特別企画

超絶技巧のレゴ作品が秋葉原に大集結した「AKIBA BRICK CREATIONS」をレポート

オリジナルロボや宇宙船はもちろん、各ジャンルのトップレベルビルダーが大集結!

【AKIBA BRICK CREATIONS(ABC)】

11月20日開催

会場:アーツ千代田 3331

 「AKIBA BRICK CREATIONS(ABC)」とは、11月20日に秋葉原エリアにある「アーツ千代田 3331」で開催されたレゴブロックの作品展示会。実は、この展示会は筆者ことHOBBY Watchの"レゴブロック担当"である「さいとうよしかず」が所属する、レゴユーザーグループ「JP-LUG SAKURA(以降サクラグ)」が仕掛けたイベントだ。

 そこで今回は来場できなかった方のために展示作品の一部をご紹介したいと思う。レゴファンコミュニティの最高峰レベルのアマチュアビルダーが揃った祭典を、ご覧あれ!

【本物レベルのレゴ作品が大集合【レゴイベント情報】「AKIBA BRICK CREATIONS(アキバ・ブリック・クリエイションズ)」の参加作品を大公開】

来場者にレゴブロックの可能性を感じてもらうイベント

 今回のイベントは、サクラグの仲間たちの協力を得て実現したものだが、イベントコンセプトは僕のほうで一括して考案した。コンセプトの第一目標としては、「来場者にレゴブロックの可能性を感じてもらう」ことだ。

 基本的に、日本国内で開催されるレゴブロックのイベントは、主催者が会場を押さえ、そこに参加したい人を「自由募集」するスタイルである。だから、参加者は「自分の作品を来場者に見せたい」人がメインとなる。だが、自分でイベントをやるなら、「見せる」イベントではなく「魅せる」イベントにしたかった。そのため、参加者を募集するのではなく、基本的にはこちらからすべてお声がけさせていただいた。

会場内には施設運営者お手製の入り口への案内が設置!大感謝です!(写真協力:エッジ)

 もちろん、通常のイベントスタイルが悪いわけではない。オリジナルモデルと作り始めた人の発表場や交流の場になる。ただ、このスタイルは「来場者ファースト」でないため、オリジナルロボットや再現ロボットが大半を占めてしまう可能性もある。レゴロボ好きとしては、これはこれで満足なのだが、来場者の全てがロボ好きでない以上、自分が仕切るイベントは少しコントロールして、同じようなジャンルの作品が並ばないようにしたいなと考えた。

 特に今回は、秋葉原エリアということもあり、会場のレンタル費が高い=入場料をいただく必要があるイベントだ。だから、わざわざお金を払って見に来てくれるお客さんに、何かひとつでも感じてもらいたいと考えた。それが、冒頭に書いた、「レゴブロックの可能性を感じてもらう」ことだ。

 だから、基本的に「同じジャンルの作家」は呼ばないようにした。そもそもサクラグのメインカテゴリが「メカ」ということもあったので少々難しいところはあったが、呼んだとしても切り口を変えている。例えば「オリジナルロボ」と「オリジナル可変ロボ」との違いなどだ。不幸中の幸いとして、会場自体の狭さもあり、結果的にはちょうどいい展示量に収まった。

メカではありませんが、超絶緻密なディテールで再現したノートルダム大聖堂のファサード部分。細かいパーツをくり返し使うことで、さまざまなパターンを創造しています(写真協力:エッジ)

 なお、メカ専門という展示だったが、今回は以前「PIECE OF PEACE 『レゴブロック』で作った世界遺産展 PART-4」で制作した、ノートルダム大聖堂のファサード部分を再現して展示した。入場手続きや、入場制限によって入り口で待つときの「退屈しのぎ」に置いたのだが、かなり評判がよかったようだ。ジャンル違いを心配していたが、ほかのイベントを見に来たお客さんもの興味をひけた見たいだし、まあよかったかなと思う。

テーマ展示は「SF」カラー

 会場内のメインステージには、レグブロックの人気シリーズ「クラシックスペース」をテーマにした合同展示と、レゴブロックでSF映画やアニメの世界を再現したモデルの合同展示が行われた。

 「クラシックスペース」は、今年「銀河探検隊」という商品が発売されたこともあり、これまでなじみの薄かったレゴファンにも好評だった。特に、展示テーブルを周回する「モノレール」は子どもだけでなく、大人の目も釘付けだ。

 とにかく、テレビ番組が「食べ物、子ども、動物」がウケるのと同様に、レゴのイベントは「動くもの」がウケる。なので、鉄道系のイベントなどは、大人気だ。ほかも、小型ポッドから大型戦艦、宇宙基地、ロボットなど、「クラシックスペース」をテーマモデルにした作品が30以上展示された。なお、「クラシックスペース」について知りたい方には、紹介動画へのリンクを用意したので、そちらを見てほしい。

【クラシックスペースをテーマに】
基地内に配置されたポッド群。宇宙服をきたクルーがいるので、とてもリアルなジオラマに見える
大型の「宇宙基地(イトウ)」があると、とても様になる。このモデルは、イベントの度に改修してよりカッコよくなっていっている
クラシックスペースのカラーリングを踏襲すれば、リアル系のロボもクラスペっぽくなる
クラシックスペースは小型だけでなく大型の宇宙船が人気。中央は筆者のモデルで、なんと両翼のポッドは離脱可能!……ええ、元ネタはリアベ号です
ロボだけでなく、「宇宙戦艦(ふじさわ)」もクラシックスペースのカラーリングにすると、ひと味違った趣がある
【クラシックスペースを作ろう!【レゴ作品の作り方】】

 次に、映画やアニメなどに登場するSF系モデルの再現卓を紹介しよう。こちらは、映画では映画「ブレードランナー」のポリススピナー(KABA)や「ゴジラ」シリーズに出てくるメーサー車(H2O)など。また、アニメからは、「機動戦士ガンダム」シリーズのような定番はもちろん、「太陽の牙ダグラム」からダグラム(ケルアック)なども展示した。

 再現モデルというのは、オリジナルモデルに比べて「わかりやすい」特徴があり、展示会では大人気だ。いつもなら、どこまで再現できているか……という部分が注目されがちだが、今回のアマチュアビルダーにはそんなスキはない。ひと目みて「※※ですよね?」とわかる作品だったであろう。

【SF系モデルを再現】
「2001年宇宙の旅」から「オリオン号(だく)」。曲面のデキが秀逸
「メーサー車(H2O)」など東宝特撮メカが大集合。ゴジラとか作って並べたい!
「ブレードランナー」から「ポリススピナー(KABA)」。中でそばを食べているところが、生で見ればよくわかるんだぞ!
「ガンダムセンチネル」から「Ex-Sガンダム(PEN2nd)」。ガンダムセンチネルで有名な画像をシーンごと再現。情報量の多さが凄い。
「機動戦士ガンダム」からは、最終話「脱出」のワンシーンをジオラマ風に、「コアファイター(くぼっち)」のデキもいいけど、ランチの載った乗員が刺さる!
「太陽の牙ダグラム」から、「ダグラム(ケルアック」も登場。ヘッド兼コクピット部分の組み方が絶妙なモデル

個人卓には各ジャンルのトップビルダーが大集結!

 個人卓では、各ジャンルのテーマに沿った作品が展示され、来場者の注目を集めていた。ジャンルと展示者の名前を挙げると、「スチームパンク(さいとう)」、「クラシックカー(zattchi)」、「ロボダッチ(ayucow)」、「飛行機(SIGEZO)」、「オリジナルロボ(zizy)」、「ゾイド風レゴ(キシイーヌ)」、「1/1レゴの武具(ドクターペイさん)」「軍艦(隼)」、「スーパーマリオネーションの世界(藤田)」、「トレイン(松原)」「ミリタリー(Col.Fumi )」、「変形ロボ(DSK3)」、「機械生命体(にかいどう)」といった面々である。

 特に今回は関東在住のアマチュアビルダーだけではなく、北は北海道や南は神戸からの遠征組も多く、通常のレゴ展示イベントでは見ることのできない作品を展示し、制作者との交流も持てるように配慮した。コロナ禍という状況があり、入場制限なども問題はあったが、来場者には楽しんでいただけたと思う。

【個人卓の作品】
「スペース 1999 」から、超大型の「イーグルトランスポーター(藤田)」が登場。サイズの大きさもあり、個人卓に起ききれないために合同卓エリアに出張展示。あまりの迫力に絶句した来場者も多いはず!
イマイといえば「サンダーバード」。今回はコンテナメカから「ジェッドモグラ(藤田)」を持ってきていただけました。通常シーンだけでなく、きちんと潜るシーンを再現できるのがグッド!
最新のパーツを使った「ミリタリージープ(Col.Fumi )」ヘッドライト部分のパーツセレクトと組み方は「凄い」の一言
「中戦車(Col.Fumi )」も、このサイズで、ここまでのディテールと可動を両立させているところがさすが!
「JAS-39(SIGEZO)」の形状を、カーブスロープと組み方の工夫で見事に再現。武装の多さも燃えますね!
「F-18(SIGEZO)」の滑らかなフォルムがレゴブロックで再現されたとは信じられないレベル。コクピットもイイ感じです!
「帝国海軍のジオラマ(隼)」の凄さは、この海部分。1×1のクリアライトブルーのプレートを大量に使い、まさに大海原を再現している
ブリッジ部分も、かなり細かい造型で、緻密なディテールで擬装ひとつひとつが最高にリアル!長年艦船モデルを作り続けた、技術の粋が詰まっていて感動レベルだ
往年のトレインも、レゴブロックなら再現可能「C622(松原)」など、側面のディテールを見せられないのが悔しいくらいだ。やはり展示会は現場に行くのが一番いいと再実感させられるモデル
個人的には特急などの脚光を浴びるものより、ディーゼル車のような働く鉄道が好き!このモデルのフロント部分など、さまざま部品の角度のこだわりが、リアルさに直結していて、達人レベルの技を感じるはず
「クラシックカー」は、一人ではなくzattchi旗振りのもと合同展示が行われた。これだけのカラフルなモデルが揃うと、かなり壮観だ。できれば、一台一台じっくりと見せたいところ!
飛行機からロボへと変形するのはDSK3のモデル。ガォーグチックな途中モデルもあるので、なんとなく変形が想像できるのがいい。QRコードで変形動画もみれるぞ!
飛行機だけじゃなく、車からもロボに変形。車のほうが、元の形状が整っているぶん、どうやってこの変形機構を組み込んでいるのか、きっときになるはず!
「サイコパス」シリーズから「ドミネーター (ドクターペイさん)が、1/1サイズで登場!犯罪係数が高い人が近寄ると、デストロイモードに変形しそうなリアリティ
銃系の武器だけでなく、刀系の武器も豊富に展示。「煉獄さんの日輪刀を借りてパチリ」こんな楽しみができるのも、リアルイベントならでは!本当に組み方が絶妙に「うまい!」モデルでした
「大神」の「アマテラス(キシイーヌ)」も、レゴブロックでモデル化。なんと、プロデューサー自らの「いいね」もついた、最強再現モデルなのだ
アマテラスと同様の作風で作られた「闇の獅子王(キシイーヌ)」は、オリジナル作品。実は、これらはレゴブロックの中でもバイオニクルやヒーローファクトリーといった、特殊なモデルからのパーツも多用している。いろいろなシリーズのハイブリッド作品といえよう
昭和オヤジには嬉しい「イマイ」の「ロボダッチ(ayucow)」作品も、大量に登場。タマゴローを始め、懐かしのメンバーが勢揃いしているぞ!
機械生物を得意とする、にかいどうさんの恐竜モデル。クリップ間接を作って、表面を自在に作り上げるのが特徴!
機械生物と同様のビルドテクニックがあれば、銃も作れてしまう。この組み方はある意味チートレベルかもしれない
スチームパンクカラーで作ったロボ(さいとう)。きほんは「ダサカッコイイ」を目指しているのだが、ちょっとカッコよくしすぎてしまったかも。だが、部品カラーさえそろえば、レゴでスチームパンクも再現できるのだ!
「なんですかコレ?」と聞かれる悲しい現実もあるが、これはスチームパンク世界の「ライトセーバー」である。「カイバー・クリスタル」の代わりに、ギアでその動力をまかなっているのだ!
先ほどのクラシックスペースカラーと違って、通常のロボカラーで作ると、やはりリアリティがアップする。作者のzizyさんはレゴロボの開祖ともいえる存在で、組み方の同人誌なども頒布し、普及に尽力されているのが尊敬に値する

ABCはぜひ来年も実施したい

 今回は、サクラグで開催する始めてのレゴイベントだったにもかかわらず、集客面でも、まさかの150人オーバーで、いつもなら仮に失敗しても「成功だったね」などと言うところだが、本当に「大成功だった」と思う。

家で一人でレゴブロックの作品をつくるのもいいけど、やはり展示会で人に見てもらう「スゲー」と言ってもらえるのは嬉しい。今回の企画に賛同してくれたメンバーや、足を運んでくれた来場者に感謝!

 なお、この成功の影には、一緒にフライヤーを作ってくれたり、フライヤーの置き場を探してくれたり、SNSで発信してくれたり、メンバーができることを最大限、力添えしてくれたことだと感謝している。みなさんも、もし自分の趣味のイベントをやるなら、自分だけでなく「仲間」の力を借りて実現すると良いだろう。

 「このご時世」という言葉を頻繁に耳にするようになったが、こういうリアルなイベントはやはり続けていきたい。残念なことに今回利用したアーツ千代田さんは、来年改装予定なので同じ場所での展示は難しいが、何か別の場所を探して実現したいと思う。最後に、来場者や参加者に「ありがとう!」そして「ありがとう!」。