レビュー
ガレージキット「T’s system ウマ娘 タマモクロス」レビュー後編
プラモデルとガレキ塗装の違いは下地処理にアリ。元気ハツラツなタマモクロスが完成
2022年10月3日 00:00
- 【タマモクロス ウマ娘 プリティーダービー Season 2】
- 開発・発売元:T’s system
- 発売日:7月24日(ワンフェス2022[夏])
- 価格:15,000円(ワンフェス2022[夏]時)
ワンダーフェスティバル2022夏にて販売されたT’s system製ガレージキット「タマモクロス ウマ娘 プリティーダービー Season 2」。前編では塗装直前までの工作を行ないました。レビュー後編では、いよいよ塗装を行なってタマモクロスを完成させます。ガレージキットの塗装は通常のプラモデルの塗装と少し異なる部分があります。今回はその違いについて解説しながら進めていきましょう。
ガレージキットとプラモデルの塗装方法の違い
ガレージキットの塗装は通常のプラモデルの塗装とは少し違います。プラモデルをラッカー塗料にて塗装を行なう場合塗膜をしっかりと食いつかせることが可能です。しかし、ガレージキットの場合はラッカー塗料が食いつかず、簡単に剥離してしまいます。そのため、ガレージキットと塗膜の間に塗膜が剥離しないための下地を整えてあげる必要があります。この点を注意すれば、プラモデルと同様に塗装を行なうことができます。
下地用塗料は各模型メーカーから発売されており、プライマーという商品名で店頭に並んでいます。私は数あるプライマーの中からフィニッシャーズの「マルチプライマー」を愛用しています。このプライマーは乾燥後にべたつくことがないため非常に使いやすいです。
マルチプライマーは希釈することなくエアブラシで使用することが可能です。塗布後はややツヤ有に仕上がります。
重ね塗りで質感表現、みずみずしい肌表現
フィギュア塗装において肌色の塗装はキットの出来栄えを大きく左右する工程となります。みずみずしい肌色を表現するために今回はクレオスの「Mr.カラー LASCIVUS(ラスキウス)」を使用して塗装していきます。Mr.カラー LUSCIVUS(ラスキウス)はベース色とオーバーコート色の2色を使用して肌色塗装を行なう塗料です。今回はベース色にホワイトピーチ、オーバーコート色にクリアーペールレッドを使用して塗装していきます。
まずはベース色を塗装していきますが、その前に顔パーツの目に当たる部分を塗装してしまわないようにマスキングをしておきます。マスキングにはマスキングテープを使用してもいいですが、円形のマスキングとなるので液体マスキング剤が便利です。今回はGSIクレオスの「マスキングゾル」を使用しました
マスキングが完了したらベース色を塗装していきます。ベース色はパーツ全体にまんべんなく塗布を行ないます。
ベース色の塗装が完了したらオーバーコート色を塗装していきます。オーバーコート色は肌の赤みや影の部分に塗布していきます。この時、一度に多くの塗料を噴霧してしまわないようにコンプレッサーの圧力を下げ、絞りをきつくして、少しずつ塗装していきます。
グラデーションでより強い立体感を表現
肌色部分の塗装以外は全てグラデーションによる塗分けを行なっていきます。グラデーションによる塗分けを行なうことでフィギアがより立体的に仕上がります。今回は髪の毛部分の塗装を中心に解説していきます。まずはベースとなる色を塗装していきます。ベース色は影になるカラーで塗装していきます。今回はベース色にガイアノーツの「ニュートラルグレーIV」を使用して塗装していきます。
ベース色が塗装完了したら次にベース色より明るい色で上塗りをしていきます。上塗りはガイアノーツの「ニュートラルグレーIV」に「ピュアホワイト」を調色したカラーで塗装していきます。このとき、髪の毛の流れを意識しながらハンドピースを動かすことで影の部分との差を出していきます。
上塗りが完了したら最後にハイライトを描き込んでいきます。今回はガイアノーツの「ピュアホワイト」でハイライトを描き込んでいきました。ハイライトは効かせたい部分にピンポイントで塗布していきます。
ちょっとした工夫で色っぽさがアップするパンツ部分の塗装
本キットのタマモクロスは白のパンツをはいているスタイルとなっています。白のパンツスタイルなのでそのまま白で仕上げてしまってもいいのですが少し色気を出してみましょう。まずはパーツの影部分にガイアノーツの「純色パープル」を、太もも部分にクレオスの「Mr.カラー LASCIVUS(ラスキウス)」を塗装していきます。
下地の色を塗装したら上からガイアノーツの「ピュアホワイト」を重ね塗りしていきます。この時に下地で塗装した色が透けるように塗装していきます。そうすることで布の透け感を表現することができます。
細かい模様も簡単に描き込めるデカール
塗分けが完了したら細かい模様をデカールで描き込んでいきます。本キットにはコートの袖にある疾風迅雷の文字、トップス、スニーカーの稲妻マーク、アイ、眉毛のデカールが付属されていました。本キットのデカールは水転写デカールなのでガンプラに付属されているシールとは違い、少し手順が必要です。まずは余白ができる限り少なくなるように台紙からカットしていきます。
塗装の最終仕上げ表面のツヤ感を整えるトップコート
デカール貼り付けが完了したら表面のツヤ感を整えるため、トップコートを塗布していきます。全体をツヤ消し仕上げにするためにクレオスの「Mr.カラーGXスーパースムースクリアー<つや消し>」を使用してコーティングをしていきます。
全体のツヤは消えましたが目もツヤ消しになっているためリアルさに欠けてしまいます。そこで目だけツヤ有に仕上げていきます。ツヤ出しにはファレホの「グロスバーニッシュ」を使用しました。グロスバーニッシュを爪楊枝に適量取り出し、目に塗布していきます。
フィギュアの表情をガラリと変えるパステル
コーティングも完了しましたが現状のままでは少し表情がさみしいのでパステルで色味を足していきます。今回はレンブラントの「ソフトパステル No.331,7」を使用してチークを入れていきます。
落ち着いた雰囲気に仕上がる台座塗装
台座は無塗装の状態では少し寂しいので塗装を行なっておきます。ボークスの「オイルステイン オーク」を使用して、何度も重ね塗りをすることで色に深みを持たせました。
工程 | 使用塗料 |
下地 | フィニッシャーズ マルチプライマー |
肌塗装(ベース) | クレオス Mr.カラー LUSCIVUS(ラスキウス) ホワイトピーチ |
肌塗装(コート) | クレオス Mr.カラー LUSCIVUS(ラスキウス) クリアーペールレッド |
髪塗装(影) | ガイアノーツ ニュートラルグレーⅣ |
髪塗装(上塗り) | ガイアノーツ ニュートラルグレーⅣ+ピュアホワイト |
髪塗装(ハイライト) | ガイアノーツ ピュアホワイト |
トップス、靴塗装(影) | ガイアノーツ ウルトラブルー+純色バイオレット |
トップス、靴塗装(上塗り) | ガイアノーツ ウルトラブルー |
トップス、靴塗装(ハイライト) | ガイアノーツ ウルトラブルー+ピュアホワイト |
コート、カチューシャ塗装(影) | ガイアノーツ ウルトラブルー |
コート、カチューシャ塗装(上塗り) | ガイアノーツ サイバーフォーミュラカラーコバルトブルー(2) |
コート、カチューシャ塗装(ハイライト) | ガイアノーツ サイバーフォーミュラカラーコバルトブルー(2)+ピュアホワイト |
赤部分(影) | ガイアノーツ ボトムズカラーブラッドレッド |
赤部分(上塗り) | ガイアノーツ ブライトレッド |
パンツ等白部分(影) | ガイアノーツ 純色パープル |
パンツ等白部分(肌の透け感) | クレオス Mr.カラー LUSCIVUS(ラスキウス) ホワイトピーチ |
チャック等シルバー部分 | ガイアノーツ Ex-シルバー |
カチューシャゴールド部分 | ガイアノーツ Ex-ゴールド |
左足、台座との接続部分 | ガイアノーツ NAZCAカラーフロストマットブラック |
トップコート(ツヤ消し) | クレオス Mr.カラーGXスーパースムースクリアー<つや消し> |
トップコート(ツヤ有) | ファレホ グロスバーニッシュ |
フェイスメイク | レンブラント ソフトパステルNo.331,7 |
台座塗装 | ボークス オイルステインオーク |
© 2021 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 2」製作委員会