レビュー
「HG 1/72 メイレスケンブ」レビュー
2021年10月26日 00:00
腕の構造も基本的には脚と同じだが、ヒジに当たる部分に加えて手首の付け根にも軸があり、可動するようにようになっている。ここだけを見ると産業用ロボットのマニピュレーターのようで、ロボットアニメの主人公メカとはちょっと思えないかもしれない。なお手首は平手(左右)と武器持ち手(左右)、銃持ち手(右のみ)の5つが用意されている。
頭部は直線で構成された形状が印象的な中に、主人公機らしいヒロイックな要素もちりばめられた独特の形状だ。組み立て自体に特筆すべき点はないが、全体的に目立つ合わせ目が存在しない設計はさすがなところ。目に当たるカメラはクリアパーツで、透明度が高く、反対側から取り入れた光により、光って見えるのがグッとくるポイントだ。
武装は「60mm携行機関砲」と「超熱振式戦闘直刀」、「盾付短剣」の3種類が付属。また前者2つを装備できるウェポンラックは左右のアームが可動式で、武器を取り出すポーズを取らせることが可能だ。
各部位のパーツが完成し、それぞれを組み上げていく作業は、劇中のアモウになったような気分に浸れるはず。個々のパーツが他のアニメに登場するロボットとは明らかに形状が異なり、実際に存在してもおかしくないような現代的な世界観を印象づけている。
もうひとつポイントなのは、機体の未完成状態を再現する両肩のパーツが用意されているということ。3話でアモウが八咫烏と合流するまでの、肩に装甲のない非対称の姿をパーツの差し替えにて再現できるのだ。もちろんこちらも関節は通常の両肩と同じ構造なので、派手なアクションポーズを取ることが可能だ。
造形を前提としたデザインにより、誰にでも作りやすく、なおかつ完成度の高いケンブが完成する。今後のシリーズにも期待がかかる
SUNRISE BEYONDとBANDAI SPIRITSの共同企画ということで、登場メカは立体化されることを前提にデザインされていると思われ、それだけにプロポーションや可動は実に満足度の高い完成度で、さらにパーツがそれほど多くなくて作りやすく、合わせ目もほとんどがディテールに隠されているので、素組みでも画像のようなケンブが完成する。
1/72スケールながら、細部の造形も忠実に再現されている。例えばケンブの目となるカメラは3面の平面で構成された凹モールドとなっていて、下側に上方を、上側に下方を、目尻側に前方をそれぞれ捉えるカメラがあるという設定がある。キットでは縦1.5mm、横5.5mmというほんのわずかなサイズながら、この3面カメラの構造をディテールとして盛り込んでいる。関節部に入ったモールドなどにスミ入れを施すことで、機体のリアルさはさらにアップするのではないだろうか。
ケンブの劇中での活躍は、派手なアクションを繰り広げる一方で、機体の細部が描写されるシーンも多く、メカ好きの心をワクワクさせてくれる。この「HG 1/72 メイレスケンブ」はそんな主人公AMAIMの細部を、自分で作りながら楽しむことができるキットであった。来年1月にはさらに細かなディテールが再現されるであろう1/48スケールのキットの発売が予定されているのも嬉しいところだが、作りやすさや価格の手軽さはこの「HG」版のほうが上だ。今後はAMAIMの他に、その運搬車などの発売も予定されているので、完成後の遊びの幅も広がるはずだ。アニメ本編も序盤からかなり面白いと評判で、アモウとガイの活躍を、これらAMAIMのキットとともに楽しんでいきたいところだ。
©2021 SUNRISE BEYOND INC.