レビュー

モデルガン「M29 6.5インチ “ダーティハリーモデル”」レビュー

響き渡る銃声! 火薬をカートリッジに詰めて“発火”してみる!

 今回、「M29 モデルガン」を手に入れたからには挑戦したいと思っていたのが“発火”である。発火というのはモデルガン用語で火薬を使って遊ぶことを指す。モデルガンは「キャップ火薬」を薬莢に詰めることで実銃さながら薬莢内で火薬を爆発させ、本当に銃を撃ったかのような音と煙を楽しむことができる。

 まるで実銃を撃ったかのようなアクションが楽しめる発火は、モデルガン最大の魅力だが、実はちょっとハードルが高い。火薬を使うことで銃そのものにダメージを与えてしまうのだ。このためモデルガンの中古取引をしているネットオークションでは“未発火”というのがステータスの1つだ。発火したモデルガンは中古で著しく価値が落ちる。「モデルガンですが、発火で遊んでいないのでダメージはありません」というのが大きなセールスポイントになるのである。

 モデルガンで発火を行なう、つまり火薬を爆発させると火薬のカスが銃内部にくっつき、放置したままにすると腐食の原因となる。さらに火薬の爆発は銃そのものへの影響もあるようで、ネットで調べると「モデルガンを発火して壊した」という報告もある。このため筆者は今までいくつかモデルガンを購入し、火薬も購入していたが発火に踏み切れなかった。今回は商品の魅力を100%楽しむべく発火をしようと思ったのだ。

 発火をさせる手順はそれほど複雑ではない。カートリッジを分解し、中にキャップ火薬を詰めるだけ。キャップ火薬を金具で挟む形で押し込む。この火薬を詰めた薬莢を銃にセットし、ハンマーで薬莢のお尻を叩くことで薬莢内部で火薬が爆発、薬莢の弾頭部分に開けられた穴から銃身を通って、銃口から火薬の煙と音が飛びだすのである。

【発火のための準備】
モデルガン用のキャップ火薬、7mm、5mmなどいくつか種類がある。本商品は7mm火薬に対応している
火薬をカートリッジに詰める。この準備作業も楽しい
筆者の両親の畑で撃ってみる。モデルガンの発火を楽しむにはやはりあまり人のいない場所を選ぶのが良いだろう

 予備も含めて12の薬莢に火薬をセットするのは思ったより時間がかかった。アニメ「ルパン三世」で、次元が薬莢に自分で火薬を詰め自作の強装弾を作っているエピソードがあったが、薬莢に火薬をセットし並べている自分に重ね合わせてちょっと楽しかった。

 薬莢を銃につめ、いつも筆者がエアガンを試射している両親の畑に行き、発火をしてみた。「パァン」という音が響き渡る。音そのものはそれほど大きくはないが、かなり遠くまで音が届く感じなのだ。反響音も相まってビックリするほど遠くまで音が響いた感じがする。あたりに人影はなかったが、田んぼの向こうの車道には車が走っており、この銃声を聞かれたら不審に思われるのではないかとちょっと心配した。

 しかし実際撃ってみるとかなり楽しい。火薬の音は軽く、映画やアニメのマグナムならではの大きく重い発射音とは違うが、それでも音が突き抜ける感じがああって、単純に撃つ感触そのものが楽しい。刑事ドラマの登場人物になったような臨場感がある。この銃声が鳴り響く遊びは、やはり人に恐怖感を与えかねないので注意が必要だが、周りに注意してまた遊んでみたいと思った。

【タナカ「M29 モデルガン」、火薬で“発火”してみる】

 家に帰ってすぐ、銃を掃除した。シリンダー部分を外して水を流し込み、銃身部分も水で洗った。説明書やネットの情報によると発火したモデルガンはこのように水で洗うのが基本だという。エアガンのメンテナンスにも使うシリコンスプレーで各部をスプレーし、シリコンオイルを拭きかけた布で表面を拭き取った。筆者は以前モデルガンの組み立てキットを作った経験があり、この体験がメンテナンスに非常に役立った。

 特に薬莢は内部で火薬が爆発しただけに残骸だけでなくカスがこびりついている。各部を分解し水で洗った後、布で丁寧に拭き取った。エアガンではここまでの清掃は必要なく各部にシリコンオイルを差すだけなので、モデルガンは音が大きかったり、洗浄が必要だったりと、比べると手間が多いと感じた。

【撃った後はメンテナンス】
発火した直後。銃口部分に白く火薬カスがついている
銃口、シリンダー、カートリッジを水洗い。機構部分もカバーを外し内部に油を差す。以前モデルガンの組み立てキットを作った経験が役立った

 こういった手間を差し引いてもモデルガンは楽しいと今回実感できた。まず手に持ちカチャカチャ操作をしているだけでも充分楽しい。本物のようにリアルな外見と、ヘビーウェイトモデルならではの重さ、金色のカートリッジをシリンダーに込めていく作業……。映画やアニメの登場人物になったような気持ちになれる。

 そして発火だ。この“銃声と煙”が体験できるギミックはリアル感が一気に増す。「銃を撃つカッコ良さ」が実感できる高揚感はやはり特別なものがある。オートマチックのモデルガンは銃声と共に火薬の力でブローバックも楽しめるという。モデルガンは高価だが、チャンスがあればオートマチックの拳銃をモチーフにした商品も触ってみたい。

【写真を撮ってみる】
銃と酒瓶は銃の写真の構図として人気なので、マネして手持ちの酒瓶と銃を並べて、モノクロのフィルタをかけてみた。構図や写真のフィルタなどまだまだ工夫する必要がある。こういった写真を作るのもモデルガンの楽しみ方だろう