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見た目だけでなく、組みやすさまでも拘り抜いたタミヤの新作「1/72 F-35B ライトニングII」【#静岡ホビーショー】

誰が組んでも必ず実機と同じ構図になるように考え抜かれた新規設計

【第62回 静岡ホビーショー】

開催期間:5月8日~12日

会場:
ツインメッセ静岡
(静岡県静岡市駿河区曲金3-1-10)
入場料:無料

1/72 F-35B ライトニングII

 タミヤは、1/72 ウォーバードコレクション「ロッキード マーチンF-35B ライトニングII」を、「第62回 静岡ホビーショー」にて展示した。本キットは8月発売予定で、価格は4,620円(税込)。

 「F-35 ライトニングII」は、アメリカ空軍・海軍・海兵隊が運用する様々な戦術航空機を、1種類の機体とその派生型に集約する計画に基づいて開発された多用途戦闘機。

 アメリカ空軍・海軍・海兵隊が運用する様々な戦術航空機を、1種類の機体とその派生型に集約する計画に基づいて開発され、2011年に配備が始まった多用途戦闘機。空軍向けのF-35A、海兵隊向けのF-35B、海軍向けのF-35Cの3タイプが同時開発され、それぞれの用途に合わせた異なる性能が与えられている。今回はその中でも回転式エンジンノズルとリフトファンにより短距離離陸/垂直着陸(STOVL)が可能なF-35Bの垂直着陸状態を再現したプラモデルとなっている。

F-35 ライトニングIIは1/48でF-35AとB、1/72でF-35Aが過去に販売されている

 このF-35Bに対し、タミヤはこだわりの立体化を行っている。昨年発売した1/48 F-35Bと比べ、ほとんどのパーツを新規作成。単純に1/48 F-35Bをスケールダウンしたのではなく、パーツの多くを合理化することでパーツ数を大幅に減らすことに成功し、組やすさを実現している。実際にタミヤのスタッフに話を伺った際も、本キットでは1/48 F-35Bや、1/72 F-35Aのパーツはほとんど流用しておらず、本機のためにすべて再設計したとのことだ。

F-35Bのランナー
F-35B各部のパーツ構成

 「比べて見るとよくわかると思います」という言葉とともに、開発者が示したのが、1/72 F-35AとBの内部構造の違いだ。同じ1/72 でもF-35Bは回転式エンジンノズルとリフトファンがあることで、F-35Aと比較して内部パーツや機体上面の見た目や構成が大きく違うことがわかる。

1/72 F-35A(左)、1/72 F-35B(右)
1/72 F-35B(左)、1/72 F-35Aの機体下部(右)

 ちなみに1/48 F-35Bでは3種類のノズルが付属していたが、本キットでは垂直着陸状態を再現したものとなっているため、エンジンノズルは下に向けた状態の1種類のみとなっている。この垂直着陸状態というのにタミヤの拘りが現れている。本キットの尾翼やウェポンベイドア、コクピット後部のリフトファン空気吸入口/排出口や補助空気吸入口などはすべて決められた角度になるように設計がされている。特に接着などが難しい箇所や、制作時に影響が出そうな箇所などはパーツを一体型成形することで、誰が組んでも実機とまったく同じ角度を再現できるようになっている。

垂直着陸状態のため、エンジンノズルは下を向き、機体各部のドアが開かれた状態になっている
ウェポンベイドアなどは開閉角度がパーツ単体で固定されるように一体部品として設計されている

 今回聞けた話で特に興味深かったのがF35に施されたモールドへの拘りだ。スケールモデルといえばキットの表面に施されているモールドが重要な要素の一つでもある。だが、タミヤのF35では機体表面に施されているモールドを最小限の段差で表現しており、あえて薄くなるようにしている。これは実際の機体が繋ぎ目での段差や溝を無くすためにRAM(レーダー波吸収材)でコーティングされていることから、キットでもその滑らかさを再現したいという想いから来ている。こういった言われなければ気が付かないような細かいところにタミヤの限りなく実機へと近づけようとする努力を改めて感じることができた。

遠目では本当にうっすらとしか見えないが、見る角度や光の加減でモールドが浮かび上がるようになっている

F-35の機体塗装に最適な専用色が登場

 今回の展示ではキット以外にもう一つファンに嬉しいものが展示されていた。F35キットの登場から多くのファンがタミヤに要望を送っていたF-35の機体色を再現した塗装が2024年7月に発売予定となった。色は2色で、ラッカー塗料のLP-84 カモフラージュグレイ とLP-85 ミディアムエアーグレイ がそれぞれ220円(税込)。8月にはエアーモデルスプレーのAS-33 カモフラージュグレイ 880円(税込)が登場予定だ。

カモフラージュグレイとミディアムエアーグレイの2色が登場

 自身で塗料を配合する場合まったく同じ色を出すのは不可能に近いので、専用塗料が出てくれるのは実にありがたい。今回の展示には実際にこれら塗料をしようとしたものが展示されているので、ホビーショーに来られる方はぜひとも確認してみてほしい。

 単純にスケールダウンするのではなく、そのスケールに合わせた「かっこよさとつくりやすさ」を目指して再設計された1/72 ウォーバードコレクション「ロッキード マーチンF-35B ライトニングII」。話を聞けばきくほどにその拘りや想いを感じることができ、「作ってみたい」という気持ちが強くわき上がった。組み立てる工程を簡略化し、誰でもかっこよく完成させることができる上に、タミヤのプラモデルならではの精密なディテール表現や迫力あるシーン再現を楽しむことができる、初心者にもオススメの製品だ。

本キットではアメリカ、イギリス、イタリア所属機を再現できる5種類のマーキングが付属されている