レビュー

アオシマ「1/24 ニッサン S30 フェアレディZ エアロカスタムVer.2 '75」レビュー

塗装、デカール、己の技術をこめて作り上げるカーモデル

開発・発売元:アオシマ

発売日:2021年2月

価格:2,800円(税別)

ジャンル:プラモデル

サイズ:全長約180mm

 スポーツカーの中でも、クーペモデルは普遍の人気を誇る。中でも、日産自動車の「フェアレディZ」はGT-Rと並んで人気の車種だ。特にクラシックモデルはそのデザインの美しさなどから、「一度は乗ってみたい」と雑誌を眺めては筆者はため息がこぼれるばかりだった。

 完成品のカーモデルを手にしたいと思っても、「好みのカラーリンがない」、「大きさが欲しい」とこだわりばかりが出てしまい立体物もスルーしていた。

 そんな面倒くさい筆者が巡り合ったのが、アオシマの「1/24 ニッサン S30 フェアレディZ エアロカスタムVer.2 '75」。乗用車からカスタムスポーツカーまで、数多くの名車を1/24スケールで再現したアオシマのカーモデルシリーズ「ザ・モデルカー」のキットで、接着剤を使用するプラモデルとなっている。

 本商品は1/24スケールとボリューム感とワークス仕様のパーツ再現で筆者の心をくすぐり、カーモデル初挑戦のきっかけを与えてくれた。これまではスナップフィットモデルのプラモデルを作ることが多かった筆者にとって、一つのチャレンジでもあった。「接着剤での接合はうまくできるのか?」、「カラーリングはうまくできるのか?」、幾度となく伏目がちに諦めていた少年時代の筆者が脳裏をよぎる。

 しかし、今ならできるはずだ。セメントによる接着もエアブラシ塗装も水転写デカール貼りも経験した。そして、今回それら筆者が持てる技術のすべてをぶつけて、「1/24 ニッサン S30 フェアレディZ エアロカスタムVer.2 '75」の魅力に迫っていこうと思う。

バリバリのレース仕様のシートやダッシュボードも用意! 自分の理想が追求できる

 「S30 フェアレディZ」と聞くと筆者は楠みちはる氏の漫画「湾岸ミッドナイト」に登場する「悪魔のZ」こと「S30 フェアレディZ」が真っ先に思い浮かぶ。今回のキットは同じS30型だが、1975年のレース仕様のエアロカスタムとなっており、スポイラーやフェンダー、そして新規ワークスマグホイールによってパッケージからもレース仕様の計算されたボディラインの美しさが伝わってくる。

 封入されているランナーは点数こそ少ないが、一つ一つのパーツに吹き込まれているマシンを構成する要素と作り手に「好みの自動車」を作る楽しみを内包している。ボディやシャーシはがキットの大部分となっており、フロントガラスやライトになるクリアパーツ、そして内装パーツとホイールパーツ、アルミナンバープレート、タイヤなど少ないパーツで構成されている。エンジンやシャフトなどの内部構造は省いて、目に見える外観を追求したシルエット重視のカーモデルとなっている。

パッケージ&ランナー
バックミラーやサイドミラーなどに使用するメッキシール

 筆者はこれまでガンプラなどキャラクタープラモを作ってきたために、「パーツが多い=情報量が多い」という認識が根底にあった。そのため「パーツが少ない=情報量が少ない」のではないかと思った。

 しかし、必要最低限のパーツ構成で最大限の魅力が引き出される理由はまずパーツ選びから始まっていた。組み立ての際、ダッシュボード、コンソール(シフトレバー)、シート、マフラーは作り手の好みで選べるようになっている。ダッシュボードは公道で走るタイプとレース用の2種類がある。コンソール、シートも同様でこれらは「自分だったらどんな車に仕上げるのか」とカーオーナー的な楽しみがある。レース仕様に仕上げるなら「クーラーなどの不必要な器具のないダッシュボードを選ぶ」といった具合にフェアレディZを仕様を自分で決めることができる。

シート比較
ノーマルシート。運転時には目線が高く、身動きが取りやすいモデルだ。
バケットシート。レースでも使用される体を包み込むようなデザインで、目線も低く設定されている。

 今回は「公道でバリバリ走らせたい」という筆者の願望を追求すべく、パーツを選定。「公道で走るために必要な設備」や「運転のしやすさ」を想像するのが楽しい。「リアルな造形を組み立てる」というプラモデルとしての魅力と「好きな車種を自分の好みが出来上がっていく」というカーオーナー気分が味わえる。

ダッシュボードはこちらを選択。タコメーターに水温計、油温計と様々なメーターがある。