レビュー

ガイアノーツの接着剤「ガイアセメント」レビュー

扱いやすい細めの面相筆がポイント。刺激臭も弱めでプラモデル作りのよき友になりそう

【GPC-02 ガイアセメント】

【GPC-03 ガイアセメントQS】

7月6日 発売

価格:各550円

 ガイアノーツが7月6日に「GPC-02 ガイアセメント」と「GPC-03 ガイアセメントQS」という2種の接着剤を発売する。価格はどちらも550円。塗装や工作に使用するケミカルを多く製造、販売するガイアノーツが発売する接着剤ということで、かなり楽しみだった。

 今回はこの2製品を実際に使用し、プラモデルの組み立ての楽しさや塗布性能などを確認した。使ってみると細く長い面相筆がかなり使いやすく、競合他社より多少価格は高めなものの、それを補える魅力があると感じた。

ガイアノーツ発の接着剤。塗布性能やにおいは?

 本製品の魅力は「細長い毛足の面相筆」にある。ふたに付いた塗布用の面相筆の毛足が細長いので、1度に含む接着剤の量が多く、小さい面積に塗れる。「GPC-02」の面相筆は含みがよいため、接着剤を取るときに瓶のふちである程度落とさなければぼたりと落ちてくるくらいだ。塗布する面積を多く取ることも、小さい面積にちょっとだけ乗せることも可能となっている。

「GPC-02 ガイアセメント」の毛足
「GPC-03 ガイアセメントQS」の毛足

 「GPC-02」は「樹脂入り高粘度」、「GPC-03」は速乾をうたっているが、それぞれだいたい同じ量をプラ板に垂らし、0~30秒まで5秒刻みで放置したのち、プラ板を垂直に立てて塗布時の粘度を確かめた。すると「GPC-02」は塗布してすぐのものは多少の垂れが見られたが、他の秒数や「GPC-03」ではどれも垂れなかった。粘度や速乾性は信頼できそうだ。

 また同じくプラ板に垂らした「GPC-02」をプラ棒で30秒、1分と放置してから触ったが、30秒では粘りがあったものの、1分ではほとんど固まっていた。固着性能も高そうに感じた。

「GPC-02」を垂らしてから垂直に立てたプラ板
「GPC-03」を垂らしてから垂直に立てたプラ板

 また両製品は混ぜ合わせて粘度を変えられる他、「GPC-03」は「T-04 ツールウォッシュ」を使って薄められるという。今回はそのままの粘度がかなり絶妙な配分だったため行わなかったが、時間がたって粘度を増した場合などはそれぞれを混ぜ合わせて粘度を調整するとよいだろう。次項では実際にプラモデルを組み立てる。

時間をかければ強力に接着。細い面相筆がうれしい

 それでは実際にプラモデルを組み立ててみよう。今回は接着剤を通常タイプも流し込みタイプも使用するものとして、英国ゲームズワークショップが販売するミニチュア「アナイアレイター」を選んでみた。

 「アナイアレイター」はミニチュアゲーム「ウォーハンマー」で使うためのコマなので、接合は強力なほどいい。ミニチュア本体をつかんで移動させたり、滑らせて移動させることもありラフな扱いが多く、パーツ同士の接着回数も多い。接着剤のテストにはぴったりだ。

切って貼って完成するプラモデルといえば国内キットもいいが、小ささと接着回数の多さでこれを選んだ
ランナー。接着用の嵌合が用意されているパーツもあれば、平たい面で接着するパーツもある

 「GPC-02」で素早くぺたっと組み付けると、数分後にはかなりしっかりと固着する。塗布した面をしっかり溶融して接合している証拠だ。嵌合面がしっかり用意されていて隙間を作れるポイントでは「GPC-03」を使い、接着剤を隙間に追従させて満遍なく接合する。

接合面が広い部分は「GPC-02」を使ってしっかり接着
ギュッと押しつける
嵌合面を押さえられるものは「GPC-03」を流し込む

 特にしっかり接合させたい部分は、「GPC-02」で接着した直後に「GPC-03」を流し込んで強固に固める。これは印象の問題なのだが、2つの接着剤を同時に使用することで乾く速度が早くなっているように感じる。

頭部の接着。まず「GPC-02」を塗布してから……
接続後に「GPC-03」で追加の接着を行う
盾と腕の接着も「GPC-02」である程度の位置合わせを行なってから接続し……
握り革を「GPC-03」で接着する

 「GPC-02」は接着剤を筆が多く含んでくれるので、2度塗りの必要なくスイスイと完成する。「GPC-03」については接着面を強固にするために2~3回と重ね塗りを行ったが、それでも1度に含む接着剤の量が多いので助かる。

 においについては、確かに溶剤特有の刺激臭はあるものの、接着剤を塗る最中に顔を近づけるようなことをしなければあまり気にならなかった。普段使っている接着剤と比べてもにおいが弱い印象で、刺激臭に敏感な家族と同じ部屋で作業をしていても問題なかった。

「アナイアレイター」が完成

 「GPC-02」、「GPC-03」のどちらでも模型作りの上でうれしかったのは、細長い面相筆だ。筆を置いたとき1度に塗る面積が小さく、それでいて広い面積に塗ったり染みこませることができるため、瓶と模型で面相筆を往復する回数が少なくなるのがいい。

 さらに言うと、完成したミニチュアのパーツを1日後にグッと力を入れて外そうとしたところ、かなり強い力を加えても外れなかった。接合力は強固で、接合面が広ければ持ち運びにも十分耐えそうな印象を受けた。ゲームのために接着し塗装したミニチュアを持ち運ぶ人間として、接合力が強いことはうれしい。ただ飾っておくだけでも、不意に落下してしまうことはあるだろう。かなり強い接合力と弱めのにおいで、出先の作業スペースで作り、持ち運んで帰ってくるということも容易そうだ。模型作りのよき友となってくれることだろう。