レビュー
ガスガン「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」レビュー
12発撃てるペガサスシステム! グリップ交換の楽しさ
2022年3月4日 00:00
- 【Smolt Revolver 4inch HW Ver.3】
- 2020年6月発売
- 価格:28,380円(税込)
- 全長:240mm
- 重量:870g
- 装弾数:12発
- 素材:ヘビーウェイト樹脂
Smolt(スモルト)はスマイソンとも呼ばれ、S&WのKフレームの本体ににコルト社のパイソンバレルを合体させた"キメラ銃"だ。Smoltは「S&W(Smith & Wesson)」と「Colt」を掛け合わせた意味を持つ。
今回紹介するタナカのガスガン「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」は、1970年代に"理想のリボルバー"として製作された実銃がモデルとなっている。S&WとColtの"いいとこどり"をしたこの銃はバックストーリーも面白い。
そして本製品は「ペガサスシステム」を採用している。リボルバー拳銃はシリンダーに弾丸を装填するためオートマチック拳銃よりも装弾数が少ない。しかしペガサスシステムを採用することで、リアルなリボルバーの形状と内部構造を再現しながら、12発という実銃の倍の装弾数を実現しているのだ。
今回、「Smolt Revolver 6inch HW Ver.3」が2月15日に販売されたが、本稿では4インチモデルのサンプルをレビューしていきたい。特徴的なデザイン、ペガサスシステムによる射撃システム、さらに本製品の大きな特徴である「グリップ交換の楽しさ」を紹介し、魅力に迫っていきたい。
魅力あるパイソンの銃身と扱いやすいM19の機構を兼ね備える"理想のリボルバー
銃の製造、改造、分解、メンテナンスを行なうガンスミスは、日本でも存在する。彼らはユーザーの要望に応えたり、自身の理想に基づいたカスタマイズを行なう。アメリカ合衆国においては国家資格で定められた様々なライセンスがある。
「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」のモチーフとなった実銃は1970年代のPPC競技(PRACTICAL POLICE COURSE/警察.一般向けの射撃競技)が全盛の時に生まれた。製品ではガンスミスのビル・デイヴィス氏によるカスタマイズを再現している。タナカの製品そのものもバージョンアップをしており、今回の「Ver.3」ではデイヴィス氏の初期モデルを追求しているという。
本銃の大きな特徴はコルトパイソンの銃身と、S&WのKフレームリボルバーと合わせたカスタマイズを行なっているところ。KフレームとはS&Wの中型拳銃のフレームで、M19、M15、M10などがある。S&Wとコルトは同じリボルバーでも内部構造は大きく異なり、それは"銃の感触"に繋がる。S&Wはハンマーの落ちる瞬間がわかりやすく、トリガーコントロールがしやすいという評価があった。
一方コルトパイソンの銃身はその大きな特徴であるバレル上部に放熱用のベンチレーテッドリブのカッコ良さに加え、バレル下にウエイト(アンダーラグ)が装備され、射撃時の跳ね上がりを抑える効果がある。加えて銃身内部のライフリングも効果が高い。Smolt RevolverはS&Wのトリガーコントロールとパイソンの精度の高い銃身をあわせることで理想のリボルバーを作り出そうと生まれたのだ。
「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」はこの銃を再現。Ver.3としてアップデートされたことでS&Wの刻印がリアルなものとなった。また銃身下のエジェクターロッド先端にロッキングボルトを追加するなど、実銃の再現精度も上がっている。"実銃の再現"というアプローチでも非常に高いレベルを目指している。
そしてグリップはホーグタイプラバーグリップ。このグリップはとてもに現代的な雰囲気だ。ラバーグリップは手のひらになじむ。グリップは重りも入っており、銃の全体的な重量は870gになる。手に持つとずしりと重い。大きなグリップも相まってかなりしっかりとした存在感だ。
本製品に採用されているペガサスシステムは「シリンダー内部にガスの発射機構がある」というのが大きな特徴になる。このためカートリッジをつめることはできない。スイングアウトして現われる金色のカートリッジ状のリムはダミーだ。シリンダー内部に機構を仕込んでいるという以外は、「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」は内部機構も含め実銃とほぼ同じで、実銃に限りなく近いフィーリングが味わえるのが大きな特徴だ。
調整可能なリアサイト、リアルなS&Wの刻印、ダブルアクション、シングルアクションでの各機構の感触など、細部をチェックするほど"銃ならではの存在感"にとことんまでこだわっているのがわかる。
ダーティーハリーのM29、次元大介のM19、冴羽獠のコルトパイソンなど、キャラクターと結びついた銃を構えるのも楽しいが、「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」は"ガンスミスが作り上げたS&Wとコルトのカスタム"という独特のストーリーがあるのがいい。銃に詳しい人が見れば、パイソンの銃身がついたS&Wリボルバーというこのユニークな銃の面白さがわかるだろう。「射撃にこだわったカスタマイズ」というのもいい。コレクションに加えたくなる製品だ。
リボルバーなのに12発撃てる! サバゲーでも有用なペガサスシステム
いよいよペガサスシステムを紹介していこう。ペガサスシステムはタナカのガスリボルバー製品に採用されているシステム。シリンダー内部にガスタンクと弾を入れる収納スペースがあり、本製品の場合12発の発射を可能にしている。リボルバーは5~6発の装弾数というのが定番だが、倍の弾を発射できるのだ。
ガスを注入するにはシリンダーをスイングアウトした後、シリンダーを回すことで後部にある注入口を露出させる。ここに専用のアダプターを介してガスボンベを接続するとガスタンクにガスを注入することができる。ガスの容量は12発分よりずっと多いので、12発を撃ち尽くしてもBB弾を再装填すればそのまま射撃可能だ。
BB弾はシリンダー前部から入れる。6つある穴のうち1つが内部マガジンに繋がっており、ここに7発のBB弾をセットすることができる。そしてその穴以外に5発のBB弾をそれぞれ詰めればセット完了だ。BB弾はシリンダーが回転することで内部マガジンから補填されるので、ダブルアクションで引き金を引いているだけでも12発すべてを発射できる。
サバイバルゲームではやはり弾が多い方が有利になる。装弾数がオートと比較すると少ないリボルバーは撃ち合いになったとき心許ない部分があるが、12発という装弾数ならばサブウェポンとしてはかなり頼りになるだろう。やはりリボルバーは独特のカッコ良さがあり、「サバゲーでもリボルバーを使いたい」という人にとってはペガサスシステムはうれしいシステムだ。
今回は千葉県大網市にあるサバイバルゲームフィールド「OSGFIELD」のシューティングレンジで試射してみた。このシューティングレンジはアサルトライフルやサブマシンガンなどを対象にしたものようで、明確に距離が記されているのは20mから。ハンドガンの場合は競技などでは5m、撃ち合う場合10mくらいが多い。20mだと少し放物線を描く弾道となった。
屋内戦のサバゲーの場合、距離があるところでも20m、だいたいは10m前後での撃ち合いになる。ここでは取り回しやすいハンドガンで戦う人も多い。こういうところであえてリボルバーで立ち回るのはとてもカッコイイだろう。とりわけペガサスシステムを採用しているリボルバーならば装弾数の多さも相まって大活躍できるのではないだろうか。
2ページ目は「グリップのカスタマイズ」を紹介したい。「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」は、数種類のオプションが発売されており、グリップを変えることでガラリと雰囲気を変えることができるのだ。製品の楽しさを広げる要素である。