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【年末特集】サバゲーにおけるエアソフトガンのトレンドと電子トリガー普及の2023年展望

旧東側装備も充実しそう

 2021年は東京マルイ怒濤の新製品ラッシュで盛り上がったエアソフトガンだが、2022年は遂に発売時期が決定したガスショットガンの「サイガ」が延期。結果として長物はマイナーチェンジと再販で流通在庫が拡充された年だった。

 一方で海外勢も、コロナ禍の混乱、円安による価格改定、香港のメーカーが“大陸化”による規制を予測して台湾などへ移転するといった複数の要因があり、新製品だけを見れば比較的静かな1年だったと言えるだろう。

 ようやくコロナ禍終速の目処がついた2022年もあと僅かということで、本稿では2022年について、電子トリガーなどのトレンドを具体的に振り返りつつ、2023年の展望を考えていく。

電子トリガーの浸透と拡散:「電動ガン静かなる進化」

 まず業界全体に影響があったのが、やはりコロナ禍の波だ。規制が緩和されたものの、体調不良やクラスター発生によってゲームが中止になったり、参加者の数が落ち込んだりといったことが夏過ぎまで続いたのが2022年のサバイバルゲーム界だった。当然、売り上げにも影響が出ており、2022年は苦しい年となった。

 製品としては、2021年に東京マルイが遂に発売した電子トリガーを搭載した次世代電動ガン「MP5 A5」に目が向く。当初は入手困難な状況が続いたが、2022年には再販で徐々に使う人が増えた。これまで、特にセミオート限定戦において東京マルイユーザーは、海外製の電子トリガー搭載機に押されてきた。しかし安心の東京マルイ純正品が手に入り、ようやく互角に戦えるようになったのが2022年だった。

東京マルイ「MP5 A5」

海外勢で気を吐くS&Tの「G3」とは

 海外勢は先ほど述べた要因からか、日本国内向けに新基軸を打ち出すには至っていない。しかし、そんな中で目立ったのが香港のメーカーS&Tである。

 S&Tは2022年初頭、各メーカーで対応が遅れているAK系に、電子トリガーシステム「G3トリガー」を搭載、市場に大量に送りだした。これにより、AK系ユーザーの電子トリガー率が上がってきている。また、新しくAK系を使い出したユーザーも多く、AK系が活気づいたのが2022年だった。同社はその後、他機種にも「G3」を積んできており、海外メーカー勢の台風の目となっている。

 2022年は、サバイバルゲームフィールドで電子トリガー戦争が勃発した年だったと言えるだろう。ちなみに筆者も同社製品を購入したので、晴れて電子トリガーユーザーの仲間入りを果たした。

S&T「AK-74M フルメタル G3電動ガン(Black)」

熟成した機構の再評価:ポンアクションガスガンとコッキングエアー、固定スライドガスガン

 他に目立ったのは、2021年末に掲載した特集記事「【年末特別企画】冬休みに遊びたい『エアソフトガン』5選」に入れたマルゼンのライブカートショットガンだ。新年にはクアッドロード競技会が開かれるなど盛り上がりを見せている。しかし、こちらも入手困難な状況が続いており、サバイバルゲームで使うユーザーは少ないままだ。筆者も「M870」を持っているが、シェルの回収問題もあって中々サバイバルゲームでは使えていない。

マルゼン「M870 SEAF-BASE(:世田谷ベース・モデル-クアッドロードカスタム)」(再販分)

 一方で、ハンドガンに目を移すと、東京マルイはエアーコッキングの新基軸「SAA」と、小型の固定スライドガスガン「カーヴ」などを投入。サイドアームの新トレンドも予想されたが、いずれも入手困難でフィールドでは中々お目にかかれないのが実状だ。

東京マルイ「SAA.45 アーティラリー 5-1/2インチ ブラック」
東京マルイ「カーヴ」

個人トピック:「旧東側製品の盛り上がりと韓流の波到来の予感!?」

 個人的なトピックでは、S&Tの「AK-74」や「AKMN」を筆頭とした旧東側のエアソフトガンが盛り上がりそうな予感の2022年だった。東京マルイの「サイガ」の延期は残念だったが。

 特に注目したのは、台湾のラプターがポンプアクション式グレネードランチャー「GM-94」とセミオートカービン銃「SKS」、セミフルオートハンドガン「スチェッキン」を開発中であるとの報だ。同社はこれまでもスナイパーライフルの「SV98」や支援火器の「PKP」をリリースしてきており、旧東側火器のファンとしては期待大である。

ラプター「GM-94」
ラプター「スチェッキン」

 そして、長らく日本国内では入手困難だった韓国のACRO製エアーコッキングガン「FN ブローニング M1900」が入手しやすくなったのもトピックだ。前世紀のレトロな機種の選択も驚きだが、韓国製のエアソフトガンはこれまで低年齢へ向けたモナカ式の廉価な物か、コアなマニア向けのハイエンド製品がほとんどだった。

 しかし、新鋭ACROによる「FN ブローニング M1900」は、一体成型のスライドやフレームを採用しており、全体的な再現性も高い。韓国内の規制もあってパワーは低めだが、一般的なエアソフトガンファンやサバイバルゲーマーに向けた製品となっている。

 今後、エアソフトガンにも「韓流」の波がやって来るのかもしれないと思わされた製品だった。

ACRO「FN ブローニング M1900」

新製品「次世代電動ガン MP5 SD6」はより実戦向きに!

 2022年12月22日には、東京マルイの電子トリガー搭載製品第2弾として、次世代電動ガン「MP5 SD6」が発売された。

 性能自体は前作次世代電動ガン「MP5 A5」を踏襲しており、完成度は折り紙付き。ハンドガードが大きいので、バッテリーの収納に余裕が出たのは嬉しいところだ。また、一体型のサプレッサーは減音効果も大きく、実戦型でよりサバイバルゲーム向きの製品と言えるだろう。

東京マルイ「MP5 SD6」

 今年は「P90」への電子トリガー移植も発表され、マルイの電子トリガーがいよいよ普及段階に入った感がある。電子トリガー率の上昇は、セミオート戦でのハンドガン使用率の低下も招いていくことに繋がり、サバイバルゲームのセミオート戦のあり方も変わっていくのかもしれない。

 また、次世代「MP5 A5」で感じたのが、エアソフトガンでのバーストショットの実用性の高さだ。フルオートでのトリガー引きっぱなしではなく、バースト射撃での点射がサバイバルゲームのフルオート戦で多用されるようになりそうだ。

 先日、生分解性のバイオBB弾でも考えたことだが、BB弾をバラ撒くスタイルよりは、バースト射撃の方が環境負荷が小さいのだ。今年ベストのサバイバルゲームウェポンであり、2023年へ向けて闘い方を一新させる可能性を秘めた新製品と言える。

電子トリガーがサバイバルゲームの未来を創る!?

 東京マルイからいよいよ安心して使える純正リポバッテリーが発売される2023年は、一層電子トリガーの普及が進むだろう。

 電動ガンが誕生してから35周年の節目を超えて、再び東京マルイの電動ガンがサバイバルゲームフィールドの風景を変える2023年になりそうだ。