レビュー
ガンプラ「RG 1/144 ウイングガンダム」レビュー
オペレーション・メテオ発動。任務了解……オマエをつくるっ!!
2021年6月18日 00:00
今回レビューするのは「RG 1/144 ウイングガンダム」です。この機体はTVアニメ「新機動戦記ガンダムW(ウイング)」に登場する主役の5基のガンダムのうちの一機で、主人公の一人「ヒイロ・ユイ」が物語前半で搭乗するガンダムです。
「新機動戦記ガンダムW(ウイング)」は1995年に放送がスタートしたいわゆる“宇宙世紀”モノではない別の……とはいっても現在はターンエーガンダム他に於いてすべてのガンダムシリーズは地球を舞台にした数万年、いやそれ以上の歴史がある物語として連なっていることになっていますのでガンダムWもまたその歴史の一部となっています。
放送順的には1993年「機動戦士V(ヴィクトリー)ガンダム」1994年「機動武闘伝Gガンダム」の次の作品となり、5人の“美少年”キャラを主人公に置き、メカニカルデザイナー大河原邦男氏による機体の特長を端的に表した5機の新世代のガンダムが登場するという王道でもあり、新機軸の内容を盛り込みつつ「Gガンダム」での武士道から騎士道への転換、宝塚を思わせるヒロイックな主人公達や他の登場人物の立ち居振る舞いは既存のガンダムファン向けというよりはどちらかというと若い女性をターゲットにしたと思われる作品であったと思います。
「新機動戦士ガンダムW」における年号はA.C.(アフター・コロニー)。その195年に地球圏統一連合による支配を良しとしない一部のコロニー居住者たちによって作戦名「オペレーション・メテオ」が発動されました。これは流星に偽装した5機のガンダムを特別に訓練されたパイロットと共に地球へ降下させ破壊活動を行わせるというものです。今回RG化された「XXXG-01W ウイングガンダム」はその名の通り大きな羽根(ウイング)を背中に持ち、まさに鳥を思わせる「バード形態」への変形機構を備えています。
A.C.時代に登場するガンダムタイプのモビルスーツには「ガンダニュウム」という合金が使われているとされています。ガンダムの装甲材は「ガンダリウム」では……と思われる方もいらっしゃるかもしれませんがこの時代のガンダムには「ガンダニュウム」という素材が使われています。「ガンダニュウム」は月面へ落着する未知の星間物質を含む隕石「GND原石」を原料に、“ガンダム”でおなじみ月の「ルナ・チタニウム」を無重力下で分子合成することで生成される金属とされています。A.C.時代のガンダムは非常に希少な隕石由来の素材を使用した稀有な機体だ、といえるでしょう。
アニメ第1話で主人公「ヒイロ・ユイ」がヒロイン「リリーナ・ドーリアン」に放った「お前を、殺す……」という衝撃のセリフに始まり、いとも簡単に“自爆”するガンダムと主人公などそれまでのガンダム像を覆す異色でもあり、意欲作でもあった「新機動戦記ガンダムW」のウイングガンダムが今回ガンプラRG(リアルグレード)シリーズに満を持しての登場となりました。発表によればこの機体の最大の特徴である背中に装備されたウイングがこれまでにないデザインと機構を持っているとのこと。今回メーカーから塗装済み完成品のサンプルをお借りできましたのでここに紹介したいと思います。
リアルグレードで様々なギミックが追加!「RG 1/144 ウイングガンダム」概説
各部のパーツ割りや可動域をチェック
“鳥”感が格段に上がった新バード形態や全体像を写真で確認
全体のフォルムをチェック。大胆なアレンジはなく、モノの形でみせる
俗に「TV版」と呼ばれる今回のウイングガンダムは大河原邦男氏によってデザインされています。氏によれば「シルエットでもなんというキャラクターかがわかるようにデザインすることが大事」とのことで、おっしゃる通りぱっと見でわかるデザインにはいつも驚かされます。今回のキットもTV版「ウイングガンダム」をそのままRGへ落とし込んでいるな、と感じました。
それでは開発用CG画像から見ていきましょう。RGフォーマットらしく、色数も増えていて微細なモールドがアクセントとしてそこかしこにちりばめられているので情報量が増し、今っぽいけどやりすぎていないウイングガンダム像を作り上げています。そしてバード形態へ変形できるこの機体はその変形をさらに昇華させ、バード形態をもっと“鳥”に近づけるモーションが取れるようになっています。これもRGフォーマットならではの微細加工がもたらす福音と言えると思います。
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