レビュー

「HG 1/144 ザブングル・タイプ」レビュー

作りやすくてよく動き、合体変形ギミックも!令和生まれのザブングルは男の子!

【HG 1/144 ザブングル・タイプ】

開発・発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:3月14日(1次予約分)

価格:4,180円

ジャンル:プラモデル

全高:約140mm

 「戦闘メカ ザブングル」の劇中前半の主役機「ウォーカーマシン ザブングル・タイプ」が、1/144スケールのプラモデルとして発売された。プレミアムバンダイ販売商品で、1次予約分の発送は3月14日。

 2022年の放映40周年を期に、Blu-ray BOXのリリースや各社から関連商品が発売されたことでにわかに盛り上がりを見せていて、放映当時にプラモデルをリリースしていたBANDAI SPIRITS(ホビー事業部)も「サンライズプラモコレクション」の企画を機に、満を持してこの「HG 1/144 ザブングル・タイプ」を発売。同社としては2008年の「R3 1/100 ウォーカーギャリア」以来、16年ぶりとなる完全新規造形のウォーカーマシンのプラモデルの登場となった。

「HG 1/144 ザブングル・タイプ」。3月14日発送(1次予約分)。価格は送料別で4,180円。プレミアムバンダイでの販売商品となる
ブングル・スキッパーとブングル・ローバー(ザブングル・カー)への差し替え変形もできる

 現在の同社の設計技術を導入し、作りやすくてよく動く、さらに変形も可能な1/144スケールザブングルの製品版を組み立ててのレビューをお届けしよう。

旧バンダイ時代から42年ぶりのBANDAI SPIRITS製ザブングル

 1982年2月からの「戦闘メカ ザブングル」の放映開始にあたり、登場メカのウォーカーマシン(WM)のプラモデルはバンダイ(当時)から同年7月に発売された。その第1弾は主役のザブングル……ではなく、小型の作業用WMトラッド11・タイプだった。機種によってサイズが大きく異なるWMは当初1/100スケールでの模型化を主体とし、“本物らしさの追求”をコンセプトに、アニメで表現されていない細部ディテールをプラモデルで再現するという独自の方向性を提示していた。当時のバンダイ公式情報誌「模型情報」には、アニメ用とは別のプラモデル向けのハイディテールなWMの設定画が掲載されていて、同誌を愛読していた筆者にとってはその設定画のほうが馴染み深いものであった。

 ちなみに主役であるザブングル・タイプのプラモデルは発売がかなり遅く、1/144スケールが1982年12月発売、1/100スケールに至っては発売が数カ月遅れ、番組が終了する1983年1月であった。ともに変形機構は再現されていなかった。

ザブングル放映時の1982年に発行された「模型情報」(筆者私物)。表紙にWMが登場した号の画は全て当時発売された1/144スケールプラモデルのパッケージアートで、主役のザブングルは一度も表紙になっていなかった
「模型情報」1982年3月号より。プラモデル用にデザインされたハイディテールなWMが並ぶ

 近年はグッドスマイルカンパニー(1/100スケール、変形可)やハセガワ(1/72スケール、変形なし)がこのザブングル・タイプをプラモデル化していて、それよりも早い2016年にはバンダイの食玩「スーパーミニプラ」(ノンスケール、変形可)で発売されている。この「HG 1/144 ザブングル・タイプ」は、スケール的にはそのスーパーミニプラ版に近いが、BANDAI SPIRITS最新の技術が導入され、作りやすくて色分けされた設計で完成されていた。

「HG 1/144 ザブングル・タイプ」パッケージ。イラストは「HG 1/72 ダンバイン」などのパッケージも手がける森下直親氏
パッケージ横には、アニメのシーンを使ったポーズの例が印刷されている
Aパーツ
B1パーツ、B2パーツ
C1パーツ、C2パーツ
D1パーツ、D2パーツ
E1パーツ(クリアイエローグリーン)、E1パーツ(クリアグリーン)、E2パーツ、シール

ザブングルの特徴的なディテールは極力パーツの色分けで再現

 組み立ては頭部からスタート。高さ約15mmの小さな頭部だが、額のカメラや口のベンチレーター、そしてコクピットのバイザーなど、細かな部分もパーツによって色分けされている。コクピットには簡易的ながら座席のディテールもあるが、組み立てると帆どんど見えない。顔の横にある白いラインはシールでかなり細く、指で貼るのは難易度が高め。綺麗に貼りたいならピンセットを使おう。

頭部の組み立て。バイザーはイエローグリーンを使用する
顔の横のラインはシール。かなり細いので、ピンセットの仕様を推奨
額のカメラのパーツを組み込んで頭部の前後を組み立て
口のベンチレーターと左右のアンテナを取り付けて頭部が完成

 胴体は変形時に分離する関係で、可動用のジョイントが胸部と腹部の間に設けてある。腹部にはロール軸があり、上体をひねるポージングも可能だ。特徴的な胸部の形状はパーツによって再現。左胸の丸い投光器は、フラットな形状とレンズ状に膨らみがあるもののいずれかを選択するコンパーチブル仕様だ。

 変形時に腰にあるタイヤは脇腹にジョイントされているのが、ザブングルの造形としてはかなり異色だ。その関係か胸部に比べて腹部が細めの設計なのだが、ジョイントがあることでシルエットはそれほど細い印象は受けない。

胴体の組み立て。上に張り出したパーツはボールジョイントで可動する
腹部のパーツを取り付ける。左右に見えるのはタイヤ用のジョイント
肩のジョイントを取り付ける
胸部前面のパーツを取り付け
ディテールのパーツを取り付ける
胸部の投光器の形状は、平らなものと膨らみがあるものの2種類から選択。作例では前者を使っている
投光器と首のパーツを取り付け
ブングル・スキッパーの前輪になる腰のタイヤの組み立て
フェンダーの上下のパーツでタイヤの軸を挟み込む
左右を組み立てる
タイヤを取り付けて胴体が完成
腰部の組み立て。こちらは前面のパーツ
こちらは後ろ。左右の装甲はスイング可動する

 腕にもやはりタイヤがあるわけだが、機体破損により変形ができなくなったジロン機はこのタイヤがない設定で、どちらを作るかはパーツの選択式となる。接着をしなければコンパチのパーツを差し替えることも可能だと思うが、説明書にはその旨について書かれていないので自己責任で。

腕の組み立て。これは肘の関節
上腕の装甲を取り付け
肩を組み立て
前腕の組み立て。手前左が通常、右がジロン機のパーツ。どちらかを選択する
タイヤは腰のものと構造はほぼ同じ
タイヤを取り付ける。手首は2種類だが、30mmライフル用の持ち手もある
左腕も同じように組み立てる

 脚部は変形のためのちょっとしたギミックが内蔵されている。脛の前側にある紺色のパーツが脚を伸縮収納するためのストッパーになっていて、この部分のつま先側を押すことでストッパーが解除される仕組み。変形やポージングを行うときはこの機構を意識しておきたい。ブングル・ローバーの翼はヒンジのパーツで脚部に連結する。折り畳み機構もあり、この部分は差し替えなしで変形が可能だ。

脚は膝関節から組み立て
大腿部の装甲を取り付ける
股関節を組み立てて取り付ける
脛の前側の部位を組み立て
膝から上のパーツを取り付ける
脛の装甲を取り付け
ブーツのパーツ。先端の色違いの部分はシールだ
裏側からジョイントの受けを取り付ける
完成したブーツと膝のパーツ
ブーツと膝パーツを取り付ける
後ろ側にタイヤを取り付ける
ブングル・ローバーの翼の組み立て。先端は畳める仕様
翼を取り付けて脚部が完成
左脚も同様に組み立てる
下半身は腰部に脚部を取り付けて組み立てる
上半身は胴体に頭部と腕を取り付ける
上半身と下半身を連結して本体が完成

 背中の翼も通常とジロン機でパーツが異なり、後者は折れた翼のパーツを使用する。これを取り付けて、ザブングル本体の完成だ。

ザブングルの背中に位置するブングル・スキッパーのコクピットを組み立て
翼も選択式。右の折れているほうはジロン機のもの
作例では変形のために折れてないパーツを使った。組み立てた翼を取り付ける