レビュー

東京マルイ「P-90プラス」レビュー

コンパクトなPDWを忠実に再現! リアルさと実用性を兼ね備えた外観

 この項目では、筆者の持っている電動ガンスタンダードタイプ「P-90」と見比べながら、「P-90プラス」の外観をチェックしていく。

 まずは外箱。ここ最近の東京マルイ製品のトレンドである、一見してエアソフトガンとは解らないシックで凝った造りだ。開梱すると、上蓋裏に取扱説明書が添付されているので目を通す。従来品を持っているユーザーも、「P-90プラス」を購入した際はFET回路「PLUSシステム」の説明があるので必ず熟読してほしい。

時代を感じさせる発売初期の電動ガンスタンダードタイプ「P-90」(上)と「P-90 プラス」(下)の外箱

 電動ガンとしてはコンパクトな箱に、やはりコンパクトな「P-90プラス」が収まっている。手に取ると、樹脂で構成されたレシーバーとコンパクトさで、長物としては手に馴染む程良い重さ。ブルパップ式で人間工学的にも考えられたデザインで、構えた時のバランスもちょうど良い。

左右対称のデザインが忠実に再現されている

 基本は従来品の「P-90」と同じだが、ボディーが深みのあるマットブラックに塗装されたので、質感がより向上している(従来品は塗装されていない)。上部のサイトレシーバーはドットサイトがオミットされ、上部に20mmマウントレイルが伸び、左右に1ピースずつのレイルが付いている。また、ハイダーにはアルミ切削による最新型のフラッシュハイダーを装備しており、こちらの質感も素晴らしい。

 これは「P-90 TR」・「P-90 HC」タイプと同型で、形状としてはサプレッサーを外した「P-90 TR プラス」ということになる。

「P-90」(左)と「P-90 プラス」(右)

 20mmレイルには実用的簡易サイトが前後にモールドされているので、そのままでも使用可能だ。セミオートでの精密射撃などには、ダットサイトやスコープを載せるとより命中精度が上がる。

 現在のトレンドであるM-LOKほどではないが、3面にコンパクトさを活かした拡張性があるので、状況に応じてオプションパーツを付けられる。なお、通常のスリングスイベルも無いので、レイルに取り付けるタイプのものがマストアイテムと言える。

「P-90」(右)と「P-90 プラス」(左)のサイトレシーバーを後方から
同社「レイルスリングアダプター」を使うとスリングが取り付けられる
NEWプロサイト搭載例。光学照準器を搭載するとより狙いやすくなる

 また、マガジンも従来品と互換性があるので、連射マガジンもそのまま使用可能だ。サイトレシーバーは、マガジンを外すと見えるレシーバーロックを押すと簡単に分離できるのも従来品同様に再現されている。誤って粗悪なBB弾を詰めた時やクリーニング時など、バレルをフリーにして対応できる様になっている。

「P-90用 300連射マガジン」を装填した状態。標準装備のノーマルマガジンも電動ガンスタンダードタイプと共通
矢印がレシーバーロックボタン
上下に分割可能。これ以上の分解は推奨されていない

 なお、電動ガンスタンダードタイプ「P-90」とサイトレシーバーの互換性があるが、細かな部分で違いがあり、故障の原因になるので作動はさせない様にしたい。

 外観をチェックしてみると、電動ガンスタンダードタイプの「P-90」と基本的には同じ製品と感じた。

電動ガンスタンダードタイプ「P-90」(右)と「P-90 プラス」(左)サイトレシーバー
「P-90 プラス」に電動ガンスタンダードタイプのサイトレシーバーを搭載可能だ
フロント部分は14mm逆ネジで、サプレッサーなどが装着できる
実銃通り真下にあるエジェクションポートを再現。開閉はしない
矢印のコッキングハンドルも再現
ダミーだが、コッキングの動作を行える

「PLUSシステム」で内部進化! 「MS・Li-Po バッテリー」スッキリ収納の内部

 次はバッテリー接続部などの内部の様子と、PLUSシステムによってデジタル制御されたトリガーについて見ていく。外観的には電動ガンスタンダードタイプ「P-90」のバリエーションとなる「P-90プラス」だが、何と言っても最大の特徴であり魅力は、やはり内部機構だ。専用に開発した「PLUSシステム(FET回路)」によって、高い安全性とトリガーレスポンス向上を実現した。

 「P-90 プラス」は、「8.4V ニッケル水素1300mAh ミニSバッテリー」もしくは「MS・Li-Po バッテリー[スタンダードタイプ]」をパワーソースに使用する。バットプレートを外すとコネクターが出てくるのは、電動ガンスタンダードタイプと同様だ。しかし、ヒューズが備わっていた電動ガンスタンダードタイプと違い、「MS・Li-Po バッテリー」専用の3P端子コネクターに2P→3P端子への変換コネクターが繋がれたコードが出てくる。

電動ガンスタンダードタイプ(右)と「P-90 プラス」(左)のコード

 下記画像の部分では、PLUSシステムのインジケーターLEDを見る事ができる。「MS・Li-Poバッテリー」を使用すれば、バッテリーの状態を赤色の点灯で知らせてくれる。

バッテリーに異常があるとインジケーターの点灯パターンで状態を通知する

 「8.4V ニッケル水素1300mAh ミニSバッテリー」であれば、お馴染みの2P端子コネクターにそのまま繋ぎ、「MS・Li-Po バッテリー」であれば、変換コネクターを外して繋いでやる。「8.4V ニッケル水素1300mAh ミニSバッテリー」も特にキツくは無いが、「MS・Li-Po バッテリー」は余裕があるので、接続時にスッキリ収まる。

「MS・Li-Po バッテリー」の方がコンパクトで余裕がある

 下記画像のように、マガジンは本体上部に斜めから装填する。給弾口が上向きで、上部から90度の角度で糾弾されるのは実銃同様。オーソドックスな方式のマガジンに慣れているほど戸惑うところも、実銃の雰囲気を味わえる。ホップ調整は、グリップ内側上部の小窓を開けて行なう。ダイヤル式でゲーム中の操作も可能で、かつズレ難くなっている。

サイトレシーバーの間から斜めにアプローチする独特の装填方法
①のマガジンリップから、②の給弾口に給弾される
ホップ調整はグリップ上部のフタを開けてからから行なう

 あとはセイフティを解除してトリガーをを引くだけだが、その前に実銃を再現した「P-90」独特のセレクターについて紹介したい。

 P-90のセレクターはトリガーの前に横向きに円盤状の物が付いていて、ポジションは「S→1→A」となっている。Sはセイフティオン、1はセミオートオンリーだが、Aはトリガーの引き加減でセミオートとフルオートを撃ち分けられる様になっている。

 1980年代は一般兵士のフルオート射撃による弊害が問題となっていた時代で、米軍もM16A2でフルオートを廃止し、バーストショットを採り入れていた。一方でバースト射撃は機構が複雑になる為、FN社はフィーリングでのセミオート射撃をメインに据えつつ、状況に応じてフルオートで制圧する余地を遺したと考えられる。

 サバイバルゲームでも実戦的で有効な考え方だと思う。東京マルイでも電動ガンスタンダードタイプ「P-90」でしっかり再現していた。

 機械式のスイッチとアナログの接点の組み合わせで1→Aポジションを再現した東京マルイの開発力に唸らされたが、セミオートのトリガープルがかなり重くなり、また、アナログ式によるセミオートを多用すると、どうしても接点の摩耗が避けられないデメリットはあった。

 しかし今回の「P-90プラス」では、PLUSシステムによるデジタル制御で無理のないセミオートとフルオートの切り替えが可能となっている。セミオートポジションも深過ぎない自然なトリガープルだし、Aポジションの撃ち分けもスムーズに切り替わる。20年来の懸案が解決されたと言って良いだろう。

 次項ではその印象を良い意味で大きく覆される実射性能を確認していく。

P-90独特のセレクター部
電動ガンスタンダードタイプ(下)と「P-90プラス」(下)のトリガー部
セミオートポジションでのトリガーの後退距離、引きしろが変化している

これぞ電動ガンスタンダードタイプの真の姿! 似て非なる「P-90プラス」驚異の実射性能

 この項目では、実際に撃った際の所感について紹介する。初速は、0.2gBB弾を使い適正ホップをかけた状態で90.64m/sだった。サバイバルゲームでの実用に充分なパワーが出ている。PLUSシステムを狂わせないためにも、内部に関してはノーマルでの使用がベストだ。

「P-90 プラス」は充分なパワーが出ている

 まずは、ニッケル水素バッテリーを繋いで実射する。最初に1発、セミオートで撃ってみた。「PLUSシステム」ならではの、キレのあるトリガーフィーリングでモーターとピストンの作動音が小気味よく聞こえた。さらに、セレクターを「A(フルオート)」に回してみると、指切りによるセミオートも、トリガーを引き切ってのフルオート連射も、非常にレスポンスが良く作動。機械式の接点である粘り気、トリガーを引いてからのタイムラグが感じられないのだ。

 連射時のキレは次世代電動ガン「MP5」シリーズを彷彿とさせるが、リコイルがない分、よりBB弾を発射する作動音の滑らかさが耳に響いてくる。電動ガンスタンダードタイプのメカボックスでありながら、ガスガンに近いレスポンスの良さで驚かされた。

PLUSシステムは想像以上のフィーリング

 続いていよいよ同日に発売された「MS・Li-Po バッテリー」による「P-90プラス」の射撃を体感していく。

 先ほどと同じく、セミオートから始める。やはり、セミオートはニッケル水素バッテリー以上にレスポンスが良い。トリガーを引いた瞬間BB弾が発射される感覚だ。そして、作動音がさらに一段低くなっている。モーターへのマイルドな電圧による高電流の放出が、電動ガンスタンダードタイプのメカボックスに合っていることが伝わってきた。

 次はフルオート。連射すると、リコイルのないスタンダードタイプのメカボックスと相まって、ターゲットに糸を曳いてBB弾が吸い込まれていく感覚だ。同様に、フルオートもやはり滑らかな作動音で、トリガーを引いた時のレスポンス、発射サイクルの安定性が増している。指先とチャンバーが直結している様な射撃感覚は、これまでの電動ガンでは味わえなかったものだ。「MS・Li-Po バッテリー」とFET回路「PLUSシステム」を得て、電動ガンスタンダードタイプのポテンシャルが解放されたように感じた。