レビュー
モデルガン「M29 6.5インチ “ダーティハリーモデル”」レビュー
世界最強と言われた大型拳銃の魅力を満喫できるモデルガン
2021年1月8日 00:00
- ジャンル:モデルガン
- 開発・販売元:タナカワークス
- 価格:25,800円(税別)
- 発売日:2020年12月再販
- 全長:310mm
- 重量:1,049グラム
モデルガンはエアガンと同じ、“銃の玩具”だが、決定的に違うのが、エアガンはBB弾を発射するのに対して、モデルガンは弾は発射されないが、火薬を使うことで銃を撃った時の「音と雰囲気」を楽しむことができるという点だ。
今回紹介したいのはタナカワークスの「スミス&ウェッソン M29 6.5インチ カウンターボアード “ダーティハリーモデル”ヘビーウェイト モデルガン(以下、「M29 モデルガン」)」。映画「ダーティハリー」で一躍有名になり、日本でも人気のある「S&W M29(以下、M29)」のモデルガンで、映画の主人公ハリー・キャラハン刑事の使う6.5インチ(16.51cm)の銃身を持つバージョンを再現したものだ。
M29という銃の魅力、モデルガンの楽しさ、木のグリップをつけたことでの面白さ、そして今回筆者自身初めて「モデルガンに火薬を詰めて撃ってみる」という体験もしたので、こういったポイントを語っていきたい。
なお、弊誌では2020年後半に「エアソフトガン超入門」というエアガンの基礎を説明していく連載企画を掲載した。エアガンとは何なのかがわかることで、今回のモデルガンとの違いもしっかり伝わると思うので、併せて読んで頂けると幸いだ。
「ダーティーハリー」で大人気! 大型動物を一撃で倒すハンドガン
まずM29とはどんな拳銃か、その魅力を語らせて欲しい。この銃は“狩猟用”として開発された大型拳銃だ。直径約0.429インチ(10.9mm)という大型の弾頭に強力な発射エネルギーを与えるため火薬の量を増やした「44マグナム弾」を使用できる頑丈な銃として設計された。アメリカでは拳銃によるハンティングも盛んで、大型動物を1発で仕留められるような弾を発射できる拳銃が求められたのだ。
このためM29は開発された1950年代当初は狩猟者のみが使うどちらかというと地味な存在だった。しかし1971年に公開された映画「ダーティハリー」によって状況は一変する。この映画では暴力的な手段も厭わない型破りな刑事として主人公ハリー・キャラハンが描かれる。その象徴としてハリーは狩猟用拳銃であるM29を凶悪犯相手に容赦なくぶっ放すのである。「ダーティハリー」は続編が次々に作られる大ヒットとなり、その後多くの刑事ドラマ、アクション映画に影響を与えた。
本来は大型の狩猟用に使う「世界最強のハンドガン」で犯罪者と戦うハリーの姿と手に握られた大型拳銃M29は、強い印象を与え、地味だったM29は一躍ベストセラーとなり、アメリカの警察官でもM29を求める人が多くいたという。ただ実際の公務にはM29は大きくて取り回しが悪く、44マグナムは威力が大きすぎるだろう。
筆者自身のM29との出会いはコロコロコミックの「ザ・ゴリラ」という刑事漫画だったと思う。「ダーティハリー」の影響を強く受けた漫画で、「ザ・ゴリラ」はM29の強力さにフォーカスを当てたエピソードが多く、幼い筆者にこの銃の魅力を刻み込んだ。日本の刑事ドラマでもM29を使う刑事が登場したり、M29はキャラクターに力強さを与える効果的な小道具となった。ちなみにコミック「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の中川巡査の愛銃もM29である。
筆者にとってM29は初めて型式を覚えた銃であり、その後も憧れの銃だった。特に6.5インチモデルの“バランス”が大好きだ。M29には4インチや8インチのモデルもあるが、大型のシリンダーに6.5インチの銃身はバランスが良いと感じる。筆者の中では「一番カッコイイ拳銃」なのである。