レビュー
「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダムヴィダール」レビュー
2021年1月13日 12:09
柔軟な可動域、豊富なオプションパーツが1つ1つのポーズを追求させてくれる
可動範囲は細身のデザインとあって上半身は干渉が少なく、自由度の高いポーズができる。特に特徴的な腰回りは上体そらしや前かがみの姿勢が取りやすいだけでなく、腰をスイングや傾きでシリンダーが伸縮する細かい演出が実装されている。メカニカルな演出ほど細部のディテールがあるほど、そのリアリティが増すものはない。静と動を両立し、なおかつリアリティを吹き込むこのギミックはメカ好きにはたまらない。
下半身も股関節は前後にスイング機構があり、大きく足を振り上げることが可能。脹脛のノズルは角度の調整ができ、サイドスカート、フロントスカートも可動できるためポージングの際、違和感を排除しやすくなっている。また、各関節部はしっかりとしているためポーズが崩れにくい。バックパックのノズルも角度調整が可能となっている。
専用台座は光沢のある黒塗りベースで、劇中のギャラルホルンのエンブレムと「阿頼耶識 Type-E」発動時のスクリーンが印刷されている。また、「ガンダムヴィダール」の型式番号「ASW-G-XX」も印刷され、専用台座として作りこまれている。本体の支柱は主となる支柱と補助の小さい支柱の2点で支えるため、角度調整がしやすく、安定感も確保されてる。本体とのジョインとは股下から支えるタイプとリアスカートの一部差し替えによるタイプの2種類。前者は差し替えなしで本体の見栄えを最大限に引き出せ、後者はハンターエッジなど大きく足部を活かしたポーズを取るときに適している。
武装には110mmライフル、ハンドガン、そして、バーストサーベルが付属されている。110mmライフル、ハンドガンはマッドな彩色で重厚感を演出しつつ、マーキングで細かいディテールが施されている。サーベルの刃はサイドスカートに収納できる短い刃と抜剣した時の長い刃の2種類がある。
「鉄血のオルフェンズ」では巨大なメイスや大剣、肉厚な剣と分厚い印象が強い。しかし、ガンダムヴィダールの武装は非常にシンプルかつスマート。劇中でも珍しく記憶に残る武器となっている。それだけに機体全体を使ったメリハリのあるアクションを幅広く作ることができる。また、それぞれ片手で保持できるので劇中にはなかった組み合わせで楽しむこともできる。
触れるたびギミック&アクションに引き込まれる
本体のギミックにはコクピットハッチの開閉はもちろん、劇中の武装収納やアクションが再現されている。
「ガンダムヴィダール」の劇中での抜剣アクションができる。サイドスカートのスライドと刃を引き抜き挙動が広い可動域とギミックによって、高い再現度が可能となっている。メカアクションのロマンと抜剣のタイムロスを短縮する実用性を両立し、立体化によってそのシステマチックな機能美が理にかなっていると改めて認識させられた。
ハンドガンによる2丁拳銃アクションもできる。初戦闘時のミサイル迎撃はもちろん、自分の好みでポージングもできる。立体化によって劇中にはなかったアクションが頭の中で沸き上がり、ケレン味のあるガン=カタアクションが映える。機動力の高い機体らしい一撃離脱の戦法を取るガンダムヴィダールだからこそ、火力の低いだろうハンドガンで頑強なモビルスーツの急所を撃ち抜けるというシチュエーションも考えられる。
110mmライフル、ハンターエッジのアクションも決まる。微妙な角度調整だけで、見栄えが変わってくるので時間を忘れて「最高のポーズ」を追求したくなる。「鉄血のオルフェンズ」のモビルスーツは「ビーム兵器を受け付けない。そのために、実体弾や鈍器が有効」という設定がある。戦闘シーンなどでは装甲を“潰す”描写が顕著であり、ハンターエッジも敵に対して踵落としでコクピットを潰しにかかるシーンがある。そうした劇中のアクションの再現もできつつ、触れていくほどに多彩なアクションが湧いてくる。
ハンターエッジの刀でいう峰の部分? にはソードブレイカーのごとく溝がある。収納時には足裏部分となるのだが、これは実体剣に対するカウンターとして機能していたのではないか、と考察がはかどるのも魅力だ。
そして、「鉄血のオルフェンズ」でも印象的な眼光エフェクトも完備。パイロットが抱く復讐心が溢れだしたような眼光はクリアパーツで再現され、機体の限界性能を超えた動きを表現したスタイリッシュな残光からも目が離せない。眼光エフェクトは3種類あり、ポーズによって差し替えて臨場感溢れるポーズができる。
作中のパイロットたちの結末を思うと、ガンダムヴィダールの眼光にはその片鱗が改めて感じざるを得ない。ヴィダールという仮面の下で怨嗟に燃える瞳を滾らせながら、同時に涙を流して苦しみながら戦っているパイロットたちの姿が重なって見える。そして偽りではなく、本当の想いを届けるためにキマリスの姿、ガンダム・キマリスヴィダールとなってガンダム・バエルとの身を削る戦いに繋がっていく。立体化によって様々な角度からガンダムヴィダールが楽しめるだけに、その表情も劇中にはない表情を発見できる楽しさも一つの魅力だ。
劇中でのエッジのきいたデザインが極限まで立体に落とし込まれ、スタイリッシュなアクション、ギミックも再現できる「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダムヴィダール」。
アニメでの活躍再現のみならず高い可動域と彩色によって想像力を駆り立てられ、アクションフィギュアとしての遊びも充実。また劇中での活躍回数が少なかっただけに、劇中のパイロット、ヴィダールと重ねるとアニメだけでは見つけにくかった考察が捗る一品だ。「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダムヴィダール」を通して、アニメの物語を改めて認識する。極限の劇中再現がなされているのは、立体物としての楽しさ、そして物語の想像が広がっていく興奮を楽しむためにあった。
そこには、作品の世界すら伝わってくる魅力が詰まっている。今後展開される「METAL ROBOT魂 <SIDE MS>」シリーズにも注目していきたい。
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