を模索し、試行錯誤して「HI-METAL R レイズナー」ができました。「こういう演出を盛り込みたい」、「それならばこうしよう」、「ここにはこのギミックが活かせる」というように、例えばキャノピーの曲線のバランス、目を光らせる設計、肩の角度など、本当に細かいところまで話し合って決めていきました。

――そしてレイズナーの目玉ギミックとしては「V-MAX」があると思います。レイズナーは青いフィールドを張り巡らして敵のビームなどを無効化、さらに出力も大幅に向上させ圧倒的な力で敵を殲滅するV-MAXという隠された能力を持っていますが、こちらに関してはどのように表現なさったでしょうか。

加納氏:初期案では電飾で機体に青い光を当てるといった方法も考えていましたが、表現が難しいと考え、今回は青いフィールドをまとう姿は再現していません。しかしV-MAXが終了した直後の、機体各部のハッチが開いて強制排気と冷却を行う演出を、ハッチの開閉という形で表現しました。

 具体的にふくらはぎの両側面、腕の側面、肩の装甲のハッチ、設定されているハッチはすべて開きます。もちろん内部の表現にもこだわりました。そして「ハッチの開き方」にもぜひ注目してほしいです。ハッチ部分は細かい部品となるので一軸で開くのが通常のやり方です。そうなると開く部分の上端が内部にめり込んでしまいます。

 「HI-METAL R レイズナー」はそうではありません、現実の戦闘機のメンテナンスハッチの開き方を参考に、クランク状に開く機構を取り入れています。非常に細かい部分であり、コストもかかるんですが、クランク状にちょっと本体から離れて持ち上がるような動きをさせています。こうすることで「メカとしての説得力」が増したと思っています。このクランク状に開く機構は、結果としてハッチオープンの状態のシルエットが通常のものより大きく感じさせる効果を生みました。よりハッチオープンの演出が生きる機構になりました。

レイズナーは青いフィールドをまとい通常のSPTを超える高機動で敵を殲滅する「V-MAX」という隠された能力がある。V-MAX発動後は、体の各部のハッチが開放され排熱を行う。「HI-METAL R レイズナー」はこのハッチ開放を再現している
上腕と肩の装甲のハッチが展開
ふくらはぎ部分は両側面の装甲が展開する
装甲内部の表現も見所

――「HI-METAL R レイズナー」が出たからには次は何のSPTが出るか、気になりますね?

加納氏:全くの未定です。「グライムカイザル」、「ザカール」、夢は広がりますが、決めていないというのが正直なところです。「HI-METAL R レイズナー」がお客様にどう受け入れられるか、すべてはここからです。

 何より今回、「HI-METAL R」のシリーズでレイズナーを商品化できたのが今は本当にうれしいです。『ダグラム』、『ザブングル』、『エルガイム』など他のサンライズ作品の「HI-METAL R」商品と「HI-METAL R レイズナー」を並べて立たせるとですね、すごく夢があります。お客様にもこの気持ちを味わってほしいです。集め甲斐がまた一段深くなったな、と思います。ぜひよろしくお願いします。

――ありがとうございました。


 レイズナーは頭部にキャノピーに覆われたコクピットを持つロボットだ。アニメ『蒼き流星SPTレイズナー』を手掛けた髙橋良輔監督は、『太陽の牙ダグラム』の「ダグラム」でも頭部にコクピットを持つロボットを描いている。陸戦兵器であったダグラムに比べ、レイズナーは涙滴型のキャノピー、飛行ポーズ時のシルエットなどで戦闘機のイメージが重なるデザインとなっている。また、キャノピーに覆われたコクピットがそのまま頭部となっているダグラムと、“顔”を持つレイズナーのキャラクター性の違いも比較をすると面白い。

 「HI-METAL R レイズナー」は立体物にするとキャノピーで隠されてしまう目をLEDで発光させ強調するというギミック、しかもそれをレイズナーの象徴的な飛行ポーズでも表現できるように光の導線を仕込んだ専用の首パーツまで用意しているところに開発スタッフの思いの強さを感じた。

 そしてV-MAX演出である。正確には「V-MAX発動後の放熱演出」であるが、体中のハッチが開いた姿というのは、当時のロボットプラモデルの人気の改造作例だったが、それをアニメの演出として取り入れたのは衝撃だったし、この「HI-METAL R レイズナー」はこのギミックを再現しているところがとても魅力的に感じた。

 話を聞くことで、加納氏とアーミックの設計担当者の思いがぎゅっと詰まっているのが実感できた。多くの人に手にしてほしい商品だ。

設定画通りに見える立ち姿から、ポーズをとらせるとヒロイックな印象になる。本商品のポテンシャルの高さがわかる
台座にはラメが入っており宇宙空間を思わせる