レビュー

コトブキヤ「フレームアームズ・ガール 金剛」レビュー

作り込まれた幾何学的な装甲を再現した素体のスーツ

 最初は本キットの中核となる「金剛」の素体を組み立てていく。

 頭部は左目の隠れたボブカット。表情パーツは正面向き顔、左向き笑顔、食いしばり顔の3種となっている。正面向き顔と左向き笑顔はお姉さん的なキャラクター性が垣間見えるが、筆者個人としては食いしばり顔が、これまで触れてきた「フレームアームズ・ガール」キットの中でも異色に感じられた。

 これまでにも目つきの鋭いものや口を大きく開けた表情はあったが、闘志をむき出しにするような、あるいは力むような表現は少なかった。この表情が巨大なキャノンやシールドの武装、さらに装甲版に備わっているミサイルハッチなど重火器の取り回しにみる反動の強さを演出しやすいだろう。

【頭部】
頭部は細かくパーツ分けされ、毛先の流れも表現されている
【フェイスパーツ】
左から左向き笑顔、食いしばり顔、正面向き顔

 続く胴体は、スーツのデザインが競泳水着のようなワンピースタイプとなっている。

 その意匠には元となった「フレームアームズ 金剛」の衣装がしっかりと組み込まれ、細かな装甲部分はラインや凹凸を入れて情報量を上げている。また、色分け部分も細かなパーツ分割によって表現されている。特にハイレグのような肌色部分もパーツを分けて、無塗装でも足を長く見せる工夫が凝らさられている。

【胴体】
塗装済みパーツを含め、多めのパーツで構成されている。そのため、無塗装でもイメージに近い色分けが可能となっているのが伺える。胸とお腹はボールジョイントで接続するため、胸の上下左右の動きも可能となっている。
組んだ状態でイメージに近い色分けとなっている。特徴的な丸いモールド部分は未塗装ででは目立たないがスミ入れをすることでスーツデザインはかなり引き締まったものになるだろう

 腕パーツは「フレームアームズ・ガール」ではオーソドックスなウェハース構造で、二の腕、肘、手首にそれぞれ可動箇所がある。

 パーツのはめ込みの際、肘や肩の通し部分はそのまま通そうとすると、かなりタイトな作りとなっている。ここはポーズを取る際にうまく回らず、軸を破損してしまう恐れがあるので、ヤスリで少し整えるのがオススメ。

【腕部】
素体の腕パーツは細めの造形。関節部分はタイトな作りとなっている
【腕部 可動】
可動は肘や二の腕、肩口、手首にある。肘は大きく曲げることができ、肩口の軸可動も水平に動かす際などに活用できる
【ハンドパーツ】
ハンドパーツは左右の握り手、平手2種、武器持ち手2種

 最後に足パーツ。こちらも細かくパーツが分かれた構成で、小さく似たパーツが多い。はめ込み口に注意しながら組み立てる必要がある。

 股関節部分は引き出し機構が備わっており、脚部の可動域を広げているのが伺える。また、つま先も可動。地面を蹴る描写やつま先立ちもより自然に表現できるようになっている。

【胴体】
足パーツは大腿部の色分け部分が細かいパーツ構成となっている。膝の二重関節や股関節の引き出し機構で可動の自由度の高さもうかがえる
【胴体 可動】
膝の二重関節で大きく足を曲げることができ、足首もつま先立ちのような動きや横に踏ん張る可動が可能となっている

 上記のパーツをすべて合わせると「フレームアームズ・ガール 金剛」の素体が完成。

 素体ができたとところで、次は武装モードのパーツを組み立てていく。

FA金剛がふんだんに盛り込まれた武装モードの装備

 武装モードはいわゆる戦闘形態で、素体の女の子らしい柔らかい印象からパワードスーツを身に纏ったカッコよさ重視の装いとなる。

 頭部は素体とほぼ共通だが、前髪パーツと左側頭部のはねっ毛を交換する必要がある。

【頭パーツの準備】
前髪と左側頭部の髪パーツを取り外す

 武装モードでは、前髪に白のメッシュが入り、ブレードアンテナが付く。前髪パーツ、帽子型のパーツを組み立て、側頭部はアンテナパーツと専用の髪パーツを使用する。素体モードと武装モードへの取り換えも容易な仕様となっている。

 また、頭のデザインは「フレームアームズ 金剛」のエッセンスとして、帽子型のパーツは「金剛」に近い造形でマリンキャップのような雰囲気もある。また、左右に伸びていたブレードアンテナも、左側頭部は近い役割のデザインが採用されているが、右側はメッシュの髪で表現されている。

 初見では、女の子の可愛らしさ重点なデザインだが、「フレームアームズ 金剛」を知っていると左右のアンテナ表現をうまく女の子の髪形に落とし込んでいる島田フミカネ氏のデザイン力に感服してしまう。

【武装モードの頭パーツ】
前髪、帽子、側頭部で追加パーツが組まれ、付け替えもしやすいものとなっている
【武装モードの頭パーツ】
メッシュのアクセントやアンテナパーツのカッコよさが引き立つ。また、帽子型パーツのモチーフが一目でわかるのも可愛らしい

 腕パーツは肘から前腕にかけての組み立てとなる。装甲を纏った前腕部は武骨なデザインとなっており、黒い部分のアクセントもパーツ分けで表現されている。

【武装モードの腕パーツ】
装甲によって素体よりも一回り太くなった武装モードの前腕部。流麗な装甲デザインも再現されている
【武装モードの腕パーツ 可動】
素体の腕パーツ同様に肘が曲がるようになっている

 足パーツは、膝アーマー、膝、脹脛の3つに分けて紹介する。膝アーマーは基部となるパーツに外装部分を被せる構成。膝パーツに素体に近いパーツ構成だが、こちらは後述する巡航形態にするため脹脛とは別ブロックとなっている。

 そして、脹脛パーツは武骨な装甲に包まれた造形となっており、足先パーツも「フレームアームズ」に近いデザインとなっている。かかと部分は赤いパーツや可動を見ると舵のような印象となっている。

【武装モードの足パーツ】
膝アーマー
膝部分は脹脛と太ももに接続する。また、膝アーマーを装着する軸パーツが設けられている
白い装甲は大きめで、武骨なデザインが見て取れる。足先は細かなパーツ構成
各パーツを合わせて、足パーツが完成する
【武装モードの膝 可動】
ボリュームのある脹脛部分だが、膝の屈伸は十分にできる。アーマーパーツも膝の可動に連動して動く

 武装モードの主役といえる背部フレームは、バックパックとサブアーム、アームと装甲板で完成する。

 デザインは軍艦の艦橋のような細かな造形で、アームパーツによって装甲板が支えられ、ボリュームのあるシルエットとなる。サブアームは左右非対称で、ディテールのこだわりを感じる。

【背部フレーム】
バックパック部分は2ブロック構造
左右のサブアームはほぼ共通のデザイン
右サブアームはアンテナパーツが突出したようなデザイン
左サブアームはレドーム型のレーダーパーツを搭載している
左右サブアームとバックパックを合わせて、背部フレームの基部を作る
大型の装甲板には武器となるダガーが組み込まれている
アームパーツはシンプルな構造ながらフレキシブルな可動が期待できる
大型装甲板の内側にはミサイルポッドが装備されている。外側には錨パーツで船らしいアクセントが入っている

 脚部にも小型の装甲板とアームパーツが付く。こちらは内側にスクリューパーツがあるなど、船尾部分を彷彿とさせる構成が光る。

【小型装甲板パーツ】
アームパーツは末端部分に軸可動が付いている
装甲板は船体側面部分となるデザインで、シールドのようにも見える。内側にはスクリューユニットが設けられている
アームパーツ、スクリューユニット、装甲板を合わせる

 そして、武装となるキャノンとシールド。キャノンは箱型の巨大な砲身が存在感を放つデザインで、「フレームアームズ」ではビームバズーカとして設定されている。

 シールドは船首に装備される速射砲が上部に装備され、下部にはバルカン型の機関砲が装備されている。速射砲は左右への旋回や砲身の仰角調整が可能。またマガジンと思われる白や赤のパーツもミリタリー感が演出されている。

【武装 キャノン/シールド】
キャノンは少ないパーツ構成だが、細かなモールド表現と大きさで重厚感ある造形となっている
シールドは鋭角な天板を中核として、上部に速射砲、下部に機関砲を装備した複合武装となっている

 武装モードの組み立ては以上となる。その他、キャノンなどに使用するグリップパーツや武装モード時のジョイントパーツがある。

【グリップパーツ】
キャノンやシールドに接続し、金剛の手に持たせることができるグリップパーツ
【ジョイントパーツ】
武装モードの金剛の腕パーツに装着することで、キャノンなどを装備することができる

 「フレームアームズ・ガール 金剛」では台座も重要なパーツとなっている。こちらは金剛専用といえ、武装モード、素体モードのディスプレイはもちろんだが、特長である巡航形態を形作るものでもある。

 支柱部分も武骨な造形となっており、ヘキサグラム(六角形状のジョイント穴)にPCパーツを入れて3mm軸受けを設けるなど拡張性もある。

【台座】
武装モードなどの金剛をディスプレイする台座。機械的なデザインで、根本や中間、末端に可動軸を備えている
こちらは巡航形態時に台座の支柱に接続する専用パーツ

 これですべてのパーツが組みあがった。それでは完成した「フレームアームズ・ガール 金剛」を見ていこう。