レビュー

「HG スコープドッグ」レビュー

BANDAI SPIRITSが誇るプラモデル設計技術により、コンパクトでよく動くスコープドッグが完成

 完成したスコープドッグは、アンテナも含めた全高が約120mmで、プロポーションは全体的なバランスを重視した印象を受ける。頭部の大きさや手足の長さなど、アニメ版劇中のスコープドッグとしてほどよいサイズにまとまっている。コンパクトなサイズながら、装甲の各所に打たれたボルトやその裏側、レンズの形状、足裏のグライディングホイールなど、ディテールはしっかり再現されているのが嬉しいところ。武装はヘビィマシンガンで、こちらも成形色による色分けやフォアグリップの可動を実現している。

スコープドッグは造形バランスの好みがユーザーによって異なる傾向があるが、個人的にはいいバランスになっていると感じられた。

 可動は近年のBANDAI SPIRITSのプラモデルの感触そのままに、PS素材ならではの柔らかさを生かしつつ、カッチリとポーズが決められる。引き出し式の肩関節や前屈ができる胴体により、アクションフィギュアのような独自の姿勢も取れるので、眺める角度次第で、劇中やイラストなどで見られたような、デフォルメされた姿に近いポーズも楽しめるのだ。

ターレットレンズはレールに沿ってスライドし、レンズの回転ギミックもある。レンズは固定されておらず、外れてしまうことがあるので紛失には注意
アームパンチ使用時の前腕の伸縮ギミック。左右に内蔵している
上半身を最大まで傾けると、背中に大きな隙間ができる。ここまで前屈させたときのバックショットを見ることもあまりないかと思うので、割り切って楽しみたい
前屈させた状態を、腕を取り外して横から撮影してみた。首、胴体、腰が前に傾く
肩関節を引き出した状態。これにより、銃を構えたり、アームパンチを繰り出したりしたときなど、腕を前に伸ばしたポーズが取れる
足裏のグライディングホイールのディテール。可動はしない
各所の可動するアーマーは裏側にもディテールがある

 足首の接地性も特筆すべき要素で、ブーツ側を引き出すことで、通常よりも広い左右のスイング幅を確保できるようになっている。これにより、ATならではのローラーダッシュ時のポーズも難なく行なえ、浅めの角度なら台座を使用せずに自立させることも可能だ。

引き出すことで左右に傾けられる足首
足首の接地性が高く、本体がコンパクトで軽いので、台座なしでもローラーダッシュのポーズが取れる

 ギミックはターレットレンズの可動やアームパンチがあるが、最大のポイントはパーツ差し替えをせずに行なえる降着ポーズの再現だ。スコープドッグのプラモデルやフィギュアでこのポーズができるか否かが評価の分かれるポイントといって過言ではない。この「HG スコープドッグ」も事前に発表されていた通り、差し替えなしで降着ポーズが取れるわけだが、ここまで述べてきたように、比較的簡単に作れてポージングの自由度が高いという設計の中でこのポーズが取れることが最大の魅力といえるのではないだろうか。

【降着ポーズ】
降着ポーズのギミック。まずは太ももを後方に折る
脛の関節を引き出して折り曲げ、足首を設置させる
形を整えて完成。パーツが外れることもなく、気軽に行なえる
降着ポーズのショット。パイロットフィギュアが欲しくなる
降着ポーズのための可動域もポージング時に活用することもできるだろう

 コンパクトなボディにBANDAI SPIRITSのプラモデル設計技術が詰め込まれ、新しいスタイルを追求したスコープドッグが完成した。同社の「1/20スコープドッグ」などと比較しても、組み立ての難易度が大きく下がっているのが最大のポイントで、これまであまり同機のプラモデルを作ったことがない人にも薦められるキットだと、実際に組み立ててみて思ったところだ。

アクションベースに対応するジョイントパーツも付属している

 そして単に組みやすいキットで終わらないのが今回の商品化で、11月には「HGスコープドッグ用拡張パーツセット」2種の発売が控えている(プレミアムバンダイ販売商品、2次受注分が予約受付中)。コクピットやパイロットの再現に加えて武器セットが揃うアイテムで、いずれも「HGスコープドッグ」完成後にさらにキット楽しみたい人に向けたものだ。前述の静岡ホビーショーで担当者が今後のシリーズ展開を匂わせる発言をしていたが、単純にATが発売されるのとはひと味違ったこれらの商品展開も楽しみとなった。

スコープドッグは素立ちでも格好いいのがポイント。稲城長沼駅前の等身大スコープドッグの姿を意識して立たせてみた
別売りの「カスタマイズエフェクト」や「フィギュアライズエフェクト」などとも相性がいいのでお試しを
大胆な関節機構により、外連味のあるポーズを取れるのもいい感じだ

 まずは今回発売される「HGスコープドッグ」を組み立てて、「装甲騎兵ボトムズ」放映40周年を祝うとともに、今後のシリーズへの期待を高めていただきたい。