レビュー

モデルガン「GLOCK 17 3rd HW “Evolution2改”」レビュー

響く快音! はじめて体験するびっくりするほど飛ぶ排莢アクション

 モデルガンで火薬を鳴らして動作させることを"発火"という。今回、「自動拳銃モデルガンの発火」はブローバックと排莢という独特のアクションが楽しめる。

 スライドを引き薬室に弾(カートリッジ)を送り込む。スライドに連動してストライカーが後退、引き金が前進し射撃位置で固定される。引き金中央の安全装置と一緒に引き金を引けば、ストライカーがカートリッジの中央を激しく叩き、カートリッジ内部の火薬を破裂させる。

 「GLOCK 17 Evo2改」の発火は"快音"というだけあって、火薬の音が前方に抜ける感じが心地よい。火薬の爆発力でスライドが動き、手に衝撃がかかる感じはリボルバーモデルガンや、ガスブローバックのエアガンとも違う。そしてやっぱり煙が良いのだ。撃った後も銃口から出てくる煙。この風景はモデルガンならではだろう。動画で見て欲しい。

【タナカ、モデルガン「GLOCK 17 3rd Generation Frame HW “Evolution2改”」のアクション!】

 動画から排莢の瞬間を切り出してみたのだが、そのスピードが速すぎて筆者のカメラではとらえきれず、ぶれた絵になってしっまった。今回驚かされたのはその排莢の勢いである。排出されたカートリッジは6~7mほども飛ぶのだ。高さも結構高く上がる。

 今回の薬莢の勢いは、以前友人がグアムで実銃を撃ったとき、「排莢された薬莢が壁で跳ね返って額に当たり、小さな怪我をした」といった話を思い出した。5mmキャップ火薬ですらここまで飛ぶのだから、もっと多くの火薬を使って弾を飛ばす実銃はそういうこともあるだろうと感じた。

 もちろん、モデルガンの場合は音が出る程度の火薬でカートリッジそのものも熱くはならない(熱は内部のみ)ので、撃った直後の薬莢も安全だ。たとえ跳ね返ってきても怪我をする心配はない。ただし、これだけ勢いよく薬莢が飛ぶだけに、なくさないように注意が必要だ。最初に数発撃ってからは薬莢がどこに飛ぶかも考えて撮影した。

【激しく飛ぶ薬莢】
動画から切り出してみたがカメラでとらえきれないほどの勢いでカートリッジが排出される

 自動拳銃のモデルガンはリボルバーのモデルガンとはまた違った楽しさがある。リボルバーの弾倉をスイングアウトし、撃った薬莢を排出してから弾を込めるのも独特の感触があるが、自動拳銃の場合スライドがホールドオープンして「撃ち尽くした」という実感があるのがいい。

 ここで空のマガジンを取り外し、弾を満載した予備マガジンを差し、スライドストッパーを外してスライドを戻し、再び射撃操作ができればすごくかっこいいだろう。商品では5発のカートリッジが付属しているが、それ以上を撃ちたくなる。予備のカートリッジが10発で5,280円(税込)、予備マガジンは3,850円(税込)と買うのは結構な出費だが、思わずそろえてみたくなる。

 「モデルガンは快適に動作させるには知識や調整が必要だ」という話を聞いたことがあった。過去のモデルガンはスライドの調整などを自分の手でしなければならなかったとのことだ。このためちょっと身構えていたところもあったが、「GLOCK 17 Evo2改」は全くそんなことはなかった。とても快適に動作し、射撃アクションを再現できる。発射音も"快音"で、何よりブローバックアクションが見応えがあった。これはなかなか独特で、ワクワクさせられる体験である。

【銃口から立ち上る煙】
発火したあと、銃口から立ち上る煙もたまらないものがある

気分はガンスミス、メンテナンスもしっかりと

 最後にちょっとだけ「メンテナンス」も触れておこう。もちろんエアガンでもこまめなメンテナンスは必要なのだが、特にモデルガンの場合、発火で出た火薬カスなどを清掃しないと腐食の原因になりかねない。特にカートリッジは1つ1つ内部を掃除することが必要だ。

 またバレル内部と、特にバレル内部の「フロント・ファイアリング・ピン」は発火の際、火花をもろにかぶるので汚れやすい。説明書に従って、銃からスライドを分離、バレル内部やピンの清掃と、可動部のクリーニングはしっかりしておきたいところだ。分解しすぎると組み立てられなくなったり、メーカーやショップのサポートを受けられなくなるため注意が必要だが、メンテナンスの知識はつけておきたい。

 正直、バレルの取り出しは作業難易度として全然高くないのだが、銃の分解・清掃という作業はちょっとハードボイルドな雰囲気があって気分が盛り上がる。フロント・ファイアリング・ピンを布で拭いたり可動部にシリコンオイルをちょっと吹き付けたり、トイガンはこういう作業も面白いのだ。

【スライドからバレルを取り外す】
ロックを外し、スライドを引き抜く
バレルを外し、六角レンチでロックを解除し、フロント・ファイアリング・ピン(銀色の部品)を取り外す。バレルの内部は水を流して洗浄、ピンも細かく汚れを取る

 モデルガン「GLOCK 17 3rd Generation Frame HW “Evolution2改”」は、タナカの最新モデルガンだけに快適に発火が楽しめる商品だ。エアガンが主流となっているトイガンにおいて、モデルガンは独特の魅力のあるジャンルであり、"弾を撃つ"とは別なアプローチで銃の魅力を再現する。

 グロック17は他のハンドガンとはひと味違う外見、手にしてわかる握りやすさなど魅力の詰まった銃である。カートリッジをマガジンに詰め装着、スライドを引き弾をチャンバーに送り込む。そして火薬ならではの引き金を引くときの緊張感……。ぜひモデルガンの世界に足を踏み入れてみて欲しい。

銃の写真を撮ってみるのもモデルガンの楽しみ方の1つだ