レビュー
東京マルイ「M1851 NAVY」レビュー
ロマンと実用性を兼ね備えたパーカッション式エアーリボルバー
2025年1月23日 12:30
- 【M1851 NAVY【エアーリボルバー プロ】】
- メーカー:東京マルイ
- 2025年1月23日発売
- 価格:27,280円
- 全長:339mm
- 銃身長:110mm
- 重量:450g(パーカッションキャップ含む)
- 弾丸:6mm BB(0.12~0.20g)
- 動力源:なし(手動)
- 装弾数:6発
今回は、ロマンと実用性を兼ね備えた「M1851 NAVY【エアーリボルバー プロ】」の詳細スペック、外観、使い勝手、実射性能についてじっくりレビューしていく。
シングルアクションリボルバーと言えば、1873年に発売されたコルト社の「SAA(シングル・アクション・アーミー)」が有名だが、それよりも前の1851年に発売されたのが同じくコルト社の「M1851 NAVY」だ。
「M1851 NAVY【エアーリボルバー プロ】」にはパーカッション式という複雑な弾丸装填手順が採用されている。弾頭を装填するためのローディングレバーを備えている他、通常分解やシリンダーの交換も可能だ。パーカッションリボルバーならではの弾丸装填プロセスを味わえるだけでなく、複数シリンダーを用意しておけばゲームに弾を多く持ち込める。
それでは早速レビューに移る。
「M1851 NAVY」はパーカッション式シングルアクションリボルバーの完成形
まずはモデルとなった「M1851 NAVY」について紹介していく。「M1851 NAVY」はパーカッション式のシングルアクションリボルバーだ。シリンダーの各薬室に、火薬を込めてから弾丸を装填し、薬室後部に「雷管」(パーカッションキャップ)を装着するという仕組みが採用されている。これは、フリント(燧石/すいせき)とフリズン(L字型の鋼鉄片)の当たり金が擦れることによる火花で発火するフリントロック式に代わり普及した発火方式だ。「M1851 NAVY」はフレームの上部が空いたオープンフレーム構造を採用しているのに加えて、バレルの下には弾頭を装填するためのローディングレバーを備えている。
「M1851 NAVY」の「NAVY(海軍)」とは、シリンダーにテキサス海軍の「カンペチェの戦い」の情景が彫り込まれていることから由来している。しかし実際に購入したのは、民間人と陸軍。総生産数は約25万丁と言われている。ちなみに、冒頭で例として挙げた「SAA」の総生産数は350万丁以上とされており、現在も製造・販売されているので、総生産数は増え続けている。
「M1851 NAVY」には36口径の球形弾が使われており、実銃の初速は1000fps(フィート毎秒)。金属薬莢の弾丸と威力を比較すると、「.380ACP弾」に近いと言われている。金属薬莢を使用するリボルバーが登場したあとも、信頼性と耐久性の高さからSAAが登場する1873年まで製造が続けられた。
脱着可能なシリンダーに合わせて新たなメカニズムとエアールートを設計
ここからは「M1851 NAVY【エアーリボルバー プロ】」(以下M1851 NAVY)の詳細について紹介していく。「M1851 NAVY」は対象年令10才以上用のエアーリボルバーだ。動力源は必要とせず、ハンマーをフルコッキングするとシリンダーが回転し、同時に内部のピストンを後退させて、スプリングを圧縮。トリガーを引くとシアーが解除され、ピストンが圧縮されたスプリングによって押し出されてシリンダー内の空気を圧縮し、BB弾を押し出し発射する。
商品内容は、本体、パーカッションキャップ、安全キャップ、0.12g BB弾、ホップ調整ツール(シリンダー調整ツール)、クリーニングロッド、説明書類(説明書、ターゲット、エアーソフトガンファンの皆様へ、プレゼント応募券、安全のための大事な注意)が同梱されている。
「M1851 NAVY」の全長は339mmで、銃身長(インナーバレル長)は110mm。重量はパーカッションキャップ込みで450gだ。外装は基本的に樹脂製だが、内部フレームやローディングレバー、シリンダーの内部メカは金属製のため、全体的な剛性は高いと感じた。ただしローディングレバーのヒンジ部分は精密な作りなので、射撃時にもう片方の手で握り込むようなフォアグリップ的な使い方は厳禁だ。
ローディングレバーを開くと、バレル下には可変ホップアップシステムのホップダイヤルがある。脱着可能なシリンダーに合わせて、エアーリボルバー向けの新たなメカニズムとエアールートを設計したようだ。東京マルイのSAAでは薬莢側にインナーバレルと密着させる機構が備わっているが、「M1851 NAVY」はインナーバレル側が前後してシリンダーに密着させる仕組みを採用している。これにより、安定した弾速と命中精度の高さを実現している模様だ。
使用弾は6mm BB弾で、重さは0.12~0.20gが推奨されている。ひとつのシリンダーに6発のBB弾を装填可能で、シリンダーには「ENGAGED 16 MAY 1843」という文字とともに、テキサス海軍の「カンペチェの戦い」の情景がレーザー刻印されている。
「M1851 NAVY専用スペアシリンダー」のメーカー希望小売価格は7,800円。このシリンダーは単に弾を保持するだけでなく、シリンダーシャフトから押し出される空気をシリンダー内部に取り込む役目も果たしている。また、内部メカは前述のとおり金属製。いわばエアーコッキングガンの内部機構の多くを占めているため、この価格となっているのだろう。
パーカッション式ならではの操作プロセス・通常分解を楽しめる
「M1851 NAVY」は、実銃と同様に、ハーフコック、弾の装填、ローディングレバーの操作、パーカッションキャップの装着、フルコック、発射……というパーカッション式シングルアクションリボルバーならではの操作プロセスを楽しめる。
本製品の実際の操作手順としては、発射口に安全キャップを装着した状態で、まずはハンマーをハーフコックしてから、セーフティーを親指で押し込む。そして、シリンダーを回転させつつ、BB弾とパーカッションキャップをセットする。その後、雰囲気を味わうのであればローディングレバーを操作し、必要に応じて可変ホップアップシステムのホップダイヤルを調整。最後にセーフティーを解除して、ハンマーをフルコックすれば射撃準備完了だ
注意事項としては、ハーフコックの状態からトリガーを引かないことと、ハーフコックまたはフルコックの状態からハンマーを指で戻さないことが挙げられる。前者はノズル部分が破損する可能性が、後者は意図せぬ発射や二重給弾の原因となるので注意してほしい。
「M1851 NAVY」のもうひとつの醍醐味が通常分解だ。手順は以下の通り。
まず発射口に安全キャップを装着して、右側面のロックレバーを押さえながらバレルウエッジを押し、左側面からバレルウエッジを最後まで引き出す。その後バレルユニットを引き出し、最後にシリンダーの「→」マークをシャフトの「ー」マークの位置に合わせて回転させると、フレームユニットからシリンダーを引き出せる。
組み立てる際は分解のときと同様に、シリンダーの「→」マークをシャフトの「ー」マークの位置に合わせる。シリンダーをシリンダーシャフトに組み込めない場合は、内部メカのスリット位置がずれているので、ホップ調整兼シリンダー調整ツールを内部メカのスリットに引っかけて、カチッと音がする正常な位置まで内部メカを回転させる必要がある。
なお、シリンダーの内部メカは銃にセットしている状態であればずれることはない。また、シリンダー単体でも、落としたり、強い振動を与えたりしないかぎりは、ずれることはないので安心してほしい。
命中精度が落ちてきたときなどのメンテナンスの際は、通常分解したほうがインナーバレルやシリンダーパッキンをクリーニングしやすい。手順をマスターしておいたほうがいいだろう。
20mでもマンターゲットを狙える命中精度
最後に操作性や実射性能をチェックしていく。まずトリガープルだが非常に軽く、10回計測したところ最小0.54kg、最大0.57kg、平均0.55kgとなった。現代の銃とグリップ形状が大きく異なるので慣れが必要だが、個人的には精密射撃しやすく感じた。
射撃音は比較的低めだ。BB弾を装填して10回計測したところ、最小82.9dBA、最大87.6dBA、平均84.54dBAとなった。静音とまでは言えないが、ほかのプレイヤーに位置バレするほどの射撃音ではないと思う。
初速については下記の5つの組み合わせで、それぞれ12発計測してみた。0.12g弾は概ね平均41m/s前後、0.2g弾は概ね31m/s前後だった。「SAA.45 シビリアン 4 3/4インチ ブラック【エアーリボルバー プロ】」の初速が0.12g弾、ホップ最弱時で平均46.1m/sだったため、個体差もあるだろうが「M1851 NAVY」の初速は「SAA」よりはやや低いかもしれない。
・0.12g弾でホップ最弱時の初速は最低41.8m/s、最高43.2m/s、平均42.6m/s
・0.12g弾でホップ最強時の初速は最低38.7m/s、最高41.4m/s、平均40.1m/s
・0.20g弾でホップ最弱時の初速は最低29.4m/s、最高32.3m/s、平均31.4m/s
・0.20g弾でホップ最強時の初速は最低28.2m/s、最高30.8m/s、平均30.0m/s
・0.20g弾で適正ホップ時の初速は最低30.9m/s、最高32.2m/s、平均31.4m/s
命中精度については、0.20g弾であれば15mでヘッドショットを決められ、20mでもマンターゲットを狙えるだけの命中精度を確認できた。今回、弾道テストしたのは13.4℃と気温が低く、射撃回数も100回を超えたぐらいなので慣らしは済んでいない。それでもホップ調整がしやすく、弾道も安定していた。ただし、0.12g弾ではやや弾道が散っていたので、サバイバルゲームに「M1851 NAVY」を投入するのであれば、0.20g弾を利用することをおすすめする。
大人が「10禁サバゲー」に参加する際の1丁としてもってこい
「M1851 NAVY【エアーリボルバー プロ】」は、エアーコッキングガンとしてはやや高めの価格設定だ。しかし、内部メカを含めて完全新規設計の製品であるのに加え、質感や性能は申しぶんない。パーカッション式シングルアクションリボルバーとしての操作は楽しいし、それほど慣れていない筆者でもシリンダーを20秒ほどで交換できたので、サバイバルゲームでの実用性も高いと思う。
お座敷シューターの「こだわりの1丁」としてもぴったりだし、大人が「10禁サバゲー」に参加する際の1丁としてももってこいだろう。自信を持っておすすめできる東京マルイならではのニューモデルといえる。
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