レビュー

固定スライドガスガンコンパクトキャリーシリーズ「LCP」レビュー

東京マルイの新ジャンル! バックアップに最適な小型軽量ハンドガン!

【固定スライドガスガンコンパクトキャリーシリーズ「LCP」】

ジャンル:固定スライドガスガン

開発・販売元:東京マルイ

価格:8,778円(税込)

発売日:4月14日

全長:31mm

重さ:255g(空のマガジン装着時)

 東京マルイの固定スライドガスガン「LCP」が4月14日に発売となる。全長131mm、重さ255g(空のマガジン装着時)という、小さく軽い“コンパクトキャリーガスガン”である。第1弾は、この「LCP」、そして第2弾として「BODYGUARD.380」がアナウンスされている。今後東京マルイの新しい商品ジャンルとして展開していくという。

 「LCP」はスタームルガー社の「ライトウェイト(L)・コンパクト(C)・ピストル(P)」をエアソフトガン化している。「軽く、小さい」という名前を冠したこの銃、そしてそのジャンルは普段持ち歩く護身用として北米市場の定番製品となっており、近年安定した人気がある。

【固定スライドガスガン「LCP」】
小さく、軽いが、充分な実射性能を持つ「LCP」。東京マルイの新ジャンル“コンパクトキャリーガスガン”の第1弾だ

 小さく、持ち運びがしやすく、持っていることを気づかせないという小さな銃は、女性のハンドバッグにも収まり「ポケットピストル」というカテゴリーでも呼ばれる。実銃のLCPは装弾数6発+薬室内に1発。ワルサーPPKなどにも使う9mm弾の.380ACP弾を用する。ダブルアクションで引き金を引くだけで弾を発射できる。護身用のほか、その秘匿性の高さから警察などでもバックアップガンとしても使用されることが多いし、スパイの隠し武器としてもカッコイイ。

 東京マルイのガスハンドガンといえば中~大型のガスによるメカニックでスライド部分が動く「ガスブローバックハンドガン」が人気だが、固定スライドガスガン「LCP」はスライドが動かず、大きさはコンパクトである“コンパクトキャリーガスガン”という新しいジャンルに挑戦する商品となっている。

 その感触やディテールはどんなものか? 実射性能はどうか? 今回はメーカー側の許可を得て、内部機構まで踏み込んでレビューしてみた。

 なお弊誌では「LCP」、「BODYGUARD.380」に関して以前インタビューを行なっている。併せて読んで欲しい。

胸を高鳴らせる“コンパクトキャリーガンのバックアップ”というコンセプト

 北米市場では護身用で“女性のハンドバッグにも入る銃”として一定の人気を集める「コンパクトキャリーガン」。小型軽量小口径の銃は威力としては小さくても、「銃を持っている」ということを相手に伝えることで無用のトラブルを避けたり、至近距離で使用することで、護身用として効果的に使用できるだろう。

【背広が似合う銃】
サンプルを借りる際に東京マルイの広報・島村優氏に本商品をホルスターに入れてポーズをとってもらった。刑事物や、スパイものにもぴったりの、秘匿性の高い銃だ

 しかし、筆者のようなガンマニアにとってコンパクトキャリーガンは、“最後の武器”として映画で描かれるのがたまらない。メインの武器を打ち尽くしたのを見て敵が勝ち誇ったときの最後の切り札や、隠し持った銃で大逆転、といったシチュエーションがカッコイイのだ。

 中でも特に印象に残るのが、1976年公開の名画「タクシードライバー」だろう。主演のロバート・デ・ニーロ演ずるトラヴィス・ビックルが腕にコンパクトキャリーガン(S&W M61エスコート)をバックアップウエポンとして、M65ジャケット(ミリタリージャケットの定番)の袖に仕込むのだ。

 ファンからは「スリーブガン」と呼ばれるその銃と仕掛けは、カーテンレールを改造した独特の装置で手を伸ばす動きに連動し、大きなミリタリージャケットの袖口から小さな銃が飛び出す。クライマックス、何も持っていないように見える手元に手品のように拳銃が現われ、敵にとどめを刺すその姿が実にカッコイイ。この機構を真似して自作する人たちや、キット販売する人もいるほどに印象的な武器なのだ。

【映画・タクシードライバーに憧れて……】
タクシードライバー 40周年アニバーサリー・エディション
筆者の私物である劇中を再現したワッペンを着けたM65。空挺ワッペンはホントは右胸だ
劇中の機構を再現したガレージキット「スリーブガン5型 びっくるくん DX(M61エスコート・レジンモデル付き)」

 「タクシードライバー」のようなカッコイイ装置を使わずとも、ポケットに難なく隠せ、小さなホルスターを使えばズボンの内側や背中、足首などにも装着でき、その存在を気づかせないコンパクトキャリーガンを“バックアップ”として持っているのは、ガンマニア、ミリタリーオタクにとって、強い憧れを感じさせられる。“最後の武器”として持っておきたくなる銃なのである。

 “隠し武器”としてのコンパクトキャリーガンは小ささを求められる。実包が発射できれば十分な実銃に比べ、エアソフトガンの場合は小ささに比べ、“実射性能”も求められる。手のひらに収まるような小さな銃でありながら、大型拳銃のガスガンに劣らない飛距離を実現しなくてはサバイバルゲームなどで使っても、やはり楽しくない。

 固定スライドガスガン「LCP」はエアソフトガンの“まっすぐ飛び、当たる”というポイントにおいてユーザーから信頼を集める東京マルイの新商品である。まさに“おもちゃのように小さい”、「LCP」がどのようなガスガンなのか、体験していきたい。

【コンパクトキャリー】
「LCP」も袖口に隠すことが可能だ

想像以上にコンパクトだが、高い満足度が得られる、外観と握り具合

 では商品をパッケージから見ていこう。東京マルイらしいシッカリした造りのパッケージを開けると、「LCP」本体とマガジンが別々に収められている。そして取扱説明書と0.2gのBB弾が付属している。

【パッケージ】
渋いデザインのパッケージにしっかり収められた「LCP」

 まずLCP本体を取り出し、握ってみた。

【マガジンと銃本体】
マガジンはダイキャスト製、銃本体は樹脂製だが、スライドとフレームがの塗り分けが違ったり、外見からは固定スライドであることを感じさせない

 「LCP」は持ってみると思った以上に小型で、グリップは手の小さい人でも握りやすいだろう。また、身長174cmの筆者の手に小指1本分余ってすっぽり収まるが、と言って小さ過ぎるという感じは無い。

【しっかりとした握り心地】
グリップは小指1本分余ってすっぽりと手の中に収まってしまう
【銃の薄さ】
小さいだけでなく、薄さにも驚く。これでしっかりとしたガスガンの能力を実現している

 銃全体の薄さ、小ささは、グリップとフレームが一体化している事で実現している。これだけ小さいと、握りしめると引っかかりが少なく、滑ってしまう様なイメージだが、指先があたる部分にチェッカリングが施されているのでホールド性は高い。

 特に素手で握ると肌に吸い付く感じだ。こういった握りやすさは、モチーフとなるルガーLCPの人間工学に基づいて設計されている近代拳銃のデザインと共に、それをきちんと再現している、東京マルイの技術というところだろう。

【ディテールもしっかり】
刻まれた文字などもしっかり確認できる精密なディテール表現

 スライドとフレームは樹脂製だが、つや消しと半つや、それぞれ表面処理を微妙に変える事で、元の銃の素材の違いを表現している。内部には金属パーツが多用されていて、程良い重さになっている。「LCP」の小ささは子供の頃に遊んでいた“銀ダマ鉄砲”を思い起こさせるが、実物を前にして、握ってみると、先入観はきれいに消える。メカがしっかり詰まった、そして実銃を細かく再現した高級感が楽しい。

 本商品は“固定スライドガスガン”なので、ブローバック機能はなく、実銃のようにスライドは動かない。外観は、携帯性の為に凹凸が少ないデザインの特徴を捉えて再現している。それでいて廃莢口など、固定スライドガスガン故に動かない部分もモールドで再現しているので、のっぺりした感じはない。

 また、フロントとリアのサイトも引き抜くときに引っかからないシンプルな凹凸を再現している。このため、サイトは精密射撃には不向きだが、それも含めて「コンパクトキャリーガン」らしさをエアソフトガン化していると言えるだろう。

【モーゼルHscとの比較】
筆者のコレクション、旧レプリカ社の小型固定スライドガスガン「モーゼルHsc」との比較。厚み、前後左右が小さくなっているがトリガーガードはむしろ大きくなっている。握りの前面のカーブが、小型で握りやすさを実現させたことがわかる
【ガバメントとの比較】
東京マルイのエアコッキングガン「コルト ガバメント」との比較。大きさの違いは一目瞭然だが、トリガーガードは同じぐらいのサイズなのだ。

 なお、出荷時点では、銃口に赤い「保護キャップ」が差し込まれている。固定スライドガスガンは外見からBB弾が発射可能な状態か否か判別し難いので、作動させる直前まで差し込んでおこう。また、安全の為、保管時や持ち歩く時は装着すると良いだろう。

 固定スライドなので、動作するのは引き金と安全装置のみになる。引き金は、2発発射を防ぐ為に、引き始めるとカチッと「ハーフコック機能」が動作する感触がある。

【引き金の位置】
通常の状態の引き金の位置
こちらは、ハーフコック状態の引き金の位置

 マガジンを入れていない状態で引き金を引くと、最初の1回だけ内部でハンマーが作動するが、その後は空転する。そして安全装置は、実銃では分解時にスライドを固定させる為に使う「ホールドオープンレバー」を上に移動させる事でオンになる。「LCP」は引き金を引くとBB弾が発射されてしまう固定スライドガスガンなので特に注意が必要なポイントといえる。

【安全装置】
実銃のホールドオープンレバーが安全装置となっている

 続いてマガジンを見ていこう。こちらはダイキャスト製で、「LCP」本体より重い。銃本体に装填すると、手に馴染む重さになる。この辺りのバランスは絶妙だ。

 ガスはガスブローバックガン同様、マガジンの底から充填する。取説にも書いてあるが、角度に気を付けよう。満タンで約40発は撃てる設計との事だが、外気温や発射間隔に左右されるので絶対ではない。慣れれば、「今日はワンチャージでこのぐらいは撃てるな」とわかってくるだろう。

 マガジンの総弾数は10発。フォロワーを指で押し下げて、BB弾サイズの丸い穴から装弾する。なれるとBBローダーで1発づつ入れることもできるが、本製品は基本的にBBローダー非対応となっている。

【マガジン】
マガジンはダイキャスト製で、実弾を入れたような重さが体験できる
ガスの注入、角度に注意
ローダーでBB弾を装填

 マガジンの上部はメッキされたノズルが前後に移動するようになっている。固定スライドなので、このノズルでBB弾を発射位置まで移動させる。これにより、インナーバレルを固定状態にして、命中精度を上げているのだ。

 今回はメーカーの許可を得て、内部機構も確認してみた。商品の分解はアフターサービスを受けられなくなる可能性もあるため注意が必要だが、「LCP」に興味を持つユーザーにとって重要な情報だと思うので、紹介していきたい。