レビュー

固定スライドガスガンコンパクトキャリーシリーズ「LCP」レビュー

特別に内部機構を公開! ノズルやバレル、ホップを生じさせるプレスパーツをチェック!

 今回、シンプルな仕組みのエアソフトガン「固定スライドガスガン」なので、スライドを外しただけで内部機構を見る事ができる。ただし、取扱説明書にある様に、分解した製品は修理を受け付けてもらえない場合もあるので注意が必要だ。今回はレビュー用に東京マルイの許可を得た上でスライドを外しているが、公式には推奨されていないことを注意して欲しい。

 スライドを外すには、まず、LCPのバレル下部にあるネジを六角レンチで外し、スライドを少し前進させると上にスライドさせて分解できる。

【スライドを取り外す】
LCPのバレル下部にあるネジを六角レンチで外し、スライドを少し前進させると上にスライドさせて分解できる

 内部を見てわかるのは、非常にシンプルな機構であるということだ。取扱説明書に沿って使用し、無茶な取り回しをしなければ、滅多に故障はしないのではないだろうか。また、ノズルの動き、パッキン、バレルの位置などを確認することで、本商品が少ないガスと短いバレルでも充分なパワーを稼いでいるのも確認できる。これはかなり絶妙なバランスだと思うので、素人考えで改造するのは絶対に止めた方が良い。

【シンプルな内部機構】
ノズルの動き、パッキン、バレルの位置などが確認できる

 「HOPアップ」は、BB弾をチャンバーパッキンの“コブ”に擦らせて、バックスピンをかける事で揚力を生じさせ、弾を遠くに飛ばす機構の事だ。コブの擦り具合を調整できるモノが「可変HOP」と呼ばれるが、この「LCP」は調整の出来ない固定式となる。

 分解してみると、プレスパーツとパッキンの見たことがないスタイルになっている。

 島村氏いわく、「この機構は『LCP』から初めて導入されたHOP構造です。従来のHOPは、先にも述べたようにパッキンのコブを上下に移動させる事でコブの出ている面積を変化させ、、BB弾に発生するバックスピンの回転数を変える事により、HOPの強弱を調整していました。この『LCP』はパッキンのコブの出ている面積は変化せず、BB弾がコブを通過する時に、コブの変化する具合をプレスパーツの位置で制御して、バックスピンの回転数を変えて、HOPの強弱を調整する仕組みとなっています」とのこと。

【ホップ機構を確認】
赤丸で囲んだ部分がホップを生じさせるプレスパーツ

 言うなれば、今までのHOPは「上下」の移動で調整していたが、このLCPは「前後」の移動で調整する構造となっているそうだ。

 この点に関して構成時、島村氏に質問してみた。「このHOP機構を開発した理由はいくつかあるが、一番の理由は、このような小型の製品は、従来の上下調整のHOPシステムを組み込むスペースが無いため、このような構造を開発しました。固定HOPでありながら、工場での生産時に微調整する必要があるため、わずかながらプレスパーツが前後する仕組みになっています。でも、あくまでもメーカーとしては固定HOP製品です」ということだ。この機構は特許を申請済みとのこと。

 外観、内部機構の検討の後は、いよいよ実射性能を見てみよう。

狙い撃ちより近距離相手の乱戦に向くバランス

 今回も実射にあたっては、千葉県白井市にあるサバイバルゲームフィールド「ホワイトベース」さんにお邪魔した。

ホワイトベース公式ページ

【ホワイトベースさんのシューティングレンジ】
一番手前、真ん中のマンターゲットは10m、左側は15m、一番遠い右奥は25mだ
ホワイトベースの公式ページ

 なお、BB弾は重さ0.2gの物を使用する様に指定されている。BB弾は重さ0.2グラムと0.25グラムが主流だが、ほかにも様々な重さの商品が存在する。「LCP」性能を充分発揮する為、故障を減らす為に必要不可欠な注意なので、他の重さを使わないようにするのが大事だ。複数の銃で重さが違うBB弾を使っている場合は、注意したいところだ。

【0.2mmのBB弾を使用】

 「LCP」は、固定スライドガスガンなので、ガスとBB弾を入れたマガジンを装填し、安全装置がOFFであれば引き金を引くとBB弾が発射される。引き金を引いて、バーを真っ直ぐ下げるシンプルな機構で、ガスを放出させる為のスプリングも強くない。

 トリガープルはクセが無く、ハーフコック機能も相まって重くは感じない。東京マルイ製品で初心者が手を出しやすい価格帯にはコッキングエアーガンがあるが、スライドを引くのにコツとある程度の力が必要で、ユーザーから相談窓口に「スライドが引けない」といった電話が来ることもあるという。その点、引き金を引くだけの「LCP」は、撃ちやすい銃だ。だからこそ銃口管理、暴発への注意も気をつけたいところだ。

 これだけのコンパクトサイズでバレルも短い。電動ガンやブローバックガスガンに比べると、パワーは抑えめだ。まず、試しに一番手前、7mほどの切り株の上にある的を狙ってみる。

【東京マルイ、固定スライドガスガン「LCP」で7mの的を狙う】

 驚いたのは、「LCP」の固定ホッピアップだ。7mほどの的ならば慣れれば10発撃って9発が的に当たり、1発が惜しくも外れるぐらいの射撃が可能。小型ながら充分な実射性能を持っているのがわかった。

 フラットな弾道を描いてターゲットに吸い込まれる。屋外で横風もあり、精密射撃には不向きな条件だが、全弾がマンターゲットを捉え、小さな的を撃ち抜く事も可能だった。

 これはあくまで筆者の個人的な意見だが、「状況に応じてもう少しHOPを調整したい」という人ならば、プレスパーツを移動調整すれば、弾道が調整出来るのではないだろうか? しかし、ユーザーの手による”改造“にあたりサポートが受けられなく可能性はあるし、命中精度にも影響が出る恐れがあるので、これは強く勧められない。あくまでも、筆者の考えと自己責任でというしか言う事ができないところだ。

【ホルスターも発売予定】
現在試作中のホルスター

 今回、サンプルを借りた際に特許取得済みのコンパクトキャリーガスガン専用の新型ホルスターも見せてもらうことができた。発売はシリーズ第2弾の「BODYGUARD.380」前後になりそうで、まだ試作段階とのこと。

 最大の特徴が、ホルスターとマガジンをネジで連結できる点。その場合に、身体に干渉しないよう若干角度が付いている。これはありそうで無かった発想で、特許取得済みだ。

 実銃用より材質がしなやかで柔らかく、そして、万が一破損した時の断面も鋭利にならない様に考えられているという。まさに「LCP」用に最適化されたホルスターだと言えるだろう。価格は銃本体の半分程度を考えているとのこと。

【ホルスターとマガジンをネジで連結】
スムーズに出し入れできる樹脂製ホルスターとなる。ホルスターとマガジンケースをネジで連結でき、装弾数の少なさもホルスターでカバーできるという

 故障しにくいシンプルな発射機構。必要充分な飛距離と命中精度。小型軽量で、持ち運んでも疲れない、邪魔にならない。さらに抜き撃ちもし易い専用ホルスターも発売を控える。そして、リーズナブルな価格……。これらを考えると、「LCP」がサバイバルゲームにおけるバックアップウエポンの決定版と言っても過言ではないのではないだろうか。

 サバイバルゲームにおいて、弾切れだけでなく動作不良などでメインウェポンが使えなくなることがある。そのとき、「こんなこともあろうかと」と言う為にバックアップウエポンを携行するのはサバイバルゲーマーの嗜みで、なにより燃えるシチュエーションでもある。

小さく、しっかり飛ぶコンパクトキャリーシリーズは、今後の発展も楽しみだ

 初のモデル化となる「LCP」のファンは無論、誰で撃てる手軽さから初めての一丁にも最適だ。そしてメインウエポンでの行動をスポイルしないバックアップ用として断然オススメしたい、注目の製品と言えるだろう。