レビュー
東京マルイ「M4A1R」レビュー
若い世代だけでなく未経験者も呼び込む新カテゴリ
2024年8月27日 10:46
- 【M4A1R】
- 8月6日発売
- 価格:38,280円
- 全長:767mm/851mm(ストック展開時)
- 銃身長:34mm
- 重量:2,825g(空マガジン、バッテリー含む)
- 弾丸:6mm BB(0.2g)
- 装弾数:65発
- 指定バッテリー:8.4Vニッケル水素1300mAhミニSバッテリー
- 種別:アサルトライフル
若い世代や未経験者といった新規層の参入は、どんな業界であっても最重要課題だろう。そこで今回は、そんな新規層に是非おすすめしたいエアガン「M4A1R」を紹介していく。本製品は、東京マルイが8月6日に発売した「14才以上推奨モデル」の新作電動ガンだ。
「M4A1R」は、青少年育成条例の安全基準を満たす発射パワー「0.135ジュール未満」に設計されており、威力自体は既存の「10才以上推奨モデル」と同等だ。そのため、フィールドやレギュレーションにもよるが10才以上推奨モデルのエアガンを使って遊ぶ所謂「10禁サバゲー」でも使える。「10禁サバゲー」は飛んでくる弾も通常のゲームと比べて痛くないので新規層におすすめだ。なお、実際に使えるか否かはフィールドに行く前にしっかりと確認していただきたい。
本稿では、「M4A1R」がどのぐらいの戦闘力を備えているのかについて、基本的なところから細かい数値まで仔細にレビューしていく。
14才以上推奨モデルとはなにか?
東京マルイが販売しているエアガンには、「10才以上」、「14才以上推奨」、「18才以上」と3種類の対象年齢がある。対象年齢の要件について、東京マルイは以下のように説明している。
・ 対象年令10才以上
発射パワーが、青少年育成条例の安全基準をクリアーしている製品です。また、操作方法の単純化やセフティ(安全装置)の追加、プラスチック採用による軽量化など、18才未満の方の使用を想定した安全対策が施されています。
・ 14才以上推奨
発射パワーは青少年育成条例の安全基準をクリアーしていますが、取扱いに14才程度の技術や注意力を要する製品です。
・ 対象年令18才以上
発射パワーが青少年育成条例の安全基準をこえる数値(0.136ジュール以上0.98ジュール以内)に設定されている製品です。18才以上の方のみ使用・購入できます。18才未満の方は、使用・購入できません。
14才以上推奨モデルは、発射パワー自体は対象年齢10才以上モデルと同じだが、乾電池ではなく「8.4Vニッケル水素1300mAhミニSバッテリー」を使用する。また、操作方法や重量が対象年齢18才以上モデルと同じであるため、14才以上推奨とされているわけだ。
ここで気になったのが「推奨」という2文字。そこで東京マルイに「14才以上推奨モデルを10~13才が使用してもよいのか?」と問い合わせたところ、「発射パワーは0.135ジュール未満なので、10才でも13才でも使用すること自体は問題ありません。ただ、バッテリーを使用するため充電を含めた14才程度の技術力や理解度・注意力を必要とすると判断したため14才以上推奨にしています」という回答を得られた。
なお、「10才以上用」についても「メーカーが定める基準なので、条例的に言えば7才でも8才でも違反ではありません」とのコメントもいただけた。
分解を封印する安全対策を実施、対象年齢18才以上モデルと同じ重厚感
ここからは本製品のスペックについて解説していく。「M4A1R」は東京マルイが8月6日に発売した「電動ガンRシリーズ」の第1弾。対象年齢18才以上モデルを元に、青少年育成条例の安全基準を満たす発射パワー「0.135ジュール未満」に調整し、通常分解(テイクダウン)などが行なえないような安全対策が施されている。
外観的にはコンペンセイターとアウターバレルの間にブルーのマズルリングが取り付けられており、14才以上推奨モデルであることが一目でわかる。しかし、それ以外は対象年齢18才以上モデルと同じ外観、剛性を実現している。アウターバレルはアルミ製、アッパーフレーム上部のマウントレイルは亜鉛ダイカスト、マガジンの外装はスチールプレス製となっている。「M4A1R」を構えた瞬間、対象年令10才以上モデルにはない重厚さを味わえるのが魅力だ。
全長はストック展開時で851mm、ストック伸縮時で767mm。銃身長(インナーバレル)は驚きの34mm。単純にインナーバレルを短くすれば発射パワーは落とせるが、実際はそう簡単なものではなく、東京マルイの長年の技術とデータの蓄積によって命中精度を保ちながらバランス調整してあるのだ。詳しいことは企業秘密とのことだが、インナーバレルを短くしただけではこの性能は出せない。
なお、対象年令10才以上モデルは弾丸に「6mm BB(0.12g)」が指定されているが、14才以上推奨モデルの「M4A1R」は18才以上モデルでも使われている「6mm BB(0.2g)」となっている。また、東京マルイは、「20m先のターゲットを狙える!!」と謳っている。
レシーバーは樹脂製だが、アウターバレル、マウントレイル、マガジン外装のほか、フロントサイト、ハンドガードスリップリング、ストックパイプなどは金属製だ。重量は2,825g(空マガジン、バッテリー含む)となっている。質感がよいだけでなく、明らかに耐久性も高そうだ。もちろん程度にもよるが、サバゲーで多少ぶつけたぐらいで破損することはないだろう。
付属品は、「M4A1R」本体、マガジン(装弾数65発)、保護キャップ、チャージャー、チャージングロッド、クリーニングロッド、BB弾(0.2g/100発)、サイトアジャストツール、取扱い注意・説明書など。
「M4A1R」に付属するマガジンは、最後のBB弾まで発射できる「新型フォロワー搭載マガジン」だ。記事執筆時点で新型マガジンは単体で発売されていないが、電動ガンスタンダードタイプ用の「ベトナム 190連射マガジン」、「M16用 300連射マガジン」、「M16用 スペアマガジン」、「M16用 80連ショートマガジン」、「ツインドラムマガジン」などをそのまま使える。とは言え新型マガジンは「M4A1R」だけでなく、電動ガンスタンダードタイプのユーザーにも魅力的だろう。早く個別に発売されることを期待したい。
バッテリーには「8.4Vニッケル水素1300mAhミニSバッテリー」が指定されている。他社製バッテリーや、指定外のバッテリーを使用した場合には東京マルイのアフター対応が受けられなくなるので注意してほしい。
実測した重量は、「M4A1R」本体が2,468g、新型フォロワー搭載マガジンが194g、「8.4Vニッケル水素1300mAhミニSバッテリー」が163gだった。すべて合わせるとスペックどおりに2,825gとなる。
ベースモデルの電動ガンスタンダードタイプ「コルトM4A1カービン」が2,950g(空マガジン、バッテリー含む)なので、今回の「M4A1R」は125g軽くなっていることになる。この差はインナーバレルが短くなったのが主な理由であろう。
使い勝手は電動ガンスタンダードタイプとまったく同じ
使い勝手については、電動ガンスタンダードタイプとまったく同じ。フロントサイトはアジャストツールで着弾点の上下を調整でき、リアサイトはウィンテージ調整ダイヤルで左右、エレベーションダイヤルで上下、バトルサイトでサイズを調整可能だ。
キャリングハンドルはインターフェイスノブを回転させるだけで素早く取り外せ、スコープやドットサイトなどを装着可能だ。前述のとおり、アッパーフレーム上部のマウントレイルは亜鉛ダイカスト製なので、剛性がしっかりと確保されているため、重めの光学サイトも安心して装着できる。
チャージングハンドルを引くとポートカバーが開き、ダミーボルトが後退して、ホップアップ調整ダイヤルが現われる。ホップアップ調整ダイヤルにはクリック感はないものの、細かにホップアップの強弱を調整できる。
ストックパイプは金属製で、ストックとの遊びはほとんどなく、それにも関わらずスムーズに6ポジションで長さを調整できる。価格が違うのだから当然のことながら、対象年令10才以上モデルとは剛性感がまったく異なる。素早くスイッチングしてもストック部にキシミはほとんど感じない。
0.2g弾を使用した場合の初速は平均32.1m/s、弾道はすこぶる素直
それではいよいよ実射性能のチェックに入る。まず、初速については0.2g弾を使用した場合で、最大32.4m/s、平均32.1m/s、最小31.9m/sとなった。最大と最小の差はわずか0.5m/s。これだけ初速が安定していれば、集弾性能についても期待できる。
また、連射速度については最大17.1発/秒、平均15.8発/秒、最小14.2発/秒となった。基本性能の高さに定評がある純正ハイトルクモーター「EG-1000」が搭載されているだけに、サバゲーでちょうど使いやすい(指切りしやすい)連射速度を実現している。
推奨されていない重量の弾速も計測してみた。0.12g弾を使用した場合の初速は最大44.1m/s、平均43.6m/s、最小43.2m/s、0.25g弾を使用した場合の初速は最大30.7m/s、平均30.6m/s、最小30.5m/sとなった。
屋外で射撃してみたところ、0.12g弾は0.20g弾より集弾性が低下し、0.25g弾ではホップアップ調整ダイヤルをもっとも強くしても、BB弾が水平に飛ばなかった。「電動ガンRシリーズ」では指定どおり0.2g弾を使うべきだ。
トリガープルは1.42~1.57kgの間。トリガーの引き始めは軽く、最後に引き切る瞬間に重くなるというセッティングが施されている。そのためサバゲーでは「トリガーを遊びのぶんだけ引いておいて、バリケートから出て相手の姿を捉えた瞬間にトリガーを引き切る」といった射撃がしやすい。
作動音は「電動ガンLIGHT PRO」シリーズなどと比べると、明らかに大きい。音の大部分はピストンの打撃音が占めており、たとえサイレンサーを装着したとしても作動音自体はそれほど変わらないと思われる。とはいえ、ギアノイズやバネ鳴りなどはほとんど聞こえなかった。
集弾性能については「20m先のターゲットを狙える!!」というフレーズを証明する結果となった。ファイネストBB 0.2g弾で20m先の約16cmのターゲットを狙ったところ、セミオートで7割前後当てることができた。フルオート射撃時のまとまりもいい。20メートル先のプレーヤーであればほぼ必中、飛び出している手足、頭であってもセミオートで3~5連射すればかなりの確率でヒットを取れると思う。
若い世代だけでなく、サバゲー未経験者も呼び込むエアガンになってほしい
「電動ガンRシリーズ」の第1弾である「M4A1R」の完成度は非常に高い。これまで「10才以上」と「18才以上」の間にはあまりにも大きな性能差があった。そんな中で、その間を埋める「14才以上推奨」というカテゴリーが若い世代のサバゲーマーに待ち望まれていた。
「M4A1R」であれば10禁サバゲーだけでなく、普通の定例会であっても立ち回り次第で十分に戦える。何度も高校生サバゲーマーとプレイしたことがあるが、彼ら彼女らが「電動ガンRシリーズ」を手に入れれば強敵となるはずだ。
また、筆者も含めた18才以上のプレーヤーにも「電動ガンRシリーズ」は魅力的だ。大人が10禁サバゲーに参加する際のエアガンとして最適であることは言うまでもない。また、いわゆる「お座敷シューティング」するときにもちょうどいいパワーだ。さらに。貸し切りで初心者と一緒にサバゲーする際にも、相手に無用の痛みを与える心配が少ない。
「14才以上推奨」という新たなカテゴリーが、若い世代のサバゲー参入を応援するだけでなく、サバゲー未経験の人々がもっと気軽に参加できるためのアイテムとなることを強く期待したい。