レビュー
「HG 1/144 ティフォエウスガンダム・キメラ」レビュー
2023年12月15日 00:00
怪物に変じる「ティフォエウスガンダム・キメラ」が巨大で壮観
次いで「ティフォエウスガンダム・キメラ」を組み立てよう。ユニットが完成するごとに「ティフォエウスガンダム」に取り付けていく形で、「ティフォエウスガンダム」がだんだん巨大化していくのが面白い。組み立てに複雑な部分はないが、軸可動の関節を押し込む部分など、少々気を遣う部分は多い。
「クタン参型」では白いシールドを搭載した部分に、「クタン双竜型」では赤いシールドを取り付ける。「ティフォエウスガンダム」のパーツが、全く違う「クタン参型」と「サイコガンダムMk-II」の橋渡しになる。先述したが、こういった「ガンダムビルドシリーズ」の発想に毎回驚く。
「サイコガンダムMk-II」の腕はまさに巨人のよう。頑丈な大型パーツで構成された腕を建造していく。手首を変形させて吸気口を展開するギミックもしっかりと搭載していて、もちろん前腕は取り外してリード線で接続し、展開できる。HGサイズなのに腕だけで手のひらサイズをはみ出しており、プラモデルの「組み立て」というより、巨大なモビルスーツの「建造」を楽しんでいるのだと思えてくる。
だんだんと「ティフォエウスガンダム・キメラ」組み立ての手応えを感じるようになってきた。画像にしてしまうと一瞬なのだが、P1ランナーとP2ランナーを反復横跳びしながら左右対称のパーツを組み立てるのは少々大変だ。
さらに完成するとシルエットが巨大な上にブロックごとに「ティフォエウスガンダム」に取り付けるため、半完成品が次々と輸送されてくるノックダウン方式のような面白さもある。部品の生産から組み立て、本社工場への輸送、完成品の建造まで全てを体験できるリッチな工場見学だ。
カメラとにらめっこしながら、撮影も込みで合計5時間ほどで建造が完了する。「ティフォエウスガンダム」とがっちりかみ合ったジョイントパーツで強大なボスMSの武装と堅牢な装甲に包まれた「ティフォエウスガンダム・キメラ」は、1つのガンダムシリーズ映像作品のボスにふさわしい赤と金、黒のカラーリングで、頑丈なリード線で武装を飛翔させるかっこよさと、主人公を追い詰める迫力に満ちている。
「クタン双竜型」へのゴールは、ヒーローロボットが勝利して強化メカを分離するようだ
説明書通りに組み立てると、最後に「ティフォエウスガンダム・キメラ」から「クタン双竜型」と「ティフォエウスガンダム」を分離させて完成する。「クタン双竜型」には自律飛行するためなのかコックピット部を取り付け、「ティフォエウスガンダム・キメラ」の足パーツを接続するためのジョイントも組み立てる必要がある。
『ガンダムビルドメタバース』本編での「クタン双竜型」と「ティフォエウスガンダム」の合体シーケンスはかなりカッコよかった。往年のスーパーロボットの合体のようで、太陽をバックに飛び込む「ティフォエウスガンダム」の姿はまさにヒーローだった。「ティフォエウスガンダム」の戦い方は、『機動武闘伝Gガンダム』のモビルファイターの格闘のようにも思え、ますますヒーローらしさを感じることができた。
「ティフォエウスガンダム・キメラ」の組み立ては非常に充実していて、手応えがあった。「クタン双竜型」は元の「クタン参型」と同様にMSを保護、輸送する機能もありそうで、赤い大型ブースターには大量に燃料を積み、大出力の推進で敵陣深くへ切り込んでいくのだろう。
その巨大さで見ている筆者を圧倒する「ティフォエウスガンダム・キメラ」は、1つ1つ簡単な組み立てを経て複雑なメカニックが組み上がる、ガンプラならではの楽しみをしっかりと味わえたガンプラだ。ただ1つの懸念材料は「これ、どこに飾ろう」だが、もし分解して押し入れにしまうことになっても、1つの巨大なガンプラに向き合って組み上げた記憶と達成感は一生残るだろう。
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