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幻の銃や、IV号戦車の実物大戦車灯も登場! 「ビクトリーショー」レポート【一般ディーラー編】

むせかえるほどの「好き」が詰まったこだわりの商品・展示達

【第110回V(ビクトリー)ショー】
会場:都立産業貿易センター浜松町館
開催日:1月24日、25日
入場料:1,000円(2日間1,500円)
※中学生以下、女性、65歳以上、在日米軍兵士および現職自衛官は無料)

 ミリタリーグッズを扱うサムズミリタリ屋が主催するミリタリーショー「第110回V(ビクトリー)ショー」。弊誌では今回「メーカー編」を掲載したが、本稿では「一般ディーラー」を扱っていきたい。

 Vショーはミリタリー用品愛好家達のコレクション売買ならびに情報交換を目的としたイベントであり、メーカーのみならず、個人やサークルでもブースを構えることができ、自慢のコレクションの展示や交換、自作アイテムの販売なども行われるのだ。

 一般ディーラーの商品や展示からは「俺はこのモチーフが好きだ、どうかこの商品を作った喜びに共感してくれ!」という強い思いが感じられる。自分の中で抱えていた思いを実現してくれた製作者には思わず肩を叩きたくなったり、握手したくなってしまう。

 本稿では、個人やサークルで参加しているブースを中心に、個人工房もふくめた「好き」や「こだわり」が詰まった内容を紹介したい。

資料が乏しい幻の国産拳銃をモデルガン化「くまくま工房」

 くまくま工房では、特に情報が少ないことで注目の日本陸軍の試作拳銃「試作九四式自動拳銃」や、中国北京市の杉浦工廠で生産された「杉浦式」など戦前の日本で開発されたものの、資料が少なく今まではモデル化されることが少なかった、「幻の拳銃」をモデルガン化して展示・販売していた。

SNSで告知され話題を集めた試作九四式自動拳銃、会場販売価格は25,000円
スライドやトリガーなどを動かすことができる
マガジンを抜くことも可能。マガジンキャッチがどうなっているか資料不足で不明だという
通常分解も行える。わずかな資料でここまで作り込めるのはさすが

 「幻の拳銃」のモデルガン化では、資料の少なさが再現を困難にしたという。試作ゆえに途中で資料が廃棄されたり散逸してしまうことも多かったようだ。不鮮明な写真が1枚だけ、図面も一部しかないなど、「ここはどうなっているのか?」というのを想像しながら作っているという。

 「特に試作九四式自動拳銃は外観写真しかないので内部は想像で補うしかありません。外から見えるパーツが内部でどうなっているのか? 現代の銃を参考にしてもわからない謎パーツも多く、今の状態が正解なのかも実はわかっていません」と制作の苦労を聞くことができた。

 それでも写真からイメージして当時の設計を再現しようとする情熱や研究意欲には感銘を受ける。制作もプラ板などを削ったり貼り合わせたりして作るいわゆる「フルスクラッチ」の手法で地道にやっているとのことだ。

試製甲号自動拳銃のモデルガン。南部十四年式に際してトライアル候補になったモデルだ
こちらもマガジンを抜いたりコッキングができる
自衛隊の次期9mm拳銃SFP9の3Dプリンターによるモデルガンも展示されていた

IV号戦車を1/1で作りたい! 動く実物大戦車を作る情熱がすごい「わくわくメイカー」

1/1の戦車制作中! 今回は戦車灯を出展

 わくわくメイカーは、1/1スケールのIV号戦車を再現するため活動しているサークル。IV号戦車はドイツ軍戦車の中では最も多く生産された戦車で、様々な車体バリエーション、派生型を生み出した。

 わくわくメイカーはこの全長7.02m、全幅2.88m、全高2.68mの戦車を、フレームは鉄骨で作り、合板で装甲を作るなどなるべく軽量に仕上げる工夫を取り入れながら完成を目指している。今回は、そのIV号戦車に搭載されていた戦車灯を再現したものを展示。デモを行っていた。この戦車灯はいずれ販売できるする意向だが、価格に関しては未定だ。

戦車灯全景。デフューザー(減光フィルター)を装着した状態。
実物同様に、工具を使わず取り外す構造も再現
点灯は3段階。スモール
ロービーム
ハイビーム
減光フィルターも2段階の減光が可能
実際に点灯を試すことも可能。完成したら販売も検討しているという

 製作を進めている1/1模型のIV号戦車は、当初軽自動車のエンジンを使用していたが、エンジン音などに違和感もあり、最近V12水冷エンジンに載せ替えたという。史実のIV号戦車もV型12気筒液冷式ガソリンエンジンだった。「排気量もメーカーも違いますが、エンジンをかけた時の重い始動音がたまりません」と製作者は語った。

 ドイツといえばタイガー戦車が有名だが、アニメ「ガールズ&パンツァー」を見て主人公たちが乗車する戦車を再現したいという思いでIV号戦車の制作に取り組んでいるという。

 戦車灯の販売に関しては、戦車そのものは大きいのでおいそれと買う人はいないかもしれないが、ライトくらいなら自室に飾ったり、時折点灯して楽しむなど、欲しい人もいるのではないか(実際問い合わせもあるので)ということで、販売に向けて制作を進めているという。ライト部分はバイク用の前照灯を流用しているとのことだが、実物はレンズが湾曲していない平面ガラスを採用しているので、できたらそこも正確に再現したいということだ。

遠隔操作式の自爆車両「ゴリアテ」も登場!

 さらにわくわくメイカーはもう1つの作品、1/1のゴリアテも製作・展示しており、実際に走行デモも行われた。ゴリアテはタミヤのプラモデルでも有名な、ドイツ国防軍による遠隔操作式の軽爆薬運搬車輌。現代でいえばいわゆる自爆ドローンとして位置付けられる車両だろうか。

 実物は有線接続のリモートコントロールだが、再現されたものはラジコン操縦機で無線操作できる。小型でともするとユーモラスな印象も受けるので来場者の人気を集めていた

来場者の注目を集めていた1/1「ゴリアテ」
装甲を取り付けたモデル
走行デモおよび内部機構を紹介するモデル

レアなサブマシンガン「試製二型機関短銃」を自作で再現! バリーズカスタム

 バリーズカスタムでは、マルゼンのスコーピオンを組み込んで再現できる「試製二型機関短銃」の展示、販売が行われていた。試製二型機関短銃とは、旧日本軍で開発されていたサブマシンガンの一つで、試作されたものの制式採用には至らず、記録も少ないので知る人ぞ知るというマイナーな存在だった。後年、マンガやゲームなどに登場することもあって、その存在も知られるようになった面もある。

 こちらの商品は製作した「試製二型機関短銃」の改造キットをマルゼンのスコーピオンを組み込んだ形で販売しており、価格は60,000円だ。

プロトタイプとしては完成度の高いデザインに見える。なぜ採用されなかったのだろうか?
実際に動く様子も見せてもらった。非常に快調に動作していた。

 マルゼンのスコーピオンを組み込んだ「試製二型機関短銃」は、ガスブローバックのサブマシンガンとして楽しむことができる。当初はキットとして部品だけ提供することを想定していたが、組み込み難易度が高くなってしまったことから、スコーピオンを組み込んだ状態で提供し、取り外した残りの部品も一緒に渡すという方式にしたということだ。

 日本軍の機関短銃のユニークなところは銃剣が装着できるところで、そちらも再現されており、着剣するための銃剣、三十年式銃剣もあわせて展示、頒布されていた。こちらの銃剣は木製でできており、安価で安全な構造になっているのが特徴。他社のモデルガン、エアガンにも対応し、着剣した雰囲気を手軽に楽しめるということでこちらも人気だった。

同じく展示、頒布されていた三十年式銃剣の対応表。木製で安価なのが特徴。キットは無塗装で提供される

 バリーズカスタムブースは、複数の出展者が同居しており、それぞれの自慢のアイテムが展示されていた。興味を惹かれたのはJUNKGUN FACTORYによるHUDサイトで、スマートフォンのアプリで表示された弾道をホログラフィックサイト内に投影するものだ。実物のような精度にはならないが、サイト内に設置した物理サイトと軌道を一致させてイメージをつけたらおおよその弾道は再現できるレベルになっているという。このHUDサイトの販売価格は8,000円だ。

 実際に弾道を表示できるような軍用HUDサイトはかなり高額で、その機能を再現する自作モデルが10万円を超えるという現状、1万を切る価格で雰囲気を楽しめるのは嬉しい。

バリーズカスタムブースに同居していたJUNKGUN FACTORYによるHUDサイト
スコープの中に弾道計算された軌跡が描かれ、撃った弾がどこに着弾するかイメージできる
スマートフォンを組み込み、表示はアプリで再現する。あくまでも雰囲気アイテムとのことだがある程度の精度は出ているという。
その他3Dプリンターによるマウントベースやストックアダプターも人気を集めていた
MG1/3ベルトリンカーの装填脱包デモ

「マテバで良ければ……」革製ホルスターや小物が人気のmik3

 革製アイテムを制作する個人工房mik3は、ウェスタンのホルスターやベルト、小物類を中心に幅広いアイテムを手掛けている。今回は、ユニークな機構でアニメやゲームにも登場する機会が多い「マテバ」に対応したホルスターとローダーポーチなどが展示、販売していた。

革製ホルスターやポーチなどがずらり

 mik3は、革製ホルスターや小物を手がける個人工房。丁寧な作りで手に取りやすい価格帯ということもあり、西部劇ファンやファストドロウ愛好家にもファンが多い。

 マテバはマンガ/アニメ「攻殻機動隊」の主要な登場人物の1人、トグサが使用するリボルバー銃。今回、「攻殻機動隊展」開催のアナウンスがあったタイミングで、「マテバ」のホルスターを発表したことで来場者は注目していた。

鉄板(メタルライナー)入りのホルスター。形状が維持され型崩れしないので銃の抜き差しがしやすい
ローダーポーチは2連のほかに、3連も用意。火力は十分だ

 トグサは愛用のマテバを腰の背面に収めている設定だ。劇場版「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」ではホルスターそのものは画面には映らないが、右手で腰の後ろから逆手で銃を抜き出す描写がある。

 今回のホルスターは一見、左利き用に見えるが、トグサのドローを再現しようとするとこの状態が「正解」ということになるという。ホルスターには鉄板が入っているので形状が保たれている。直接目視できない位置にあるホルスターから抜く、銃を収めるという動作の際にも迷わずしっかりと操作できるのがこだわりポイントとのことだ。

M1851NAVYのホルスターも人気(このクオリティでこの値段は安い)
あの銃の名手が使っている(かもしれない)ホルスターも

 そのほかにも、東京マルイのエアガンコルトM1851NAVYの登場で需要が高まっているホルスターも人気だった。染めや型押しも西部劇の雰囲気を感じさせる仕上がりで、ホルスターだけ持っていても満足感が得られる。

ファンタジー世界に必ず登場する金貨袋。どうやって取り付けてるの?という疑問も解決している
西部劇ファンだけでなく、ファンタジー世界のコスプレ小物として人気だという

 miki3の人気アイテムはホルスターだけにとどまらない。カートリッジポーチは、狩猟やクレー射撃を行う人も使っている実用性の高いものだ。金貨袋は、サバゲーなどではローダーなど入れたりする実用のほか、コスプレ用で使いたいと買い求める人も多いという。革製品も素材の値上がりなどで苦労をしているということだが、なるべく価格を上げないように頑張っているという。

 一般ディーラーはその熱量が非常に高いところがとても面白い。採算がとれないという判断でメーカーなら諦めてしまうモチーフや、製造そのものが困難だったり、コストがかかるような製品を、実現したい、形にしたいという情熱で乗り越えてくる。そこにものづくりとしての感動もあり、形にしたという結果に敬意も生じる。

 一般ディーラー達のブースは小さく、よく見なければ見逃してしまうこともあるが、大手をめぐるだけでなく、個人ブースをチェックすると新しい発見や感動が得られると感じた。