レビュー
「HG スコープドッグ」レビュー
2023年10月20日 00:00
BANDAI SPIRITSが誇るプラモデル設計技術により、コンパクトでよく動くスコープドッグが完成
完成したスコープドッグは、アンテナも含めた全高が約120mmで、プロポーションは全体的なバランスを重視した印象を受ける。頭部の大きさや手足の長さなど、アニメ版劇中のスコープドッグとしてほどよいサイズにまとまっている。コンパクトなサイズながら、装甲の各所に打たれたボルトやその裏側、レンズの形状、足裏のグライディングホイールなど、ディテールはしっかり再現されているのが嬉しいところ。武装はヘビィマシンガンで、こちらも成形色による色分けやフォアグリップの可動を実現している。
可動は近年のBANDAI SPIRITSのプラモデルの感触そのままに、PS素材ならではの柔らかさを生かしつつ、カッチリとポーズが決められる。引き出し式の肩関節や前屈ができる胴体により、アクションフィギュアのような独自の姿勢も取れるので、眺める角度次第で、劇中やイラストなどで見られたような、デフォルメされた姿に近いポーズも楽しめるのだ。
足首の接地性も特筆すべき要素で、ブーツ側を引き出すことで、通常よりも広い左右のスイング幅を確保できるようになっている。これにより、ATならではのローラーダッシュ時のポーズも難なく行なえ、浅めの角度なら台座を使用せずに自立させることも可能だ。
ギミックはターレットレンズの可動やアームパンチがあるが、最大のポイントはパーツ差し替えをせずに行なえる降着ポーズの再現だ。スコープドッグのプラモデルやフィギュアでこのポーズができるか否かが評価の分かれるポイントといって過言ではない。この「HG スコープドッグ」も事前に発表されていた通り、差し替えなしで降着ポーズが取れるわけだが、ここまで述べてきたように、比較的簡単に作れてポージングの自由度が高いという設計の中でこのポーズが取れることが最大の魅力といえるのではないだろうか。
コンパクトなボディにBANDAI SPIRITSのプラモデル設計技術が詰め込まれ、新しいスタイルを追求したスコープドッグが完成した。同社の「1/20スコープドッグ」などと比較しても、組み立ての難易度が大きく下がっているのが最大のポイントで、これまであまり同機のプラモデルを作ったことがない人にも薦められるキットだと、実際に組み立ててみて思ったところだ。
そして単に組みやすいキットで終わらないのが今回の商品化で、11月には「HGスコープドッグ用拡張パーツセット」2種の発売が控えている(プレミアムバンダイ販売商品、2次受注分が予約受付中)。コクピットやパイロットの再現に加えて武器セットが揃うアイテムで、いずれも「HGスコープドッグ」完成後にさらにキット楽しみたい人に向けたものだ。前述の静岡ホビーショーで担当者が今後のシリーズ展開を匂わせる発言をしていたが、単純にATが発売されるのとはひと味違ったこれらの商品展開も楽しみとなった。
まずは今回発売される「HGスコープドッグ」を組み立てて、「装甲騎兵ボトムズ」放映40周年を祝うとともに、今後のシリーズへの期待を高めていただきたい。
(C)サンライズ