レビュー

「MODEROID AV-98イングラム&ブルドッグセット」レビュー

菱井インダストリーのベストセラー汎用レイバーが、イングラムと同スケールでキット化

【ブルドッグ】
菱井インダストリー製「HL-97ブルドッグ」は作業用レイバーのベストセラー機

 続いては「ブルドッグ」を見ていきたい。菱井インダストリー製「HL-97ブルドッグ」は、バビロン・プロジェクトでも多数使用されている作業用レイバーのベストセラー機だ。航空機の技術を転用したコクピットは広い視界を確保し、オプションの防水キットを使用すれば、5~10mでの水中作業も可能という特徴も持っている。

【ブルドッグのパーツ】
BA、BB(×2)パーツ。上半身の手足の外装など。イングラムのパーツと混同しないよう、パーツ名が2文字になっている
BC(×2)、BDパーツ。手足、関節部など
BE(×2)、BFパーツ。関節部、キャノピーなど
こちらはデカールではなく、はがして貼るタイプのシールを採用

 こちらはイングラムよりも簡易的なキットで、腕や脚は多くが左右共通のパーツで構成されていて、組み立ても簡単だ。足裏の肉抜きやスネの合わせ目などが多少気になるものの、要所のディテールはしっかり施されていて、キャノピーや警告灯にはクリアパーツを採用している。イエローの成形色は劇中でもポピュラーなカラーで、アクセントとなる赤黒のストライプはデカールではなく、シールで表現している。

【ブルドッグの組み立て】
腕の組み立て。肩以外は左右共通のパーツとなる
両腕の完成。手は付け根のみが可動し、ツメは非可動
完成した両腕を上半身のパーツで挟み込む
キャノピー、警告灯、背部パイプなどを取り付けて上半身が完成
脚部は関節も含め、左右同じものとなっている
腰のパーツで股関節を挟み込んみ、腹部パーツを取り付けて下半身が完成
【ブルドッグの完成】
シールを貼ってブルドッグが完成。作業用の汎用レイバーらしい、無骨なシルエットが魅力だ
イングラムと同レベルの筋彫りによるディテールが施されている。操縦者のフィギュアが欲しくなる
肩の手すりなど、1パーツで再現しているのが凄い。背部と脚部の合わせ目が若干目立つかも
足首は1パーツで、大胆な肉抜きがある。腕に自信のある人は、この部分の処理に挑戦してみてほしい
可動域はあまり広くないが、作業中の風景を作るだけなら十わかと思う
腰を深く落とすのは難しいが、ヒザ立ちもなんとか可能
イングラムと対峙するシーンを再現できるのが何よりも楽しい

 何より、立体化の機会が少ない作業用レイバーのプラモデル化は個人的にも心が躍った。今後もシリーズが続くのであれば、篠原のボクサーや菱井のレックス、SEEのグラウベアなど、ガレージキットなどでしか見られなかった機体の登場にも期待してしまう。

 “ホビーユーザー向け”と説明があったが、組み立て自体はさほど難しくなく、2機とも素組みの状態で高い完成度を誇っている点に感動する。成形色を生かしたピンポイントの塗装とスミ入れ、デカールを貼るだけで、劇中にかなり近い機体を作ることができるかと思う。またプラモデルなので、塗装や小改造でレイバーならではのバリエーションを楽しめるのもポイントだ。既にヘルダイバーや零式、グリフォンなど、人気の機体の発売が決定しているが、レイバーに限らず、指揮車やレイバーキャリアなど、このサイズだからこそ発売できるアイテムにもチャレンジしてもらいたいものだ。

1月開催のイベント「THE合体展」より、MODEROIDパトレイバーコーナー。グリフォン、零式、ヘルダイバーも展示された
ほぼ同スケールのBANDAI SPIRITSの「ROBOT魂 <SIDE LABOR> イングラム1号機」との比較。MODEROID版は細身に見えたが、並べてみると手足などはROBOT魂のほうが細く見える。好みもあるので優劣はつけられない