レビュー
「HG スコープドッグ」レビュー
“スコタコ”キットの常識を覆す作りやすさとポージングの楽しさを追求
2023年10月20日 00:00
- 【HG スコープドッグ】
- 開発・発売元:BANDAI SPIRITS
- 発売日:10月21日
- 価格:2,750円
- 全高:約120mm
今年5月の静岡ホビーショーにて発表され大きな話題となったBANDAI SPIRITSの「HGスコープドッグ」が10月21日に一般店頭にて発売となる。今年放映開始から40周年を迎えた「装甲騎兵ボトムズ」に登場するアーマードトルーパー(AT)「スコープドッグ」を、同社の「HG」シリーズのフォーマットで設計し、全高約120mmのノンスケールキットとしてリリースされるものだ。
BANDAI SPIRITSではかつて1/20スケールのATのプラモデルを発売していて、そちらはボリュームとディテールを重視した、いわば「マスターグレード」的な位置づけのキットだった。今回「HG」シリーズとして新たに発売されるキットは、「30MM」や「ENTRY GRADE」などの開発技術を導入し、比較的簡単に組み立てられ、完成後に動かして楽しめるプラモデルとして開発されている旨を、製品担当者が静岡ホビーショーで話していた。
世の“最低野郎(=ボトムズファン)”が待ち望んだ、新しいスタイルを追求した“スコタコ”(ファンからのスコープドッグの愛称)のプラモデルを、本稿にてレビューしていきたい。
コクピットの再現をオミットし、作りやすさと可動に重きを置いたキットに
「ATM-09-ST スコープドッグ」は「装甲騎兵ボトムズ」に登場した人間型の兵器だ。アストラギウス銀河を二分する、ギルガメス連合とバララント同盟による百年戦争に投入されたギルガメス軍のATで、戦争中に最も多く生産されたとされる。全高は約3.8m、基本重量は約6.6tで、ヘビィマシンガン、ソリッドシューター、ペンタトルーパーなどを主武装とし、左右の腕に固定武装のアームパンチを備える。またラウンドムーバー、パラシュートザック、ドッグキャリアーといった移動用の装備も存在している。頭部にある3つのレンズ(ターレットレンズ)が機体の象徴であり、番組オープニングの始まりはそれが回転する様子が描かれていた。
主人公のキリコ・キュービィが好んで使用した機体で、高い汎用性を誇り、様々な派生機体へと繋がっている。戦争において大量生産された兵器であり、主人公機としてではなく、敵味方が同じ機体や派生機体で戦うシーンがあるなど、現実の戦争に寄せた設定「装甲騎兵ボトムズ」と後の作品の路線を決定づけ、シリーズの人気にも拍車をかけた。
スコープドッグは40年前の番組放映当初より、プラモデルやおもちゃが多数発売され、現在も各メーカーから立体化されている。BANDAI SPIRITSは2007年にプラモデル「1/20 スコープドッグ」を発売し、その後同スケールでシリーズ化していて、この「HGスコープドッグ」はその最終アイテムから約4年ぶりに完全新規の設計でプラモデル化されることとなった。
キットのパーツを見てまず感じたのは、ランナーの枚数が予想よりも少なかったこと。総数は7枚で、多色成形ランナーもないシンプルな構成だが、この中にBANDAI SPIRITSの設計・成型技術が詰め込まれている。切り出す前のパーツを眺めてみると、頭部や肩アーマーは一体成形で、前者に搭乗者の顔が覗く窓がないなど、パーツ数だけではない特徴にも気づく。
(C)サンライズ