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巨大ホワイトベース、オリジナルロボに電車! 作品展示会「AKIBA BRICK CREATIONS」、レゴアマチュアビルダーの力作集

【AKIBA BRICK CREATIONS】

11月16日開催

会場:ラジオ会館

入場料:500円

 レゴ公認のアマチュアビルダーグループ「JP-LUG SAKURA (通称サクラグ)」は、11月16日に秋葉原・ラジオ会館で作品展示会「AKIBA BRICK CREATIONS」を開催した。

 サクラグは年に一回作品展示会を行っており、秋葉原で展示会を行うのは今回が3度目。秋葉原の駅前であり、カードゲームショップやフィギュアショップが多いラジオ会館は訪れる人も多く、イベントはたくさんの人達が集まった。

 今回は出展された作品からいくつかをピックアップして紹介したい。

それぞれの想いとテクニックを込めた多彩なモチーフの作品達

 本イベントを主催するサクラグのリーダーは弊誌でもライターとして活躍するさいとうよしかず氏。「レゴの面白さ、可能性をもっと知って欲しい」という想いで活動を続けている。「AKIBA BRICK CREATIONS」は、日本のホビーカルチャーの大きな発信地点である秋葉原でたくさんの人に自分たちの作品を見てもらいたい、という願いからだ。

サクラグのリーダー、さいとうよしかず氏

 本イベントの作品はすべて既存のレゴ商品のパーツを集め、オリジナルのモデルを組み上げている。「このパーツならばこう使えそう」、「こう組むとボリュームのある表現ができる」、「この色のパーツが欲しいからもう1セット買おう」などなど、様々な想いで作品は作られている。

 建物から車、艦船、アニメや映画作品のメカやキャラクターから、オリジナル、風景、現実の道具など出展作品のモチーフは多彩だ。レゴは「こういう風に組みたい」と思ってもパーツがなかったり、強度が足りなかったり、色々ビルダー達を悩ませる。過去にあった商品の工夫や、機構を考えてからそれを実現するパーツを探したりと、その工夫も楽しい。

 さいとう氏は「レゴは誰でも組みたい形をブロックで実現できる、それが大きな魅力だと思います」と語った。例えばフィギュアや造型などはクリエイターの指先が作る微妙なラインや、塗装のテクニックなど、当人の資質を問われるところがある。レゴは組み方さえわかれば誰でも作れるし、レシピを作れば共有できる。もちろんパーツの入手や、組み方でセンスは問われるが、よりハードルの低いホビーという所が大きな魅力だ、と語った。

秋葉原という土地柄もあってか、たくさんの人が訪れていた

 実際、会場を訪れるファンはただ作品を楽しむだけでなく、どうやって組めばその表現が実現できるか、どういう工夫があるか、など熱心に話し込む人も多かった。もちろんモチーフについての想いや、変形ギミックなど話すほどに面白いことが多く、筆者も色々な作品のお話を聞いた。

【出展作】
さいとう氏の出展作は「スチームパンク」。蒸気の力で空を飛ぶ海賊戦艦を中心に、彼等が持つ銃や、ライトセーバー、蒸気時計といった装備品も展示していた。実はキャラクターや船には濃いバックストーリーが用意されているという
会場で一際目を惹いたのは「機動戦士ガンダム」のホワイトベースである。サイズは1/144、全高2m以上のボリュームの大作だ。驚くのは羽根の構造だ。中に芯を通すことで強度を確保しているが、これも商品からのものとのこと。こだわりは「コアブースター」と「Gメカ」と"TVアニメ版"、"映画版"の要素を採り入れているところ。左右のメガ粒子砲も改修前後のものにしているなど、こだわりがすごかった
ボリュームに圧倒される鉄道。レゴには「レゴトレイン」というシリーズがあり、そのレールを利用しているが、レゴの頭文字を取って「Lゲージ」という独自の進化を遂げているという。出展作は都内での通勤列車のカラーリングやパンタグラフの表現など鉄道ファンならではのこだわりが詰まっている。ディーゼルや蒸気機関車も走らせることができる
【レゴ作品展示会「AKIBA BRICK CREATIONS」での"Lゲージ"ジオラマ】
レゴで能の舞台を表現。レゴはデンマーク生まれのブロック玩具なため、日本的な家屋の表現ができるパーツはもちろん、色合いも合うパーツを見つけるのが難しいとのこと。そういったいわば"逆境"にありながら"和"を追求しているのだ
こちらは緑色は「恐竜」、青は「サメ」のセットを使って、モンスターやロボットを表現した作品。「レゴ作品作りたいけど、パーツを集めるのが大変」という意見に「そうじゃないよ」と伝えるべく、「1個のセットではこういうのが作れる。2個あれば可能性が広がる」というテーマで作品を並べているという
こちらは生物的なシルエットのオリジナルロボ。他のレゴ作品とは表面から大きく違うが「レゴバイオニクル」というシリーズのパーツを使った作品だ。「レゴバイオニクル」は絶版であり、パーツを増やすのが難しいとのこと。こういった絶版のレゴを集めるのもレゴファン、ビルダー達の楽しみとのこと
「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」の氷の惑星ホスのジオラマ。前方の穴からのぞくことで、映画の雰囲気が味わえる
秋葉原をイメージしたジオラマ。レゴによる看板と、色合いが見事だ
美しい木と、鳥のジオラマ
【レゴ作品展示会「AKIBA BRICK CREATIONS」での"作業機械"のジオラマ】
どの作品にも魅力があり、こだわりを聞きたくなってしまう

 実際に作品展示会を見ることでレゴに対する見方が少し変わった。例えばロボットを表現するのにも、「最小のパーツでシルエットや機能を追求する」といったやり方、「多数のパーツでディテールを追求する」といったやり方がある。ゲームの「ドット絵」のような表現、パーツをどう使うかにこだわったモチーフなど、様々なアイディアに触れることができた。

 「レシピを教えて欲しい」というのも、レゴのイベントならではと言える。模型展示会でも「どう作ったか」といった情報交換はあるが、レゴの場合「このセットにあるパーツをこう組めばできる」とそのものズバリの情報を得ることができる。作品を再現することも可能なのだ。とても面白いイベントだった。