レビュー

ガスガン「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」レビュー

12発撃てるペガサスシステム! グリップ交換の楽しさ

【Smolt Revolver 4inch HW Ver.3】

2020年6月発売

価格:28,380円(税込)

全長:240mm

重量:870g

装弾数:12発

素材:ヘビーウェイト樹脂

 Smolt(スモルト)はスマイソンとも呼ばれ、S&WのKフレームの本体ににコルト社のパイソンバレルを合体させた"キメラ銃"だ。Smoltは「S&W(Smith & Wesson)」と「Colt」を掛け合わせた意味を持つ。

 今回紹介するタナカのガスガン「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」は、1970年代に"理想のリボルバー"として製作された実銃がモデルとなっている。S&WとColtの"いいとこどり"をしたこの銃はバックストーリーも面白い。

 そして本製品は「ペガサスシステム」を採用している。リボルバー拳銃はシリンダーに弾丸を装填するためオートマチック拳銃よりも装弾数が少ない。しかしペガサスシステムを採用することで、リアルなリボルバーの形状と内部構造を再現しながら、12発という実銃の倍の装弾数を実現しているのだ。

 今回、「Smolt Revolver 6inch HW Ver.3」が2月15日に販売されたが、本稿では4インチモデルのサンプルをレビューしていきたい。特徴的なデザイン、ペガサスシステムによる射撃システム、さらに本製品の大きな特徴である「グリップ交換の楽しさ」を紹介し、魅力に迫っていきたい。

【Smolt Revolver 4inch HW Ver.3】
北米のガンスミス、ビル・デイヴィス氏の1970年代のカスタマイズリボルバーを再現。M19の本体にコルトパイソンの銃身を合わせている。6インチモデルが2月15日に発売されたが、今回は4インチのサンプルをレビューしていく

魅力あるパイソンの銃身と扱いやすいM19の機構を兼ね備える"理想のリボルバー

 銃の製造、改造、分解、メンテナンスを行なうガンスミスは、日本でも存在する。彼らはユーザーの要望に応えたり、自身の理想に基づいたカスタマイズを行なう。アメリカ合衆国においては国家資格で定められた様々なライセンスがある。

 「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」のモチーフとなった実銃は1970年代のPPC競技(PRACTICAL POLICE COURSE/警察.一般向けの射撃競技)が全盛の時に生まれた。製品ではガンスミスのビル・デイヴィス氏によるカスタマイズを再現している。タナカの製品そのものもバージョンアップをしており、今回の「Ver.3」ではデイヴィス氏の初期モデルを追求しているという。

【Smolt Revolver 6inch HW Ver.3】
こちらが2月15日に発売された「Smolt Revolver 6inch HW Ver.3」。価格は4インチと同じ28,380円(税込)で、銃身の長さが異なる

 本銃の大きな特徴はコルトパイソンの銃身と、S&WのKフレームリボルバーと合わせたカスタマイズを行なっているところ。KフレームとはS&Wの中型拳銃のフレームで、M19、M15、M10などがある。S&Wとコルトは同じリボルバーでも内部構造は大きく異なり、それは"銃の感触"に繋がる。S&Wはハンマーの落ちる瞬間がわかりやすく、トリガーコントロールがしやすいという評価があった。

 一方コルトパイソンの銃身はその大きな特徴であるバレル上部に放熱用のベンチレーテッドリブのカッコ良さに加え、バレル下にウエイト(アンダーラグ)が装備され、射撃時の跳ね上がりを抑える効果がある。加えて銃身内部のライフリングも効果が高い。Smolt RevolverはS&Wのトリガーコントロールとパイソンの精度の高い銃身をあわせることで理想のリボルバーを作り出そうと生まれたのだ。

【銃の全身】
銃の右側面、前方、後方。パイソンの銃身が独特のシルエットを生んでいる。ラバーグリップによりかなり現代的な雰囲気だ

 「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」はこの銃を再現。Ver.3としてアップデートされたことでS&Wの刻印がリアルなものとなった。また銃身下のエジェクターロッド先端にロッキングボルトを追加するなど、実銃の再現精度も上がっている。"実銃の再現"というアプローチでも非常に高いレベルを目指している。

 そしてグリップはホーグタイプラバーグリップ。このグリップはとてもに現代的な雰囲気だ。ラバーグリップは手のひらになじむ。グリップは重りも入っており、銃の全体的な重量は870gになる。手に持つとずしりと重い。大きなグリップも相まってかなりしっかりとした存在感だ。

【ディテール】
銃身上部分の放熱用のベンチレーテッドリブ。このデザインのカッコ良さは大きく惹かれるものがある。銃身の下にはウエイトがあり、銃身の跳ね上がりを抑える
M19のボディ。サムピースの下にS&Wの刻印がしっかり刻まれている。トリガーコントロールのしやすさはS&Wの内部機構の大きな評価ポイントだ
ホーグタイプラバーグリップ。比較的大きめのサイズで、ラバーの表面は手のひらにしっかりなじむ。現代的な雰囲気をもたらしてくれるデザインだ
調整可能なリアサイト
シリンダーをスイングアウトする。金色のカートリッジ状のリムはダミーで取り外すことができない。内部にはガスとBB弾を収納し発射することができる「ペガサスシステム」が内蔵されている

 本製品に採用されているペガサスシステムは「シリンダー内部にガスの発射機構がある」というのが大きな特徴になる。このためカートリッジをつめることはできない。スイングアウトして現われる金色のカートリッジ状のリムはダミーだ。シリンダー内部に機構を仕込んでいるという以外は、「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」は内部機構も含め実銃とほぼ同じで、実銃に限りなく近いフィーリングが味わえるのが大きな特徴だ。

 調整可能なリアサイト、リアルなS&Wの刻印、ダブルアクション、シングルアクションでの各機構の感触など、細部をチェックするほど"銃ならではの存在感"にとことんまでこだわっているのがわかる。

 ダーティーハリーのM29、次元大介のM19、冴羽獠のコルトパイソンなど、キャラクターと結びついた銃を構えるのも楽しいが、「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」は"ガンスミスが作り上げたS&Wとコルトのカスタム"という独特のストーリーがあるのがいい。銃に詳しい人が見れば、パイソンの銃身がついたS&Wリボルバーというこのユニークな銃の面白さがわかるだろう。「射撃にこだわったカスタマイズ」というのもいい。コレクションに加えたくなる製品だ。

【他のリボルバーとの比較】
筆者のコレクションであるハートフォードのモデルガン「M19」との比較。下がM19となる。グリップと銃身で大きく印象が変わる。ハートフォードの方は組み立てモデルのためヘビーウェイト樹脂むき出しだが、「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」は黒染めの表面処理が行なわれている
こちらはタナカのモデルガン「M29 6.5インチ “ダーティハリーモデル”」との比較。上がM29だ。M29はNフレームでKフレームよりも大きい。銃身も6インチで4インチモデルとは全体のバランスが大きく違う

リボルバーなのに12発撃てる! サバゲーでも有用なペガサスシステム

 いよいよペガサスシステムを紹介していこう。ペガサスシステムはタナカのガスリボルバー製品に採用されているシステム。シリンダー内部にガスタンクと弾を入れる収納スペースがあり、本製品の場合12発の発射を可能にしている。リボルバーは5~6発の装弾数というのが定番だが、倍の弾を発射できるのだ。

 ガスを注入するにはシリンダーをスイングアウトした後、シリンダーを回すことで後部にある注入口を露出させる。ここに専用のアダプターを介してガスボンベを接続するとガスタンクにガスを注入することができる。ガスの容量は12発分よりずっと多いので、12発を撃ち尽くしてもBB弾を再装填すればそのまま射撃可能だ。

【ペガサスシステム】
シリンダーを回すことでガスの注入口が現われる。ガスの容量は多く、12発の弾を撃っても余裕があるため、サバイバルゲーム中12発撃ち尽くしてもBB弾を再装填するだけで戦いを継続できそうだ
穴の1つが7発のBB弾を収納できるマガジンに繋がっている。他の5発の穴にBB弾を入れることで12発の装填が可能。シリンダーが回りマガジンの上に穴が移動する度にBB弾が装填されるので、12発をスムーズに発射できる

 BB弾はシリンダー前部から入れる。6つある穴のうち1つが内部マガジンに繋がっており、ここに7発のBB弾をセットすることができる。そしてその穴以外に5発のBB弾をそれぞれ詰めればセット完了だ。BB弾はシリンダーが回転することで内部マガジンから補填されるので、ダブルアクションで引き金を引いているだけでも12発すべてを発射できる。

 サバイバルゲームではやはり弾が多い方が有利になる。装弾数がオートと比較すると少ないリボルバーは撃ち合いになったとき心許ない部分があるが、12発という装弾数ならばサブウェポンとしてはかなり頼りになるだろう。やはりリボルバーは独特のカッコ良さがあり、「サバゲーでもリボルバーを使いたい」という人にとってはペガサスシステムはうれしいシステムだ。

 今回は千葉県大網市にあるサバイバルゲームフィールド「OSGFIELD」のシューティングレンジで試射してみた。このシューティングレンジはアサルトライフルやサブマシンガンなどを対象にしたものようで、明確に距離が記されているのは20mから。ハンドガンの場合は競技などでは5m、撃ち合う場合10mくらいが多い。20mだと少し放物線を描く弾道となった。

【ペガサスシステム搭載のタナカ「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」を撃つ】

 屋内戦のサバゲーの場合、距離があるところでも20m、だいたいは10m前後での撃ち合いになる。ここでは取り回しやすいハンドガンで戦う人も多い。こういうところであえてリボルバーで立ち回るのはとてもカッコイイだろう。とりわけペガサスシステムを採用しているリボルバーならば装弾数の多さも相まって大活躍できるのではないだろうか。

 2ページ目は「グリップのカスタマイズ」を紹介したい。「Smolt Revolver 4inch HW Ver.3」は、数種類のオプションが発売されており、グリップを変えることでガラリと雰囲気を変えることができるのだ。製品の楽しさを広げる要素である。