レビュー

ガンプラ「HGUC 1/144 ナイチンゲール」レビュー

まさに異形。もう一つのシャア最後の乗機を現代風に再構成した待望のHGUCキット

【HGUC 1/144 ナイチンゲール】

開発・発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:2021年7月22日(9月・12月再販予定)

価格:7,700円(税込)

ジャンル:プラモデル

サイズ:全高約211mm

 今回レビューするのはガンプラ「HGUC 1/144 ナイチンゲール」です。この機体は小説「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」に登場するシャア・アズナブル最後の乗機となるモビルスーツです。映画「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」に登場する“サザビー”とはまったく違うデザインはまるでモビルアーマーを思わせる巨躯であり、見た目にニュータイプ機を想像させるそのスタイリングは圧巻の一言です。

【HGUC 1/144 ナイチンゲール】
もう一つのシャアの最後の乗機

 「ナイチンゲール」のオリジナルデザインは出渕裕氏。初期の「逆シャア」企画をもとに富野由悠季監督によってノベライズされた際にデザインされました。小説の口絵に出渕氏によって描かれたイラストやその後の立体化やゲーム化などによってデザインが熟成されていった経緯を持っています。直近ではガンダムエース誌上でコミカライズされたこともありさらに認知度が上がったのではないでしょうか。

【特徴的なスタイリングを再現!】
モビルスーツとしては異形なスタイリングを現代にリアレンジ

 この機体はサイコフレーム搭載により、モビルアーマークラスでしか実現できなかった強力なサイコミュ機能をモビルスーツクラス(といっても相当巨大な機体であるが)に落とし込んだ革新的なモビルスーツとなっています。巨大なプロペラント・タンクや膨大なバーニア・スラスター、サイコミュ機を体現する多数の“ファンネル”。それらが配置される装甲もさらに巨大です。

【ファンネル・バインダー裏のバーニア群】
見るからに高出力・高性能を感じさせるデザイン

 機体の出自はこれくらいにしてガンプラ化された「HGUC 1/144 ナイチンゲール」へと移りましょう。もともとこの機体は古くはガレージキットなどで立体化されてきましたが“ガンプラ”という括りで見てみると2014年9月に「RE/100 MSN-04II ナイチンゲール」という今回の1/144スケールHGUCよりさらに巨大な1/100スケール(全高約270㎜)でキット化されています。

【RE/100 MSN-04II ナイチンゲール】
2014年9月発売開始、8,800円(税込)

 軽く見比べてみるとHGUC版はさらにディテールや密度感がアップ、スタイリングや各部位もバランスよく再構築されているようです。2020年の「GUNPLA EXPO」で「RG 1/144 Hi-νガンダム」とともに試作品が公開されてから“ベルトーチカ・チルドレン”版アムロVSシャアの最後の戦いを再現すべく発売をずうっと待っていました。ついに手元にやってきたこの巨大なモビルスーツはどのようにHGUC化されたのかを実際に組んでみて体感していきたいと思います。

パッケージを確認。パーツ数は少なく抑えられているがその大きさに驚く

 それではパッケージとその内容を確認していきましょう。ランナーはA~M、サーベルランナーで総数20枚と多く見えますが、パーツ自体が大きいサイズのものが多いためパーツ数は少ないです。組立説明書とシール2種が付属します。それにしても外装パーツの大きさに目を奪われるキットですね。特に両肩のファンネル・バインダーやリア・スカートがとても大きいです。全5本にもなるプロペラント・タンク、シーリングされた関節を表現するためのグレーのパーツも特徴的です。全体的にパーツ数は少なくとても組みやすそうです。

【パッケージ構成】
甲殻類を思わせる巨大なリア・スカートは1パーツで構成
“ブチ穴”と呼ばれる穴は実際に開いています
ビームサーベルパーツはHGUCシナンジュのものでした
メカディテールはたっぷり入っていますが細かい組み付けはありません
シールは2種類、ホイルシールとテトロンシールとなっています

組立開始!少ないパーツでとっても組みやすい

 早速組み立てていきましょう。まず脚部からですがHGUCシリーズでありながら構成するパーツはさらに少ない印象となっています。赤い外装パーツはほぼ“アンダーゲート方式”となっていますので、ランナーから切り離したら2回にわけてゲートをカット、さらにパーツ面に残ったゲート跡をやすりなどで処理します。

【組立:アンダーゲートの処理】
外装パーツはほぼアンダーゲート仕様になっています
ゲート側を切り離して……
接合面側も切り離して……
やすりで慣らせば
はいキレイ!アンダーゲート仕様だと特別塗装バージョンの発売も期待されます

 アンダーゲートの処理はこういった方法で大丈夫ですね。では組み立てを進めましょう。ご覧ください、このパーツの少なさ!大きさゆえ部位ごとの組み立てでの撮影となっているので脚部全体ではありませんが単純な挟み込みの構造だけで組みあがってしまいます。関節の軸は太く巨体を支えるに十分な印象です。

【組立:脚部】
足首を除く脚部はこれだけのパーツですんでいます
シーリングされた関節部のパーツの合いもよく接合部も目立たない印象
あっというまに組みあがります
脛部フレアに内装される3連バーニアは驚きの1パーツ成形!
メカディテールも兼ねたかみ合わせ構造はがっちりした組立感を感じられます
足首以下も単純な構造でありながら爪先と左右の爪が可動します
すべて組み上げるとあまり動きそうにありませんが……
まだ脚部単体ですがここまで動きます
密度感もたっぷりあります