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【静岡ホビーショー】多彩な可動ギミックを誇る新世代の五二型! ダイキャスト大戦機シリーズ「1/32 零式艦上戦闘機五二型」

【1/32 零式艦上戦闘機五二型】

発売日・価格:未定

 初日にホビージャパンのモデルキットブランド「HJM」の新製品「1/35 陸上自衛隊74式戦車」を取り上げたが、実は激推ししたい新製品がもうひとつある。ダイキャスト大戦機シリーズの第1弾、第2弾となる「1/32 零式艦上戦闘機五二型」(発売日・価格未定)だ。

【ダイキャスト大戦機シリーズ「1/32 零式艦上戦闘機五二型」】
イラストは「1/35 陸上自衛隊74式戦車」と同じ黒川健史氏が担当している

 「1/32 零式艦上戦闘機五二型」はそのブランド名からもわかるように、プラモデルではなく、ダイキャスト製の塗装済み完成品モデルとなる。1/32サイズとスケールモデルとしてはかなり大きめで、ダイキャスト製ということもあって、重量も1kg弱もあり、眺めてよし、持って良しの圧倒的な存在感が特徴だ。

 今回出展されていたのは完成一歩手前のモデルで、これからディテールの最終調整に入るものだという。本体と主翼がダイキャスト製で、フラップや補助翼、プロペラといった可動部がABS。機関砲やピトー管には金属が使われている。

【ダイキャスト大戦機シリーズ「1/32 零式艦上戦闘機五二型」】
零式艦上戦闘機五二型本体。エンジンカウルは外されている
付属パーツ

 ディテールを覗いていくと、本モデルはとにかく開発者のこだわりが詰まっていることがわかる。本モデルの企画開発を担当しているホビー開発課の髙橋誠氏は、「モデルキットを通じて、単に外観を知るだけでなく、原理を学ぶことが大事」と語る。

 たとえば、プロペラや補助翼、フラップ、風防、脚、尾輪、アレスティングフック(空母着艦用フック)といった戦闘機を構成する主要パーツが可動するのは当然のこととして、本モデルではさらにプロペラピッチやカウルフラップ、足掛け、脚位置指示棒、昇降蛇、方向蛇などもすべて可動するようになっている。これらは見た目に大きな変化が生まれるものではなく、いずれも指摘されなければ気付かないものばかりで、すべて“原理を知るため”のギミックだ。

【可動部まみれのディテール】
プロペラは回せるだけでなく、ピッチ角度が変えられる
両脚は出し入れ可能
風防は開け閉め可能
ピトー管は真鍮製
精密に設計されたコクピット
主翼上部にピコンと飛び出ているのが、脚の状態を示す脚位置指示棒。これも可動する
補助翼は当然可動する
尾翼回りも可動ギミックが採り入れられている
尾灯は透明なABS樹脂
貴重な背面ショット。シルバーの箇所はすべてオプションパーツを着脱できる
中央のミゾから、搭乗員が戦闘機に乗る際に足を掛ける足掛けが引き出せる

 さらにダイキャストモデルらしいギミックとして、胴体とエンジンカウルが着脱できる。これは何のためにあるかというと、胴体については搭乗員を収容するため。エンジンカウルについては、精巧に再現されたエンジンそのものをいつでも見られるようにするためだ。戦闘機プラモデルにおいて、搭乗員は組み上げる際に最初から搭乗させるか、させないかの2択になることが多い。これは単純にコクピットの搭乗口より搭乗員のサイズが大きいためで、モデラー達は工夫しながらこの搭乗員問題を乗り越えてきた。

 高橋氏は、「だったら本体をガパッと開けられるようにすれば、搭乗員を出し入れできるじゃないか」と考え、本モデルでそれを実行に移した。本モデルでは、搭乗員は着座状態と、直立状態の2種類が同梱され、コクピットは空にして外に立たせた状態と、コクピットに搭乗させた状態の2種類で飾ることができる。搭乗員を乗せるためだけに胴体分離ギミックを採用する。凄まじいこだわりと言える。

【搭乗員】
2種類の搭乗員。塗装するかどうか迷っているという

 エンジンカウルは、今回外された状態で展示されていた。エンジンカウルを外すと、エンジンがむき出しになり、心臓部の荒々しさがそのまま堪能できる。エンジンカウルは、マグネット式でプロペラは外さずにそのまま外側からカパッと装着できる。ちなみにプロペラもマグネット式で、これは運びやすさだけでなく、手軽に着脱してその原理を学んで欲しいためだという。

【荒々しいエンジン】

 このほかにも速度を計測するためのピトー管は真鍮製、20mm機関砲も鉄製と、細部まで徹底的にこだわっている。付属するパーツは、増槽タンク、小型爆弾(左右)、展示台、先述した搭乗員2種類とシンプルな内容。各パーツはいずれもマグネット式で簡単に着脱できるという。こうしたこだわりを実現した結果、想定以上に重くなったようで、脚の強度の確保に頭を悩ませているという。

【付属品】
台座
増槽タンク
エンジンカウル
小型爆弾(左右2つ)

 なお、モーターやバッテリーを使ってのプロペラの回転やエンジン音の再現、発光ギミックなどはない。これも髙橋氏のこだわりで、プロペラを回転させたり、エンジン音を鳴らしたり光らせたりすることは当然可能だったが、実機の迫力を再現することはできないと判断したためだという。

 そして最後にして決定的なこだわりは「1/32 零式艦上戦闘機五二型」は“2種類”あることだ。冒頭で第1弾、第2弾と記載したのは2種類存在するためだ。本モデルは「1/32 零式艦上戦闘機五二型 三菱製中期型機」、「1/32 零式艦上戦闘機五二型 中島製機」が正式名称で、両機の違いは塗装や航空隊記号のほか、エンジン回りの耐熱板のデザインなど、微少な部分に差異が存在し、厳密には金型自体が異なるという。

【中島と三菱、2つのバリエーション】
スペックシートには、よく見ると中島製中期型機と中島製機の文字が

 呆れるほどのこだわりが詰まったダイキャスト大戦機シリーズ「1/32 零式艦上戦闘機五二型」だが、気になる価格は5万円前後を想定し、受注開始は夏から秋頃、出荷は年明け以降をそれぞれ予定しているという。生産は中国ということで、生産遅延について質問したところ、すでに新型コロナの影響で実はプロジェクト自体が伸び伸びになっているという。今年に入り、ようやく発売の目処が立ったということで今回静岡ホビーショーでのお披露目となったようだ。

【可動部一覧】
実に多種多様な可動ギミック

 大量生産に向かないダイキャスト製ということで、基本的に初回生産のみとしており、生産数は利益を出すためにそれなりの数を想定しているが、人気次第では激レアアイテムになるかもしれない。仮に完売となれば、第3弾以降も計画しているということで、こちらの展開も楽しみだ。

【五二型の勇姿】
早く塗装状態を見てみたいところだ