レビュー
思い出ともに「炎の魔神」が蘇る! 「RIOBOT 魔法騎士レイアース レイアース」レビュー
2021年6月12日 00:00
「魔法騎士(マジックナイト)レイアース」からついに「レイアース」が千値練よりアクションフィギュアとなって発売された。左右非対称のファンタジー調の紅い鎧や存在感ある盾、豪奢な剣、そして背面の炎とアニメの印象的なデザインと男の子の心に火をつけるには十分なカッコよさだ。
筆者もそんなカッコよさに惚れた少年の一人で、ケーブルテレビのアニメ再放送でその存在を知った。しかし、アニメでの登場は遅く、活躍のシーンも少ないためか「レイアース」などの劇中の巨大ロボット「魔神(マシン)」は立体化されてこなかった。それでも、筆者にとっては勇ましく剣を振るう姿や魔法を放つモーション、そして暗い空に映える炎の揺らめきなど印象深い演出やアクションに魅了された。そして、主人公の獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風の3人が2017年にfigma化され、2019年には「スーパーロボット大戦T」への参戦で筆者の中で「もしや」と期待が膨らんだ。
そして、令和になってついに「レイアース」が立体化の発表、さらに期待感を高めたのが、メーカーである千値練だ。ハイクオリティな造形と可動で数々の商品を世に送り出してきた千値練ならば、と筆者に購入へのためらいはなかった。
ようやく手に入れて、アニメでは省略されていた細部も立体によって情報量の多さに驚かされた。鎧の流れるような線や剣の柄の造形など立体だからこそできた緻密な表現。そして、鮮明なカラーリングは漫画やアニメとは異なるディスプレイした時の存在感を発揮させるアレンジに感じられた。「立体だからこそ」といえるデザインのアクセントに新たな発見とアニメで見たイメージを踏襲されたクオリティの高さに、改めて「レイアース」にカッコよさと魅力を再確認するとともに、初見の人も思わず手に取りたくなる出来栄えとなっている。では、早速フィギュアを紹介しよう。
「魔法騎士(マジックナイト)レイアース」とは?
「魔法騎士(マジックナイト)レイアース」は「カードキャプターさくら」や「XXXHOLiC」などを手掛けたCLAMPの漫画で、アニメ、OVA、ゲームにもなった人気作品。主人公の獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風の3人が異世界「セフィーロ」のエメロード姫に招喚され、魔法騎士(マジックナイト)として「セフィーロ」を救うストーリーとなっている。
その物語の中で魔法騎士(マジックナイト)に力を貸すのが「魔神(マシン)」の一体が「レイアース」だ。「レイアース」は獅堂光が操る「炎の魔神」で、赤い鎧に金装飾の大胆なカラーリングに大きな爪のような盾を装備した左右非対称のフォルム、さらに、炎のように燃え盛るエフェクトで強いインパクトを放っていた。他にも龍咲海が操る「セレス」、鳳凰寺風が操る「ウィンダム」が登場し、3体が合体した「合体魔神レイアース」など男の子も魅了するロボットたちが登場した。中でも、「レイアース」初登場時のダイナミックな構図で起き上がるシーンは、画面押しからも「これでもか!」とカッコよさが伝わってきた。そして、敵であるザガートの「魔神(マシン)」との剣と魔法の激闘は接近戦の重々しい攻撃や魔法の派手さも相まって強いインパクトを残している。
そして、筆者にとって最も衝撃的だったのが、本作品が講談社の少女コミック雑誌「なかよし」で連載されていたことだった。少女漫画=現代恋愛物語が主体という方程式があった筆者にとってファンタジーRPG的な世界観、巨大ロボットが登場する少女漫画は衝撃的だった。「ロボットは男が動かすもの」という先入観を壊してくれた筆者にとっては一つのロボットモノの価値観を変えてくれた作品だ。余談として、CLAMPの漫画「ANGELIC LAYER」では主人公の一人、獅堂光がモデルになったキャラクターが登場し、いわゆるスターシステムを知ったのもこの作品だ。
パッケージから伝わってくる期待感
「RIOBOT 魔法騎士レイアース レイアース」のパッケージデザインは大々的に映る「レイアース」で、手にしたとき、アニメを見ていた記憶が蘇ってくる強烈なデザインとなっている。
開けてみるとブリスターが2段重ねで収納され、専用台座と取扱説明書が付属している。「レイアース」本体に盾と交換用ハンドパーツ、2種類の剣、そして炎のたてがみエフェクトが付いている。
内容は非常にシンプル。「レイアース」本体と盾、背部に取り付ける「炎のたてがみ」のエフェクトパーツ、交換用手首、武器の剣は通常のものと炎を纏った「炎の剣」の2種類が付属している。また、専用台座と取り扱い説明書が封入されている。
頭部の上品さ、流麗な甲冑姿に思わずうっとり
ブリスターから出して、造形の確認。「レイアース」本体のデザインはアニメ版準拠らしいシャープな造形で足回りの爪も後ろに一つ、前に大きな爪が2つ出ている形となっている。背中も推進装置のようなパーツが付いている。
特徴的な赤い甲冑がアニメと比べると明るい印象で、それに対して金装飾部分は重厚感あるゴールド塗装となっており、美しいコントラストを演出している。胸や肩、膝にある宝玉のような装飾も高級感ある仕上がりとなっている。アニメでは暗い場面での活躍が多かったため、細かい装飾や色合いが確認しずらかったが、立体になって細かく観察できるのは嬉しかった。メカメカしい感じは少なく、「甲冑を着込んだ騎士」という印象が強い。腹部や股関節は布のようようなグレーパーツで覆われおり、マットな質感となっている。
陶器のような上品な美しさと機能的なシルエットに筆者は思わずうっとりしてしまった。
付属の剣は通常の状態と炎を纏った状態の2種類がついてくる。剣は獅堂光が使うものと同じデザインで正直、手に入れる前は塗分けや造形にムラが出ると思っていた。しかし、そこは千値練クオリティ。彩色のムラはなく、赤とゴールドが炎のように広がる柄のデザインもしっかりと再現され、これには筆者も脱帽した。炎の剣も同様のクオリティに加え、燃えるような刀身をクリアパーツで再現し、臨場感ある造形となっている。
盾は上腕部ごと付け替え、手首パーツを装着することで再現ができる。手にしてみて改めて、その大きさに驚かされた。高さは本体とほぼ同じで、劇中での存在感を立体でも遺憾なく発揮している。また、劇中では左腕に装備されている盾だが、本商品では右腕の上腕部と取り換えて、右側にすることもできる。
エフェクトパーツの「炎のたてがみ」はクリアパーツで表現されている。持った時は重みがあり、装着すると本体との比重で傾き、台座なしでのディスプレイは難しい。しかし、「炎の揺らめき」が細かく表現されクリアパーツならではの光の加減で「火の明るさ」も演出できる造形となっている。
付属の専用台座も安定かつ柔軟な支柱を持っている。支柱部分は根本、第1関節、第2関節で大きく角度調整ができ、本体との接続パーツは左右に動かすことで傾けた姿勢を取ることができる。支柱の関節部は前後へのスイングだけだが、180度の近く動かすことができるため、本体とのバランスや角度の限界制限がないので柔軟に対応することができる。特に「炎のたてがみ」の重さを支えることに加え、本体のアクションを補助する大きな役割をしっかりと果たしてくれる。